著者
千葉 逸人
出版者
九州大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 さきがけ
巻号頁・発行日
2016

電力網、コンピュータの回路、ニューラルネットワーク、心筋細胞など、無数の素子が結びついて構成される大規模ネットワークは、我々の身の回りに溢れています。特に、個々の素子が協調した状態である同期現象の研究とその応用は今後ますます重要になります。本研究の目標は、ネットワーク上の力学系の研究、特に同期現象を解明するための数学理論を構築すること、およびその様々な社会的問題への応用です。
著者
山添 淳一
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

カルシウム修飾したチタンインプラントを骨内に埋入した際に早期に骨と結合し、かつ結合強度が高いかどうかを検討した。さらに、歯肉上皮と高度に接着し、インプラント周囲からの外的因子の侵入を防ぐかどうかを検討した。これによりインプラント治療期間の短縮ができ、感染に対して抵抗性の強いチタンインプラント材料の創製をおこなうことができた。
著者
増成 和敏
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
2010

This paper summarizes the transition of TV design in Japan and the development of Kagu-cho style TV. When Japan imported the technology for TV from Western countries, they also imported designs. The consolet type with 4 detachable rounded legs, developed in the Western countries, became mainstream in Japan in the late 1950s. The Japanese console type in the 1960s had also 4 rounded legs but its design was not yet unique to Japan. In this period, the replacement demand constituted a large share of the demand for monochrome TV sets. Then, Kagu-cho TV was developed as a trigger for purchase. Behind the development of Kagu-cho TV in the mid-1960s was the modern Danish design. It was clear that Japanese Kagu-cho TV was not a follower of the American design considering the process of its birth. In newspaper ads at the time, the word “Kagu-cho” had been used before “Saga” was launched, and various manufacturers commercialized designs which expressed “Kagu-cho” style. The word “Kagu-cho” in the ads was one of the factors that created “Kagu-cho” design. At first, “Kagu-cho” didn’t necessarily mean Japanese style but later, “Saga”, whose name and design was Japanese style, was introduced with a big advertising campaign. The campaign created an image of Japanese style for Kagu-cho TV and made “Saga” its representative. The features of “Saga” were a projecting top board, speaker grille, the legs harmonized with the body and natural wooden texture. For the “Saga” series, various designs that differentiated from the 1st generation design were introduced. The design of “Saga” was influenced by “Asuka”. The reason why “Asuka” has an image of Japanese style is because the advertising campaign created an image in association with “Azekura-zukuri”, Japanese traditional structure. Considering the creation process of Kagu-cho TV in relation to design application, Sanyo Electric first applied patents for the design features that characterize “Saga”. Sanyo launched “Nihon”, a Kagu-cho style TV. This meant that behind the birth of Kagu-cho TV was the design trend at that period. To summarize, even though a design is created by an individual designer, the era and society is apparent in the background. Regarding TV sets, only the designs that were suitable for Japanese lifestyle survived among those brought in from the Western countries. Then Japanese manufacturers came to take into account design for product development and gradually Japanese unique design became more important. As a result, Kagu-cho TV emerged.
著者
増田 亮津
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

本研究は豚サーコウイルス2型(PCV2)のウイルス様粒子(VLP)の表面に豚流行性下痢病ウイルス(PEDV)のスパイク(S)抗原又は豚繁殖呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)のグリコプロテイン5(GP5)抗原をディスプレイすることで次世代型のワクチンを作り上げることである。そこで(1)ディスプレイ用抗原のカイコでの高効率生産、(2)九州大学のカイコ系統ライブラリーを利用したカイコの組換えタンパク質生産性の差異の原因探索、(3)タンパク質間のグルタミン残基とリジン残基を架橋する酵素である微生物由来トランスグルタミナーゼ (MTG)を用いた抗原提示VLPワクチン作製を課題として研究を進める。
著者
直江 眞一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は「制限君主制論」あるいは「混合政体論」の基礎を提供する理論として注目されている15世紀イングランドの法律家サー・ジョン・フォーテスキューの国制論の歴史的位置を明らかにする試みである。そのために、フォーテスキューの主要な3作品である『自然法論』、『イングランド法の礼賛について』、『イングランドの統治』の写本および刊本を可能な限り調査した。また、フォーテスキューの蔵書であったと考えられるオクスフォード大学ボドリ図書館蔵のRawlinson, C 398写本も検討した。その結果、「政治権力かつ王権に基づく支配」という概念はフォーテスキューに独自のものである可能性が高いことが判明した。
著者
前島 佳孝
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

1 西魏政権下における行台について検討した。西魏の行台は多様な形態を見せ、地方に置かれた一般行台と政権中枢に関わった宇文泰の大行台とに大別され、一般行台はさらに設置形態により、(1)対東魏前線の西魏統治地域に置かれたもの、(2)周辺諸勢力に対する外征や反乱の鎮圧のために置かれたもの、(3)在地勢力へ授与されたものに分類できる。これらは短期間に置廃され常設されなかった点で、常設機構と化していた北魏末期から東魏・北斉の行台とは大きく異なり、本来の臨時機構としての設置形態に回帰したと見なせる。宇文泰の大行台は、丞相府と並ぶ西魏の最重要機構として常設された。大統初年頃に管轄地域名称が外され、これによって管轄地域を限定されることなく、宇文泰は在所における尚書省の権限を代行しえた。平時は確固たる行政機構ではなく、宇文泰の幕僚収容機構として政策・制度の策定に関与し、出征時には現地の行政を執行し、また丞相府とともに行軍組織の運営に参与したと考えられる。西魏の行台の全体像に関する論稿は投稿先にて現在審査中。宇文泰の大行台に関しては『アジア史研究』32号にて公刊予定。2 唐高祖李淵の祖父で、西魏時期に活躍した李虎の事跡と関連史料について検討した。李虎は北朝から唐を結ぶ重要人物でありながら、唐代に編纂された文献ではありのままに記述できない点があったために史料が零細である。甘粛省清水県で発見された李虎墓誌銘を唐皇祖李虎のものであるとした先行論文に批判を加え、現段階で研究に使用できる史料について、潤色が施されている点、内容がぼかされている点や史料批判が必要な点を逐一指摘した。『人文研紀要』2007年秋刊行号にて公刊予定。3 前年度に執筆した西魏北周時期の官制改革に関する論稿が『東洋史論集』34号にて、魏晋南北朝時期に関する学界動向が『史学雑誌』115編5号にて、それぞれ公刊された。
著者
笹月 健彦 黒木 登志夫 渋谷 正史 黒木 登志夫 宮園 浩平 高井 義美 月田 承一郎 笹月 健彦 田原 栄一 菅村 和夫
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

「がん生物」領域は、がんの基礎研究からヒトがんを材料とする臨床研究まで広い範囲をカバーし、計画研究(1)5班、計画研究(2)28班、公募研究63班の計96班、研究者数229名と総括班より構成された。この特定領域では、がんの生物学的特性を明らかにすることによって、がんの予防、診断、治療に貢献することを目的とする。遺伝子発現の調節、シグナル伝達、細胞の増殖と分化、細胞死、細胞の構造と機能、細胞間相互作用、生体内ホメオスタシス維持機構など、生命科学のもっとも基本的な問題、およびヒトがんの特性、浸潤・転移などのがん固有の問題を、以下のように研究対象として設定し、研究を推進した。A01. 細胞の増殖・分化・細胞死 A04. 浸潤・転移A02. 細胞の構造と機能 A05. ヒトがんの特性A03. 細胞間相互作用平成11年度は、以下のような活動を行った。(1)「がん生物」ワークショップ:「がん生物」に属する全ての研究代表者が参加して自由に討議し、研究の一層の進展をはかり、さらに研究資料の交換、共同研究の設定を促進することを目的として、ワークショップを開催した。平成11年度は、「がん特定領域研究(A)代表者会議に連動して、7月12日、研究代表者による研究発表を行った。これを一つの機会として各研究者間の交流、研究協力の実がはかられた。(2)研究成果の公表「がん生物」の分野で卓越した研究成果を挙げている研究者を選び、文部省がん重点公開・合同シンポジウムでその成果を発表した。本年度で、平成6年より開始された「がんの生物学的特性の研究(がん生物)」は、6年間が終了することになったが、「がん生物」で行われてきた研究は卓越しており、来年度より開始される新しい特定領域研究の方向性を与えることとなった。
著者
石井 豊 稲生 啓行 荒井 迅 寺尾 将彦 鍛冶 静雄
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究の目的は、virtual reality 技術を用いて4次元空間を直感的に理解するための可視化方法や4次元対象物を自然に操作できるようにするためのデバイスを開発することにある。中でも、複素2次元力学系が生成するジュリア集合を可視化することでその幾何的性質を観察し更に数学的に有用な予想を引き出すことに、この研究の意義があった。また高次元空間におけるデータセットの「形」を理解するための雛形としても、本プロジェクトの重要性があると考えられる。今年度はコロナ禍の影響で国内・海外出張ができず、メールやslackなどでのやり取りを通して研究を進めた。前年度までに、4次元空間を可視化するための virtual reality デバイスである Polyvision を開発したため、今年度は、この Polyvision を用いた心理実験に向けた準備を進めた。具体的には、Polyvision を用いると被験者の4次元空間認識が向上するかを定量的に測定するための実験タスクをいくつか試験的にデザインし、その実装を行った。しかし通常の3次元空間では容易なはずのタスクが対応する4次元タスクになると急激に困難になるため、現在は(数学的な素養が必ずしもあるとは限らない)一般的な被験者が十分こなせるようなタスクを設定している途中段階にある。そのほかに特筆すべき実績としては、VRを用いた高次元認識に関する(主に数学的な立場からの)研究集会を分担者の稲生が開催し、好評を博すとともにその後の研究の進展に大きな刺激を与えた。
著者
高山 扶美子
出版者
九州大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

ASD患児から単離したヒト乳歯歯髄幹細胞(SHED)を用い、①ASD患児から採取したSHEDより分化させた神経細胞の日内変動の解析を行う。②遺伝子発現の網羅的解析により、ASDにおける概日リズム破綻の原因遺伝子を同定する。③原因遺伝子のsiRNAや阻害剤によるノックダウンを行い、ASDにおける睡眠障害の原因遺伝子の機能解析を行う。④同定遺伝子の改変マウスを用いシナプス形態・機能および行動解析を行う。前述の結果により、新しい治療法や創薬開拓に繋がる基盤研究法を提供する。
著者
木下 祥尚
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

局所麻酔薬の作用機序に関して、これまで複数の仮説が提唱されてきた。しかし、いずれの仮説も矛盾を含んでおり、結論は得られていない。近年、申請者らは「麻酔薬はラフトの形成を阻害することで、チャネルが活動する場を奪い、神経伝達を阻害する」というラフトを基盤とした仮説を提唱している。しかし、細胞膜に存在するラフトをありのままに標識することは困難であり、ラフトを指向した研究は立ち遅れたままである。本研究では 申請者らが開発した脂質の分布を高精度で追跡できる蛍光プローブを利用し、麻酔薬が脂質ラフト形成に及ぼす影響を調査する。本実験により、脂質ラフトを基盤とした、麻酔作用発現の機序に関するモデルを提唱する。
著者
六反田 豊
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
2015

元資料の権利情報 : Fulltext available.
著者
神庭 重信 牧之段 学 平野 羊嗣 加藤 隆弘
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

統合失調症は重篤な社会機能の障害を来す難治性精神疾患であり、神経シナプスの伝達異常仮説を元にして様々な研究がなされてきたが、未だ病態生理は十分には解明されていない。近年、神経系異常に加えて、脳内炎症をはじめとする免疫異常が統合失調症ばかりではなく気分障害・発達障害など様々な精神疾患で示唆され、我々は神経活動異常仮説に加えて、精神疾患ミクログリア仮説を先駆けて提唱してきた。本研究ではこれまで我々が提唱し報告してきた、精神疾患の脳波異常(特にガンマオシレーション異常)と神経免疫異常(特にミクログリアの活動性異常)に関して両仮説の解明とその両者をつなぐ橋渡し研究の成果を論文として報告してきた。
著者
村田 敏
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.247-257, 1973
被引用文献数
1

1) The transient heat transfer in precooling system with ice bunker and packed bed of fruits and vegetables is expressed Schumann's equations of heat transfer in packed bed with a particular boundary condition. The boundary condition is given as a constant ratio of the inlet gas temperature to the outlet gas temperature. The condition differs from Schumann's and Furnas', and is derived from the cooling characteristics of the column of crushed ice. The solution of this problem is expressed by a series in terms of coefficient of the exponent of the ratio with the integral which has the same form of Schumann's solution of integral. The series is rapidly convergent, so that the solution is easily computed using Schumann-Furnas chart. 2) The equation of steady state heat transfer of packed bed of rough rice is derived from Schumann's equation by adding heat generation term of respiration and removing time dependent term. The analytical solution is given and the numerical chart of the solution is made by measuring the heat transfer coefficient of the rough rice. 3) For calculating the cooling characteristics of rough rice in vertical duct, the equation of transient heat transfer is derived by the Schumann's assumption. The solution is given and transformed to the Furnas' solution by introducing two new variables.粒子堆積層の非定常伝熱に関する基礎方程式であるSchumannの方程式を,まず氷餅(アイスバンカ)と農産物堆積層をつなぐ循環冷却系の境界値問題として解き,氷槽による堆積農産物の冷却計算法を示した.次に基礎方程式を呼吸熱の発生する場合に拡張し,定常問題として穀物堆積層の呼吸熱除去のための送風温度,送風量決定計算法を導いた.最後に基礎方程式を極座標系で表示し,穀物の乾燥・冷却・貯蔵庫として一般に用いられているVertical ductにおける冷却計算法を示した.なおこれらの具体的計算に必要なデータを実験や文献により整理し計算図表を作製した.
著者
山本 一博
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

量子場の非局所相関の構造と曲がった時空に現れる熱的現象の関係をより深く理解するための研究と、それをより一般の系へ拡張する研究を進め成果を得た。初めに、量子場の非局所相関のより深い理解に関しては、量子情報理論の技術を応用した観点からの研究を進め、多検出器を導入した理論模型の研究を行なった。リンドラー時空において一定加速運動する多検出器模型を導入し、量子場と相互作用する多検出器系に4次元においても揺動散逸関係の一般化であるcorrelation-propagation-relation(相関伝播関係)が成立することを示した。この成果は、リンドラー時空から見た時の平衡状態で成立するエネルギーの流れに関する関係を示すものである。この関係が慣性系から見た時に非局所相関に起因する量子放射とどのように関係するかは今後の課題である。研究成果はPhysics Letter Bに掲載された。また、量子場の非局所相関の構造をより一般の系に拡張する研究に関しては、スカラー場の場合と同様にスピノル場のミンコフスキー真空を左右2つのリンドラー時空で構成される状態で記述するための研究を共同研究者と進めた。一般的な2次元リンドラー時空のディラック場を量子化しミンコフスキー真空をリンドラー状態のエンタングル状態として記述できることを4次元の場合に対して拡張する研究を行っている。カスナー時空とリンドラー時空の量子場を関係づけることによって、ミンコフスキー時空全体を部分的座標上に構成する場の状態を用いて、ミンコフスキー真空の非局所相関の構造を統一的に明らかにする研究成果として発表する予定である。また、カスナー時空とリンドラー時空ににおいて重力波であるテンソルモードの解析解をRegge Wheelerゲージのもとで発見した。