著者
渡辺 勇三
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.32, pp.241-242, 2008

相模原市立城山公民館で平成19年9月1日に「子ども宇宙ステーション」と題して親子星空教室が企画された。日本の月探査機「かぐや」の活躍と宇宙と天文の初歩的な学習に併せて夏の夜空の代表的な星座を観測することを目的とする公民館事業である。平成20年2月8日に「暮らしの教養講座・真冬の宇宙学&スターウォッチング」が企画実施された。冬の星座のギリシャ神話と赤く輝く火星に焦点を当てながら月の科学を学習した。続いて近くの中学校校庭に場所を移して南の空の観測を試みた。天候のために実施できなかった前記の夏の空に比べて雪に洗われた天空に代表的な星座を眺めることができた。前者では夏休みの最後の時期に、後者では正月気分もおさまった冬の最中に子ども達に良い学習の機会を贈ることができた。
著者
伊藤 光雅
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.475-476, 2009

マレーシア政府の東方政策の一環として誕生した、マレーシア人学生に対しての日本の高専留学プログラムは、1983年に1期生の入学から、1999年にはアジア通貨危機のため1年間の学習募集停止をしたが、2009年3月には第25期の修了生を日本へ送り出し、これまでに25年に渡る伝統を持つに至った.現在までに教務運営や教員採用形態も数度の変遷を経て、2009年4月からは、マラ工科大学(UiTM)国際教育センター高専予備教育コース(INTEC, DPT KTJ)へ機関移転した.本機関での理数教科教育は、マレーシア人学生に対してマレーシア予備教育課程の理数教科教育を1年次にマレーシア人教員、日本の高等学校指導範囲を2年次に日本人教員により教育する.日本への留学のための日本語教育と同時に日本語で理数教科教育をも行っている.この特徴の故に生じる課題も多く、その課題への対策授業、さらに日本の高専編入学後を見据えた先取り授業の取組みと、これまで25年間にて数回実施した高専編入学後の追跡調査結果について報告する.
著者
荻原 文弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.31, pp.383-386, 2007

高等学校の数学教育において3次元動的幾何ソフト(以下, 3D DGS)を活用することにより,次の学習・指導を改善する可能性が高まる: I)内容の理解を深めるための学習・指導, II)内容の関連性を深めるための学習・指導, III)内容の扱いを拡げるための学習・指導。
著者
岩崎 秀樹 阿部 好貴 山口 武志
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.366-377, 2008-12-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
28
被引用文献数
1

The purpose of this research is to clarify the current issues of mathematical literacy and to propose its future perspective. In this paper, we firstly look at the historical and social development of the conception of literacy from the hunter-gatherer society through the agricultural society and the industrial society to the knowledge-based or information society. Secondly, we consider the asymmetrical relationship between the society and individuals, in terms of "mathematization". The point is that mathematics becomes implicit and invisible for the people, because it is embedded in technological tools such as calculators and computers in the society. This situation can be best summarized by the following words: "an increasing mathematization of our society is complemented by an increasing demathematization of its individual members" (Keitel, 1997:2). Because we are living in this mathematized society, we should develop mathematical literacy in order to encode and decode from the real world to the mathematical one. From this perspective, we discussed the fundamental principle of an alternative curriculum for mathematical literacy. In short, it means that mathematical thinking including modeling and critical thinking is emphasized increasingly as well as mathematical contents.
著者
下山 芽衣子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.43-48, 2013

第5学年の「流れる水のはたらき」の学習を展開するにあたり,学習指導要領には,「イ 川の上流と下流によって,川原の石の大きさや形に違いがあること」をとらえさせるとあるが,実際に川原の石の変化をとらえさせる上で,さまざまな問題点があった。そこで,導入や教材,発表のさせ方を工夫し,子どもたちが「わかった!」「なるほど!そうか。」と思える授業を展開することで,実感を伴った理解をさせることができるのではないかと考えた。そのため,川の様子を再現したモデル実験を取り入れ,学習したことを実際の川に置き換えて石の大きさなどを考えられることを目標に授業を行った。
著者
山崎 良雄 高橋 典嗣 垣内 信子 高橋 和子 間々田 和彦 田仲 永和
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.469-470, 2004

私たちの地球は、太陽系の第三惑星として、太陽やその他の惑星とともに、約45億年前に誕生した。この間、大地にはさまざまな動物や植物が繁栄し、進化をとげてきた。現在の地球は太陽系の他の惑星とちがい、「水の惑星」と呼ばれるように、生命に最適な環境がそなわっている。この地球のことをもっと知り、より地球の大切さを実感してもらうことをねらいとし、毎年学校で健康診断をするように、夏至の日を「地球の健康診断の日」とし、世界規模で地球の診断の試みを啓発普及していきたい。
著者
渡辺 進武 丹羽 直正 酒井 茂 上田 康信 川上 紳一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.7-10, 2003
参考文献数
2

現行の学習指導要領では,小学理科「月と星」の学習で月の動きについて学習するものの満ち欠けのしくみまでは学習しない.にも関わらず中学生になって,金星の観測を行って満ちかけが金星の公転によることを学習することになっている.こうしたカリキュラムの中で,中学3年生には天体望遠鏡組み立てキット(スピカ)を一人一つずつ与え,継続的な金星の観測を行って,満ち欠けのしくみをモデルを使って理解する授業を実践した.一方,小学4年生にも同じ望遠鏡を与え,月の満ち欠けの学習を試みた.岐阜大学教育学部の屋上で撮影した天体画像をホームページで公開し,児童・生徒の観測への動機づけや観測結果の確認に使用した.これらの授業実践をもとに,天体望遠鏡(スピカ)とweb教材がより充実した学びへと支援できるか検討を行った.
著者
軸丸 勇士 大森 美枝子 田代 恵 照山 勝哉 中谷 京一 河野 志津子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.39-44, 2005-11-26 (Released:2017-11-17)
参考文献数
5

野生ニホンザルの生息地の一つである高崎山自然動物園(大分市)。その山の麓に平成16(2004)年4月, 学習施設「おさる館」が開館した。山や館を訪れた人々のニーズをアンケートにより掴み, それを活用した見学や学習支援のための人材育成とその手法について紹介し, 連携した科学教育の必要性を述べる。
著者
坂本 美紀 稲垣 成哲 竹中 真希子 山口 悦司 藤本 雅司 山本 智一 大島 純 大島 律子 村山 功 中山 迅 近江戸 伸子 竹下 裕子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.425-426, 2004

筆者らは,遺伝子組み換え食品(GMF)を題材にした科学教育のためのCSCL環境を開発し,小学生を対象にデザイン実験を行っている.本研究では,このデザイン実験の評価の一環として, GMFに対する理解とイメージが,単元の学習を通して変容したかどうかを検討した.分析の結果,概念的理解については. GMFの基礎知識や論争性についての理解が進んだことが明らかになった。また,イメージの変容も確認された.
著者
西島 徹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.29, 2005

本発表は,読売新聞の記者としてフィンランドの教育を現地取材した印象を紹介する。日本との相違点が明らかとなった。
著者
大谷 実 瀬沼 花子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.133-136, 2004

数学教育における創造性の育成に関して,才能豊かな児童・生徒に対する特別な方策を講じてきたハンガリーを取り上げ,その伝統と今日的課題を整理する.①数学は初等・中等教育段階の必履修教科であり,数学コンテストや数学教育雑誌等が創造性育成の重要な手段として機能している.②社会主義崩壊後,中等教育の拡充・と多様化が進み,数学優秀児のクラス数が増大した.③国家基本教育課程(NAT)の実施と欧州連合加盟により,数学の教育内容の大幅なレベルダウンと授業時間数の削減,学力低下が懸念されている.
著者
高橋 典嗣 山崎 良雄 庄司 涼 鈴木 愛理 吉川 真
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.35, pp.281-282, 2011

科学衛星「はやふさ」の成果は、地球帰還後に多くの人々に知られ、社会から賞賛されるようになった。その人気は何なのか、どのような人々が支えているのか、はやぶさ地球帰還1周年記念講演会の参加者から、その動向をさぐることにした。
著者
遠西 昭寿
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.1-4, 2007
参考文献数
11

科学リテラシーを育成する理科学習においては、科学の方法や技法、科学的能力や態度の育成ではなく、科学の「ことば」である科学知識の習得とその使用の方法を教えるべきである。観察や実験は、それ自体が目標なのではなく、科学の「ことば」としての科学知識の意味を確証し正当化するために行われるべきである。
著者
松岡 葉月
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.56-64, 2008-03-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
24

It is important that people maintain science communication at places such as museums throughout their lives, and the natural science museum carries an important role in this respect. However, a museum where science communication is developed is not only natural science system. Technology itself pervades in many aspects of human life, and that a general viewpoint beyond field of the studies has developed is a factor. This study clarifies the possibility of science communication in the History Museum in this through a fusion with history and natural science. The reason is that of physics and chemistry wethedology has been applied to the study of history. And therefore to think about human history from relations with natural environment from the viewpoint of environmental disruption has become important. From such techniques and an expansion of the object of historical study, I developed learning resources by fusing history and natural science in the History Museum, and show an example of the learning program and the actual situation of the user. A big problem in science communication is bidirectional communication between researchers and citizens. In this study, I pointed out that science literacy through citizens' active learning was necessary for bidirectional communication in the museum. Science literacy is a learning theory of constructivism and a scientific intellectual power. Furthermore, it involves fundamental skills for learning natural science and history. Science communicators understood these points and emphasized the necessity of learning support.
著者
吉田 甫 河野 康男
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.111-119, 2003
参考文献数
22

A new curriculum based on stundent's informal knowledge in ratio was established in the present study. The goal of this study was to examine the effect of the new curriculum on students' understanding of ratio. The ratio concept as a quantity rather than symbol operations was stressed in the new curriculum. In addition, the second term of proportion (b × p=a ; b : base quantity, p : proportion, a: quantity to be compared) was introduced first in the sequence of teaching three terms on ratio. Thirty-five students participated in eight lessons based on the new curriculum and 71 received normal lessons following the textbook. The students of the experimental group showed significantly superior performance over the textbook group (control group) in solving ratio problems. Although computational strategy was used in the textbook group in problem solving, an estimation strategy was mainly adopted in the experimental group. These results are discussed from the viewpoint of curriculum based on informal knowledge in children.
著者
宮地 功 岸 誠一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.57-62, 1993
被引用文献数
1

AHPを用いて1時間の道徳授業による目標としている指導内容の変容を定量的に評価する方法を提案する。道徳教育における授業の視点に含まれる指導内容それぞれについて一対比較をして、授業によって目標にしている指導内容の重要度 (大切さ) を調べるアンケートを実施する。そのアンケートを授業の前と後に行い、重要度の差をとる。この値によって、どの指導内容がどの程度変化したかを知り、その授業によって生じた児童の道徳性の変容を定量的に知ることができる。小学校の道徳の授業において、提案した方法によってアンケートを実施し、授業展開にほぼ対応した変容がみられた。提案した方法による定量的な変容から授業効果を知り、授業方法を改善できるようになった。
著者
張 蘭翎 須曽野 仁志 下村 勉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.45-48, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
6

中国人日本語学習者の語る力を向上させるために、デジタルストーリーテリングに注目した。筆者による日本語学習と演劇の経験を結びつけ、デジタルストーリーテリングを活用し、①状況・感情、②デジタルの良さを重視しながら音声での語り方を鍛えていく学習プログラムを開発した。本研究では、デジタルストーリーテリング用学習プログラムを試行した学習を行い、中国人日本語学習者が語りで苦手とする原因、語る力と意識にもたらす効果について考察する。
著者
古賀 智子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.9-14, 2005-08-26 (Released:2017-11-17)
参考文献数
14

本研究は, 「総合的な学習の時間」において, メタ認知を促すと想定する方略が, メタ認知的知識の向上へ効果的かどうかを検証することと, 児童本来が持つメタ認知的経験を解析することを目的する。まず, メタ認知的知識測定質問紙を作成し, 本研究の処遇であるメタ認知を促す振り返り活動を組み入れた実践授業を, 小学5年生を対象に行った結果, 処遇は, メタ認知的知識の向上に効果的であるが, メタ認知能力の高低によって効果に差があることが明らかとなった。次に, メタ認知的経験の認知過程を捉えるため, 同じく小学5年生の学習過程の会話をプロトコル分析した結果, メタ認知的経験が見出され, 課題修正や方法修正には課題・方法・自己評価が関わる傾向があり, グループによってモニタリング発話は異なる可能性も見出された。
著者
山下 修一 YEO Jennifer 湯地 涼介 中村 祐樹 山田 実加 成松 泉 平野 祐希子 YANG Lim Tong HWEE Lim Chia 野村 純 大嶌 竜午 馬場 智子 林 英子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.96-106, 2017 (Released:2017-07-15)
参考文献数
14

The purpose of this study was to investigate how findings in science education findings play a key role in the improvement of science lessons for secondary school students. Japanese university students created a science lesson on tomography for Singapore students as part of the TWINCLE program. We investigated the change of lesson plans, PowerPoint slides, teaching materials and worksheets on the topic of tomographic visualization before and after the lesson with our Singapore counterparts. The results of this study show three key points: 1. The process of improvement of the science lesson became a form of active learning for the university students. 2. The university students’ lesson plans and teaching materials were revised according to the context so as to find the location of blood clots present in blood vessels. 3. The revised hands-on activity exposed secondary school students to a more “authentic” application of the concept of tomography.