著者
柴田 雅雄 坂部 創一 山崎 秀夫 守田 孝恵 張 建国
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.24(第24回環境研究発表会)
巻号頁・発行日
pp.339-344, 2010 (Released:2011-08-12)

本研究では,CMC (Computer-Mediated Communication) 利用の促進が文章表現力をどの程度向上させ,それが口語表現力と現実の人間関係,そしてQOL (Quality of Life) にどのように影響しているのかという問いを設定した。そして,情報系大学生を対象に調査を実施して,共分散構造分析で良書の読書効果も含めて要素間の因果関係を検証した。その結果,良書の読書のみ文章と口語の表現力を向上させ,メールとSNS (Social Networking Service) は文章と口語の表現力を向上させないことが示された。そのため,今後の情報化社会において「良書の読書」を推進することの重要性が示唆された。
著者
大橋 唯太 井原 智彦 玄地 裕
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.367-372, 2014 (Released:2014-12-03)
参考文献数
10

2007 年夏季に東京23 区で調査された睡眠に関するアンケート結果をもとに,住民の睡眠障害と屋外気象環境の関係を分析した。暑さによる睡眠障害を訴えた人の割合(睡眠障害有症率)と夜間の屋外最低気温とのあいだには明らかな相関が認められ,25℃を下回らない熱帯夜条件になると睡眠障害有症率が顕著に増加した。東京23 区を沿岸部・都心部・内陸部に分けた場合,熱帯夜条件のなかで,最低気温の低い沿岸部の睡眠障害有症率が他の地域に比べて低かった。湿度なども含めた温熱指標を用いた場合,体感温度を表すヒートインデックス(HI)が睡眠障害の指標として比較的良好であった。特にHI が気温の値から乖離するような夜間は,睡眠障害有症率が顕著に増加していた。
著者
孫 可冀 一ノ瀬 友博 土光 智子 陳 文波 板川 暢
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.71-76, 2014 (Released:2014-12-03)
参考文献数
19

ヨシ群落の効率的な生育管理を実現するため,広域的なモニタリング手法の開発が期待されている。 本研究は,中国向海(シャンハイ)湿地のヨシ群落を対象にし,現地調査データと衛星画像データの両方を使用し,ヨシの在・不在,草高,茎径,稈密度の四つの予測モデルを開発した。最適モデルの結果により, ヨシの生育に最も影響している指標は水分条件と傾斜角であることがわかった。この結果を踏まえて, 保全策を検討する基礎資料として, 2010年の向海湿地のヨシ群落の生育予測図を作成した。
著者
木村 道徳 熊澤 輝一 岩見 麻子 松井 孝典
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.29(第29回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.55-60, 2015-11-25 (Released:2015-11-25)
参考文献数
13

地域活性化やまちづくりにおいては,地域資源を有効に活用するために,地域住民と地域資源のこれまでのかかわりを把握する必要がある。本研究では,滋賀県高島市を対象に,森林資源を活用する団体に対して半構造化インタビューを実施し,記録したテキストデータを,自己組織化マップ手法と対応分析を用いて可視化することを試みた。その結果,各団体が持つ関心テーマを特定することができ,活動内容などによって関心テーマが異なることがわかった。
著者
渡邊 一仁
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.27(第27回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.227-232, 2013-11-26 (Released:2015-02-07)
参考文献数
7

本研究では,東日本大震災の津波による閖上地区のアカガイ漁業への影響把握を目的として,漁業基盤の現状,アカガイ資源の解析,および放射性物質の検出状況を整理した。漁業基盤では,漁船隻数を中心に緩やかな回復が期待された。また,アカガイ資源は分布密度や殻長組成の推移から増大していると判断された。放射性物質の検出状況についても,アカガイは基準値以下であり,アカガイ魚業の継続は十分可能であると考えられた。今後,漁獲物サイズを大型化する等の実施により,持続性を担保したアカガイ漁業の復興が期待される。
著者
郷倉 久徳 根本 正之 川原 淳
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.20(第20回環境研究発表会)
巻号頁・発行日
pp.111-116, 2006 (Released:2008-12-02)

公園内の生物資源を保護し利活用するためには、画一的な管理では不十分で、立地条件に基づいたきめ細かな管理が必要となる。本研究では国営昭和記念公園で保護の対象となっている野生のネジバナが自生する、管理手法の異なる草地で植生調査を行い、管理が草本群落の構造に及ぼす影響を明らかにした。次に景観上から有用植物とされるネジバナの生活史を調査し、ネジバナの栄養成長期にみられる周辺植生が、光を透過しやすいイネ科雑草であること、また草刈り後の刈草を除去することがネジバナを生育域内で保全する上で重要であることを指摘した。
著者
萩原 和 星野 敏 橋本 禅 九鬼 康彰
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.26(第26回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.125-130, 2012 (Released:2014-09-20)
参考文献数
9

本研究では,「テーマ型」活動を対象とし,チームワーク行動尺度の適用によって,どのように既存組織の知識・経験の有効感を規定するのかを明らかにすることを目的とした。具体的には,チーム協調性,チームメンテナンス,外部との調整・サポートの3因子が規定しており,特にチーム協調性の項目が,チームワーク行動の起点となり,既存組織の経験・知識の有効感を規定していた。
著者
菅原 遼 坪井 塑太郎 畔柳 昭雄
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.413-418, 2014 (Released:2014-12-03)
参考文献数
4
被引用文献数
1

本研究では,東京都臨海部の運河利用に向けた規制緩和措置としての運河ルネサンス事業の対象 5地区において,管理者と協議会へのヒアリング調査を通じて運河の利用実態の把握と課題の検討を行った。その結果,地区ごとに事業構造や実施状況は異なるものの,独自の水辺づくり事業を展開していることを把握した。しかし,各地区の「管理者?協議会?事業者」の関係の実態から,協議会主体による事業実施に伴い事業者が限定的となっており,また,事業者の資金確保および施設利用に関する運営基盤が必ずしも整っておらず,継続的な事業実施および新規の事業者参入に向けた運営体制の確立が不十分であることを明らかにした。
著者
市川 貴大
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.7-12, 2014 (Released:2014-12-03)
参考文献数
37

堆肥環状施用の有無が樹木の生育に及ぼす影響を明らかにするために,植栽基盤に植栽された生育不良なヤマザクラについて,葉のSPAD 値,活力度,相対樹高,相対胸高直径,相対樹冠幅の変化を調査した。本調査地では表層土壌の持ち出しによる肥沃度の低下が植栽樹木の生育への制限要因になっていると考えられた。また,堆肥環状施用により,表層土と下層土の混合土と同様の植栽基盤の改善効果があることが示された。葉のSPAD 値にて植栽樹木の生育状況を評価する場合は夏期に行う必要があることが示唆された。
著者
増山 哲男 舘野 真澄 木下 瑞夫
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.281-286, 2014 (Released:2014-12-03)
参考文献数
7

市町村マスタープランは,将来のあるべき市町村像や将来の土地利用などのまちづくりの基本的な方向性を示すものであり,この中には自然的環境保全に関する検討が含まれるべきである。本研究は,文献情報を含む地理情報から得られる自然的環境に関わる基本情報と,住民から得られる動植物の存在および生活空間の変容に関わるオーラル情報を結合することにより,マスタープランづくりに必要となる自然的環境保全のための基本情報を得ようとするものである。本研究では,神奈川県秦野市西部をケーススタディ地区とし,地理情報とオーラル情報を用いて明らかになる有効性と留意点について明らかにした。
著者
小林 翼 大沼 進 森 康浩
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.37-42, 2014 (Released:2014-12-03)
参考文献数
9

家庭での省エネルギー行動を普及させる取り組みは多いが,長期に渡る質的な変化について追跡した研究は希少である。本研究では一年間にわたる省エネプロジェクト参加者の質的側面の時系列的変化を探索的に明らかにすることを目的とし,グループインタビューにおける参加者の発言内容をテキストマイニングによって分析を行った。その結果,最初の半年では事前に提示された行動項目について,金銭的なこと,暖房に関すること,取り組みの効果の実感しやすさなどに関する内容が多く発言されていたが,一年経過後では,自分だけでなく家族全体も含めて変われたことや,エネエコ診断にない新たな項目への挑戦などに関する発言が増えていた。
著者
市原 純
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.26(第26回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.295-300, 2012 (Released:2014-09-20)
参考文献数
19

本研究は、地方自治体における国際環境協力の実施に影響を及ぼす要因を明確にすることを目的とする。とりわけ、政治的要因、行政余力などの行政的要因および地域間の波及要因が環境協力の実施や関連予算額の決定に対して影響を与えるのか、計量分析により検討する。計量分析の結果、革新知事、職員数に占める環境関連職員の割合や地域間の波及要因が環境協力実施に影響を及ぼすこと、また、職員数に占める環境関連職員の割合が、環境協力予算額の決定に影響を及ぼすことが確認された。
著者
鬼塚 健一郎 星野 敏 橋本 禅 九鬼 康彰
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.26(第26回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.137-142, 2012-11-26 (Released:2014-09-20)
参考文献数
8

近年,高速なインターネット環境の整備に伴い,地理的条件が不利な中山間地域においても,ブロードバンドや高速モバイル回線が利用可能になりつつある。同時に,地域コミュニティ形成を目的にSNS を活用する例も増えてきており,農村地域でも地域内外における交流促進や情報発信に大きな役割が期待されるが,ICT の学習機会の提供や効果的な普及手法など,ソフト面での対策が必要とされる。本研究では,農村地域におけるコミュニケーション基盤としてSNS の活用を推進するプロセスにおいて,京都府下 3 地域のキーパーソンに着目し,その役割と効果を明らかにするとともに,他地域に対する提言を行った。