著者
金光 永煥 中里 秀則 星合 隆成 浦野 義頼
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.15, pp.7-12, 2008-04-16

分散環境でタスクを効率よく実行する場合,タスクの実行時間と通信遅延を考慮して実行粒度を調整することが重要である.これまで我々は,タスク実行粒度調整のためにDAGの最大経路長の増加を抑え,かつ通信遅延を抑えるために各マシンでの実行サイズに下限値を設ける,という特徴を持つ「タスクマージ」を提案した.ところがタスクマージでは各タスクの通信と実行の同期がとられ,応答時間の短縮にはつながりにくいという問題がある.そこで,実行と通信の同期を行わずにタスク同士をまとめる「タスククラスタリング」によって,応答時間を短縮することを検討した.本稿では,このような粒度調整を目的としたタスククラスタリングを行う最に必要となる基準を考察した.
著者
中脇 望 舟阪 淳一 石田 賢治 天野 橘太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.560, pp.13-18, 2003-01-09

近年のインターネット上で提供されるコンテンツの多様化に伴い,コンテンツが大容量化する傾向にある.利用者がこのようなコンテンツをより早く取得できるようにすることは重要な課題である.この要求を満たすために,1つのファイルを複数のブロックに分割し複数のサーバから並列にダウンロードする方式が提案されている.しかし,既存の方式は(1)コンテンツを要求する際あらかじめ分割数を決定しておく必要がある,(2)クライアントから各サーバへの利用可能帯域について考慮していない,という問題点がある.そこで本稿では,各サーバに対するスループットを観測することにより,リクエストするブロックのサイズを動的に変更する方式を提案した.提案方式ではファイル分割数も動的に決定される.インターネットを用いて評価した結果,提案方式の方が従来方式よりファイル取得時間を短縮化できることが分かった.
著者
白 晶 松下 正彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.578, pp.333-338, 2007-03-01

現在、P2Pネットワークにおけるファイル交換は、サイズの大きいファイルの送受信が中心になってきている。各ピアは相手にファイルを転送する速度を制限するので、単一のピア間のファイル転送は遅いという現状がある。また、従来のピア間でファイルを転送する方法は、一対一の関係で行っているので、転送速度が遅いという欠点もある。本論文では、これらの問題を解決するため、協力ピアの利用手法を提案している。具体的には、P2Pネットワーク上で、ダウンロードしたいファイルのサイズと転送平均速度に基づき、ファイルを分割する。そして、協力ピアを決めて、各協力ピアにダウンロードしたいファイルの一部分を転送してもらうことにする。本稿では、転送系の構成法を示し、シミュレーションによって、高速化が達成できることを示す。
著者
舟阪 淳一 二矢川 敏夫 石田 賢治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.36, pp.19-24, 2009-05-14
被引用文献数
1

ファイルを部分に分解し、複数のサーバから同時に別々の部分を取得することによって高速化を図る並列ダウンロードが提案され、効率的な実行について研究が重ねられてきている。従来のTCPを用いる方法には、データリンクで損失の多発するネットワークにおいては性能が低下するという問題があった。これを解決するために我々はTCPの替わりにSCTPを用い、特にマルチストリーム機能の適用に注目した並列ダウンロード方式を提案してきた。本稿ではSCTPマルチストリームを用いて並列ダウンロードを実現する方法を検討し、用いるサーバを1台のみに簡単化して(分割ダウンロードとして)シミュレーション実験により評価する。ここではネットワーク環境のパラメータである遅延、パケットロス率を変更し、方式のパラメータである同時リクエスト数、分割数、ストリーム数をさまざまにとり、シミュレーション実験を行った。その結果、SCTPマルチストリームが分割ダウンロードのロス耐性を向上させる効果をもつことが明らかとなった。
著者
馬場 達也 藤本 浩 角 将高 稲田 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.193, pp.15-21, 2005-07-14

現在、ワームやスパイウェアなどのマルウェアの感染による被害が大きな問題となっている。そこで、PCを企業ネットワークに接続する際に、そのPCがマルウェアに感染していないことをチェックする検疫技術が必要とされている。しかし、クライアントOSとしてWindowsを対象とした技術は存在するが、Mac OSやLinuxなどの非Windows OSが混在した環境への対応は十分であるとはいえない。本稿では、Windows以外のOSが混在した環境でも適切な検疫を行う方式について検討した結果を報告する。
著者
岡田 和則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.177, pp.13-18, 2003-07-03
被引用文献数
3

大規模な地震等の災害時には、安否確認等で通信需要は急増する。これに対し、重要通信を必要とする機関に対し、特定の端末は、優先して接続する災害時優先電話サービスが提供されている。しかし、近年、急速に一般に普及した携帯電話は、有限な周波数資源を用いるため、絹綾が起こり易いと考えられる。一方、通信時間は短くなるが、通信時間を規制することで、多くの通信を実現することを目的にした通信時間規制制御が提案されている。そこで、本報告では、携帯電話の無線区間に注目し、重要通信端末を、通信時間制御を受け入れられない特別なクラスA端末と受け入れ可能なクラスB端末に分け、クラスB端末に通信時間規制を行なうクラス分け通信時間規制を提案する。シミュレーションによる基本特性評価を行い、通信時間が規制される端末が生じるが、呼横車やハンドオーバー時の強制切断率を大きく低減でき、呼横率については、クラス間にほとんど差がない状態になることを示す。
著者
長手 厚史 星野 兼次 藤井 輝也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.439, pp.19-26, 2008-01-18

次世代移動通信では、ユビキタスなワイヤレスブロードバンド環境の実現へ向けて、セル端スループットの向上が重要な課題として掲げられている。この実現に向けては、3セル繰り返しやFFR (Fractional Frequency Reuse)等の周波数繰り返しが有効な手法として考えられている。周波数繰り返しの特性を考慮すると、複数基地局からの信号を周波数軸上で直交多重して受信するマルチリンク伝送は、セル端スループット向上に効果的である。しかしながら、基地局毎の周波数オフセットの違いを考慮すると、直交性の崩れにより周波数間干渉が発生し、通信品質を劣化させる。本稿では、周波数間干渉のキャンセル法を提案し、その改善特性を理論解析、計算機シミュレーションにより明らかにする。
著者
小熊 博 山形 文啓 福田 啓一 浅野 安良 山崎 吉晴 亀田 卓 中瀬 博之 高木 直 坪内 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.415, pp.41-46, 2006-12-07
被引用文献数
6

我々は、広域モバイルブロードバンド無線通信システムの一つであるFLASH-OFDM(Fast Low-latency Access with Seamless Hand-off)方式を活用し、宮城県仙台市中心街をフィールドとした実証実験を展開している。単セクタ内で静止状態及び自動車による移動状態における受信電力、SNR及びスループットに関して評価し、自動車による移動状態においても、Down-Linkにおいて、最大2.6Mbpsのスループットが得られた。さらに、基地局から約1kmの範囲で1Mbpsのスループットが得られることがわかった。
著者
秋永 利明 高階 知巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.97, no.499, pp.25-32, 1998-01-23
被引用文献数
2

人工株式市場は、計算機内に作られた、自律的なエージェントからなる仮想株式取引所である。そこでは、パラメータの設定次第で盛んに株式の交換がなされ、暴騰暴落がしばしば起こる。この二つは現実の株式市場の大きな特徴である。しかし、標準的理論経済モデルではこの特徴が上手く説明できない。ここでいう標準モデルとは、合理的期待に基づく均質な個人を前提とした効率市場モデルを指す。この論文では、シミュレーションという経済学においては新奇な手法が、理論経済学のなかでどのような意義を持ち、今の時点でいかなる貢献をしているのかを解説する。また、Santa Fe研究所の実験に対する追試として行った、我々のシミュレーション結果をあわせて報告する。
著者
津野 昭彦 間瀬 憲一 柄沢 直之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.629, pp.31-37, 2001-02-15

複数のミラーサーバに対し2つの測定ツールtimeit、wgetを使用してそれぞれ数週間QoSデータの測定を行った。その測定結果をQoS統計として用い、いくつかのサーバ選択アルゴリズムを実ネットワーク上で比較した。QoS統計により少数のサーバをあらかじめ選択し、その中からechopingによるリアルタイムのQoS測定に基づいた最適サーバを選択する方法は、より高い実スループットのサーバを選択する可能性が高いことが分かった。更に、QoS統計の種類による選択アルゴリズムの性能を検討する。
著者
藤本 康平 阿多 信吾 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.208, pp.41-48, 2000-07-17
被引用文献数
15

インターネットアプリケーションにおける重要な通信品質特性としてパケット転送遅延が挙げられる。特に、TCPやストリーミングアプリケーションにおいて通信品質を考慮した転送を行なうには、パケット転送遅延時間の予測が必要であり、特に遅延分布のすその部分の特性を明らかにすることが重要となる。本稿では、まず測定ツールを用いてパケット転送遅延を計測し確率分布関数による分布のモデル化を行う。分析では、特に分布のすその部分に着目し、時間帯や計測期間による遅延特性の変化も明らかにする。その結果、ネットワークが混雑している時にはパレート分布、ネットワークが空いている時には対数正規分布が最適なモデルであることを示す。さらに、長時間の計測において発生しうる経路変更による遅延特性への影響について明らかにする。
著者
岩下 志乃 鬼沢 武久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.8, pp.891-900, 2000-08-25
被引用文献数
10

従来の似顔絵描写に関する研究では, 顔画像の処理を行い, 特徴点を抽出し似顔絵を描写するものが多かった.しかし, 顔から受ける個人的なイメージをもとにして似顔絵を描写するという観点から研究は少ない.そこで本論文では, 顔の印象や特徴を言葉で表現し, その言語表現をもとに似顔絵を描写するプロセスについて検討する.入力される印象として, 快活度, 優しさなど五つのグループに関して言葉を入力する.描かれた似顔絵は言葉を用いて修正することができる.また, 似顔絵を描く上で重要とされる誇張の概念を, パラメータ値と線種の修正という2種類の誇張法を用いて実現する.最後に, 何人かの被験者に似顔絵を作成してもらい, 本手法の評価を行う.
著者
八嶋 昇 興野 登 石田 雅之 石田 禎宣 西野 功 竹内 伸次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.94, no.464, pp.15-20, 1995-01-27

音導型スピーカに対し、ディジタル信号処理を適用し、スピーカユニット前面に配正された音響管で生じる音響共振の影響を取り除く再生方式について検討を行った。ディジタル信号処理では、音導型スピーカの音圧周波数特性と位相周波数特性の逆特性を実現するFIR型ディジタルフィルタを構成し、入力信号の補正を行う。その結果、ディジタルフィルタを含む総合再生特性は音圧周波数特性がほほ平坦で、位相周波数特性が補正前と比較し大幅に改善された。さらに不要な残事成分の再生も抑制することができた。
著者
川瀬 成一郎 澤田 史武
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1000-1009, 2001-06-01
被引用文献数
15

静止衛星の電波を受けて衛星の軌道経度を直接的に計測する技術を開発した.口径1.8mのアンテナ2基による長さ13mの基線をもつ干渉計が, Ku帯衛星電波を受ける.その際, 基線を特定の方位に向けると, 干渉計の位相は直ちに衛星経度を表す.衛星ごとに定まる特定の方位に基線を向けられるように, 衛星電波は可動反射板を介してアンテナに導くようにした.このような干渉計の構成により, 大口径アンテナに頼らずに諸衛星の軌道位置とその動きを千分の数度の精度で即時計測できるようになった.開発した技術は, 従来的に憂慮される静止衛星の混雑化に対処するための監視活動に役立てられる.
著者
宮田 翔吾 勝間田 和輝 春日 貴志 萓野 良樹 井上 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.323, pp.7-12, 2006-10-19

電子機器からの電磁放射・干渉問題の対策として,筐体で電磁放射を覆う方法がよくとられる.筐体には放熱用やケーブルを通すための開口部が存在するため,そこから不要電磁波が放射し,目的とするシールド効果(減衰効果)が低下する.本研究ではまど(開口部)のある筐体からの放射特性を明らかにすることを目指し,プリント回路基板(PCB)を電磁波放射(ノイズ)源として,PCBを筐体で覆った場合の近傍磁界と遠方電界の周波数特性,減衰効果,そして遠方電界の指向性特性を測定した.実験結果から,筐体の空洞共振によって,減衰効果が著しく劣化していることが確認できた.指向性特性から,PCBを筐体で覆った場合に筐体まどの反対側にも放射されており,近傍磁界と遠方電界の関連性を明らかにするためには近傍磁界を複数の箇所で測定する必要があることがわかった.
著者
時永 祥三 富永 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.724, pp.67-72, 2003-03-10

本報告では,ネットワーク上を伝搬するリスクの拡散モデル分析およびその制御方法を議論し,特にCNN (Cellular Neural Network)を用いる方法を提案する。この場合,遺伝的ブログラミング(GP:Genetic Programming)の手法を用いて,観測されたデータからシステムのダイナミックスを推定し、この推定式を用いて拡散の条件などを予測する。CNNにおけるシステム方程式をGPにより近似するために,初等演算のほかに区分線形などの関数を準備し,これらと変数を含む木構造によりにGPにおける個体を定義する。GP手法により拡散のモテルが微分力程式の形で記述できるので,これを線形近似した連立1階微分方程式から進行波の拡散(停止)条件を導出する手順が応用できる。更に,適切な微小制御人力を推定し加える方法により,短い時間で均衡レベルに拡散を制御することができる。応用例として,実際のリスク拡散データ近似とその制御への応用事例を示す。