著者
中島 健介
出版者
九州大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

積雲による励起の季節変化・日変化についての検討励起源と見られる積雲対流の指標(降水量・雲量)について衛星観測から客観解析されたデータを入手して、検討してみた。残念ながら、日変化については信頼できる直接の観測は得られていないことがわかった。しかし、積雲の活動が活発な地域の季節的変動と、典型的な積雲日変化の特性を組み合わせると、日変化の季節変動が推定できる。これと、常時励起振幅の日変化の季節変動の特性とは、かなり一致していることがわかった。このことは、本研究の核心すなわち積雲が常時励起の主体であることを、強く支持するものである。木星における枇曇対流と自由振動の関係についての考察ガリレオなどによる探査の結果、木星大気でも積雲対流が生じていることが分かっている。この積雲対流が木星全体の自由振動を常時励起することが考えられるので、予備的な考察を行った。地球の場合には、積雲が存在する大気と自由振動する固体部分との間には明確な境界があり、力学的性質も非常に異なるので、両者を区別して取り扱うことが適当であった。しかし、木星の場合には「大気」と「内部」は連続しており、地球の手法をそのまま用いることが出来ない。それでも、過去に行われた木星自由振動の理論をレビューした結果では、常時自由振動は積雲によって比較的高い効率で励起されるように思える。ただし、木星の場合には、観測によって常時励起を検出できるかどうかが大きな問題である。しかし、もし観測出来れぱ惑星内部構造を制約する有力な情報を提供できるので、今後とも検討していく予定である。
著者
中村 和彦 秋穂 裕唯 牟田 浩実
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

炎症性腸疾患は腸に慢性の炎症を起こす難病で、腸での免疫応答の制御に異常があるとされる。制御性T細胞は免疫応答を抑制する細胞で炎症性腸疾患治療への応用が期待されている。近年、炎症性腸疾患ではT細胞を介した免疫応答の中でTh1型とTh17型反応の関与が示唆されている。制御性T細胞はTh1型大腸炎は抑制するが、Th17型大腸炎を抑制できるかどうか不明であった。本研究では、制御性T細胞がTh1型に加えてTh17型大腸炎を抑制できる事を示し、炎症性腸疾患にTh17型反応が関与していたとしても制御性T細胞が治療に応用できる事を示した。
著者
原田 啓一郎
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.271-283, 1998-07-21
著者
須長 正治
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

3色覚が色覚正常と言われるのに対し,見分けられない色を持つ2色覚は色覚異常と言われ,3色覚よりも劣った色覚であるとみなされている.しかし,色覚特性の全ての面で,劣っているかどうかはわからない.そこで,本研究では,視覚探索課題を用い,S錐体刺激値差を手掛かりとした色探索に必要な時間を3色覚と2色覚で比較検討した.この際,目標刺激は妨害刺激の間のS錐体刺激値を持つ色とした.その結果,刺激全体が赤みがかるまたは緑みがかると,3色覚の視覚探索能が顕著に低下し,その探索時間は,2色覚よりも長くなった.すなわち,色覚特性に優劣はなく,それぞれに得意な環境,不得意な環境があることを意味する.
著者
中島 琢磨
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.489-534, 2006-12
著者
永島 広紀 藤岡 健太郎 久米 朋宣 六反田 あゆみ
出版者
九州大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

本研究は、「演習林」を通じて学問領域を横断的に、かつ大学・部局をも横断的に、しかも最終的には、各「帝国大学」と「内/外地演習林」との関係史を考究することによって、大学と演習林」の史的な連環を繙く作業である。演習林は大学組織としては<準部局>的に存在し、また広大な敷地と研究・実習用標本、そして植林/伐採にまつわる現業部門をも有した重畳的な組織である。本研究は演習林のこうした組織的特性から、狭義の「大学史」では取り扱いづらい「大学史料アーカイヴ」「技術史/技術官僚論」「水環境と地域史」「山林生態学」「災害/災害予防学」という文理両系に跨る各領域を統合した、新たな研究の地平を開こうとするものである。
著者
柴田 弘紀 千々岩 崇仁 服部 正策 熊澤 慶伯
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

国内産ハブ3種(ハブ、トカラハブ、サキシマハブ)の遺伝的集団構造を詳細に検討するため、12の島から計44検体を収集し、ミトゲノム配列の決定を行った。最尤系統樹を構築したところ、ハブは沖縄クレードと現在のトカラハブを含む奄美クレードの間で大きく遺伝的に分化していた。また、トカラハブを独立種とする従来の考え方は、ミトゲノムデータからは支持されなかった。また奄美クレードと沖縄クレードの分岐年代は、600万年以上前と推定され、奄美群島と沖縄諸島の地理的な分断(150万年前)よりも古かった。さらに、沖縄クレードに比べて、奄美クレード内では遺伝的多様性が高く、島嶼集団ごとの遺伝的分化が顕著であった。
著者
岩崎 義則
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

第九代平戸藩主松浦静山の随筆「甲子夜話」(全278巻)について、東洋文庫本『甲子夜話』(全20冊)を底本とした全文のテキスト入力データをもとに、ネットワークサーバ上に全文検索システムを構築し公開した(http://yosi-iwa.sakura.ne.jp/programs/essay/contents)。あわせて、『甲子夜話』執筆にあたり、重要な情報源となった平戸藩楽歳堂文庫とその蔵書目録について調査研究を行い、蔵書目録の作成・伝来過程を明らかにした。
著者
大崎 遥花
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

リュウキュウクチキゴキブリは、配偶時に雌雄が互いの翅を付け根付近まで食い合う。翅の食い合いは性的共食いの一種とみなせるが、これまでは決まった性が異性を食う一方的な性的共食いしか報告がない。食われた個体は将来の繁殖成功が著しく低下する。このため性的共食いは性的対立の究極的な例と考えられている。性的対立とはオスメス間の利害対立であり、子を残す最適な戦略は雌雄で異なるために生じる。よって性的対立は生物の生態や行動の進化を理解する上で鍵となる重要な概念である。両性が互いに食い合う初の性的共食いである翅の食い合いの意義を解明することで、性的対立の理解に大きく貢献し、新たな雌雄の繁殖戦略の知見を提供する。
著者
大塚 哲平
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

放射性トリチウムによって汚染された金属材料の保管・廃棄にかかるハンドリングや除染時において、外部被爆や経口摂取による内部被爆を防止する観点から、金属表面および内部のトリチウム挙動を理解することは極めて重要である。金属材料表面には極めて高密度にトリチウムが偏在することが知られているが、この表面に偏在したトリチウムが及ぼす材料内部からのトリチウム放出に及ぼす影響は必ずしも明らかになっていない。本研究ではトリチウムトレーサー技術を利用し、金属中のトリチウム吸・放出挙動に及ぼす表面に偏在したトリチウムの影響を解明することを目的としている。水素溶解度や拡散係数が既知である各種金属にトレーサーレベルのトリチウムを含有した水素を高温気体吸収法(400℃,4kPa)により溶解し、これら金属の表面水素濃度をトリチウムイメージングプレート(IP)法により、また材料からの水素放出速度を液体シンチレーション計測法により測定し、両者の関係を調べた。この結果、表面に偏在した水素と内部に溶解した水素との存在量比によって、金属からの水素放出挙動が整理されることがわかった。ニッケル(Ni)のようなFCC金属では、内部に溶解した水素量が表面に偏在した水素量よりも多いため、金属からの水素放出は、見かけ上、内部に溶解した水素の拡散によるものである。表面に偏在した水素は、金属表面酸化膜に-OH基や吸着水として存在しており、深い捕獲サイトに捕獲されたものであると考えられる。このような表面捕獲水素の室温付近における脱捕獲速度は小さい。このため、内部に溶解した水素が放出されてしまえば、相対的に存在量が多くなった表面に偏在した水素の脱離が見えるようになる。同様に、表面酸化膜が水素を捕獲しやすい銅(Cu)やBCC金属からの水素放出は、内部に溶解した水素量が表面に偏在した水素量よりも少ないため、表面に偏在した水素の脱離によるものであるといえる。
著者
安藤 元一 船越 公威 白石 哲
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.27-43, 1983-07
被引用文献数
3
著者
遠城 明雄
出版者
九州大学
雑誌
史淵 (ISSN:03869326)
巻号頁・発行日
vol.140, pp.237-274, 2003-03-30
著者
水波 朗
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.255-261, 1957-10-10
著者
黒木 彬文
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.615-655, 2005-03-09

2 0 0 0 OA 百済紀年考

著者
濱田 耕策
出版者
九州大学
雑誌
史淵 (ISSN:03869326)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.七三-九一, 2005-03-10