著者
江花 昭一
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.655-661, 2005-09-01
被引用文献数
4

医療施設に勤務する心理士は, 初診時のインテーク面接, 心理的査定, 心理療法などの活動を担っている.したがって医師が心理士に求めるものの第一は, それらの業務の遂行に必要とされる専門的知識と技術である.また医療施設に勤務する心理士は, 医師, 看護師と並んでチーム医療の柱である.したがって医師が心理士に求めるものの第二は, チーム医療の運営への協力であり, そのために必要な知識と技術である.さらに医療施設での心理士の業務は, 医療の一環という面をもち, 心理士も潜在的には診療の補助者と位置づけられる.したがって医師が心理士に求めるものの第三は, 診療補助者として必要な法的, 医学的知識である.上記の課題を十分に達成するためには, 医療福祉分野の心理士の国家資格制度が整備されなければならないものと考えられる.
著者
中尾 睦宏 野村 恭子 竹内 武昭 山地 清久 矢野 栄二
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1037-1042, 2006-12-01
被引用文献数
1

本研究では,帝京大学病院の外来データベースを用いて,ベンゾジアゼピン系薬剤(BZP)の科別処方状況を,選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)ならびにセロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害薬(SNRI)と対比させながら,比較検討した.帝京大学病院の診療科を内科,外科,神経内科,精神科,その他の科の5群に分け,各科のBZPとSSRI・SNRIとの処方割合(B/S比)を計算した.病院全体の年間処方は644,444件であったが,うちBZPが11.9%,SSRIが1.6%,SNRIが2.3%であった.BZP処方の中では,内科群が26.8%を占めていた.内科群のB/S比は13.0と最大で,外科群7.6,神経内科群4.8,精神科群2.5と続いた.うつ患者の多くが内科を受診するという文献報告もあり,特に内科領域で,BZPからSSRIやSNRIへの処方切り替え可能な症例が多くいるかもしれない.
著者
野村 恭子 中尾 陸宏 竹内 武昭 山地 清久 佐藤 幹也 矢野 栄二
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.41-47, 2007-01-01

帝京大学医学部附属病院を受診し何らかの投薬を受けたすべての外来通院患者34,422名を対象に,ベンゾジアゼピン(BZP)系薬物の処方期間について調査を行った.コンピューター・オーダリング・システムから性別,年齢,BZP,診療科(内科系,外科系,精神科・心療内科系,その他)を抽出し,患者単位のデータベースを作成した(2002年7月から2003年6月).その結果,BZPを処方された患者は5,959名(17%)であったが,投薬期間が4カ月以上の群(長期処方群4,470名)と3カ月以内の群(短期処方群1489名)の臨床学的特徴を比較したところ,長期処方群では短期処方群に比べて男性が多く,年齢が高く,また診療科では内科系とその他の科で長期処方が多い傾向にあった(いずれもp<0.05).BZP系薬物は長期連用で健康障害を与えることが知られており,その処方につき大学病院での教育プログラムが重要である.
著者
郷久 鉞二
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.197-202, 1998-03-01
被引用文献数
2

過去20年間に心身症外来で扱った更年期障害患者402例について分析した。(1)更年期障害患者の58%に、性欲の減退がみられた。(2)セックスレス夫婦は, 50代の更年期障害患者で25%, 60代で80%であった。(3)にもかかわらず, 性障害患者の27%が50歳以上で占められていた。(4)更年期障害患者の65%がホルモン補充療法を受けており, 受けた群の方が受けなかった群より予後が良く(p<0.01), (5)特に心身症型では受けた方が予後が良かった(p<0.01)(6)身体症状としては性器の症状が最も多く, 心因として, 孤独, 生きがい, 家族関係と密接な関連があるものが多かった。以上から, 更年期女性にとって, 性役割が非常に重要であることがわかった。
著者
浅賀 ふさ
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
精神身体医学 (ISSN:05593182)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.301-306, 1964-10-01

The paper is an introduction of medical social work; a brief presentatin of social and emotional factors which affect health and disease and the effect of medical treatment and recovery, and what role social worker may take within a medical setting in order to fill in the gap of patient's needs.It is developed along the following line : 1) Function of social work. 2) Illness as a phase of social maladjustment and what it means to the patients.3) Environmental factors contributing to the illness.4) Contents of comprehensive medical care analysed and their allied social welfare facilities which must be collaborated. 5) Progress in medical science with necessary division of labor and the need of integration; what they mean for the patients. 6) Psychosocial problems of the patients analysed. 7) The role and function of medical social worker within the team of clinical medicine.