著者
和崎 克己 下井 信浩 滝田 好宏
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第196回研究会講演予稿 (ISSN:02853957)
巻号頁・発行日
pp.3, 2002 (Released:2003-05-27)

本論文は、IRカメラを使用した、遠隔からの埋設地雷及び散布地雷の探知について述べたものである。このため、時間差分のIR画像を用いた、並列画像処理による対象物検出方法について提案する。対人地雷を探知するためには努めて遠隔から探知することが望ましい。埋設されている対人地雷の場合には、埋設地雷と地中の温度差が十分あれば放射熱の違いにより探知することが可能である。地域に冷水を散布して地表面を冷却させ、赤外線カメラによって測定する. このとき、土と埋設物(地雷)の放射熱の違いと、その冷却速度の差により、時間差分画像を得る。各画像はLinuxプラットフォーム上に実装された画像処理プログラムにより、実時間かつパイプライン的に処理される。
著者
新井 宗一郎 伊藤 彰教
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第300回研究会講演予稿 (ISSN:02853957)
巻号頁・発行日
pp.315-318, 2022 (Released:2023-03-31)

本研究では『アイカツ!』作品における登場キャラクターに付随する効果音を分析し,キャラクターや音の対象ごとの Diegesis の傾向等を分類することを目的として研究を実施した.アニメ版『アイカツ!』内の 5シーン 24 個の効果音を用いた印象評価実験を実施し,Diegesis の判断の妥当性を確認した.ゲーム版に認められる,サウンドインタラクションと考えられる音や機械に連動した音については、非現実的に聞こえる音でも Diegetic として判断する可能性が示唆された.さらに,同じ意味内容や意図意図が想定できる音でも,登場人物の状況によって Diegesis の判断は変化し,その時々に適した解釈が無意識のうちに行なわれていることが明らかになった.
著者
劉 冠良 佐々木 和郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第293回研究会講演予稿 (ISSN:02853957)
巻号頁・発行日
pp.193-194, 2020 (Released:2023-03-31)

本研究では、人々の記憶効率における、効率を向上し、短時間で覚えたい内容を記憶するため、Virtual Reality を活用した‘記憶宮殿’ [1]という記憶法の可能性を追求し、バーチャル記憶宮殿の試作を行う。まだ、試用の 評価に基づき、さらなる記憶宮殿開発の参考にすることを目的とする。今回の研究では、クラブを記憶宮殿に想定し、順 番なしのトランプを記憶する。記憶方法は記憶宮殿記憶法、VR 環境での記憶宮殿記憶法の二つグループを分ける。記憶 量で評価してもらい、VR 環境での記憶宮殿記憶法は更なる開発価値があるかどうかを判断する。
著者
守田 了 本郷 香織
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.546-553, 2013 (Released:2015-11-06)
参考文献数
15

近年多数の動く錯視が紹介されている.実際には静止しているにもかかわらず動いていると勘違いしてしまう錯視である.これらの錯視の要因については議論されているものの未解明な部分が多い.本論文では仮想的な明度同化に基づく知覚映像を考慮することで,静止しているはずの動く錯視に対して本来計算できないオプティカルフローを計算する方法を提案する.このように計算された錯視フローを用いて,短期記憶映像中に張られた動く網を動かすことで,脳内で起きているなめらかな動き映像が生成できることを示す.実際に提案する視覚モデルを用いて蛇の回転や蛇クローバーなどの最適化型フレーザー・ウィルコックス錯視を見る時に,脳内で起きている動きをアニメーションとして生成できることを示すことで本モデルの有効性を示す.
著者
寺田 賢治 宮原 宏幸 久保 靖
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.220-227, 2005 (Released:2011-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
7

本稿では阿波踊りの動作の定量評価の一手法を提案する.我々の大学がある徳島県には伝統的な踊りとして「阿波踊り」がある.阿波踊りの基本動作は,手と足の調和,2拍子のリズムに合わせるといったコツがあるが,踊り手の微妙な手足の動き,重心位置の変化,リズム等の違いにより見た人の受ける印象は異なる.本稿では阿波踊りの基本動作をモーションキャプチャにより,計算機に取り込み,踊りのうまさを定量化する手法を提案する.これは,取得したデータ波形とお手本となるデータ波形を比較することで,動作特徴を抽出し,踊りのうまい,へたの評価を行うものである.本稿では更に踊りの名手との比較により,阿波踊りを得点化する実験を示し,本手法の有効性を検証する.
著者
宮崎 一輝 藤代 一成
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第285回研究会講演予稿
巻号頁・発行日
pp.354-357, 2018 (Released:2020-07-01)

ジェネレーティブアートとは,コンピュータの自律的な計算によって生み出される芸術作品をさし,フラクタル画像や物理的な挙動などの複雑な計算をコンピュータで計算した多くの作品が創出されている.本研究では,応力を加えると複屈折の状態が変化し,偏光を照射した際に干渉縞が出現する光弾性という現象を用い,入力画像から仮想的に応力を設定し,2 次元光弾性理論による干渉縞を生成することで自動的に画像を彩色するジェネレーティブアートの新しい手法を 提案する.
著者
金井 崇 大竹 豊 川田 弘明 加瀬 究
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.335-343, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
22

陰関数曲面は,将来的に有望な形状表現の一つであり,より少ない数のプリミティブでオブジェクトの詳細かつ滑らかな幾何学的形状を表現することができる.本稿では,点群ベース陰関数曲面の一つであるSLIM(Sparse Low-degree IMplicit)曲面を対象とした,プログラマブル GPUによる高速な表示手法を提案している.本手法はレイキャスティング法にもとづく直接的な描画手法を採用しており,光線と陰関数曲面の交点算出やブレンディングのための点の選択にかかわる処理を,プログラマブルシェーダの一つであるフラグメントプログラムの中で行っている.大容量のオブジェクトに対しては,SLIM曲面の階層的なデータ構造を利用することで,LODや視錐カリングを効率的に行うことができる.GPUの特徴である処理の並列性を最大限に利用することで,CPUによる処理よりはるかに高速に表示できることを実証する.
著者
神戸 陽介 斉藤 文彦
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.748-755, 2010-09-25 (Released:2011-08-25)
参考文献数
11

教育の現場でよく用いられるドリルテキストは,繰り返しの学習により知識や技能を修得することを目的としている.しかし,ドリルテキストは,直接鉛筆で書き込んで使用する構成になっている場合が多く,繰り返し学習が困難である.本稿では,書き込み済みのドリル画像から,手書き鉛筆線のみを除去する手法を提案する.この処理をコピー機やスキャナに搭載することで,書き込み済みドリルテキストを再び使用することができるようになり,上記問題が解決すると考えられる.提案手法では,書き込み筆記具の画像特徴に着目する.鉛筆線の画像特徴を判別することで,書き込みの種類や形状によらない消去処理を行うことが可能となる.実験より,鉛筆線は99%程度の精度で除去することができた.また,印刷を誤って消去する誤消去も非常に少なかった.
著者
佐藤 遥香 羽田 久一
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 画像電子学会第285回研究会講演予稿
巻号頁・発行日
pp.265-268, 2018 (Released:2020-07-01)

使用者の心拍数と同期して振動モーターの振動数を上昇,下降させるものと一定のリズムで振動させるシステムを作成した.そのモーターをぬいぐるみの中に入れ持たせることにより心臓の鼓動の同期現象が起こるかどうか,また一定のリズムで振動するものと心拍数に同期して変動するもののどちらがより使用者の心拍数および気持ちに影響を与えるかを確認した.結果,自身の心拍よりも遅い振動を与えたときに心拍数が下がる人が今回 の結果の中では最も多かった.アンケート結果からも遅い振動が心地よいと感じた人が最も多いことが分かった. そのため自身の心拍数よりゆっくりとした振動を与えることでリラックスさせることが可能であると考えられる.
著者
韓 惠軫 内川 惠二
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.329-339, 2016 (Released:2018-01-25)
参考文献数
24

2000年に入ってからアニメーション制作現場にデジタル彩色システムが導入され,アニメーションの色再現が重要になってきた.写真の色再現では記憶色を基に再現される肌色が好まれることが知られ,テレビ画像では肌色の許容範囲が狭いことが明らかになるなど、肌色の研究が進んできている.しかし,アニメーション制作においては肌色の表現が難しいにも係わらず,それに関する研究は極めて少ないのが現状である.そこで本研究では,セル画調の人物顔の肌色を対象に,好ましい肌色および肌色判断と顔形状との関係を明らかにすることを目的とした.その結果,セル画調の人物顔における好ましい肌色として,明るい肌色を選ぶ傾向が示された.顔形状に対する好ましい肌色の被験者間の分布範囲が円形刺激の場合よりも狭かった.従って,顔形状間にも違いあることが明らかになった.また,色マッチングの実験で、肌色の判断には顔形状はほとんど関係していないことが示された.ただし,好ましい肌色付近の色における肌色判断が安定であること,また,スクランブル顔,上下逆転顔,パーツ不足顔では肌色の判断が不正確である傾向にあり,顔知覚と肌色判断が関係していることが示唆された.
著者
浦野 貴裕 金子 俊一 高氏 秀則 田中 孝之
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.417-425, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

方向符号差分ヒストグラム(OCDH)に基づき回転不変かつ計算コストの低いロバストな画像照合法を提案する.画素近傍の明度変化の勾配から得られる方向符号は,ハイライトや陰影などの明度変動対して強いロバスト性を有する.画像上の2点から得られる方向符号の差分は,回転不変特徴を持ち,本手法では,そのヒストグラム(OCDH)を照合に利用する.高速な回転不変照合実現のため,照合の候補位置をOCDHにより推定し,推定された候補位置に対して画像間の回転角度推定,ならびに方向符号を用いた確認処理を行う.
著者
大町 方子 大町 真一郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.673-679, 2009-09-25 (Released:2011-08-25)
参考文献数
11
被引用文献数
2

高度道路情報システムへの関心が高まり,安全走行のための様々な運転支援システムが開発されている.その中でも,最近画像を用いたシステムが注目され,道路環境の認識と理解に関する様々な研究が行われている.信号機の認識は安全運転支援には重要な技術である.車載カメラで撮影した画像から信号機を検出し,点灯している色を認識することが可能となれば,運転者に対して道路環境を理解するための有益な情報を与えることが可能となる.本稿では,車両用信号機を対象とし,デジタルカメラで撮影した情景画像から点灯している信号表示面を高速に検出し,その色を認識する手法を提案する.提案手法では,まず信号機の種類や照明条件による色の違いを吸収するために色空間をRGBから正規化RGBに変換する.次に,色情報に基づいて信号表示面の候補領域を抽出する.そして,エッジを用いたハフ変換を基本とし,色情報を相補的に利用することにより信号表示面の正確な領域を抽出する.実際にデジタルカメラで自動車のフロントガラスを通して撮影された情景画像を用いた実験を行い,提案手法の有効性を検証する.
著者
プリマ オキ ディッキ A. 亀田 昌志 伊藤 皓平 伊藤 久祥
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.993-1000, 2011-11-25 (Released:2012-03-28)
参考文献数
11

1986年に登場して以来,JPEGがWebコンテンツやデジタルカメラの記録方式として多く利用されてきている.しかしながら,JPEGには注目領域(ROI)を考慮して,ROIに応じて圧縮率を可変にする機能がない.本稿は,JPEGのアルゴリズムを改良し,ROIを考慮する新しいJPEG画像を生成する手法(ROI-JPEG)を提案する.提案手法では,事前に定義したROIをもとにDCT係数を適応的に量子化することで,画像中のブロックごとの符号量をROIによって柔軟に設定することができるようになる.更に,量子化したDCT係数を逆量子化して劣化したDCT係数を生成し,これらのDCT係数に対して既存のJPEGアルゴリズムで量子化・エントロピー符号化を施すことによって,既存のJPEG復号器を変更することなく,符号化した画像を復号できる.実験では,顕著性マップ生成アルゴリズム(Ittiら,1998)1)を用いてROIを自動生成し,ファイルサイズが小さく,かつ従来のJPEGと同等な主観的品質をもつJPEG画像を作成できることを示した.