著者
高屋 峰輝 滝口 弘輝 前田 純治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.424, pp.233-238, 2009-01-28

人間の視覚プロセスの初期段階において,知覚的に顕著な物体に優先的に注視する性質があることがわかっている.この視覚プロセスをコンピュータで再現しようと多くの研究が行われている.本研究では,人間の視覚プロセスの初期段階に基づいた注視モデルにより,静止画像中の知覚的に顕著な物体を自動検出する手法を提案する.更に,注視モデルの特徴抽出を人検出に最適化し,パターン認識手法の非線形サポートベクトルマシンを用いることで,提案手法の人検出への適応を試みる.この研究は,監視映像からの不審者の発見,車両と歩行者の接触事故防止などに応用可能と考えられる.
著者
杉森 公一 木村 剛 川辺 弘之 下村 有子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.555, pp.13-16, 2008-03-15

視野狭窄者は視野欠損部分の情報が得られないために,視野外から迫ってくる移動物体に対する危険や自ら危険物に向かっていくなどの危険に晒されている.危険接触事故を防ぐための支援システムの構築のために,視野狭窄者がどのように周囲の物体を探索するのかといった基本データの収集が求められる.本研究では,視野狭窄眼鏡を使用した擬似視野狭窄状態(視野角5度)の被験者に対し,視線追跡実験を行った.色・形状・大きさ・明るさを変化させた物体(図形)をスクリーンに投影し,発見までの時間を計測し,探索時間,視線軌跡と停留点軌跡から視野狭窄患者が物体を探索する際の特徴について分析する.
著者
徳久 良子 徳久 雅人 乾 健太郎 岡田 直之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.237, pp.13-20, 1999-07-26
被引用文献数
7

対話中に変化する相手 (ユーザ) の情緒を推定し, システムの応答プランニングに利用する技術の研究開発は, ヒューマンフレンドリな対話システムを構築するための有効なアプローチの一つと考えられる. このようなアプローチについてはすでに萌芽的な研究がいくつか見られるものの, ユーザの情緒の推定に必要な機構や情緒推定と応答プランニングの相互作用についてはまだほとんど明らかになっていない. そこで我々は, これらの問題を解明する手段の一つとして, 情緒タグつき対話コーパスの構築を検討している. 本稿では, 情緒タグつき対話コーパスを構築することの現実性について, 我々がこれまでに行った予備調査の結果を報告し, その中で明らかになった問題点について議論する.
著者
山崎 啓介 渡辺 澄夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.466, pp.23-30, 2000-11-17
被引用文献数
7

多層パーセプトロン、球形基底関数、混合正規分布などの階層構造を持つ推論モデルは、小さなモデルを表現するパラメータの集合が大きなモデルを表現するパラメータの集合の中の特異点を持つ解析的集合(解析関数の零点全体の集合)となり、特異なフィッシャー計量を持つために、学習精度を計算するアルゴリズムが確立されてない。本論では、真の分布を近似的に表現するパラメータ集合が作る体積の指数が学習精度と一致することを証明し、その性質を用いて学習精度を計算する確率的なアルゴリズムを提案し、有効性を実験的に検証する。
著者
目良 和也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.76, pp.9-16, 1999-05-21
被引用文献数
3

以前, 我々は相手の発話内容から情緒を生起するための計算式を提案した. しかし従来の手法は, 事象が自分にとって快であるか不快であるかのみを判定していた. 本研究では, Elliottが提唱している感情誘発条件理論に従来の情緒生起手法を適用することで, 状況に応じた多様な情緒を生起させる. 感情誘発条件理論では, 扱う事象が望ましいか望ましくないかというのが条件判断の基本となる。この事象が望ましいか否かという判断に, 従来の情緒生起手法の快/不快を適用する. さらに, 他者の好感度, 事象に付随する様相情報なども用いて, 条件判定を行なう. 実験を行なった結果, 318文で述べ156個の情緒が生起した.
著者
唐澤 信司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語
巻号頁・発行日
vol.98, no.179, pp.33-40, 1998-07-17
被引用文献数
4

解読器は行動を記憶でき、その行動を駆動することもできる。データとマッチングした解読器がレジスタを駆動して、解読器を稼働させる。言語の処理では概念の表象として解読器を用い、文章から単語、単語から形態素などと解読器の解読作業を階層的分担構造で形成させる。会話翻訳装置は発話者の意図する階層的分担構造の解読器群に近い解読器のモジュールを聞き手側で想起できるように音声を別の言語の音声に変換する。
著者
今井 崇雅
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2008, no.2, pp."SS-45"-"SS-46", 2008-03-05

事件化が相次ぐファイル共有ソフトを代表するP2Pソフトウェア『Winny』の実態を解明すると共に、そのファイル共有ソフトが引き起こす損害及び損害から身を守る為の方法論について、独自の技術で取得したデータを基に発表を行う。
著者
中村 善一 豊田 順一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.510-518, 1994-03-25
被引用文献数
12

筆跡から個人性を機械的,客観的に抽出することは,筆者認識をコンピュータで自動的に行うための基礎的な課題である.本論文では,オンラインで入力された筆跡に現れる個人性を.書写技能に基づく特性により抽出することを提案する.筆跡に個人性が現れるのは,各個人が習得している書写技能に個人差があるためと考え,書写技能に基づいて機械的に抽出可能な特性値を定義した.これら特性値が個人性を表すかどうかを評価するために,4人の筆者が「チキュウ」という文字をタブレット上の一定枠内に筆記としたサンプル各々50個に対して特性値を抽出し,各特性値ごとに筆者4水準の一元配置分散分析を行った.その結果,230個の特性値のうち223個が有意水準5%で有意となり,個人性を表すことが確認できた.更に,特性値の個人内でのばらつき,特性値間の相関関係を変異係数(標準偏差/平均)と相関係数を求めることにより明らかにした.また,定義した特性値を用いた筆者認識の可能性を検討するために,同じサンプルについて識別実験と照合実験を行った.その結果,識別率100%,誤棄却率,誤照合率はともに0%であった.
著者
秋濃 俊郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.108, pp.29-35, 1999-06-11
被引用文献数
6

0.18μmバルクCMOSによるシステムLSIの前倒し量産が始まったこの時期、低消費電力で且つ高速の標準セル・ライブラリの需要が一段と高まっている。我々は、従来の電源である[V_<DD>, V_<SS>]に加えて、基板バイアス電源として[V_<DD'>(>V_<DD>), V_<SS'>(<V_<SS>)]を加えた2電源系統ダイナミックCMOSセルのライブラリ開発を提唱する。この第I報では、ドミノCMOS回路方式に注目し、低閾値電圧のNMOS論理回路セル部分と、絶対値が高い閾値電圧でクロック付プルアップ/プルダウンや出力伝播インバータの駆動回路セル部分に分離し、各々の基板が電気的に分離した「別の列」にセルを配置する「準スタンダード・セル」のレイアウト方式を提案する。
著者
猪股 佑介 太田 和夫 國廣 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.303, pp.15-20, 2007-10-26

本稿では,研究グループが暗号アルゴリズムや製品の脆弱性を発見した場合にとるべき行動について検討する.その手段として,大学の暗号研究者がある暗号プロトコルの脆弱性を発見し論文を発表した事例を仮定し,刑事責任の観点から法的な考察を行う.結論は,「(1)不正アクセス禁止法第3条違反の幕助と(2)電子計算機使用詐欺罪の幇助が成立する可能性がある.ただし,犯罪成立の可能性はWinny事件より小さいだろうと判断した.」である.この考察の過程から,脆弱性を発見した研究グループが論文を発表する際には,「実装ソフトウェアのアップロード/配布は行わず,学術的な記述のみとして学会誌において論文を発表する」のがよいと言える.
著者
山崎 尭之 大坐畠 智 川島 幸之助
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.222, pp.79-82, 2007-09-13
被引用文献数
2

本稿ではWinnyネットワークのファイル流通を制御する手法として,ファイル流通制御機能を持ったピアをWinnyネットワークに参加させる手法を提案する.制御ピアは不適切なファイルのアップロードに加担しているピアに対して検索リンクを継続的に張ることで,制御対象ピアからファイルメタ情報が他のピアに拡散することを抑制する.本制御手法を用いることで不正なファイルの流通を阻害できる提案制御方式を実装し,効果を確認した.
著者
大坐畠 智 川島 幸之助
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.6, pp.43-48, 2007-04-12

P2Pアプリケーショントラヒックの実態は明らかにされていない.それはP2Pトラヒックの特定が難しいためである.本稿ではWinnyトラヒックをピア間のクライアント/サーバ関係を用いて特定する方法を提案する.提案方式を評価した後,ISPトラヒックに適用し,評価を行う.
著者
笹村 直樹 田中 英彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.597, pp.75-80, 2007-03-09

近年の通信ネットワーク環境の発展によって,デジタルデータのコピーを複数の人又はマシンに提供する事(以下,デジタルデータの流通)が容易になっている.簡単に同一のデジタルデータを複数人で共有する事にはさまざまなメリットがあり,この事は今日のIT社会にはなくてはならない要素となっている.しかし,デジタルデータの流通が容易である事は,デジタルデータの無制御な流通を招き問題が起きている.本研究では, FreenetやWinnyなどに代表される,いわゆるP2Pネットワークでのデジタルデータ流通に注目し,P2Pネットワークでのデジタルデータの流通制御,つまり取得性制御を行うことを目的としている.本研究では取得性制御を行うために,データの検索,転送及び各ノードで保存するデータに関して仕組みを設け,データの取得性を制御できるネットワークアーキテクチャを提案している.
著者
戸川 聡 金西 計英 矢野 米雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.30, pp.99-104, 2007-05-03
被引用文献数
1

Peer-to-Peer(P2P)型ファイル共有コミュニティへの情報漏洩が社会問題になっている.Winnyなどのファイル共有ソフトウエアに感染する暴露ウイルスにより,コンピュータ内部のファイルがファイル共有ネットワークへ漏洩する.これらの状況から大学や企業のキャンパスネットワークでは,P2Pファイル共有ソフトウエアの利用を禁止している.しかし現実にはP2Pファイル共有が行われている場合がある.これを制限する場合,既存のフィルタリング技術では実現が困難であり,結果として管理者はトラフィックを常時監視し,P2Pファイル共有通信の存在を認識しなければならない.本稿では,ネットワーク管理者が行うP2Pファイル共有通信の検出作業を,トラフィックマイニングと可視化により支援するシステムを構築した.そして,実際にP2Pファイル共有プログラムが発するトラフィックを含む全体のトラフィックを可視化し,有効性を検証した.
著者
亀井 聡 森 達哉 大井 恵太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.178, pp.39-46, 2003-07-04
被引用文献数
11

インターネットヘのアクセス環境の向上により,P2Pアプリケーションの普及が著しく,ネットワークに多大な影響を及ぼしつつある.本稿ではP2Pアプリケーションの中でも最もネットワークヘの影響が大きいP2Pファイル共有アプリケーションについてその実態を明らかにするため,WinMX, Gnutella, Winnyについて,ネットワークレイヤとアプリケーションレイヤ両面からの測定と分析を実施し,トラヒック測定,トラヒック制御,ネットワーク設計/管理についてそれぞれ今後の課題を示した.
著者
古林 三郎 山口 義一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

工業分野や通信分野に適用されるリアルタイムOSでは、近年特に要求の強くなったオープン性と共に、高速演算性や定応答性、そして高信頼性が重視される。高信頼化機能は、故障停止に対する早期運転、再開を目指し、故障原因の迅速な特定やデバイス構成の制御、多重系システムなどを実現するものである。ここでは、そのようなリアルタイムOSに対する,高信頼化の手法について提案する。
著者
平田 明史 タユフェール エディ 青野 智之 山田 寛喜 大平 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.63, pp.59-64, 2003-05-15
被引用文献数
6

エスパアンテナは円形配列アレーアンテナであるが,中央に給電素子を有しているため菱形のサブアレーを3対取り出せる構成となっている.そこで本報告ではリアクタンスドメインMUSIC法に3組の空間平均を適用して,コヒーレント波の到来方向推定を行う方法を提案する.特定の方向への平行移動による空間平均では,その到来角推定精度が到来角度に依存するために3組のMUSICスペクトラムを合成した形で空間平均後のスペクトラムを定義する.電波暗室内での実験結果から,到来角度差が角度分解能以上の場合には2波を分離し2つのピークを検出できることを示す.角度分解能として到来角度差45°を5割程度の割合で検出できることが分かる.
著者
上條 賢一 山内 明子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.547, pp.129-134, 2006-01-17

局所的フラクタル次元LFDを、一種の特徴インデックスとして用いれば、離散時系列における「変動のクセ」を定量化できる。この方法は既に「スライド式計測法」として提案されているが、本論文では、伊豆半島周辺の海水温変動における層間差時系列に適用し、「気候システムにおける高感度センサー」としての役割を担うために、「季節境界推定基準」を提案した。また、2004年に同半島に上陸した台風22, 23号に関連し、海水温変動とLFD変化の特徴についても、分散分析により考察した。
著者
大木 政英 鳥飼 弘幸 斎藤 利通
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.225, pp.31-35, 2004-07-19
被引用文献数
2

Adaptive Resonance Theory(ART)ネットワークは、特徴空間上に分布したデータをカテゴリーの集合によって分類や近似できる。本研究では、学習アルゴリズムが簡素化された動径基底ARTネットワークを考える。数値実験により学習の収束特性を考察する。また学習特性のシステムパラメータに対する依存性を考察する。応用例として新聞配達所配置問題のような被覆問題を考える。