著者
藤岡 健太郎 新谷 恭明 折田 悦郎 永島 広紀 陳 昊 井上 美香子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

帝国大学農科大学・農学部がどのように形成され、それぞれがどのように教育・研究活動を展開していたのかを解明することが本研究の目的であった。具体的な成果は以下の3点である。①学科・講座・附属施設の設置状況を中心とした帝国大学農学部の形成と展開の過程の解明。②4帝国大学農学部教官履歴データベースの作成と、それを用いた農学部教官人事の特徴の解明。③農学府附属演習林財政と帝国大学財政全体の関係性の解明。
著者
日野 開三郎
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
1958

博士論文
著者
津守 不二夫
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究は5次元プリンタを開発し,応用していくことを目的とする.5次元プリンタとはこれまでの3次元プリンタ(x,y,z)に加え「それぞれの箇所における材料物性の配向(3次元ではθ,φの2方向で表される)」を制御したプリンタである.研究期間中に開発した装置はガルバノスキャナを備えたUVレーザ光源により樹脂を硬化するタイプである.この装置を利用した応用例は生体模倣構造のひとつである人工繊毛である.人工繊毛をアレイ状に出力する際,一本一本に磁気異方性を付与することにより,それぞれの動きが異なる構造を出力した.この方法により実際に自然界にで観察されるメタクロナール波を再現することが可能となった.
著者
有地 亨 三島 とみ子 緒方 直人 南方 暁 清山 洋子 生野 正剛 大原 長和 金山 直樹 久塚 純一 小野 義美 川田 昇 丸山 茂 松川 正毅 河内 宏 二宮 孝富 伊藤 昌司 UEKI Tomiko MISHIMA Tomi HISATSHUKA Junichi
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

われわれは、1990年秋と91年秋の2度に分けて、第1年目には英国第2年目には仏国および独国において、離婚、児童福祉、老人の3領域における各種相談・援助機関に関する実態調査を行なった。離婚の領域では、英国において、公私2つの研究機関と12の各種相談・援助機関のスタッフに対する面接調査を行い、質問票配布の方法による補足的調査をも行った。仏国では3つの公的機関と22の民間機関のスタッフならびに7人の研究者との面接調査を行い、同様の補足調査を併用した。独国では、民間機関である結婚生活相談所スタッフを調査対象に選んだ。英国では、離婚問題を抱えた当事者への相談・援助活動は、民間機関中心に行われており、夫婦関係の和合調整より、クリ-ン・ブレイクを目指す傾向が顕著であったが、仏国でも民間機関が中心であって、その活動にも同様の傾向が見られ、ここでの合意形成援助活動を司法手続の前段階として制度化する動きも確認できる。独国の上記相談機関は、法的問題と心理的問題を区別し、活動分野を後者に限定しているのが特徴であり、これが独国の一般的傾向を代表する。児童福祉の領域では、英国の公的機関13と民間機関4、仏国の政府機関をはじめとする公的機関8および民間機関11の、それぞれのスタッフと面接調査し、独国においては民間機関1および少年係検事1人を対象に調査した。英仏両国ともに民間機関に活動が顕著であり、各個に特色ある諸機関がその特色を活かしてキメ細かな援助を行なっていることが分かったが、特に、英国においては、公的機関と民間機関との連携が良く、総合的機関の確立も追求されている。独国でも、民間の青少年援助機関が、広義の社会的不適応者に対する社会化のための援助を行っているのが注目される。老人の領域では、英国では、研究者3、地方行政における福祉担当官や公的機関のスタッフや民間の営利・非営利の老人施設のスタッフに面接調査した他に、施設利用者15人に対しても面接調査し、さらに、質問票による補足調査からも多くの情報を得た。同様に、仏国でも高齡者施策に関与する諸機関を訪問してスタッフの面接調査をした(30件)後、福祉諸施設の現場を訪問した。独国では民間の老人ホ-ム経営体を訪問したにとどまる。この領域でも、英仏両国では、やはり民間機関が高齡者個々のニ-ドに応じた多様な援助を広範に提供しており、公的機関の役割はむしろ限定的であるが、両者の連携が重視されている。仏国でも、民間機関による援助が、質・量ともに顕著である。英国では、高齡者は総じて家族とは独立した生活を送っており、相談・援助は、家族との人間関係調整よりも実際的(経済的)援助中心であるが、仏国では、高齡者の自己決定の尊重を眼目としつつ、家族による精神的サポ-トのための民間機関の活動も重視されている。独国調査でも家族によるサポ-トのための民間機関の活動が重視されている。総じて、これらの海外調査の結果は、日本調査の結論としての「家族問題総合センタ-」の構想において、ともすれば公的機関中心に考える日本的発想への反省を迫るものがある。つまり、今回われわれが調査した国々では、家族問題への公的機関の関与は抑制的であり、その役割は財政的支援の範囲に限定されているようである。主導的な役割は、むしろ多様な民間機関が果たしているが、それを可能にしている背景には、その活動の担い手であるソ-シャル・ワ-カ-の専門性の高さとその社会的認知が存在することを見失ってはならない。多様な機関に所属しつつも、活動の担い手相互間には専門性という共通項があって、それが、わが国には見られないような機関相互間の良好な連携を生み出しているという点も、特記すべきことである。
著者
辻 大地
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-04-25

報告者は昨年度までに、前近代アラブ・イスラーム社会の性愛観念においては、男性/女性という身体的性に基づく区分よりも、成人男性/非・成人男性という社会通念に基づく区分が重要であったことを明らかにしてきた。本年度執筆した、ジェンダー研究に関する書籍の項目(「同性愛/異性愛」『論点・ジェンダー史学』2021年刊行予定、「中世ムスリム社会の男性同性愛と政治」『ひとから問う世界史―ジェンダー視点から』2022年刊行予定)は、主にこれらの成果に基づくものである。一方で、昨年度から今年度にかけての本研究の成果として、中世イスラーム社会において「同性愛」概念に類似した意識が芽生えていた可能性を見出した。すなわち特定の人物がある時点において、中傷行為における言説上の展開や医学知識の伝播によって、実際の行為の有無に限らず「同性と性愛関係を結ぶ者」として捉えられるようになるという可能性である。これは上記の区分と必ずしも矛盾するわけではないが、先行研究が無批判的に前提としてきたテーゼに修正を迫るものである。この内容は、比較ジェンダー史研究会とイスラーム・ジェンダー学科研研究会の合同研究会(「同性愛の比較文化史」)で比較史的観点から問題提起する報告を行なったほか、関連する内容を含む論文を学術誌に投稿し現在査読審査中である。加えて現在までの研究成果に対して第11回日本学術振興会育志賞を受賞した。3年間の本研究課題によって、当初の計画に則った成果に加え、上記の通り「同性愛」概念の形成過程に関する新たな気づきを得られた。そこで来年度以降は、育志賞の副賞によって採用予定の特別研究員(DC2)として本研究を発展させ、博士論文に結実させたい。
著者
松山 倫也 北野 載 坂口 圭史 長野 直樹
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

マサバは養殖対象種として有望であるが、クロマグロ同様、稚魚期の共喰いにより生残率が著しく低い。本研究では、ゲノム編集技術を利用して、攻撃性関連遺伝子であるAVTR-V1a2を破壊したマサバの品種作出を目指した。その結果、TALENによりAVTR-V1a2の両アレルが破壊(ホモKO)された21尾の個体を作出することに成功した。今後、これらの個体を用いて、大量の稚魚を生産し、形質を評価する予定である。
著者
梅村 又次
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
1961

博士論文
著者
木村 拓也 荒井 克弘 大塚 雄作 林 洋一郎 西郡 大 立脇 洋介 中世古 貴彦 竹熊 尚夫 花井 渉 田中 光晴 渡辺 雅幸 牧 貴愛 関口 洋平
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は,大学入学者選抜統一試験が、高等教育の大衆化・国際化・情報化という大きな変化の中で、如何に制度としての公平性・公正性を担保しているのかについて学際共同研究を行うものである。資格試験制度と選抜試験制度とがモザイク状に混在するアジア各国の大学入試制度に着目し、時代の変化と共に制度設計が益々困難となりつつある、大学入学者選抜統一試験に焦点を当てる。本研究では、教育計画論の立場から大衆化に代表される変化の中での大学入学者選抜統一試験の課題を理論的に精査し、比較教育学の立場からその制度変容(改革経緯)と制度設計の具体を精査し、社会心理学の立場から受験生の納得感を公正知覚の観点で計量分析を行う。
著者
水野谷 祥子 (澤野 祥子)
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

遅筋と速筋に発現する脂質代謝関連遺伝子を網羅的に解析し、その発現量の比較を行った。遅筋モデルとしてsoleus、速筋モデルとしてEDLを用い、各々の筋組織からRNAを抽出・処理した後、次世代シーケンサーを用いたRNA-Seq解析に供した。得られたデータセットの品質評価・マッピング・発現量の正規化を行い、遅筋(soleus)と速筋(EDL)に発現する遺伝子の差異について検討した。遅筋と速筋それぞれに発現する全ての遺伝子を比較した結果、558個の遺伝子について有意な発現量の差異が認められた。そのうち遅筋における発現が多い遺伝子は230個であり、遅筋タイプの筋線維マーカーであるMyHC1をはじめ、β酸化・TCA回路関連遺伝子を中心に有意に発現量が高かった。速筋における発現が多い遺伝子は228個であり、糖代謝に関わる遺伝子発現量が有意に高いことが分かった。遅筋に多く発現する脂質代謝遺伝子について詳細に解析した結果、脂質酸化系に関連する遺伝子だけでなく、脂肪酸取込に関わるCD36 (fatty acid translocase)および、トリグリセリド合成に関わる遺伝子についても有意に多く発現していた。これらの脂質合成系の遺伝子発現量の増加はreal time RT-PCRにおいても認められた。したがって、当初の推測通り、遅筋においては、酸化によるエネルギー燃焼を行いつつ合成系の働きも亢進しエネルギー枯渇を防いでいることが示唆された。
著者
中本 龍市 中園 宏幸 舟津 昌平 原 泰史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究の目的は、専門サービス組織の組織成長の要因と過程を明らかにすることである。すでに触れたように、組織の成長は時間的変化を持つ多面的な現象であるため、この答えを導くには、定量および定性研究を併用する必要がある。Penroseの理論を援用すれば、組織成長の要因と過程を明らかにするためには、インタビューなどの質的研究を通して当事者の機会の認識や経営資源の使い方の意思決定を分析する必要がある。この点について、本研究では、営利企業ではなく、専門サービス組織を対象とするため、既存研究の境界条件が明らかにできる。
著者
田中 長三郎
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
1954

博士論文
著者
岡 孝和
出版者
九州大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本年度は以下の2つの実験を行った.実験には雄ウイスターラット(300-350g)を用い,侵害受容閾値の測定にはプランターテストを用いた.[1] インターロイキン-1β(IL-1β)を視床下部視索前野(POA)に投与したときに生じる痛覚過敏におけるNOの関与の検討.実験1週間前に麻酔下でガイドカニューレとスタイレットをPOAの1.0mm上まで埋め込み,実験当日,薬物を目的部位に注入しpaw-withdrawal latencyの変化を観察した.IL-1β10pgをPOAに投与すると15-30分後にpaw-withdrawal latencyは短縮したが,IL-1β+N^G-monomethyl-L-arginin(10μg)を同時投与すると短縮効果が抑制された.POAにおいてIL-1βはNOを介して痛覚過敏を生じると考えられた.[2] Lipopolysaccharide(LPS)全身投与によって生じる痛覚過敏/鎮痛作用におけるプロスタグタンジン(PG)の関与の検討.LPS1-100μg/kgを静脈内投与したところ,投与45-60分後にpaw-withdrawal latencyが短縮した.一方,120分の観察時間内ではpaw-withdrawal latencyの延長はみられなかった.シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤であるNS-3981.0ng/0.3μlを両側POA内に局所投与したところpaw-withdrawal latencyの短縮が抑制されたが,腹内側核,室傍核内への投与では抑制効果がみられなかった.細菌感染症にかかった時に生じる痛覚過敏にPOAでのPG産生が関与すると考えられる.
著者
上村 直己
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
2004

博士論文
著者
西山 和宏
出版者
九州大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

申請者は、受容体作動性/脂質作動性カチオンチャネルTRPC3の心臓リモデリングにおける役割に着目し、TRPC3と活性酸素生成酵素 (Nox2)との複合体形成を介した過剰な活性酸素の産生がマウス・ラットの心筋細胞萎縮や間質の線維化を形成する引き金となることを見出してきた。興味深いことに、TRPC3-Nox2複合体形成による筋萎縮は心臓だけにとどまらず、同じ赤筋である骨格筋typeI線維の萎縮にも関与する可能性が新たに示されてきた。そこで本研究では、哺乳動物個体の赤筋萎縮(衰弱)に着目し、その根底にあるTRPC3-Nox2複合体の形成機構を解明する。