著者
野口 高明 三宅 亮 松本 徹
出版者
九州大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

小惑星リュウグウ試料の分析班の,微小粒子の岩石鉱物学的研究を行うサブチームとして,大きさ50ミクロン程度より小さい試料について国際共同研究を行う。九州大学と京都大学において,微小粒子の形状・微細表面組織の観察,および,(S)TEMおよびSTXM-XANES分析を行うための試料加工をおよそ80試料について行う。これらの試料のうち60試料は九州大学と京都大学以外の研究機関での分析に供する。その他機関のおよそ6割は,米国・英国・ドイツ・フランスの研究機関である。本研究では,これらの機関に日本から試料を持って行きリュウグウ試料の国際共同研究を行う。
著者
山内 昭人
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,コミンテルン・パンアメリカン・エイジェンシーの総合的研究を将来にわたってめざし,期間内にそのための基礎的研究を行った。具体的には、以下の2点である。1.最初に,同エイジェンシーの全貌を掴むため,1921年4月初めメキシコに拠点をおいたエイジェンシーの議長片山潜を中心にモスクワのコミンテルン本部へ密送した報告書,および南北アメリカの同志たちに送付した声明や書簡など基本史料35点を精選し,編集のうえ,本報告書の第II部の史料篇に105頁にわたっておさめた。2.次に,それら史料および関連文献のチェックにより,同エイジェンシーの活動実態の解明に着手し,当初の計画では,コミンテルン本部による解散決定の経緯とその背景を明らかにすることまでを果たすことにしていたのだが,さらに研究を進めることができた。すなわち,史料および関連文献を包括的にほぼ渉猟でき,それらをほぼ分析し終え,同エイジェンシーの活動全体を,カナダおよび南米関係を除いて,概括的に捉えることができたので,(すでに考察済みの片山および在ニューヨークの在米日本人社会主義団メンバーを通じての日本との関係を除いて)それらの研究成果を,第I部の研究篇に85頁にわたっておさめた(ただし,資金の分析およびそれを通じての活動把握は込み入っているため,後日の機会に委ねる)。その際,章節ごとにおおよそ編年体で各史料の分析に即した叙述のスタイルを採用してある。本報告がもっぱら第一次史料の渉猟・分析にもとつく基礎的研究である所以である。
著者
加藤 和生 丸野 俊一 田嶌 誠一 笠原 正洋 後藤 晶子 田代 勝良 大隈 紘子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

3年間を通して,以下の一連の研究を行った.(1)一般サンプル(大学生)を対象に,潜在的児童虐待被害の実態およびその心に及ぼす影響を検討した.その結果,多くの潜在化した被害者が存在すること明かとなった.(2)これまでに開発してきた「多重性児童虐待目録」の併存的妥当性を検討した.その結果,理論的に予想される方向の結果が得られ,妥当性が確認された.また「多重型児童虐待目録」を養護施設に措置された被虐待児に面接形式で実施し,臨床的妥当性の探索的検討を行った.本目録が,これらの子どもの体験した虐待経験を概ね測定していることが確認された.(3)F県3市の保育園に在園する幼児について,親による虐待の実態の大規模調査を保育士に実施した.その結果,約1.5%の潜在的被虐待児が存在することが明らかなった.また同時に,1-3歳児用・4-5歳児用の「幼児用児童虐待症状尺度」を開発した.(4)保育士の被虐待児の早期発見と対応に伴う問題点に関する質問紙調査を行い,その結果を質的に分析した.この結果をとおして,潜在化する被虐待児の早期発見と対応のための対策を考案する上で,今後の研究の手がかりを得た.(5)保育士による園内での児童虐待の実態を,大学生の回想報告の調査を行うことで明らかにした.(6)大規模な精神科医療機関に通院する患者における潜在的児童虐待被害の実態を調査した.(7)虐待通報が十分に行われていない理由として考えられる「虐待・しつけの認知」に関するズレを,13の職種の人たち(児童相談所職員,医師,検察官,保育士,教師,その他の職種,主婦,大学生など)について調査し,比較検討した.その結果,児童相談所の児童虐待に専門性をもつ人たちは,一般人(主婦,他の職種,大学生)よりも,虐待的行為をより非虐待的に見なしていることが明らかとなった.また他の職種の人の評定値は,これら2群の間にくることがわかった.
著者
綿貫 茂喜 太田 博樹 星 良和 近藤 隆一郎 キム ヨンキュ 西村 貴孝
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

人類の寒冷適応や病気との関係が示唆されているミトコンドリアDNA多型(ハプログループ)を遺伝的背景の一つとし、ヒトの生理的多型を構成する遺伝要因を明らかにすることを目的とした。研究は主に寒冷曝露時及び低圧低酸素時のヒトの生理反応を検討した。10℃及び16℃の寒冷曝露実験では、ハプログループDが耐寒性に優れた。また4000m相当の低圧低酸素環境に曝露した時、Dグループは他のグループより血中酸素飽和度が高かった。以上よりミトコンドリアDNA多型はヒトの生理反応に影響し、生理的多型の一部を説明する可能性を示した。
著者
岩下 仁
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、マーケティング研究の中心的な概念である市場志向 (Market Orientation、以下MOに略)研究の中でも、近年注目を集めているフロントライン従業員の視点を取り入れ、それが個人レベルのMO (Individual Market Orientation、以下IMOに略)、ひいては事業成果にどのような影響を及ぼすかという一連のメカニズムを解明する。これまでの研究によって応募者は、MOと成果要因との関係を明らかにしてきた。一方、本研究ではフロントライン従業員の様々な要因が個人レベルのMOに及ぼす影響に光を当て、事業成果に至るまでのメカニズムの解明を目的にしている。
著者
高野 信治 山本 聡美 東 昇 中村 治 平田 勝政 鈴木 則子 山田 嚴子 細井 浩志 有坂 道子 福田 安典 大島 明秀 小林 丈広 丸本 由美子 藤本 誠 瀧澤 利行 小山 聡子 山下 麻衣 吉田 洋一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、欧米では前近代をも射程に身心機能の損傷と社会文化的に構築されたものという二つの局面を複合させて障害を捉え、人種、性(身体上)、民族の差異よりも、障害の有無が人間の区別・差別には重要とされる。日本では、かかる視角の研究はなく、障害は近代の画期性が重視される。しかし福祉問題の将来が懸念されるなか、比較史的観点も踏まえた障害の人類史的発想に立つ総合的理解は喫緊の課題だ。以上の問題意識より、疾病や傷害などから障害という、人を根源的に二分(正常・健常と異常・障害)する特異な見方が生じる経緯について、日本をめぐり、前近代から近代へと通時的に、また多様な観点から総合的に解析する。
著者
伊藤 不二男
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.347-394, 1973-06-30
著者
白石 哲
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.97-109, 1964-02
被引用文献数
1

Through the collection and rearing of the Japanese harvest mouse occurs in Kyushu, the author has noticed that neither the relation between head and body length (HB) and tail length (T) nor the coloration of pellage does accord with the hitherto theory of some previous investigators. Until the present, the harvest mouse occurs in Kyushu Micromys japonicus japonicus, has been said to have a tail shorter than head and body length, while the one in Honshu, M. j. hondonis, have a tail longer than head and body length, As one of other characteristics to distinguish these two subspecies, it has been said that M. j. japonicus has belly hairs suffused with slate at their bases, while M. j. hondonis has pure white belly hairs from their roots. This time the author has reexamined statistically six external characters of. M. j. japonicus, that is, body weight (BW), head and body length (HB), tail length (T), ear length (E), hind foot length (HF) and tail coefficient (TC). At the same time, comparison between M. j. japonicus and M. j. hondonis has been made statistically, too. The following is the summary of the present study. 1) The materials consist of adult harvest mice collected in the suburbs of Fukuoka and Kurume City, which involve both sexes of individuals. Not only collected mice in the field, but also reared ones under artificial conditions were made the object of the statistical examination.2) Aging was done by body weight, that is, males that have body weight over 6.5 grams and females over 6.0 grams were regarded as adults. The histological investigation of genital organs supported this aging by body weight (Tables. 1-3). 3) Actually, being only a few specimens obtained by the author himself, external measurements concerning individuals in Honshu have been gathered from the data of the previous investigators (Table. 4). 4) The statistical examination was carried out using t-test under the level of significance 1% (Tables. 10, 11). 5) The significant difference between males and females was found only in body weight of M. j. japonicus under artificial rearing. 6) The significant differences between the individuals under natural and artificial conditions, which occur in Kyushu, are recognized in tail length and tail ratio in males, while in head and body length, tail length and tail ratio in females. So far as the result shows, the harvest mice under artificial conditions can be said to have longer tails than wild ones. 7) Between the males in Kyushu and Honshu, differences are significant in tail and ear length. Even in mice in Kyushu, those which have tha tails as long as or longer than head and body length, occupy a greater parts of materials, that is, 95.6% in males and 94.0% in females. Whether tail is longer or shorter than head and body length can not be made one of subspecific characteristics between M. j. japonicus and M. j. hondonis, as it used to be done. Between the two subspecies of females, significant differences are recognized in four external characters, that is, head and body length, tail, ear and hind foot length. From the above fact, females in Honshu can be distinguished in their size from the ones occur in Kyushu. 8) As the result of comparison of M. j. japonicus under artificial conditions with M. j. hondonis, difference is found significantly only in ear length in both sexes. 9) The author has collected mice in the field which have white belly hairs from their roots even in Kyushu. Besides the above mention, reared mice have come to show bellies pure white from hair roots under artificial conditions. The difference in coloration of belly hairs can not be made one of subspecific characteristics, though the reason of change of coloration under rearing conditions is obscure. 10) Concerning the reexamination of one more subspecies in Japan, M. j. aokii, which occurs in Tsushima islands, the author expects the arrival of another opportunity when more available data come to his hand.筆者は九州産カヤネズミの採集や飼育を行なつているうちに,外部形質における本州産カヤネズミとの主な相違点とされている頭胴長と尾長の関係,毛色が必ずしも従来の説に従わぬことに気づいた.そこで外部形質(体重,頭胴長,尾長,耳長,後足長,尾率)の大きさ,毛色について統計学的に吟味した.また本州産カヤネズミの測定値とも比較吟味したので,以下にその結果を報告する. 1) 材料は福岡県福岡市と久留米市郊外で採集された野生の雌雄個体群および室内で飼育した雌雄個体群である.このうち体重を指標として成体と思われるものを選び出し統計処理の対象とした(第1~3表). 2) 本州産のものについては,筆者自身の採集によるものは極めて少ないので,既往の文献から資料を集めた(第4表). 3) 有意差の検定はt検定法(危険率1%以下)によつて行なつた. 4) 雌雄差は室内飼育した九州産カヤネズミの体重にのみ見られた. 5) 九州産カヤネズミの野生個体群と室内で餌育した個体群の間では,雄に関しては尾長と尾率に,雌に関しては尾長,尾率,頭胴長に有意差をみとめた.原因は不明であるが室内で飼育したものは尾が長くなることがわかつた. 6) 九州産野生雄と本州産雄の間では,尾長と耳長に有意差をみとめた.しかし,九州産の個体でも尾が頭胴長に等しい長さか,より長いものが絶対的に多い(雄では95.6%,雌では94.0%).尾が頭胴長よりも長いか,短いかということを,ホンシュウカヤネズミとシコクカヤネズミの亜種的特徴の1つにするのは妥当でないと考える.雌同志では頭胴長,尾長,耳長,後足長に有意差をみとめた.本州産のものが九州産の個体よりも大型だといえる. 7) 九州産飼育個体群と本州産のものとの比較を行なつたところ,有意差は雌雄とも耳長にのみみとめられた. 8) 本州産カヤネズミの腹部の毛は基部まで純白,本州産および四国産のものの毛は基部が石板色とされている.しかし,九州産野生個体にも腹部純白のものが採集され,飼育した場合にはほとんどすべてが純白の腹毛を有するようになる.腹部の毛色の相違は亜種的特徴として決定的なものではないと考える. 9) 対馬産カヤネズミとの比較考察は今後の資料の蓄積を待つて行ないたい.
著者
弓削 三男
出版者
九州大学
雑誌
独仏文學研究 (ISSN:04178890)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.i-xiii, 1961
著者
弓削 三男
出版者
九州大学
雑誌
独仏文學研究 (ISSN:04178890)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.43-54, 1962
著者
弓削 三男
出版者
九州大学
雑誌
独仏文學研究 (ISSN:04178890)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.31-44, 1964
著者
今石 宣之 秋山 泰伸 佐藤 恒之
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

半導体や酸化物などの高品位単結晶の製造のために,単結晶育成炉内の融液の流れを正確に理解し,合目的的に制御する技術を開発することが要求されている。このなかで,自然対流に関する理解はかなり深まっているが,表面張力対流(マランゴニ対流)およびマランゴニ対流と自然対流の共存対流についての基礎的理解が不足している。マランゴニ対流は,微小重力環境における流体運動の基礎科学としても重要である。本研究では,マランゴニ対流の基礎的理解を深めるため,通常の流体と異なる表面張力の温度係数σT (σT≡∂σ/∂T)を持つ溶融苛性ソーダ(NaOH)の微小液柱内に生じるマランゴニ対流,および溶融NaNO_3の液柱内に生じるマランゴニ対流と自然対流の共存流について,実験および数値解析による検討を行い,下記の結果を得た。1)溶融NaOHの表面張力を,最大泡圧法を用いて測定し,融点(600K)〜T^*=725Kの温度域ではσT>0,T^*以上の温度域ではσT<0となることを明らかにした。2)T^*以下の低温域では,表面液が定温度点から高温度点へと向かう方向に流れるマランゴニ対流が観察された。実測した流速分布等は,数値解析結果と良く一致した。3)T^*以上の温度域では,通常の流体におけるマランゴニ対流と同様に,高温度点から定温度点へ向かって流れる表面流が観察され,数値解析結果と良く一致した。4)加熱板温度がT^*の近傍に設定される場合,温度および温度差に依存して,液柱内には2〜4個のロールセルが発生する。このマルチロールセル流れの発生機構は数値解析の結果,定量的に説明できた。5)液中を水平に置いた場合に生じるマランゴニ対流と自然対流との共存流の解析用の3次元数値解析コードを開発し,NaNO_3融液に対して解析を行い,実験結果を説明した。
著者
石田 正治
出版者
九州大学
雑誌
法政研究 (ISSN:03872882)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.1443-1498, 2000-03-27
著者
吉田 竜介
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、①様々な苦味物質に対する応答プロファイルによりマウス苦味受容細胞が幾つかのタイプに分類されること、②茸状、有郭乳頭間でこれら苦味細胞の応答プロファイルに差がないこと、③これら細胞での苦味受容にはgustducin-PLCβ2-TRPM5を介する伝達経路が重要であること、④ヒト苦味受容体阻害剤がマウスの苦味応答には影響を与えないこと、⑤CCKが苦味受容細胞から味神経線維への情報伝達に関与する可能性を示した。これらにより、味細胞における苦味受容機構について明らかとし、末梢における苦味情報の伝達及びコーディングについての知見を得た。