著者
菊池 秀法
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.205, pp.103-106, 2009-09-17

NTTドコモが提供するFOMAなどの3Gモバイル回線はサービスエリアが拡大し、全国的に高速データ通信が利用できる環境になってきた。この高速データ通信環境が整備されたことにより、動画などの大容量データの送受信が可能となり、マルチメディア通信サービスの種類も増加の一途を辿っている。ソニーはこの3Gモバイル回線を利用したリアルタイム映像伝送システム"ロケーションポーター"を開発。この"ロケーションポーター"は、ソニー独自の映像・音声圧縮技術を結集した、高画質・高品質なリアルタイム映像伝送システムである。移動体通信による映像伝送となるため、通信環境の変化に応じて安定した映像伝送を実現する必要があるが、ソニーは独自のQoS機能を実装することにより、高画質かつ安定性の高い映像伝送を実現した。今回はこのソニー独自のQos機能についての解説を行う。
著者
高 正博 鯵岡 洋雅 加賀 規夫 杉山 修也 安達 悟 高木 広文 松葉 裕司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.166, pp.1-6, 2001-06-28

2001年5月からNTTドコモがIMT-2000と呼ばれる次世代携帯電話の試験サービスを開始した。この次世代サービスの情報伝達レートは最大384kb/sであり、従来の音声やデータに加え動画像通信が可能である。このようなモバイル・マルチメディア通信端末ではディスプレイのサイズが制限されることから、表示画面の最小サイズの検討が必要である。本文では、動画像およびこれに文字が同時に表示される場合について、主観評価実験によりさまざまな画像を楽しむのに妨げとならない表示画面の最小サイズおよび文字サイズを明らかにし、動画像+文字画面の設計指針を述べる。
著者
松本 祐教
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.425, pp.155-160, 2006-12-07

携帯電話網へのアクセスに加えホットスポット等の無線LANによるIP電話機能を備えた携帯電話を実現するには、3,000MIPS以上の演算処理能力を必要とするWi-Fi機能を100mW以下の消費電力のSoCで実現する必要がある。TOPSTREAM^<TM> WLANはスケーラブルなマルチコア・プラットフォームを用いて携帯電話向けの無線LAN用のIEEE802.11 MAC及びIEEE 802.11bベースバンド処理用に設計したマルチコアSoCであり、内部バス上のデータ転送や信号処理演算による消費電力を低減するためにマッチドフィルタや128-bitSMIDプロセッサによるI/Q信号処理に符号絶対値表現を用いた。4つの異なる種類のプロセッサを組合せ、802.11bによる無線LAN機能を動作周波数50MHz、消費電力100mWで実現する。
著者
雨宮 好文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.18, pp.1-6, 1999-04-22
被引用文献数
3

「送電線とがん」の問題は多くの人の関心を集めている. 1998年6月に米・国立環境衛生科学研究所 (NIEHS) の諮問委員会はEMF RAPIDプログラムの支援を得て組織したWGのレポートのドラフトを公表し, 「電力線磁界が発がんの原因になりうる」との見解を示した. 同委員会は動物実験や細胞の実験の発がん性を確認できず, 疫学研究の結果に対して委員の意見が分れ, 結局19対9という投票で発がんの原因になりうるとしたとのことであるが, この疫学論文の評価は, なにを目安にして行われたかドラフトでは明らかでない. 例えば, 原著者さえ「公衆衛生問題とはならない」と述べでいる論文までも, 同ドラフトはボジティブであるとしている. 本報告においては, 小児白血病にかんする疫学論文について, 同ドラフトが行った評価について再検討する.
著者
浅井 孝浩 吉野 仁 松本 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.98, no.159, pp.47-54, 1998-06-29
被引用文献数
5

高速デジタル移動通信では、(i)マルチパス伝搬による符号間干渉(ISI)、(ii)伝送路の高速な時間変動が問題となる。本報告では、ISIの影響を軽減するため信号系列推定に逐次系列推定(SSE)を使用し、伝送路の時間変動に追従させるため適応アルゴリズムを用いたジョイント信号処理を提案する。SSEは、ビタビアルゴリズムによるMLSEと異なり長さの異なるパスメトリックの比較が可能で、広帯域移動通信で問題となる最大等化遅延シンボル数の増加に伴う信号処理量増加を抑制できる可能性がある。計算機シミュレーションにより、周波数選択性フェージング条件で従来のRLS-MLSEと比較し、有効性を確認した。
著者
天野 英晴 長谷川 揚平 中村 拓郎 西村 隆 TANBUNHENG Vasutan
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.247, pp.19-24, 2006-09-08
被引用文献数
7

動的リコンフィギャラブルプロセッサ用の簡単かつ効率の良いコンテキスト制御機構およびコンフィギュレーション手法を提案し、プロトタイプチップMuCCRA(Multi-Core Configurable Reconfigurable Array)-1への実装と評価について示す。まず、コンテキストカウンタをベースとしたコンテキスト間接分岐方式を用いたコンテキスト制御を提案する。この方法は、コンテキストの飛び先をPEアレイ上のデータが指定する方法で、状態遷移表が必要がなく、高速かつコストが小さい。また、I/O操作とコンフィギュレーションデータ操作をほぼ同様のダブルバッファを用いて制御するセミシンメトリックコンフィギュレーション方式を提案した。コンフィギュレーションデータをRoMultiC機構を用いてマルチキャストすることで、コンフィギュレーションデータ転送時間はほぼ隠蔽することができる。Rohm社0.18μmCMOSプロセスによる合成の結果、これらの制御機構の占める面積はPEアレイ全体の3%以下であることが明らかになった。
著者
竹森 敬祐 三宅 優 中尾 康二 菅谷 史昭 笹瀬 巌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.816-825, 2004-06-01
被引用文献数
11

近年,サイバーテロ対策の一環としてSecurity Operation Center(SOC)の設置が進められているが,広域や個々のネットワークを分析するための効率的な手段がない.本論文では,異なる環境のネットワークを集中監視するSOCのために,様々なIntrusion Detection System(IDS)から出力されるログを統合管理して,時間軸上での異常なイベントを客観的に検出するIDSログ分析支援システムを提案する.分析は,過去の長期間のイベント出力特性(長期プロファイルと呼ぶ)に対する最近の短期間のイベント出力特性(短期プロファイルと呼ぶ)の変化の程度を,異常率として評価する.各地で運用されているIDSから収集したログを用いて評価を行い,従来からの頻度分析結果の中から検証の不要なイベントを特定できること,頻度分析で発見が困難であったかすかな痕跡を抽出できることを確認する.本システムは,広域かつ詳細に監視を行えるシステムとして,SOCにおけるログ分析作業の信頼性の向上と効率化に寄与する.
著者
林 成起 佐藤 嘉伸 田村 進一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.95, no.320, pp.1-6, 1995-10-19

聾唖者達が会話で使う手話を計算機の上で処理し,認識しようとする研究には指文字,顔の表情,簡単な手の動き,または手話単語などの認識に関する研究が主で,文全体を対象とする研究はない.これは手話の文法構造や統語構造が一般言語とは違って,その文解析が困難であるからである.手話の構成素は手の形,手の位置,手の動き,掌の方向などがあるが,広い意味での手話には非手指信号,すなわち,目,眉毛,口などの顔の部位の変化や,頭部や身体の動きと傾きなどがある.この非手指信号は手話文の中で形態論的,統語論的な機能を持つ.従って,手話文の認識の際にもこの非手指信号を取り入れなければその文の正確な意味解析が困難となる.そこで,本研究では非手指信号の内イントネーションブレークを形態素として取り入れ,ASLを対象として手話文を11パターンに分類しその文解析を行った.
著者
林 成起 佐藤 嘉伸 田村 進一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.95, no.446, pp.71-78, 1995-12-22
被引用文献数
1

米手話の代名詞体系には一定の手話空間が代名詞として設定された後には、この空間が手話文のなかで文法的に使われ、その代名詞に相当する手話単語は明示的には表現されない。また、方向動詞には、その動詞のサインの中に、すなわち、動詞の位置や動き情報の中に動詞の主体と客体に対する情報が含まれていて、その動詞を含む文では主語や目的語が明示的には出て未ず、手話空間から参照される。そこで、手話を計算機の上で処理し、認識しようとすると、手話文では省略語が多いため、単に手話の構成素 - 手の形、手の位置、手の動き、掌の方向 - の解析だけではその文の正確な認識が困難である。従って、手話文を認識、解析する際には、代名詞として扱われる手話空間と動詞の位置や動き情報を互いに処理する必要がある。そこで、本研究ではASLを対象として手話空間の情報と方向動詞の位置や動き情報を考慮して、手話文解析を行なった。
著者
寺川 宏之 宮寺 庸造 大澤 優 夜久 竹夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.76, pp.9-15, 1998-05-23

この報告では, ソフトウェア開発・教育支援環境について解説する.本環境は次のようなシステムから構成される:(1)視覚的プログラミングシステムとそれを使ったプログラムデータベース, (2)マルチメディアアクセスシステム, (3)電子教科書とコースウェアに対する大規模データベース.(4)インターネット上の分散データベース.本環境は現在, インターネット上のいくつかの大学のサイトに設置されている.また, 本環境を構成するコースウェアの例についても述べる.
著者
大黒 將弘 宮崎 哲弥 森田 逸郎 大谷 朋広 長尾 康之 久保田 文人 鈴木 正敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.410, pp.7-10, 2004-10-28
被引用文献数
5

架空区間を含んだ約200kmのITU-TG652準拠の既設シングルモードファイバで構成された、JGNII光テストベットを用いて、単一チャネルの単一偏波160Gbit/s光信号伝送実験を行った。強度変調(OOK:on-offkeying)方式と差動位相変調(DPSK:differential phase shift keying)方式の特性比較を行い、 DPSK変調方式を用いることで, OOK変調方式よりも良好な伝送特性を得た。さらに、DPSK変調方式と偏波スタビライザを併用することで、OOK変調方式に比べて2.5dB以上Q値の向上が得られ、200km伝送後も安定な伝送特性が得られた。
著者
佐藤 和夫 西川 訓利 鈴木 徳祥 小川 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.892-900, 1996-11-25
被引用文献数
75

人体近傍に置かれた携帯無線機用アンテナの特性をFDTD法を適用して解析し,アンテナが人体から受ける影響を明らかにする.解析モデルは人体頭部と携帯無線機を握る手からなる人体モデル,および金属きょう体に取り付けられたアンテナから構成される.本解析モデルを用いて計算した結果は実験値とよく一致し,人体モデルの影響を含めて携帯無線機用アンテナの特性を精度良く解析できることを示した.この解析モデルを用いて,携帯電話,およびPHSの周波数帯において,携帯無線機に取り付けられたλ/4モノポールアンテナおよび平板逆Fアンテナの特性を計算した.その結果,放射効率は人体モデルの影響を大きく受け,45%以下にまで劣化することがわかった.更に,人体モデル頭部の形状や携帯無線機を握る手の位置が放射効率に与える影響を明らかにし,アンテナの種類によって人体から受ける影響が大きく異なることを示した.
著者
神武 直彦 中安 英彦 川畑 広文 鈴木 裕介 麦谷 高志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.614, pp.63-69, 1999-02-19
被引用文献数
4

宇宙開発事業団では、H-IIAロケットの飛行安全に使用する目的で高性能・低コストのGPS受信機の開発を進めている。従来飛行安全に用いてきたレーダの代わりに、GPSによって得られる位置・速度情報を用いることにすれば、地上側のレーダ局を整備する必要がなくなりコストダウンを図ることができ、また今後の宇宙輸送需要に柔軟に対処することが可能になると考える。本GPS受信機ぱ2000年2月打ち上げ予定の2トン級初号機でフライト実証試験を行い、2002年6月打ち上げ予定の3トン級初号機HTVミッションにて実運用を開始する予定である。本稿では、H-IIAロケット用としてのGPS受信機の特徴を記述し、システム解析によってその有効性を示す。よた、技術モデル試作段階よでの開発状況を報告する。
著者
横澤 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.433-439, 2004-05-01
被引用文献数
4

情報技術の進展により,社会の仕組みや経済活動も次第に変曲点を迎えつつあることが明らかになっている.国の政策や企業活動の場では「ユビキタスネットワーク社会」とも呼ばれる,新しい社会パラダイムは,有線系のネットワークインフラよりもむしろ,無線通信技術を中心としたコミュニケーション技術(以下,ユビキタスコミュニケーション技術)により支えられるものである.Always Best Connected (いつでも最良の状態でネットワークに接続されている)を担保するとともに,情報技術が生活のスタイルや,ビジネスのスタイル,そして働き方のスタイルを変化させるためには,無線通信技術の持つ柔軟で身近な部分からのネットワーク化を可能とする性質が,今後も重要な役割を持つことになるだろう.無線通信技術の進展に伴って,近い将来,人々のライフスタイル,ワークスタイル,そして企業のビジネススタイルはことごとくITインフラをベースとするものに変ってゆくと思われる.いつでも,どこでも,だれでも,何でもがつながる環境により,情報のあり方そのものも大きく変りつつある.この過程は,次の三つのステップで進行するだろう.(1)今後数年で,ITを使うことのできる人の数,場面の数の増え方が最大となると考えられる.IT利用に一定の「数」が必要なビジネスモデルが,次々に現実化してくるだろう.(2)RFIDやセンサと,それらを制御するソフトウェアやネットワークの働きにより,ネットワーク仮想空間が現実世界と協働するようになる.(3)人間の知的活動を高め,企業全体の知的活動をサポートする技術が台頭する.今後ユビキタスコミュニケーションの研究開発については,自律性,完全性,社会性を重視した新しい発想に向かうと考えられる.
著者
ヴィスーティヴィセット ワサカ 門林 雄基 山口 英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.1215-1226, 2002-08-01
被引用文献数
1

IPマルチキャストは,大人数グループに同一データを効率良く配送するための機構として提案された.しかし,IPマルチキャストはグループの増加に伴いルータ負荷が大きくなるため,少人数グループが多数存在する通信に適していない.本論文では,少人数グループ通信を対象とした新しいマルチキャスト経路制御プロトコルSender Initiated Multicast(SIM)を提案する.SIMでは,受信者アドレスリストをパケットに添付し,ユニキャスト経路情報に基づくパケット転送を行う.また,SIMはルータ上にSIM Forwarding Information Base(FIB)として転送情報を保持するPresetモードを備えているため,全パケットにアドレスリストを添付する必要がない.Presetモードでは,送信者アドレスとグループのマルチキャストアドレスの組を転送情報検索のハッシュキーとして利用することで,効率の良い経路表検索を実現している.また,自動的に分岐点ルータ間を結ぶSIMトンネル機構により,転送情報の保持と全受信者に対する経路表検索を行うルータ数を減らし,パケット転送処理の高速化を図っている.本論文では,これらの機構をもつSIMは少人数グループが多数存在する通信において有効であることを示す.
著者
斉藤 敦 後藤 浩治 笹沼 拓也 鈴木 清修 中瀬 太郎 濱崎 勝義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.174, pp.13-18, 1996-07-24
被引用文献数
1

超伝導体-constrictions-超伝導体(S-c-S)を電界蒸発法を用いて作製した。本手法を用いることにより、constriction長とAndreev反射確率を容易に変化させることができる。実験から得られた準粒子電流特性とその温度依存性は、S-c界面でのsingle-Andreev反射を基礎とする拡張したBTK理論と定量的に一致した。しかし、中にconstrictionが形成される絶縁層(MgO)が薄い場合のトンネル特性のときに観測されたサブハーモニックギャップ構造(SGS)は、界面の散乱ポテンシャルZ〜0になったとき、multiple-Andreev反射を基礎としたOTBK 理論の予想とは異なり4.2KからT_<c,Nb>までの全ての温度領域で観測されなかった。
著者
小口 和海 佐藤 浩司 向井 宏明 横谷 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.450, pp.103-108, 2007-01-04

近年、キャリアクラスEthernetの実現が重要となっており、ITU-TにおいてEthernet回線の保守、運用、監視を行うEthernet OAM (Operation, Administration and Maintenance)と、2地点間に冗長経路を設定し、障害検出時に切替を行うリニアプロテクション切替メカニズムが勧告化された。これらの標準に準拠することで、Ethernetを用いて高信頼なサービスを提供できるようになってきている。また、メトロエリアのサービス提供を考えた場合、多地点接続可能なリング接続が適しており、リングにおける障害発生時の切替方式がITU-T等で検討されている。本稿では、Ethernetでマルチリングを構成した場合の障害発生時の切替方法について、Ethernet OAMを用いて切替える方法を提案し、その制御方式について述べる。
著者
小川 周吾 長谷部 賀洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.180, pp.49-54, 2008-07-29

近年ディスクへのアクセス時間が,計算機システム全体の処理時間に占める割合が増加している.またストレージ統合の増加に伴いディスクアレイに対して複数のアクセスが同時に行われる機会が増加し,高いI/O性能が求められる.この問題に対して複数ディスクをRAID構成にすることで,ディスクの耐故障性確保と同時にアクセスを高速化する手法が用いられている.しかしRAIDは,ランダムアクセスに伴うシーク時間の抑制を考慮していない.本稿ではRAID構成のディスクアレイにおいて,ディスク間の冗長性を利用したシーク時間の削減方式を提案する.RAID1構成のストレージ装置のシミュレーションによる評価の結果,提案方式の適用により連続したランダムReadアクセス列による高負荷環境下で,アクセス処理の平均TAT (Turn Around Time)の削減を確認した.