著者
山本 祐輔
出版者
京都大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

【研究目的】本研究では、初心者リサーチ・アドミニストレータ(以下URA)やURA志望の職員・若手研究者が、研究プロデュース業務(URA業務)を象徴するケースに触れることで「URA業務の全体像や個々のケースを乗り切るための考え方」を獲得するためのゲーム教材を開発した。【研究方法】以下の手順で研究を行った。①URAおよびURA類似職員に対するヒアリングを通じたURA業務事例の収集、②URA業務の分類・モデル化、③URA業務を象徴するケースの抽出、④ゲーミフィケーションを用いたURA体験ゲームプロトタイプの開発、⑤プロトタイプテスト。【研究成果】研究開始当初、ボードゲーム形式でURA業務を体験・議論することを計画していたが、ゲーム参加者が議論したいURA業務事例を自ら積極的に選び、他の参加者と活発な議論ができるよう、ゲーム形式の再検討を行った。その結果、かるた形式のゲームを開発した。かるたには、URA業務で象徴的な場面に加え、その場面を乗り切るための考え方・方法を記した選択肢が2つ書かれている。ゲームの参加者は50種類のかるたから、自分が議論したいかるたを選択する。選択したかるたを元に、ゲーム参加者はかるたに書かれた場面をどう乗り切るかについて、自分の意見をぶつけながら議論する。最終的に一番盛り上がったかるたを多く持っていた参加者が勝者となる。プロトタイプテストを通じて、本かるたゲームはURA初心者にもURA経験者にも、URA業務に対する考え方を深めるために効果があることが示された。ゲーミフィケーションを用いることで、URA研究会などでは質問・議論しづらいことを遠慮無く他の参加者にぶつけることが可能になった。また、体験したことがないURA業務に対する考え方を、他の参加者から吸収する機会を創出することができた。一方で、ゲームを終了するのに時間がかかるなどの問題も明らかになった。今後はゲームバランスを調整し、URA研究会などでゲーム体験会を実施したい。
著者
大槻 信
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、はじめて訓点資料に触れる人に向けた「訓点資料入門」を作成することを目的とする。同時に、その「入門」を用いて大学院生などの若手研究者を育成し、その若手研究者と共同で訓点資料の原本実地調査・研究を行うことを目的とする。「入門」を教育に実用することにより、プロトタイプの「入門」を作成し、その改訂を進めた。同時に若手研究者育成と研究の進展を目指す。
著者
北村 由美 片岡 樹 芹澤 知広 津田 浩司 奈倉 京子 横田 祥子 中谷 潤子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、インドネシア華人とその再移住の調査を通じて、脱植民地化、国民国家形成、冷戦といった20 世紀のアジアの国際関係をとらえなおすことを目的とし、オランダ、中国、香港、台湾、マレーシア、日本などインドネシア華人の移動先において調査を行った。本研究によって、第二次世界大戦後から21世紀初頭にいたるインドネシア華人の国際移動をめぐる複雑な実態が明らかになるとともに、インドネシアが民主化とグローバル化を迎えた現代において、各地に定住しているインドネシア華移民が、出身国であるインドネシアと新たに構築しつつある関係についても一部明らかになった。
著者
木下 昭
出版者
京都大学
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.208-234, 2015-01-31

The purpose of this paper is to analyze memoirs of Japanese teachers deployed to the Philippines in the Asia Pacific War. The Japanese military tried to teach Filipinos the Japanese language in order to make them accept the legitimacy of the Japanese invasion. Education was the basis of the occupation policy, with about 180 teachers being deployed all over the Philippines. Their students were not only children but also bureaucrats, police officers, and Filipino Japaneselanguage teachers. After American forces came back to the archipelago, however, the Japaneselanguage classes were gradually terminated and teachers struggled to survive in the mountain areas. Some survivors contributed articles about their war experiences to the journal Sampaguita after the war. This paper looks into their stories to understand what they thought about their work in the Philippines. Many of them gave themselves high marks for their education, even though they criticized the Japanese occupation of the Philippines. There are several reasons for their mindset, including the influence of US colonization policies and Japanese occupation policies on the Philippines, as well as teachersʼ occupational identity. The teachers are proud of having worked at schools, because they engaged in education their entire lives and maintained good relationships with former students after the war. They considered the friendships to be evidence of their educational achievement.
著者
伊藤 大雄
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1995-03-23

新制・論文博士
著者
田島 充士
出版者
京都大学
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
no.19, pp.73-86, 2013-12-01

The present study investigated the potential of university education from the perspective of Vygotsky's semiotics.Following Vygotsky's theory, this study defined "partial understanding" as rote learning that enables learners to use whatis learned in only one social context, and defined the ability to generalize the application of such knowledge beyond thatcontexts as "boundary crossing" (Engeström, 2001; Engeström, Engeström & Kärkkäinen, 1995; Wenger, 1998). Thus,boundary crossing can be considered the ability to connect, during dialogic interactions, knowledge that has been nurturedin different social contexts. However, engagement in co-creative communication with others from heterogeneous socialbackgrounds is not easy; some students achieve only partial understanding, even in interactions that require each speaker toengage in boundary crossing. In examining the effects of recent interventions by universities to promote students' ability toengage in boundary crossing and move beyond partial understanding, I identified those characteristics of university teachersthat render them especially well-suited to facilitate this kind of growth in their students.
著者
佐藤 卓己 佐藤 八寿子
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では 20 世紀日本を代表する国民的メディア・イベントの分析を通じて、青年文化の変容を検討した。《NHK・青年の主張全国コンクール》(1954 年-1989年)の優秀作品をデータベース化し、量的および質的に分析した。また、関連資料の分析から日本社会における「青年」への眼差しの変化を明らかにした。その結果は『青年の主張-幸福感のメディア史』(仮題)として河出書房から出版の予定である。
著者
松下 佳代
出版者
京都大学
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
no.18, pp.75-114, 2012-12-01
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to analyze how the assessment of the quality of learning in higher education is conducted through performance assessment and to identify what conflicts arise between two paradigms. First, to depict the structure of the arguments of learning assessment we set two axes, one of which was the axis of direct measures vs. indirect measures; the other was the axis of psychometrics paradigm vs. alternative assessment paradigm. Next, we observed two trends in present performance assessment movements which reflect two contrastive paradigms, even though performance assessment was originally proposed under the alternative assessment paradigm. One trend is to construct an objective standardized test of performance assessment type, a representative example being the Collegiate Learning Assessment (CLA) adopted by the OECD's Assessment of Higher Education Learning Outcomes (AHELO). The other trend is to collaboratively develop performance assessments advanced by Alverno College and the Valid Assessment of Learning in Undergraduate Education (VALUE) Project of the American Association of Colleges & Universities (AAC&U). Lastly, we produced the contrast between limited academic learning and the whole student engagement as the third axis of learning assessment arguments. We can analyze the types of present learning assessment activities along these three axes.
著者
大西 博士
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2002-03-25

新制・課程博士
著者
西渕 光昭 山崎 伸二 竹田 美文
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

腸炎ビブリオの重要な病原因子である耐熱性溶血毒(TDH)をコ-ドする遺伝子(tdh)の発現を促進する調節因子(VpーToxR)を解析した。VpーToxRをコ-ドする遺伝子(VpーtoxR)はコレラ菌の病原因子発現調節因子(ToxR)の遺伝子と52%の相同性を有しており、推定アミノ酸配列も類似し、特に発現調節に関与すると推定される領域およびtransmembrane領域と考えられる部分では非常に強い売似性が認められた。大腸菌中で、クロ-ン化したtdh遺伝子とVpーtoxR遺伝子を共存させた系で、VpーToxRがtdh遺伝子(tdh1〜tdh4の中で特にtdh2およびtdh4)の発現を促進することを確認した。またtdh2遺伝子について、コ-ドン領域上流144bp付近の塩基配列がVpーToxRによる発現促進において重要な役割を果たしていることが明らかになった。ただし、ゲルシフト法によってVpーToxRの結合能を調べたところ、VpーToxRはコ-ドン領域のすぐ上流(68bpまで)に結合することを示唆する成績が得られ、さらに上流(144bp近付)の塩基配列は、結合したVpーToxRとの間の何らかの相互作用によってtdh2遺伝子の発現促進に関与しているのではないかと考えられた。VpーtoxR遺伝子プロ-ブを作製し、これを用いたハイブリダイゼ-ション試験により、この遺伝子はほとんどの腸炎ビブリオ菌株に存在することを明らかにした。AQ3815株を用いて、VpーtoxR遺伝子を特異的に不活化したisegenic変異株を作製した。この変異株と野生株との比較によって、VpーToxRによるtdh遺伝子の発現促進は、KPブロス中で菌を発育させた場合に特に顕著で、発現促進作用は転写レベル(mRNA)でおこっていることを聖らかにした。
著者
品川 哲彦
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2007-03-23

新制・論文博士
著者
尾下 成敏
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2004-11-24

新制・課程博士
著者
小川 正 相原 茂夫 森山 達哉 佐藤 文彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1,食物アレルギー患者が血清中に保有するIgE抗体の認識する食品素材中のタンパク質成分を、網羅的にイムノブロット法を用いて検出、特定すると共に、Nー末端アミノ酸配列の分析を行って得られた情報を基に、コンピューターデータベースに基づく解析を行い、既知タンパク質成分に帰属し、同定した。これらの情報を基に、植物に特有の感染特異的タンパク質(PR-P)ファミリーに属するものを選択した。(1)患者血清の認識するタンパク質成分として、ニンジンより20kDaアレルゲンとして、cyclophilin(cyclospolin A binding protein)を同定した。(2)ジャガイモより、18kDaアレルゲンとして、シラカバ花粉症の主要アレルゲンBet v 1 homologueを同定した。患者血清は、ピーマンやリンゴ由来の18kDaと交差する。(3)トマトより45kDaアレルゲンとして、コルク質形成関連酸性ペルオキシダーゼを同定した。(4)二十日大根より、37kDaアレルゲンとしてGlutathione S-transferase,25kDaアレルゲンとして,feredoxine/NADH oxidoreductaseを同定した。(5)リコンビナントPR-5dを用いて患者血清をスクリニングしたが、認識抗体を保有する患者は確認することが出来なかった。この事実は、PR-5ファミリーに関しては感作能が低い(アレルゲン性が低い)と考えられる。以上のアレルゲンタンパク質にはPR-Pに分類される物が多いことが判明した。その他の帰属不明なタンパク質も,PR-Pである可能性は高い。これらの事実は、PR-Pがヒトの食物アレルギーの罹患、発症に関わる感作、即ちIgE抗体の産生を特異的に誘導していることを強く示唆するものである。また、これらのアレルゲンは植物界に広く分布し、互いに相同性が70-80%以上あることからパンアレルゲンとして交差反応性が問題となることが示唆された。一方、これらは素材をストレス下で栽培することにより、その含量が変化する事実を確認に下。従って、生産条件の管理が植物性食品のアレルゲン性を大きく左右することを立証した。2,植物性食品素材毎に抽出調製したタンパク質画分を二次元電気泳動を行って、一次元目の情報、等電点、二次元目の情報、分子量をセットとする画タンパク質の戸籍簿を作成する。更に、二次元のイムノブロットにより患者血清の認識するタンパク質成分をマッチングさせ、アレルゲンのとなるタンパク質成分を特定する。この特定成分上に、各種属性を三次元の情報として蓄積し、一食品素材一データベースシートを構築する。日本標準食品成分表と対比出来るようにする。更に、情報として、PR-Pの特徴であるストレス負荷によるアレルゲン性の増減をデータベース上に搭載し、食物アレルギー患者の治療、栄養指導における有効かつ緻密な情報源として提供することが可能である。又、低アレルゲン化の程度、加工食品における混合素材アレルゲンの網羅的解析が可能となるであろう。