著者
渡辺 徹也
出版者
京都大学
雑誌
京都大学生涯教育学・図書館情報学研究 (ISSN:13471562)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.103-112, 2002-03-25

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
本田 裕志
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2010-07-23

新制・論文博士
著者
城下 荘平 熊本 博光 永平 幸雄 西原 修
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

明治になって欧米の先進諸国から近代機械技術が導入される以前の江戸時代に、我が国に存在したからくりは複雑な動きを、機械的な機構だけで行っている。それらの動きを実現している機械機構は、近代機械技術で用いられているものも含まれている。江戸時代の機械書、『機巧図彙』や『き訓蒙鑑草』にはそれらのからくりの機械機構が図解されているが、しかしながら、描かれている図が部分的過ぎて直感的に理解し難い。本研究では、からくりの中でも特に多様な機械機構を含んでいる"茶運人形"について、人形の各動作、すなわち、発進と停止の機構、足を前後に動かす機構、お辞儀をする機構、方向転換をする機構、逃し止め(エスケープメント)機構の理解し易い機構図を作成し、アニメーションを作成した。作成したアニメーションは京都大学総合博物館のウェブサイトに掲載した。そして、それらと近代機械機構を表しているルロー教育模型とを比較することで、江戸時代の機械技術を検証した。また、からくりやルロー模型に含まれている機械要素についても比較検討した。段返り人形についてもアニメーションを作成し、同様の検討を行った。これらの検討から、木や糸や鯨のヒゲで作られた江戸時代からくりの機械機構は高度ではあったが、金属を精密に切削加工する技術がなかったため、我が国においてからくりの機械技術が広く産業に応用されることはなかった、などのことが明らかとなった。
著者
坂部 晶子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

日本が「満洲国」というかたちで植民地侵略を行った中国東北地区をとりあげ、地域に残された植民地の記憶が、新中国成立以降の地域社会のなかでどのように再編成されてきたのかを、歴史資料館、記念館の展示形式や、聞きとり記録、また当事者からライフヒストリーの聞き取りといった作業をとおして実証的に解明するという本研究の目的にむけて、本年度においては、中国東北地区においてこれまで収集してきたデータや資料の整理、また日本国内における補足調査を中心に研究が進められた。中国関係資料としては第一に、黒竜江省東寧県で昨年収集された「満洲国」期の労働者(「労工」)への聞きとりデータの整理、分析を行った。第二に、中国では解放後以降長期にわたって、各省、市、県などのそれぞれのレベルで、植民地占領期の回想録や聞きとり調査の資料が「文史資料」というかたちで収集、編集されている。これらの資料は、日本での「満洲国」研究のなかではさほど重視されていないが、当事者の語りや記憶に注目する本研究にとっては重要な一次資料である。そのため「文史資料」のエクステンシブな収集と整理を行い、中国東北社会における「満洲経験」のティピカルな表現を抽出し、地域に残る植民地記憶の枠組みをとりだし分析した。さらに、日本国内における補足調査として、長野県上山田町および泰阜村、飯田市等で「満洲開拓団」の出身母村での聞きとり調査を行った。「満洲国」奥地に入植させられた日本人開拓民は、「満洲国」期と戦後とをつうじて、他の日本人植民者に比べて、一般の中国東北社会と比較的かかわりが深かったといえる。彼らの体験談や視点をとおして、植民地社会における植民者-被植民者の関係性や植民地経験のその後の記念化のあり方を分析している。今年度の調査資料およびこれまでの研究データを総合して、植民地経験の記憶化の錯綜した諸相について、後述の論考のなかで総合的に分析を行った。
著者
河西 瑛里子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究では、1)スピリチュアリティという宗教的実践の身体経験によって生じた人生に対する価値観の変容に着目し、スピリチュアリティのもつ癒しの機能について明らかにし、2)癒しの視点から、スピリチュアリティという実践を宗教と医療の両領域から総合的に考察することを目的としている。最終的には、心療内科系疾患の患者に対して、スピリチュアルな身体経験を通じた癒しの可能性を提唱することを目指している。本年度は以下のような活動を行った。1、研究成果の発表2008年度に実施した宗教的実践としてのスピリチュアリティに関する現地調査の結果を2本の論文にまとめ、出版された。さらに、現代英国におけるスピリチュアリティの実践について、日本文化人類学会で報告した。2、英国グラストンベリーでのフィールドワーク・2009年4月~5月:公的な医療制度の中でのスピリチュアリティの実践の調査のため、公的な医療従事者へのインタビューと、チャプレンなど病院における宗教的活動の実践に関して、観察を行った。・2009年6月:英国人のスピリチュアリティについてよりよく理解するため、英国の一般的な日常生活に関する調査を行った。具体的には、銀行・郵便局・定期市のしくみやサービスの種類、庭づくりに関する考え方などを調査した。・2009年7月~8月(科学研究費補助金使用):当地でおこなわれたヒーリング・ワークショップにおいて、参加者に対してスピリチュアリティ体験のインタビューと参与観察を行った。ヒーリング関係の雑誌の調査をおこなった。・2009年8月~:コミュニティと癒しについて探るため、二つの宗教的なグループ及び夏に参加したヒーリング・ワークショップの定期的な集まりに継続的に参加し、そこで交わされる会話について参与観察をおこなっている。また、文化人類学等の基本文献の精読、図書館において当地の歴史的資料の収集も実施している。また、調査を行いながら、データの整理と分析も同時に進めている。
著者
木下 泉 青海 忠久 田中 克
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

四万十川河口内で浅所と流心部の仔稚魚と魚卵の出現状況から,アユ,ハゼ科等の河川内で孵化し,成長した後,河口内浅所に接岸するグループ,カサゴ,ネズッポ科等の河口付近で孵化するが,その後他の水域へ移動するグループ,ボラ科,ヘダイ亜科等の沖合で孵化し,成長した後,河口内浅所に接岸するグループの3つに分けることができる.河口内浅所のアマモ場,非アマモ域と河口周辺の砕波帯を比べると,アマモ場と砕波帯には各々特徴的な種がみられた.本河口内には海産魚類の仔稚魚が多く出現し,砕波帯にも共通している.しかし主分布域は種独特の塩分選好性により河口内浅所と砕波帯に分かれ,河口内浅所はプロラクチン産生等で低塩分適応を獲得した特定の仔稚魚が成育場としていると考えられる.河口内浅所と砕波帯との共通種の加入サイズは一致し,これら仔魚は砕波帯を経由せず沖合から直接河口内に移入し,浅所に接岸すると考えられる.本河口内と沖合との間には著しい塩分勾配がみられ,河口内への仔稚魚の移入に塩分の水平的傾斜が関与している可能性が高い.成育場での仔稚魚郡集は滞在の長短によりresidentグループとmigrantグループに大別されるが,本河口内浅所の仔稚魚の多くは前者に属する.この点で殆どがmigrantグループである砕波帯の仔稚魚相とは大きく異なる.しかし河口内浅所におけるresidentグループには成長に伴ってアマモ場に移住する種が多い.一方,アマモ場は本河口内浅所が仔魚から若魚期に至る成育場として重要な環境要素となっている.本河口内で生活する仔稚魚は枝角類・橈脚類に加え,流心部に多く分布するハゼ科・アユ仔魚を多く摂餌している.浮遊期仔魚は浮遊甲殻類に比べて,はるかに質的に重要な餌生物であろう.以上のように,本河口域浅所は豊富で独特な餌料環境を形成するとともに,逃避場所や定着場所として利用されるアマモ場が周年存在することにより,低塩分環境に適応した特定の魚類にとって,初期生活の大部分を過ごすことができる重要な成育場となっていることが分かった.
著者
寳月 誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1920年代から20世紀末までの約80年間のアメリカ社会学における主要な逸脱理論の展開過程は以下の時期に区分される。20年代から30年代のシカゴ学派、40年代から50年代のアノミー論や機能分析、60年代のレイベリング論や闘争論、70年代から80年代の保守的な時代の実証主義、90年代から21世紀にかけての統合理論の時代である。この過程を理論的パースペクティブからみると、構造論・相互作用論・行為者論の基本モデル間の循環・組み換え・統合として捉えられる。また、方法論は、実証主義/解釈主義、分析的/ナラティブ、リアリズム/構築主義に区別されるが、これらも時代によって主流となる方法論は交代している。こうした理論の展開過程から知の創造性を活性化する条件として、知識社会学的に以下の点を読み取ることができる。1.新規な逸脱理論は突然生み出されるものではない。構造論・相互作用論・行為者論の基本的パースペクティブ間の循環や組み換え、さらに実証主義や解釈主義などの方法論の交代として生じる。2.逸脱理論の発展は対立する視点を互いに考慮して、自らの立場をより鮮明にしたり、逆に相手の立場を取り入れて互いが類似してくることによって生じる。アボットが指摘するよう、対立する視点から現象を捉える「フラクタルな思考」は、理論の創造性において重要な役割を果たしている。3.理論が基本的なパースペクティブ間の循環であるとすれば、学界で影響力を発揮するには、それが伝統的な理論の継承や再解釈に基づくものであることをアピールし、一定の正統性を引きだすのが効果的である。4.学界での影響力は、理論自体の妥当性以外に、学派内部でのコリンズのいう「相互作用儀礼」の活発度や大学の威信などによって左右される。5.理論の交代を促す要因は社会・時代の要請と関連している。時代にマッチした逸脱理論は人々の関心を得て支持され、現実の政策に反映され、研究資金も獲得しやすく、大学でのポストも得やすい。注目を集める理論・学派ほど、「雪だるま式」に勢力を拡大する。
著者
今田 絵里香
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

(1)戦前日本の「少年」「少女」というジェンダーの解明 近代日本の都市新中間層の子どもイメージを「少年」「少女」という表象を手掛かりに解明するため、昨年度まで「少女」、今年度は「少年」という表象の解明に取り組んだ。方法として少年雑誌『日本少年』を分析した。その結果、1920年代は勉強・文芸というホワイトカラー的なイメージを都市新中間層の「少年」にふさわしいものとして示し、他の階層の男子と差異化していた。より文芸に力を入れる都市新中間層の「少女」とも差異化していた。しかし、1930年代、下層や地方在住の子どもを読者として取り込み、軍事・スポーツを示して成功を収めた『少年倶楽部』の勃興により、『日本少年』はホワイトカラー的なイメージを捨て去ろうとし、「センチメンタリズム」として「少女」に押しつけていく。このようなことがわかった。(2)少年少女雑誌の読者への聞き取り調査 かつての読者たちは高齢であるため、難航した。しかし、数人の読者に手紙のやりとり・電話でのインタビューなどの方法によって、当時のことを尋ねることができた。(3)戦後の「少年」「少女」というジェンダーの解明 戦後日本の「少女」という表象を解明するため、戦後の少女文化をリードした『ひまわり』『ジュニアそれいゆ』を分析した。その結果、男女共学化の影響によって、男子禁制であった少女雑誌に男子が出てくることがわかった。「少女」にとっては「少年」とどう関係を築くかということが重要なものとなり、そのような男女交際のできる青春時代を「ジュニアの時代」と表象され、輝かしいものとして称揚されるようになったことがわかった。(4)西欧の「少年」「少女」文化との比較 PISAで高得点を取ったフィンランドは少年少女文化を支援するためのセンターが充実している。このようなフィンランドの取り組みについて調査をおこなった。
著者
板谷 良平 北條 仁士 久保 寔 八坂 保能 阿部 宏尹
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1987

RFタンデムミラ-は、イオンサイクロトロン高周波(ICRF)のみを用いて、完全軸対称タンデムミラ-閉じ込めを実現しようとするものである。本研究において、セントラルRFとプラグRFの組合せにより、プラズマ生成、MHD安定化、イオン加熱、ならびに熱障壁付閉じ込め電位形成の全てが、ICRFにより達成できることを実証した。1.中央セルにおいて、セントラルRFにより励起したヘリコン/速波により、電子密度n〜1.8×10^<13>cm^<-3>、β値〜10%の高密度ヘリウムプラズマが生成された。2.n〜0.4×10^<13>cm^<-3>の2種イオンプラズマにおいて、混成共鳴層が存在するとき、イオン温度Ti〓〜220eVが得られた。これは、ヘリコン/速波が共鳴層で遅波にモ-ド変換され、少数イオン加熱が生じたためである。プラズマはRF動重力によりMHD的に安定である。3.セントラルRF入射によりプラグセル中央において電位のくぼみが観測された。これは、プラグセルで加熱された少数イオンがスロッシングイオン分布を形成したためである。また、n〜0.2×10^<13>cm-^3、Ti〓〜140eVにおいて、プラグセルに60〜80Vの閉じ込め電位が形成され、イオンの端損失の減少が達成された。計算によると、この閉じ込め電位により、軸方向の閉じ込め時間は2〜3倍に改善された。4.プラグRFの重量により、プラグセルにおいて約100Vの閉じ込め電位とともに約90Vの熱障壁電位が形成され、その電位の深さはプラグRFの入射電力にほぼ比例する。イオンの掃き出し機構は、プラグRFの方位角方向動重力に基づくイオンの半径方向の非両極性損失によるものであろう。
著者
加藤 幹郎 田代 真
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

今日のテレビゲーム(以下VG)の構造上の最大の特徴は、それが枠をもっているということである。すなわちゲーム・プレイヤー(以下GP)は一定の空間的枠内の外に出ることをプログラミング上禁じられている。GPはゲーム空間内のキャラクター(以下C)を操作するとき、Cがそれ以上向こう側へは行けない可視、不可視を問わない一種の柵に囲まれていることに気づかされる。これは自然の稜線であったり、人工的な文字通りの鉄柵だったり、たんにVGの所与のフレームであったりするのだが、製作者サイドに立てば、無限の空間設定でヴイジュアル世界を構築することに、物語論的、ゲーム理論的意味を見出せないことを意味している。しかしGPサイドに立てば、一定の世界の枠内でゲーム世界が構築され、そこでしか冒険とファンタジーとヴァーチュアル・リアリティ(以下VR)の世界が成立しないというのは、意識的、無意識的とを問わずに、GPに、閉じられた世界でゲームをすることを文字通り馴致するシステムとして働くことになる。GPがどんなにダイナミックなゲーム空間で遊戯していても、それがつねに不可視的ないし可視的に閉じられた世界であることは、そのダイナミックな外見に閉域としての内実をあたえ、GPが基本的に閉じられた世のなかでしか行動を起こせないということをGPに教育するものであろう。今日のVGの以上のような看過しがたい特徴は、VRとインターネットの展開によって、いながらにして世界のどこへでも行ける、触れる、感じられる、見られる、聞けるという擬似世界の増加によって、ますます強化されているように思われる。そしてこの狭隘化は親密な伝統的共同体の構築を意味せずに、ただ空疎な狭隘化しか意味しない。このようなVGで遊び育った子供が大人になったときに、どのような共同体を現実社会のなかに築くことになるのかは今後の社会学的リサーチの成果に委ねたい。
著者
太郎丸 博
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

2007年に実施された郵送調査とインターネット調査のデータセットを使い、いくつかの変数に関してそれぞれの分布をより正確と思われるデータと比較した。まず年齢について2006年11月の人口推計と比較すると、郵送もインターネット調査も15~19歳のサンプルが少ない。特にインターネット調査のほうが歪みが大きい。しかし、その他の年齢に関してはむしろ、インターネット調査のほうが歪みが小さかった。また性別に関してもインターネット調査のほうが歪みが小さい。最終学歴に関しては、郵送もインターネットも、女性の高学歴サンプルが過大に含まれ、中卒男女のサンプルが過小に含まれていた。また、インターネット調査に関しては男性高学歴者も過大に含まれていた。さらに、結婚時の理想の働き方を女性に対して尋ねた質問項目のゆがみを、出生動向基本調査と比較することで検討した。その結果、郵送調査では18~24歳で就業継続希望者が過小に含まれており、25~29歳で中断希望者が過大に含まれていた。インターネット調査は、出生動向基本調査と大差ない分布であった。この理想の働き方と、本人の従業上の地位などの変数との関連の仕方を対数線形モデルやロジスティック回帰分析で比較したが、インターネット調査と郵送調査で有意な違いは見いだせなかった。このような分析結果を総合すると、インターネット調査を行う場合、年齢、性別、学歴という3変数に関しては、クォータ法を使ってあらかじめ割り当てておくことが必要である。今回の分析では、無職と非正規雇用を意図的に過大にサンプリングしたので職種がどのように歪むかはわからなかった。いずれにせよ、分布が既知の重要な変数に関してはできるだけ細かく割り当てを行うことが、インターネット調査の代表性を高める上で重要であることが分かった。また、1変数の分布だけを見れば、若干の歪みが見られるものの、変数間の関連の強さに関しては有意な違いが見られず、一定の有効性があると考えられる。
著者
金 智鉉
出版者
京都大学
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.108-121, 2006-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。This research examines the causes behind the Reading Rights Movement by the Blind. Two problems for the movement exist. The first problem is the fact that the Blind have expressed their preference for information needs to the public libraries instead of the Braille libraries. The other problem is that Braille libraries could not respond to their needs. One of the reasons for these two problems is the fact that information needs of the Blind have increased due to widespread adoption of and improved education for the Blind. The other reason is a gap exists between the services of Braille libraries and the information needs of the Blind.
著者
三輪 美樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

集合体恐怖症トライポフォビアとは、蓮の花托やフジツボ等小さな穴や隆起物の集合体に対して名状しがたい不快や嫌悪を抱く状態を指す。公式の恐怖症ではないが世間の関心は非常に高く、2013年に学術的探索が開始されて以来、加速度的に研究が推進されている。生命を脅かす危険生物や病気・病原体に対する生得的適応反応との説が有力であるが、それを裏付けるようなヒト以外の動物での研究はまだない。またトライポフォビアの特徴である「怖いもの見たさ」についても検討されていない。本研究は、トライポフォビアの機序解明のための非ヒト霊長類モデル作製とトライポフォビアの「怖いもの見たさ」立証を目的として実施する。
著者
最上 晴太 近藤 英治 千草 義継
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

前期破水は早産の主要な原因である。早産は時に出生児に合併症・後遺症を残し、医学的・社会的に大きな問題である。本研究では、①ヒト羊膜において破水前に微細な損傷→修復という細胞外マトリックスのリモデリングが行われ、恒常性の維持機構があるか、②胎仔マクロファージ欠損マウスを用いて、自然免疫による羊膜の修復機構をin vivoで解析、③細胞外マトリックスによる前期破水の治療法の探索を行う。このように前期破水を「卵膜の恒常性の破綻」という新たな観点からとらえて、早産の予防・治療法の開発を目指す。
著者
佐野 徳隆
出版者
京都大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2023-04-01

下垂体疾患(下垂体腫瘍・ラトケ嚢胞・下垂体の炎症性疾患)で手術を受けた患者の、病変部の検体および偶発的に採取された正常下垂体(特に前葉)組織を用いて、①下垂体組織幹細胞の染色と分離、②分離した幹細胞の培養、③培養、分化させた細胞のマウスへの移植を順次行うことで、将来的に歯下垂体機能低下症に対する自家細胞移植治療法の開発に寄与することを目標としている。