著者
内藤 貴志 塚田 敏彦 山田 啓一 山本 新
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.2019-2026, 1998-09-25
被引用文献数
16

車両を対象とした認識には, 車両の検出と車種の認識および車両の同定がある.車両の同定は車両そのものを特定することで, その代表的なものは車両のナンバープレート認識である.ナンバープレート認識は, これまでの交通流計測から, これからは有料道路における課金のための車両同定, 駐車場における契約車両の判定, 更に特定車両の到着監視などへの応用展開が期待されている.筆者らは, これらへの適用を考え, 直射光のあたる昼間から低照度の夜間まで環境の明るさが広く変化する条件下で, 走行中の車両に対してもぶれが少なく, かつハレーション部のない画像を得るための撮影方式を開発した.本方式は, 入射光をビームスプリッタにより光強度が異なるように透過光と反射光の2方向に分光し, それをそれぞれのCCD素子で撮影した2枚の画像を合成して, 移動物体でも画像のぶれなく, かつ広いダイナミックレンジの画像を得るものである.試作した撮像装置では, 1.5×10^4のダイナミックレンジをもつシーンをシヤッタースピード1/1000秒で高速に撮像することができる.併せてナンバープレート認識手法を開発し, 試作した撮像装置を用いたナンバープレート認識のプロトシステムも開発した.このシステムは466枚の走行車両画像に対して98.7%の認識率を達成し, ナンバープレート認識システムとしても有効であることが示された.
著者
柳 済群 西村 敏博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.506, pp.65-68, 2007-01-19

知能型サービスロボットの自動走行の核心はロボット周りの環境には手を加えず,走行と同時に位置を推定しマップを作成(SLAM)することである.本論文では単眼カメラを使用して,SLAMを実現する情報処理の手法を述べる.また,リアルタイムSLAMのためのシステムのアーキテクチャーを述べる.マップの作成と自己位置の推定は単眼カメラで得られた画像の特徴点を利用する.ロボットは室内で移動しながら一定の間隔で二つの画像を取得する.画像から抽出された特徴点はスケール不変特徴変換(SIFT)と相対位置推定アルゴリズムを利用して3次元座標に再構成される.そして,SLAMをリアルタイムで実行するために,V-SLAM (Vision based SLAM)サーバーを用いる.システムはXscale-CPUを内蔵したロボットと,画像から特徴点を抽出し,マップの作成とロボットの位置を計算するV-SLAMサーバーで構成される.実験結果は±6.2cmの最大の位置誤差の誤差と±5°の最大の方位の誤差を見せた.
著者
小川 健司 稲葉 宏幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.460, pp.209-212, 2009-02-26

近年,パソコンや携帯電話が普及する中,通信手段として電子メールが多く利用されている.その中で,ユーザの意思に関わらず,有害かつ悪質なメールを受信することが多くある.なかには出会い系サイトへの勧誘等の犯罪性が高いメール等もあり,無視できなくなってきた.この対策手段の1つとして,フィルタリングがある.特に,ベイジアンスパムフィルタは統計的手法によりメールのスパム確率,つまり迷惑メールである確率を求め,継続的な学習によりフィルタの性能を向上させることができるため幅広く用いられている.しかし,ベイジアンスパムフィルタでも検知が難しいメールが存在する.このようなメールはメール本文中に含まれる単語の間に☆や★などの記号を挟んだり,記号を羅列している傾向がある.本報告では,まず最初に最近の迷惑メールと正規メール各1000通ずつについてメール本文中の記号と未知語の分布を調査した結果を示す.その結果,両者の間には明確な分布の違いがあることが明らかになった.そこでその違いをベイジアンスパムフィルタにおけるスパム確率の算出の際に利用する新たなフィルタを提案し,その性能を評価する.
著者
村本 健一郎 松浦 弘毅 椎名 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.2353-2360, 1994-12-25
被引用文献数
13

落下中の降雪粒子の雪質を測定することは,降雪時における電波減衰を解析するために重要である.雪質は降雪粒子の密度(含水量)に大きく依存しているので,雪質は密度により表すことができる.本研究では,落下中の粒子の密度を長時間にわたって自動的に測定することを目的として,まず,画像処理による降雪観測法を用いて,落下中の個々の降雪粒子の粒径と落下速度を測定した.このとき同時に地上に落下したすべての粒子の重量を電子天びんを用いて測定した.粒子の粒径と落下速度のデータより得られる単位空間を通過するすべての粒子の体積の値とそれらの粒子の重量のデータより,落下中の粒子の密度の計算をした.更に,粒子の密度に影響を与える因子について考察することにより,画像処理データだけを使って,降雪強度を推定する手法を提案し,実際に適用した結果,実測値との良い相関が得られた.
著者
田村 慶信 山田 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.161, pp.23-28, 2009-07-24

現在,OSS(オープンソースソフトウェア)は,数多くの企業,自治体,教育機関,政府関係機関などにおいて,様々な分野で使用されている.また最近では,組込み機器に対してもBusyBoxやAndroidに代表される組込みOSSが積極的に採用されつつある.一方で,利用者側や開発者側にとって,サポートや品質上の問題といった多くの不安が残されている.特に,組込み製品に対して組込みOSSを導入する際には,移植可能性の評価,移植作業期間における進捗管理,および最適リリース時刻の決定が重要となる.本論文では,こうしたOSSの信頼性を評価するためにハザードレートモデルを適用するとともに,その最適リリース問題について議論する.さらに,実際のバグトラッキングシステム上から採取されたフォールトデータに基づく信頼性評価例を示すとともに,その適用可能性について考察する.
著者
田村 慶信 竹原 英秀 山田 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.67, pp.13-17, 2009-05-22

オープンソースソフトウェア(open source software,以下OSSと略す)の普及の動きが活発である.特に,組込み機器に対してはBusyBoxやAndroidに代表される組込みOSSが積極的に採用されつつある.しかしながら,そのサポート体制および品質上の問題や,移植可能性の問題から,その導入へ踏み切れない企業が多く存在している.本論文では,オープンソースプロジェクトの下で開発されている組込みOSSの信頼性を評価するために,ベイジアンネットワークおよびソフトウェア信頼度成長モデルに基づく信頼性評価法を提案する.本手法では,OSSを構成するコンポーネント間の因果関係を条件付確率で表現する.これにより,主要コンポーネントと,それに影響を及ぼすコンポーネントとの相互作用を包括することが可能となることから,組込み製品に対するポーティングを利用した開発の際に役立つものと考える.さらに,実際の組込みOSSのフォールト発見数データに対する数値例を示す.
著者
齋藤 謙太 牧田 裕喜 佐々木 整
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.52, pp.31-36, 2009-05-16

e-Learningやモバイルラーニングの普及により,学習者の学習機会が増えている.そのような機会があるにもかかわらず,実際には積極的に学習を行わない学生も多く,何らかの工夫が必要である.そこで本研究では,多くの学生が所持している携帯機器に着目し,それで動作する電子単語帳を開発を行っている.本電子単語帳は画像や音声,3Dオブジェクトなどを利用したカードを使うことができる.現在はこの電子単語帳に対してカード表面の操作に対応させ,裏面を変えることができるよう改良を行っている.本発表では,これまでに開発した電子単語帳を紹介するとともに,カード上でのアプリケーションの実行について報告する.
著者
東野 哲 井野 浩幸 新福 吉秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録
巻号頁・発行日
vol.97, no.432, pp.9-15, 1997-12-12
被引用文献数
3

最近、パーシャルレスポンス最尤復号の検出トレリスを時間制御して符号間距離を増大する時変MTR符号が提案されている。この符号はE2PR4に対して8/9以上の符号化率でつくることができる。この方法は周波数的な制約を作るMSN(Matched Spectral Null)符号とは異なり、符号に状態を作らないので非符号化ビタビ検出と同等の状態数でハードウェアを実現できる。E2PR4に対しては2時刻に1度の処理にして14状態で構成できている。本稿ではこの基本性能をシミュレーションにより確認して、ビットエラーレート10^<-5>の性能を得るには5〜6ビットの量子化入力波形でよいこともわかった。また、磁気ディスク実験装置を用いてこの性能確認も行った。
著者
西岡 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.97, no.345, 1997-10-28

今日、半導体市場の需要の70%を占めると言われるパーソナル・コンピュータはインターネットの急速な普及もあって従来のStand alone PCからNetworked Systemになり社会の隅々にまで浸透し、会社や家庭などで誰もが使う情報端末となってきているが、一方では初心者には難解な道具として敬遠されることも事実である。そこで、万人にとって使いやすい物になるためパソコンがどのように変身していかなければならないのか、益々多機能/高機能化するマルチメディア処理によりパソコンが今後どのような方向に向かうのかを論じ、21世紀に向けてのVLSI開発研究への参考に供したい
著者
野口 啓介 水澪 不雄 山口 尚 奥村 善久 別段 信一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.402-409, 1999-03-25
被引用文献数
7

小形アンテナの一つとして2線式メアンダラインアンテナ(2線式MLA)を取り上げ, その広帯域化について検討を行っている.素子を2線式にすることによりバランスモードとアンバランスモードの二つのモードの電流を流すことができ, 放射抵抗のステップアップとバランスモードのインピーダンスの反共振特性を利用することによってアンテナ自身で広帯域化が可能となる. 入カインピーダンスを放射抵抗, Q, 共振周波数を使って表し, その式において周波数の変化率を表すパラメータuを導入することにより広帯域化について考察している. 広帯域化に必要なバランスモードとしての平行2線の特性インピーダンスを20Ω程度まで小さくする必要があり, そのためにはストリップ導体を用いたメアンダラインの構造が有利であることを示している. 更に試作, 実験を行い, 高さ0.11波長の2線式MLAで, VSWRが1.5以下の場合において比帯域幅7.2%が得られている.
著者
星 仰 山田 貴浩 藤田 正晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.283-291, 1999-02-25
被引用文献数
1

近年, 合成開口レーダ(SAR)の画像データ解析において, 偏波特性を用いたボラリメトリーの技術が注目されてきている. 従来, ボラリメトリックSARは航空機搭載型のものがほとんどであったが, 1994年にスペースシャトル"エンデバ"に搭載されたシャトル搭載型映像レーダC(SIR-C)によって帰還衛星としては初めてL, Cバンドによる多偏波・多バンドの観測が実施されている. 本研究の目的は, テクスチャ特徴量の偏波特性から地表パターンの分類がどの程度可能であるかを究明することである. このために, SIR-CのLバンドとCバンドのデータを用いて, 偏波合成により作成される画像についてGLCM法によりテクスチャ特徴量を算出し偏波依存性を求め, また, テクスチャ特徴量の値と領域の平均ミューラ行列から算出される偏波シグネチャの値との対応をとる. このことから, 後方散乱係数のみでは分類が困難と思われる領域について, テクスチャ特徴量との2次元分布に拡張することによりカテゴリーの分布の分離状況を図示する.
著者
石桁 正士 明賀 保仁 赤松 辰彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.105, pp.37-44, 1993-06-19

我々は、コミュニケーション支援システム「おはようMACさよならMAC」研究室版を開発した。これは、毎日の研究に対しての卒研生の自己管理を支援するものであり、毎日、研究室に来たときと研究室から帰るときに、自己の気分、やる気、体調、の3項目に加えて、来たときに研究目標、帰るときに研究の達成度を入力させ、卒研生に各々の研究意識の確認を、またこれまでの入力データの推移を自分で分析することによって自分の状態の変化の把握を行なわせるものである。これを用いて卒研生の自己管理意識を高めたいと考えている。我々の研究室の新卒研生を対象として、2月中旬から卒研生の研究が本格的に始まる4月上旬まで試用し、データを得た。その試用結果について報告する。
著者
麻生 武彦 江尻 全機 宮岡 宏 小野 高幸 薮 哲郎 六車 和彦 橋本 岳 安陪 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.69-78, 1994-01-25
被引用文献数
4

我々は,これまで過去2度にわたり行われた南極昭和基地におけるオーロラの単色光両眼ステレオ観測データをもとに,オーロラ発光の3次元構造を推定するオーロラトモグラフィの研究を行ってきた.基本的な手法は代数的方法の範ちゅうに属し,オーロラの特性を考慮した発光モデル関数のパラメータを,非線形最小2乗法により推定するものである.従来,データ解析ならびに再構成の信頼性,望ましい観測点配置等についての数値シミュレーションにより検討を行ってきた.これらの知見をもとに,地球磁気子午面に沿った比較的長い基線長でのオーロラ観測が1991年11月から12月にかけて,アイスランドにおいて行われた.ここでは,観測の概要,オーロラトモグラフィ解析のアルゴリズム,ならびに得られた解析結果について述べる.
著者
上村 純平 若宮 直紀 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.691, pp.31-36, 2004-02-26
被引用文献数
1

センサネットワークにより長期間の観測を行うためには,電力効率のよい情報収集機構が必要不可欠である.センサ端末は主として情報の検出,送信,受信で電力を消費する.特に情報送信の消費電力は通信距離の2乗に比例するため,近接するセンサ端末でクラスタを構成し,クラスタヘッドと呼ばれる代表がクラスタに属するセンサの情報を集約して基地局に情報を送信する,クラスタベースの情報収集機構が有効である.LEACHでは,クラスタメンバからの情報受信および基地局への情報送信による電力消費の大きさを考慮して,クラスタヘッドを交代制にすることにより,センサネットワークの長寿命化を図っている.しかしながら,センサ端末間の残余電力の差異を考慮していない,クラスタ形成に際して領域全体へのブロードキャストが必要であるなど,端末種別や導入時期によって残余電力の異なる多数のセンサ端末からなるセンサネットワークでは効率的な情報収集が行えない.そこで,本稿では,局所的な情報交換にもとづいてセンサ端末が自律分散的に適切なクラスタを構成するクラスタリング手法を提案する.シミュレーションによる評価を通して,クラスタベースの情報収集機構のひとつであるLEACHと比較して,残余電力が均一な場合とばらつきがある場合の両方において,提案手法がより長期間に渡り,多数のセンサから情報収集を行えることを示している.
著者
草間 裕介 橋本 修 牧田 実
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.190, pp.67-74, 1999-07-16
被引用文献数
1

本研究では, 現状の溝寸法に対して深さが約半分のチョーク溝について, FD-TD法を用いて検討した. 検討においては, まずTEMモードに対して, 損失材をチョーク溝と併用した場合も含めて, その配置位置や材質に対する検討を行った. そしてこの最適構造をもとに周期構造を設けた3次元モデルを作成し, 実際の漏洩電波により近い高次モードを含んだ漏洩波に対するシールド効果の計算を行った. この結果, 溝の深さを従来の半分にした構造においても, 30dB以上のシールド効果が得られることや, 損失材を併用して周期配置した場合では, さらに良好なシールド効果が得られることを確認した. また, 一例として試作したチョークのシールド効果は約31dBであり, 解析結果の妥当性も実験的に確認できた.
著者
田中 海一 幾野 敬太 葛西 洋平 福永 和哉 欅田 英之 江馬 一弘 菊池 昭彦 岸野 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.125, pp.29-33, 2007-06-22

通信波長帯でのサブバンド間遷移(Intersubband transition:ISBT)は、LOフォノン放出により超高速で緩和するため、光スイッチング素子としての応用が;期待できる。GaN系ISBTは他のISBT試料と比べて特に高速で緩和することができるが、問題点として、サファイア基板との格子不整合によつて生じた貫通転位によるスイッチング効率の低下があげられる。高密度柱状結晶のGaNナノコラムでは、貫通転位を含まない優れた結晶性を有するため、試料の高品質化が望める。そこで我々はGaNナノコラムに多重量子ディスク(MQD)を挿入した試料において、通信波長帯でのISBTによる吸収を確認した。さらに、ポンプ・プローブ法を用いて、ISBT吸収飽和信号の超高速な緩和過程を観測し、性能指数を見積もった。
著者
林坂 弘一郎 三道 弘明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.454, pp.125-128, 2002-11-08

現在の我が国では,特に家電製品のような製品は,標準で1年間の保証を伴うことが多い.保証を伴う製品の製造業者は,故障によって将来必要となる保証費用のために売上の一部を保証準備金として確保しておかなければならない.適切な保証準備金を設定するためには,必要となる保証費用を正確に見積もることが重要である.一方,通常の保証においては,保証期間中の故障に対して修理を行うが,保証期間中に何度も故障を繰り返す場合には,顧客からの信用を失わないために,サービスとして修理ではなく製品そのものを取替える製造業者が少なくない.しかしながら,このようなサービスを行うことによって,当初見積もっていた保証費用を大幅に超過してしまう恐れがある.したがって,取替えを行うことによって増加する費用を正確に見積もることが必要である.本研究では保証期間中の最初の故障に対しては小修理を行うが,以降の故障に対してはすべて新品に取替えるという保証を取り扱う.このような保証に対して,製造業者に必要となる期待費用を定式化する.更に,(a)最初の故障にのみ小修理を行うが以降は対応しない,(b)すべての故障に対して小修理を行う,という保証政策と期待費用の比較,分析を行う.
著者
近藤 俊一郎 海老沼 拓史 久保 信明 安田 明生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.169, pp.25-30, 2007-07-20

電離層シンチレーションは電離層のF層(≧地上高150km)の局地的な電子密度の不規則性によって起こるとされている.この不規則な領域と送信機および受信機の相対的な運動により,GPS信号の信号強度と位相が急激に変化し,受信機のロックはずれやサイクルスリップを起こすことが知られている.本研究では,既存の研究で提案されているモデルを基にシンチレーションサンプルの生成ソフトウェアを製作し,日本で観測される標準的な強度のシンチレーションに対する位相ロックループ(PLL)の性能をシミュレーションで評価した.シミュレーションの結果,帯域可変型Fast Adaptive Bandwidth (FAB) PLLはシンチレーションの影響下にいても位相誤差を見積もって帯域幅を制御できることが確認できたが,信号強度の低い信号では利用は困難であることも明らかになった.
著者
田中 正和 福井 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.96, no.558, pp.31-38, 1997-03-07

レイアウト合成時のトランジスタの拡散領域の容量を精度良く評価して、トランジスタのゲート幅の最適化を行う手法について報告する。従来手法では、拡散の共有化やトランジスタの折り返しといったレイアウト合成時に変化する容量や面積を正確に見積もっていなかった。本手法では、回路性能に大きな影響を与えるトランジスタの拡散領域の共有化の行なわれる箇所をトランジスタの接続関係やゲート幅から推定し、その推定に基づいてレイアウト合成時の拡散領域の容量をより正確に見積り、定式化し、最適なトランジスタサイズの決定に用いるものである。本手法によるクリティカルパス遅延の最適化では、最大10%の改善効果が得られた。
著者
中島 祐介 池田 誠 浅田 邦博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.295, pp.17-22, 2000-09-14

近年の集積システムのサイズの増大化や、動作周波数の上昇に伴いこれまでのRC回路シミュレーションにおける誤差の増大が懸念されている。これに伴って、近年誘導性の要素であるシンダクタンスを考慮するという研究が行なわれてきているが、インダクタンスは既に確立した計算手法が提案されている抵抗やキャパシタンスと異なり、抽出のための計算コストが膨大となる。本稿では、このインダクタンスの抽出に関して、効率的に計算する方法を提案し、それを用いて簡単な回路シミュレーションを行い、インダクタンスの影響を見積もっている。