著者
安孫子 誠男
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学経済研究 (ISSN:09127216)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.109-144, 1994-03-02

The macro modelling of a'fordian' growth regime proposed by R. Boyer has combined two lines of empirical and theoretical studies : on one hand the 'regulation' approach which focuses on the succession of different accumulation regimes, on the other hand the statistical researches which try to explain the slow-down of productivity and employment in Europe since the Seventies. The article aims at clarifying critically, along Boyer's path to macro formalizing, how the 'regulation' approach deales with technological change, wage labour nexus ('rapport salarial'), and investment determinants in the medium and long run. In this first part, it is argued that Boyer has investigated, based upon the evidence of various historical stylized facts, the originalities of wage formation and price trend after the World War II.
著者
笠井 孝久
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. I, 教育科学編 (ISSN:13427407)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.221-229, 2000-02-29

不登校児童・生徒数は増加の一途をたどっており,彼等に対する関わりも,従来からの学級担任による助言・指導,相談機関等での相談の他に,スクールカウンセラーによる対応や適応指導教室の設置,野外体験活動の実施など多様な形態となってきている。しかし,現職教員が不登校児童・生徒と直接関わる機会は,まだそれほど多くない。自分の学級の生徒が不登校になった場合や,校務分掌で生徒指導や教育相談の担当になった場合に限られている。そのような場合でも,教師は学校復帰を前提とした関わりをしがちであり,また,子どものほうも学校復帰を強いられるのではないかという不安や,登校していない罪悪感などから教師に拒否的な反応をしてしまうことも多いようである。筆者の経験から,相談室では元気だが,担任の家庭訪問の際には,担任と顔を合わせなかったり,うつむいて一言もしゃべらないといった児童・生徒も多く,学級担任には"元気がない","暗い","頑な"といった印象を与えている。白井(1992)は,青年,大人,教師を対象に不登校イメージについて調査を行い共感的態度と評価的態度の2因子を抽出し,全般的に評価的態度のほうが強いことを示している。この評価的態度項目には,「自己中心的」,「非活動的」,「悪い」,「劣った」等の内容が含まれ,不登校児童・生徒に対する一般的なイメージは,おおむねネガティブな傾向であると言えよう。このようなイメージは,上述のような「教師-生徒」といった学校での関係を基盤にしてできたイメージであるために,不登校児の「学校に拒否的である」という一面だけをとらえているのではないだろうか。このような一面的なとらえ方は,不登校児の実態とかけ離れたものになり,かっ固定化してしまう危険性を含んでいる。千葉大学教育学部附属教育実践総合センターでは,千葉県教育委員会の主催する「ハートtoハート・リフレッシュセミナー」(不登校児童・生徒のためのキャンプ)にボランティアの学生スタッフを派遣している。そこに参加する子どもたちは多種多様で,一般的にとらえられているような非活動的,自己中心的な子どもたちばかりではなく,明るく,活動的で,他者に配慮できる子どもも少なくない。キャンプのように学校とは関係のない場所で,教師という立場に縛られない関わりであれば,一般論として作られたイメージや教師-生徒関係において作られたイメージと異なる,個々の不登校児の実態や本質を知ることが可能になるのではないかと考える。本論文では,実際に不登校の児童・生徒と関わる経験が,不登校児のイメージ,原因の認識にどのような影響を及ぼすかを検討し,不登校児童・生徒の理解についての方策を提案する。
著者
軍司 祥雄 斎藤 隆 磯野 可一 松原 久裕
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

消化器癌に対する集学的治療のなかで免疫療法の比重は未だ低い。これは免疫療法の理論的構築が動物実験ではなされているものの実際に臨床の場では顕著な効果を得られないことによる。この免疫応答不全の原因を究明することは癌の治療に大きな寄与をすると考えられる。担癌マウスの免疫応答不全の原因として脾細胞ではそのT細胞リセプター/CD3複合体(TCR/CD3 complex)のうちζ鎖が欠損し、IgEの高親和性リセプターであるFcεRIγ鎖がζ鎖に置き代わってTCR/CD3 complexを形成していることを示唆する実験結果が報告されている。我々はこのことが癌患者の免疫応答不全の原因となっていると考え癌患者の末梢血リンパ球のT細胞および腫瘍浸潤リンパ球を用いて検索した。担癌患者の末梢血リンパ球および手術時に摘出した癌部より0.5% collagenase処理により分離したリンパ球を0.5%digitoninでlysisしmonoclonal anti-CD3εAbで免疫沈降する。さらに2次元SDS-PAGEでTCR/CD3complexの構造を解析した。結果1.担癌患者の末梢血リンパ球105症例136回の分析ではζ鎖の発現が減弱したもの41回、完全に消失したもの47回であり約1/3の検索で完全消失を示した。大腸癌、胃癌、食道癌、肝癌、膵癌、乳癌などの症例において検索したが、特に癌の種類によるζ鎖の発現変異は認めなかった。TNM classificationによる癌の進行状況との関係をみるとstageが進行するのに従いζ鎖の発現の減弱、および消失する頻度が増強した。特に再発症例では47症例の検索中、発現の減弱は17例、消失は21例に見られた。2.癌患者の手術時摘出標本より分離した腫瘍浸潤リンパ球34症例(胃癌21例、大腸癌13例)の検討ではTCR/CD3 complexの構造異常が見られる症例は24例に見られ、そのうちζ鎖の消失が認められたものは18症例(52.9%)と高率であった。大腸癌、胃癌の両者においてこの現象は認められ、さらに末梢血Tリンパ球での構造変化が見られない症例でも腫瘍浸潤リンパ球では変化が見られ、癌局所のリンパ球から先に構造変化がくると事を示唆した。さらにζ鎖の発現の推移をみた症例では癌の進行が進むにつれて発現の減弱、消失が認められ、また治療に反応して発現が回復した症例も経験しζ鎖の発現消失は可逆的である可能性が示唆された。癌抗原がT細胞上に提示されたとしてもζ鎖の構造異常がその後のT細胞内のシグナル伝達を阻んでいる可能性があり、担癌患者の免疫応答不全の原因となっている可能性が示唆された。この原因の解明をさらに進めている。
著者
軍司 祥雄 斎藤 隆 磯野 可一
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

担癌マウスの脾細胞ではそのT細胞リセプター/CD3複合体(TCR/CD3 complex)のうちζ鎖が欠損し、IgEの高親和性リセプターであるFcεRIγ鎖がζ鎖に置き代わってTCR/CD3 complexを形成していることを示唆する実験結果が報告され、我々はこのとこが癌患者の末梢血リンパ球のT細胞でおきているのかを検索した。担癌患者の末梢血リンパ球を0.5% digitoninでlysisしmonoclonal anti-CD3ε Abで免疫沈降する。さらに2次元SDS-PAGEでTCR/CD3 complexの構造を解析した。1.これら55症例68回の分析では正常人と同じ構造を示したもの24回、ζ鎖の発現が減弱したもの21回、完全に消失したもの24回であり約1/3の検索で完全に消失を示した。この時、特に癌の種類によるζ鎖の発現変異は認めなかった。TNM classificationによる癌の進行状況との関係をみるとstageが進行するに従いζ鎖の発現の減弱、および消失する頻度が増強した。特に再発症例では17症例の検査中、発現の減弱は6例、消失は10例に見られた。癌患者のTCR/CD3 complexの構造をグループにわけてみると(1)正常なタイプ、(2)抗CD3ε抗体でζ鎖の発現が見られないが抗ζ鎖抗体での免疫沈降でζ鎖の発現がみられるタイプ(3)抗CD3ε抗体、抗ζ鎖抗体でもまったく発現の認められないタイプ、(4)またマウスの結果と同様にζ鎖の発現がみられずFcεRIγ鎖がζ鎖に置き代わっていると思われるようなタイプに分類できた。さらにζ鎖の発現の推移をみた症例では癌の進行が進むにつれて発現の減弱、消失が認められ、また治療に反応して発現が回復した症例も経験しζ鎖の発現消失は可逆的である可能性が示唆された。癌抗原が担癌患者のT細胞上に提示されたとしてもTCR/CD3 complexの構造異常がその後のT細胞内のシグナル伝達を阻んでいる可能性があり、担癌患者の免疫応答不全の原因となっている可能性が示唆された。この原因の解明をさらに進めている。
著者
永沢 勝雄 大野 正夫 野間 豊 大場 陸司
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-8, 1968-12-31

1.1966,1967両年度において,早生温州ミカンの結果母枝の発育程度とNAA散布による落果助長効果との関係,側枝の着果にあたえる影響を調査し,なお,NAA散布が収穫果実の形質におよぼす影響について調査した.2.NAA散布濃度は300,150ppmの2種類とし,花弁脱落期(満開5日後)ならびに幼果期(満開40日後)に散布した.一般に濃度の高い方が落果を助長した.3.NAA散布による落果助長効果は1966年では,幼果期散布区,1967年では,花弁脱落期散布区に顕著で,年によって様相を異にした.4.NAA散布が果実の形質にあたえる影響については,1966,1967の両年とも,いづれのNAA散布区においても一果平均重が大きく,大果歩合が高くなった.その原因としては,落果助長にもとずく,一果当り葉面積の増大によるほか,NAAそのものに残存果実の肥大を助長する作用があるのではないかと考えられた.
著者
松田 伯彦
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.17-27, 1968-06-30

本研究は,学業不振および学業促進者のクレペリン精神作業検査の総合判定にもとづいて因子分析をおこない,比較検討することを目的とする。中学2年生における国語の学業不振,学業促進群および統制群にクレペリン精神作業検査を実施し,そして,判定,作業量(休憩前・後),誤謬率(前・後),初頭努力率(前・後),終末努力率(前・後),最大差(前・後),動揺率(前・後)および休憩効果率および知能(偏差値),学力(偏差値),テスト不安得点および一般不安偏差値を加え,因子分析をおこなった。結果は次のとおりであった。1)学業促進群の知能は他の2群より低く,そして,学力は他の2群より高かった。2)学業不振群の判定,作業量(後)および休憩効果は他の群より低かった。学業不振群の動揺率(前・後)は他の2群より大きく,そして,学業促進群の動揺率は統制群より小さかった。3)各群の第1因子および第2因子に基づく因子布置より,知能,学力および動揺率が異っていた。すなわち,知能と学力において学業促進群のそれが他の2群と異っていた。また,動揺率において学業促進および学業不振群のそれは統制群のそれと異っていた。付記,本研究を実施するにあたり,野崎修君のご協力を得た。記して感謝の意を表します。
著者
栗原 伸一 霜浦 森平
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.47-57, 2005-03-31
被引用文献数
1

少子高齢化が進む一方,長引く景気低迷から新たな税源確保も難しい我が国において,財政をいかに効率良く支出するかという「資源の最適分配」はもっとも重要な問題の一つである.そこで本研究は,地域住民を対象とした意識調査を行い,財政構造に関する意識や要因を都市・農村などの地域間比較を中心に整理・考察した.その結果,以下のようなことが明らかになった.(1) 現在行われている公共事業や社会保障に対して,地域住民の大半が「(やや)不満」に感じていた.(2) 公共事業費については,効率化による予算削減を望む者が多かったが,地方部では集落排水などの農村整備に対する選好も比較的高かった.(3) 社会保障費に関しては,農村を筆頭に多くの者が「増額」を望んでいたが,赤字公債発行によるこれまでの景気刺激型財政支出に対する嫌気と相まって,相対句なウェイトは小さかった.また老後等に備えての貯蓄額は平均5万円/月程度であった.(4) 予算支出の総額を抑えた再建型財政に対する選好が高かった.こうした分析の結果は最近の世論とも整合的であり,また都市農村で比較した場合,農村部では公共投資に関して寛大であり,社会保障費の希望増額が都市部よりも若干大きいことが分かった.こうした地域住民の選好を土台にして,財政決定を計画すれば納税者の効用度も向上し,納税者のコンセンサス獲得へとつながると考えられる.
著者
浅井 冨雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学環境リモートセンシング研究センター年報
巻号頁・発行日
vol.3, 1998-11

気象学は最近の数十年問にその対象領域が拡大すると共にそれぞれその内容は多様化し著しく進展した。したがって,気象学のどのテーマをとりあげても興味深い今昔物語ができあがる。今回は私の最終講義でもあるので,私自身がこれまで深くかかわり,かつ時宜を得た冬季日本の豪雪に関する研究を歴史的に概観し,特に気象レーダーや気象衛尾によるリモートセンシング技術の果たした役割を強調する。日本は温帯に位置するにもかかわらず世界でも有数の豪雪地帯である。この特徴を(1)豪雪の源である水蒸気がどのようにして大気中へ大量に供給され貯蔵されるのか,(2)貯蔵された大量の水蒸気がどのようにして降雪として解放されるのか。降雪の舞台。背景。(3)降雪がどのようにしてある特定の場所・時間に集中するのか。降雪の局所集中化などの3点に整理して解説する。最後に,局地豪雪の最近の研究成果と話題,すなわち,冬季日本海上に発現する中規模低気圧について,その実態と発生・発達のメカニズムについて論じる。その要点は次の通りである。中規模低気圧の発生には大気下層における水平収束が不可欠であり,日本海西部の収束帯は朝鮮半島北部にある山岳によって形成される。さらに中規模低気圧の形成には海面からの顕熱と潜熱のフラックスが不可欠で,顕熱補給は大気下層を加熱し,対流圏下層を不安定化することで対流を活発にする。収束帯では中規模上昇気流と活発な対流があり,温められた下層の大気は水蒸気と共に対流と中規模の上昇流で上層に運ばれ潜熱の解放と共に対流圏中層を温める。これがひるがえって上昇流に地下水涵養が行われることを明らかにした。
著者
尾方 理恵
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学留学生センター紀要 (ISSN:13438654)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.65-77, 1998-03-03

「PバQ」の意味はPQいずれに焦点があるか(またはどちらにもない)という文脈、解釈・推論によって広がりを持つ。「Pすれバ」という言いさしの文はほぼ「Pすればいい」に重なる。「Pすれバ?」が単なる「すすめ」でなく「突き放し」となる場合があるが、それは、「Pすれバいい」による判断の呈示が唯一条件の呈示として働き、相手の意向と無関係な独断になる場合である。「PすればQ」には、PQは相互に唯一という強い関係認定があり、「PたらQ」の意味との違いはそこから生じる。
著者
高橋 五郎 磯辺 俊彦
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.91-104, 1990-02

サン-シモンとフーリエの思想には,生産協同組合の思想の萌芽が見られた.本稿では,その萌芽にすぎなかった思想が徐々に発展させられていった様子を,彼らの弟子たちの思想を見ることによって辿ってみたものである.従来,サン-シモンとフーリエの思想のなかから生産協同組合論を見出だそうとの試みは,全くといってよいほど行われてこなかった.その理由の大きな部分は,生産協同組合研究は社会主義論の次元で扱われてきた傾向が強いことに見出だされる.また,マルクスやエンゲルスの偉大すぎる生産協同組合論のまえに,彼ら以前の生産協同組合論が埋没してしまって,その発展史を辿ることすら無意味のように思われてきたためとも見られる.しかし資本主義体制のなかでは,生産協同組合の仕組みをそなえた個別企業の存立する条件はないと断定することは疑問である.わが国農業の現状を見ても,農協が生産協同組合としての機能をそなえるならば,従来見られた農業生産組織論や最近の「集団的土地利用秩序」論の発展を深めるなかで,有効な農業生産機能をそなえることができる展望が持てよう.本稿は,こうした観点からマルクスやエンゲルスの思想以前に遡ることを通じて,そこに,現代社会に通じる生産協同組合論の基層的考え方を拾いだし再評価の機会をつくり出してみようと試みたものである.サン-シモンとフーリエの膨大かつ難解な著作からそれを完全なまでに行うことは不可能に近いが,本稿は,その糸口の発見に重点を置いたものである.
著者
大野 正夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.33-40, 1954-09-30

昭和28年度(1953)に於て,果樹の混合花粉の適当な撒布方法を見出すへく,小型撒粉器を用いて実験を行つた.その結果は次の通りである.1.新鮮な果樹の花粉は,撒粉器ガラス球内壁面に相当に附着する.そこで,この欠点を防ぐために樹脂塗料を用いた.塗料はメラミンザボン及びシリコンオィルラッカーである.2.両者とも,包蔵する混合花粉の量が少い場合には,上の目的に役立つことがわかつたが,その量が多い場合には,その影響は顕著でなかつた.3.混合花粉を撒布する場合には,撒布距離はなるべく,その目的物に近接させるべきである.4.撒粉器使用によつて授粉した結果は苹果紅玉種には好ましいものでなかつた.これは,その開花状態に変化があることが関係しており,一方向からの撒布では,飛散花粉が花柱に不平均に着くためであると考えられる.5.富有柿ではよい結果が得られた.果実の結果歩合,含有種子数は人手による交配に比較して,少しも遜色がなかつた.
著者
村松 成司 近藤 健吾 岸 恵美 広田 悠子 齋藤 初恵
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.503-515, 2002-02-28

現代大学生の食生活を含む日常生活全般を見直す試みの一つとして,大学生の生活特性と心理状況の関連性をPOMSテストを利用して検討した。調査対象者は8時50分から始まる第1時限の講義に出席した学生148名とした。生活調査項目では1日の睡眠時間は6時間が61名(41.2%)と最も多く,続いて7時間の40名(27.0%),5時間の33名(22.3%)であった。平均睡眠時間は6.10±1.04時間(最大12時間,最小4時間)であった。1週間の運動頻度は1回47名が(31.8%)と最も多く,続いて2回の23名(15.5%)であった。平均運動回数は2.31±1.79回であった。「1日3食しっかり食べますか」の設問では「はい」が106名(71.6%)と多く,「いいえ」は42名(28.4%)であった。「栄養のバランスを考えて取っていますか」の設問では「はい」が77名(52.0%),「いいえ」が71名(48.0%)とほぼ同じ様子にあった。「食事の時間は規則的ですか」の設問では「はい」が71名(48.0%),「いいえ」が75名(50.7%)とほぼ同数であった。「外食の回数は週に何回ですか」の設問では2回が38名(25.7%)と最も多く,続いて1回が33名(22.3%)であった。平均外食回数は2.49±2.17回であった。「間食の食べ過ぎで食事が十分にとれないことがありますか」の設問では「いいえ」が118名(79.7%)と圧倒的に多く,「はい」は30名(20.3%)であった。「食事や栄養に関心がありますか」の設問では「はい」が127名(85.8%)と多かった。調査対象者全体のPOMSプロフィールではIcebergのプロフィールと比較して平均値でDとCがやや高めに,Vがかなり低くなっていた。睡眠時間ではIcebergのプロフィールと比較して6時間未満の睡眠時間群ではT, D, R, Cが高く,Vが低い様子にあったが,6時間以上睡眠時間群はT, D, FはIcebergのプロフィールと同レベルにあり,Aが低い様子にあった。各因子内では6時間未満睡眠時間群はT, A, F, Cが有意に高く,Vは逆に6時間以上睡眠時間群が高い傾向にあった。運動回数0回はIcebergのプロフィールと比較してT, D, F, Cが高く,Vが低かった。運動回数が多くなるにつれてVのピークがみられるようになり,よりIcebergのプロフィールに近似する傾向にあった。各因子内では,Tでは運動回数3〜4回が最も低く,運動回数0回と比較して有意に低い値を示した。また,運動回数5回以上では逆に高まり,運動回数3〜4回と比べ有意であった。Dは運動回数0回が他の運動回数群と比較していずれも有意に高い値を示した。Aでは運動回数1〜2回および3〜4回群が0回および5回以上群よりも有意に低い値であった。Vは運動回数が多くなるにつれて高まる傾向にあったが,有意ではなかった。Fは運動回数0回群が他群と比して有意に高い値を示した。Cにおいては4群間に大きな差異はみられなかったが,運動回数0回群と3〜4回群間に有意な差がみられた。「3食しっかり食べますか」の設問では「はい」と答えた群ではIcebergのプロフィールと比較してVがやや低い様子にあった。一方,「いいえ」と答えた群はDがやや高く,Vがかなり低い様子にあった。各因子内における比較ではVにおいて「はい」と答えた群が「いいえ」と答えた群よりも有意に高い値であった。「栄養のバランスを考えて食事をしていますか」の設問では「はい」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVが低い傾向にあったがほぼそれに近似するプロフィールを示した。一方,「いいえ」の群ではT, D, Cが高い様子にあった。「食事の時間は規則的ですか」の設問では「はい」と答えた群はIcebergのプロフィールと比較してVが低く,またAがやや低い様子にあった。「いいえ」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVがさらに低く,またDがやや高い様子にあった。「外食の回数は週に何回ですか」の設問では中でもVは外食回数が多くなるにつれて高くなる傾向がみられた。「間食のとりすぎで食事が十分にとれないことがありますか」の設問では「はい」と答えた群はIcebergのプロフィールと比較してD, Cが高く,Vが低い傾向にあったが,「いいえ」と答えた群ではVは低いもののIcebergのプロフィールに近似したプロフィールを示した。「食事や栄養に関心がありますか」の設問では「はい」と回答した群はIcebergのプロフィールと比較してVが低い傾向にあったが,ほぼそれに近似するプロフィールを示した。一方,「いいえ」の群ではD, F, Cが高く,Vが大幅に低い様子にあり,あきらかにIcebergのプロフィールと異なったプロフィールを示した。各因子内における比較では「はい」と答えた群が「いいえ」と答えた群よりもFが有意に低い結果を示した。各設問項目におけるPOMSスコアは睡眠時間6時間未満の群は6時間以上の群よりも有意に高かった。運動回数の違いでは運動回数0回群が他の群よりも高く,運動回数1〜2回群および3〜4回群に対して有意であった。
著者
工藤 秀明
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学経済研究 (ISSN:09127216)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.329-373, 1996-12-04

The third part of 'Okonomisch-philosophische Manuscripte' includes one meaningfull and mysterious paragraph, in which the most important idea of young Marx seems to be represented. It is as follows. 'Wir sehn hier, wie der durchgefuhlte Naturalismus oder Humanismus sich sowohl von dem Idealismus, als der Materialismus unterscheidet und zugleich ihre beide vereinigende Wahrheit ist. Wir sehn zugleich, wie nur der Naturalismis fahig ist, den Akt der Weltgeschichte zu begreiten'. We try to decode the paragraph through elucidating the total context of 'Kritik der Hegelschen Dialetik und Philosophie uberhaupt'.
著者
工藤 秀明
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学経済研究 (ISSN:09127216)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.507-533, 1997-03-05

In the last paper, we tried to decode one meaningfull and mysterious paragraph in the third part of OKONOMISCH-PHILOSOPHISCHE MANUSCRIPTE through elucidating the total context of 'Kritik der Hegelschen Dialektik und philosophie uberhaupt'. In this paper, we try to make clear the whole context of the third part mentioned above, focusing on the key sentence saying that 'die Gesellschaft ist die vollendete Wesenseinheit des Menschen mit der Natur, die wahre Resurrektion der Natur, der durchgefuhrte Naturalismus des Menschen und der durchgefuhrte Humanismus der Natur'. Though this work, we will be able to understand the importance of 'Nature' in the first 'Kritik der politischen Okonomie'.
著者
丸 祐一
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学社会文化科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.151-163, 2001-02-01

本稿の目的は、アメリカの法哲学者ロナルド・ドゥオーキンが提唱する憲法の読み方「道徳的読解(moralreading)」がどの様な考え方であるのかを明らかにすることである。ドゥオーキンは彼の一連の著作を通じて、法解釈には道徳的な考慮が不可欠であるという主張を繰り返している。その中でも、本稿で取り上げる「道徳的読解」という考え方は、その名称からしても、彼の主張を最も直裁に表していると言えよう。
著者
松田 伯彦
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.55-66, 1970-07-31

本研究は,比較的等質な学級(小学4年生10学級)に対して,賞あるいは罰を与える比(学級集団での賞あるいは罰を与えられる人数の比)を,いろいろ変化させることによって,賞あるいは罰の効果が学習にどのように影響するか,そして,それを観察している者(暗黙の強化を受けている者)の学習成績にどのように影響するかについて,文章問題を学習課題として,検討することを主な目的とした。そして,強化パターン(連続強化と部分強化)についてみることである。さらに,被験者の内省報告から,賞あるいは罰,あるいは,暗黙の強化によって,学習者がどのように動機づけられたか,また,被験者の実験者に対する好悪の感情と学習との関係を者察した。文章問題の平均正答数および平均正答率について,第1日目を100とし,各群の5日間の正答数%正答率%の分散分析,および各日ごとの群間の効果の分散分析をおこなった。その結果次のようである。1.学級の少数が賞を受けた時の大多数の無視群,学級の大多数が罰を受けた時の叱責群と無視群の両方,これらの3群では,5日間正答数の有意な上昇がまったくみられない。他のすべての群では多かれ少なかれ5日間に正答数の有意な上昇がみられる。2.賞は学級の少数に与えられる時および学級の多人数に与えられる時も,非常に効果的で,罰は学級の全員に与えられる時最も効果的である。3.学級の大多数の者が賞あるいは罰を与えられる時,無視された者は直接の賞罰以上に間接(暗黙)の強化を受ける。4.連続強化群と部分強化群を正答数で比較した場合有意差はみられないが,正答率において部分強化群がすぐれている。5.内省報告から,賞を直接受ける者およびそれを観察している者は賞を再び得ようとし,罰を直接受ける者およびそれを観察している者は,賞を得ようとする傾向と罰を避けようとする傾向がみられた。6.実験者に対する好悪の感情は,賞を与えられた者は接近的・好意的な傾向が,罰を与えられた者は回避的・非好意的な傾向が漸次増加すると言える。各群の成績ではなく,学級成員全員の成績を考えた場合,全員賞賛または全員叱責ということが最も効果的であるように思われる。しかし,人間関係をも考慮すれば,全員賞賛ということがより効果的で,この点教育上興味深いことである。附記本研究に御協力いただいた千葉市立院内小学校長鈴木将七先生,緑町小学校長勝山正徳先生,寒川小学校長地引登志夫先生,新宿小学校長宍倉芳衛先生,轟町小学校長八代進先生,学級担任の諸先生および児童の皆さんに深く感謝の意を表します。なお,白鳥礼,宇佐美仁孝,山田幸子,松岡和子,二宮砂子,西村信子,斎藤文子君およびその他多くの学生諸君に協力をいただいた。