著者
山口 静馬 佐伯 徹郎 老松 建成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.9, pp.1421-1427, 1999-09-25
被引用文献数
7

音声聴取時の外来雑音に対する心理的応答を,音声信号と外来雑音の各音圧レベルやパワースペクトル特性の相対的関連性の下に把握することは快適な音場の設計に重要である.本論文は音声聴取時の外来雑音に対する心理的応答を推定・予測するための手法をファジィ集合を用いて提案したものである.具体的には,音声を聴取している人間が外来雑音にさらされた場合に着目し,音声信号と雑音の音圧レベルやパワースペクトル特性に関するファジィ関係を,SN比とオクターブ数を台とする近似的な2次元メンバシップ関数を用いて求めている.次いで,心理的応答の評価手法をファジィ確率の概念を導入して提案している.最後に,本手法の妥当性と適用可能性を心理実験による実測データに適用して実験的に確認している.理論と実験との間にほぼ良い一致が認められる.
著者
齊藤 進 神田 晋太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.296, pp.79-84, 2003-09-02
被引用文献数
2

FIRディジタルフィルターとニューラルネットワークを用いて、短時間の変動を無視することなく経済時系列データを予測することを試みた。日経平均株価を101段FIRバンドパスフィルタで5つの周波数帯に分解した。それぞれのデータはニューラルネットワークで学習、予測した。その際、過去20日のデータを入力し、10日先のデータを予測する。それらの予測値を合成し最終的な予測値を得る。最終的に予測されたものは比較的よい結果を示した。
著者
難波 英嗣 国政 美伸 福島 志穂 相沢 輝昭 奥村 学
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.203, pp.67-74, 2005-07-15

「日経平均株価」や「内閣支持率」のように数値が時間とともに常に変動するような情報のことを動向情報と呼ぶ.本稿では, 動向情報の抽出を一種の複数文書要約であると考え, 複数文書要約技術を用いて, あるトピックに関する複数の文書から動向情報を自動的に抽出し, グラフ化する手法について述べる.複数文書からの要約の作成は, 様々な要素技術を組み合わせることで実現できる.こうした技術のひとつとして, 我々は文書横断文間関係理論(CST)に着目する.CSTとは, Radevらが提唱している理論で, 文書中の各文の機能を特定し, 文間の依存関係を特定する修辞構造理論(RST)を, 文書間関係に拡張したものである.本研究では, CSTの一部を計算機上で実現し, それを用いてグラフ化に必要な数値情報と時間情報の抽出を行う.
著者
北原 直人 水本 哲弥
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.700-706, 2003-07-01

高誘電率磁性体セラミックス材料の応用例として,その特長を生かした電磁波ノイズ対策用低域型EMIフィルタを設計・試作した結果,急しゅんな減衰係数と広帯域な減衰帯域の優れた特性を有するフィルタが可能であることが判明したので以下に報告する.
著者
趙 青 浅野 正一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.627, pp.109-112, 2006-02-23
被引用文献数
2

近年,ネットワークの信頼性への要求が高まるにつれて,リンクの二重障害への対策が指摘されている.今後,オンデマンドオプティカルVPNが実現されれば,エンドエンド間でコネクションを一度確立すると,数日間または数ヶ月間それを張り続けることが予想される.このため,コネクションを二重リンク障害から守る手法が必要である.本稿では,逐次的二重リンク障害の発生を想定し,一次リンク障害で予備パスをなくしたコネクション(unprotectedコネクション)を,二次リンク障害から守るために,通常の予備パスだけでなく,トラヒックを100%救済できる保証のない不完全な予備パスもunprotectedコネクションに提供することにより,コネクションの信頼性を高める手法を提案し,その効果を確認している.
著者
養畑 裕紀 大塚 隆史 葛 崎偉 中田 充 斗納 宏敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.502, pp.7-12, 2007-01-19
被引用文献数
3

本論文は,実行時間が任意でデッドラインを持たないタスクグラフDAG (Directed Acyclic Graph)を対象とし,タスクの実行が中断できないことを前提とした,マルチプロセッサスケジューリング手法を提案する.提案する手法では,基本的にCP(クリティカルパス)法を用いるが,実行可能なタスク数が少なくなった場合は,実行可能なタスクを増やすことを基準に実行タスクを選択する.その際,実行が完了していないタスクに対応する部分グラフの予想実行完了時間が,そのクリティカルパスの長さより長くなることをチェックする機構を提案する.
著者
池本 アンジェラ 川崎 繁男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.96, no.373, pp.93-97, 1996-11-21
被引用文献数
2

本報告では、ウェーブレットを用いたモーメント法によるダイポールアンテナ解析について述べる。ウェーブレットの直交性とその性質によりスパースマトリックスが得られることが確認された。さらに、ウェーブレットに関連する多重解像度解析により、今までの近似法で失われていた情報が表すことが可能である事が分かった。また、得られたモーメントマトリックスの性質により、マトリックス全体を扱わずに、そのサブマトリックスで充分な近似が行える事も確かめられた。これにより、同じマトリックスから必要性に応じて荒い近似あるいは高精度な近似を必要に応じて得られる事が分かる。
著者
金子 峰雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.442, pp.19-24, 2005-11-24

多くの高位合成システムでは, 演算スケジュールの終了後に資源割り当てを行うため, 資源割り当て時に生存期間が全て確定しており, 衝突のない資源共有が容易に行われる.これに対して, 資源割り当てをスケジュールに先行させる, あるいは資源割り当てとスケジュールを同時進行的に最適化する合成手法においては, 資源割り当て時にデータや演算の生存期間が確定しておらず, 不用意な資源共有はスケジュール不能な解を生成してしまう.この論文では, スケジュール解の存在を保証する資源割り当てについて考察を行っている.ここではessential lifetime overlap (ELO)と呼ばれる不可避なlifetime overlapを定義・導入し, それらの極小集合であるMinELOが単一プロセッサスケジュール解から抽出できるとを明らかにした.実際の資源割り当てにあたっては, このMinELOだけに注意して資源共有を行うことで, スケジュール可能性を保証できる.
著者
養畑 裕紀 葛 崎偉 中田 充 斗納 宏敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.180, pp.13-18, 2006-07-19
被引用文献数
3

本論文は,実行時間が任意でデッドラインを持たないタスクグラフDAG(Directed Acyclic Graph)を対象とした中断のできないマルチプロセッサスケジューリング手法を提案する.まず,全ての子孫の実行時間を考慮したクリティカルタイムという概念を導入する.次に,クリティカルタイムと直接後続ノードの数を重視した静的優先リストを用いたCT/MISF法を提案する.その後,CT/MISF法を改善するために,クリティカルタイムを修正したCTΔ/MISF法を提案する.さらに,クリティカルパスと修正したクリティカルタイムのそれぞれを重視した二つの静的優先リストを作成し,これらを動的に切り替えるCP/CT-Switching法を提案する.最後に,提案した手法に基づいたシミュレーション実験を行い,これらの手法の性能評価を行う.
著者
熊谷 建一 中村 哲 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.522, pp.67-72, 2000-12-14
被引用文献数
5

近年, 音声認識の性能は大きく改善されたが, さらに, 音声のSNRが低い雑音環境での高い音声認識性能が求められている.そのような環境に適した音声認識システムとして, 音声情報と唇周辺の動画像を用いたバイモーダル音声認識が注目されている.このようなシステムを構築するためには, 音声情報と画像情報の統合が重要な問題となる.統合においては, (1)音声を発話する前に発声の準備のために唇が動き, 発話が終わった後に遅れて唇が閉じるといったような, 音声と唇周辺の動きの非同期性, (2)周辺環境に応じたシステムの適応化, といった問題がある.本稿では, まず(1)の問題に対し, 音声と唇周辺の動きの非同期性を考慮するHMM合成に基づいた統合を行う.次に(2)の問題に対しては, GPDアルゴリズムを用い, 少数の環境適応用のデータ(以下適応データ)からストリーム重みを推定することを検討する.音響的な雑音がある場合について, 単語認識実験を行った結果, 認識性能が改善されることが示された.
著者
小山 泰弘 横山 節雄 赤堀 侃司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.71, pp.109-116, 2000-05-12
被引用文献数
1

現在、小学校でもインターネットを使った調べ学習が盛んに行われている。学習者がWebページの情報を整理・統合するときには、その一覧性に問題点があり、利用したい情報を見つけにくい。そこで本研究では、Webページをイメージ画像として取り込みそれをさらにサムネイル化することで一覧性を向上させ、整理・統合する活動を支援するツールを開発した。サムネイル化されたWebページは、順序変更、コメントの追加等が可能であり、Web元イメージの再現及び、オリジナルのWebページへのアクセスが容易になっている。それにより、Webページを用いたプレゼンテーションを支援する。本ツールの評価において、内容を思い出しやすい、子供の利用に有効であるなどの結果を得た。
著者
金澤 靖 金谷 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.231-239, 2002-02-01
被引用文献数
19

画像の濃淡値から共分散行列を計算する方法を統一的に定式化し,それが特徴点の位置の精度を反映しているのかどうかを可変テンプレートマッチングによるサブ画素補正により,実験的に検証する.そして,このような共分散行列を用いて最適計算の精度が向上するかどうかを射影変換行列と基礎行列について調べる.
著者
野口 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.159, pp.9-12, 2003-06-23

Si MOSおよびSOIトランジスタ応用に対しての紫外光レーザーアニールによる接合形成技術に関して述べる。Si LSI中のサブ0.1μm MOSトランジスタでは、十分なオン電流を確保し短チャネル効果を抑えるために、低抵抗の超浅接合が要求される。Siに対して高い吸収をもつ均一なビームによるエキシマレーザーアニールは、TFTを用いるAM-FPDにおいてと同様に、Siマイクロエレクトロニクスにおいても浅い接合ドーピングプロセスとして期待される。また、活性化したSi表面を非接触で評価できる有効な方法を提案し述べる。
著者
鬼沢 岳 加藤 慎一 青山 敬幸 奈良 安雄 大路 譲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.139, pp.103-107, 2008-07-10

自由にパルス形状を変えることの出来るフラッシュランプアニール技術(FSP-FLA:Flexibly-Shaped-Pulse Flash-Lamp-Anneal)を用いて、極浅接合形成およびメタル/高誘電率絶縁膜トランジスタの特性改善を行った。従来のFLA処理は、メタル/高誘電率絶縁膜トランジスタの移動度劣化・BTI (Bias Temperature Instability)寿命の劣化を引き起こす。FLA処理後の回復アニールによりそれらの劣化は改善できるが、不純物の拡散・不活性化を伴うため浅接合形成が困難となる。FSP-FLAを用い、高出力フラッシュ後に低出力・10ミリ秒のフラッシュを追加することで、不純物の拡散・不活性化を伴うことなく、高移動度・高BTI寿命を得ることに成功したので報告する。
著者
平野 陽介 鈴木 貢 渡辺 坦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス
巻号頁・発行日
vol.98, no.675, pp.15-21, 1999-03-18

従来のデバッガは、ブレークポイントの設定やデータの表示などの基本的な機能は有していたが、使う際に多くの手数を必要とし、使用者の負担が大きかった。デバッガは、使用者や用途に合わせ、自由に変更できる方が使いやすい。また、データは、視覚的に表示できる方が人間にとって直感的で判りやすい。本論文では、デバッグシステムをインタプリ夕上に実装し、デバッガとGUIの機能をスクリプト言語で制御することによる、拡張可能なデバッグ支援システムについて紹介する。これを用いると、デバッグのための指示をソース画面上で直接与えることや、データを表やグラフなどの形による動的な判りやすい表示が可能となるので、使用者の手間が減り、快活に作業できる。
著者
田口 裕二朗 陳 強 澤谷 邦男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.65-70, 2000-01-25
被引用文献数
10

航空機搭載2次監視レーダへの応用を目的として, 給電素子に逆Fアンテナを用い, その前後に無給電素子として逆Lアンテナを配置した八木・宇田アンテナの広帯域化について述べている.モーメント法を用いた解析から, 導波器を給電素子に近接配置した構造により特性を広帯域化できることを明らかにしている.アンテナ寸法として導波器と給電素子の間隔を約0.05λ_0に近接配置し, 導波器の高さを約0.1λ_0, 全長を約0.4λ_0としたとき, VSWR≦2の帯域幅として18.8%及びこの帯域において前方と後方の利得比Gd / Grが約10dB以上の単一指向性を得ることができ, 実用上重要な送信周波数においてGd / Grは32.9dB, 前方の指向性利得Gdは8.0dBiの性能を有することを示している.また, 実験を行い, 解析値と測定値がほぼ一致することを確認している.