著者
水野 みか子 マルク バティエ ダニエル テルッジ
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、 20世紀半ば以降の現代音楽に関して「ひびき」の概念を打ち出し、和声、旋律、律動という三分法でも、音高、持続、強度、音色という四分法でもない音楽構成分析の視軸を提示した。研究過程では、歴史研究、分析研究、創作実践の三つの分野を横断する形で、当該時代の作品や作曲家の新生面を明らかにした。「ひびき」という用語は、専門性が薄く、音楽学や音楽分析ではなく、むしろ評論や日常の言葉として頻用されるが、それに対して本研究では、あえてこの一般的な語を引き合いに出して、その一般性が示唆する、学問分野を越えた研究分析方法を打ち立てることをめざした。
著者
筒井 義郎
出版者
名古屋市立大学
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-34, 1986
著者
瀧井 猛将 小野嵜 菊夫
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

抗酸菌の細胞壁成分は脂質に富んでおり、自然免疫系に関与しているレセプター、toll like receptors(TLRs)のリガンドとであることがよく知られている。そのシグナル伝達様式はIL-1レセプターからのものと共有していることが知られている。病原性の異なる抗酸菌(結核菌とBCG)間で、TLRからのNF-κBの活性化を調べたところ、結核菌に強い誘導活性が認めら病原性と関係していることが示唆された。
著者
森 哲彦
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-14, 2007-12
被引用文献数
1

神の存在証明についてヤスパースは「カント以来、誠実な思索にとっては、神の存在証明が不可能であることは確実である」(Jaspers:Glaube,32)とする。本論で見るようにカント自ら、この神の存在証明の不可能性を論証している。そこでは先行する哲学者たちの神の存在証明、つまり自然〔物理〕神学的証明、宇宙論的証明、および存在論的証明(デカルト的証明)は成立しえず、これらの神学、すなわち自然〔物理〕神学、宇宙論的神学、そして存在論的神学は、超越論的神学のゆえに批判される。しかしこのカントの主張は、理性の思弁的原理や認識論的立場からでなく、存在論的立場からの批判である。それゆえカントによれば「道徳諸法則が根底に置かれ」る「理性の神学」(A636,B664)は存在する。これがカントの道徳神学である。戦後ヤスパースは、先行する哲学者たちの「あらゆる神の存在証明を、カントが見事に論駁したあとを受けて、またヘーゲルが思想的には豊かだが安易で誤った仕方で再び神の存在証明を復活させたあとを受けて…今日では、神の存在証明を新たに哲学的に我がものにすることが、是非とも必要なことである」(Glaube,33)としている。しかも自らその必要性を急務としている。なぜなら神の存在証明を獲得しなければ「哲学者は、一般に何事も主張せず、何事も否定しえないところの懐疑的哲学の立場を取る。かまたは哲学者は、自分の立場を対象的に規定された知、すなわち科学的認識に限定して、我々は知りえない事柄については、沈黙を守るべき、という命題をもって哲学することをやめる」(Einfiihrung,40)と自戒する。本論で取り上げるカントの神問題については、問題史的、概念史的解釈を行う。しかし問題の概念史的解釈を行うには、それに先行して発展史的解釈が必要である。そのため本論ではカント前批判期と批判期(『純粋理性批判』)の発展史的解釈による小論(後掲引用・参考文献)を前提としているものである。
著者
牧野 利明
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

漢方薬が引き起こす副作用のうち頻度が高いものに偽アルドステロン症がある。 本研究では、 偽アルドステロン症発症の個体差を説明するマーカーとして、甘草含有成分グリチルリチンの代謝物である 3MGA に着目し、 腎尿細管細胞内への移行性から偽アルドステロン症発症には本化合物が深く関わることを示唆する知見を得た。本研究から、 漢方薬を服用する際に血液または尿中 3MGA をモニタすることで、 副作用発症を予防できる可能性がある。
著者
原口 耕一郎
出版者
名古屋市立大学
巻号頁・発行日
2018-03-26

平成29年度
著者
鈴木 順子
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.113-126, 2007-12

現代の家族を特徴づけるものは核家族である。戦後の高度経済成長は急激な工業化や都市化を招き、都市への人口集中をもたらし、またその都市化の進行は家族形態を大家族から核家族へと移行させた。近年、それに加え、少子化傾向が見られ、政府はこの状況に対し、様々な子育て支援策を講じてきたが働く母親や育児負担を抱えている母親にとって充分な施策が行われているとはいえない。本稿では、この中で自治体の取り組みの一つであるファミリー・サポート・センターに焦点を当てる。このファミリー・サポート・センターが少子化対策の一つとして、また子育て支援システムの中でどのように子育てを支援し、位置づけがなされているか、実践報告を基に検討することで、ファミリー・サポートの住民相互援助という新しい形態が今後の子育て支援に重要な役割を果たしていくと考えている。
著者
久田 健吉
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.61-75, 2003-01-10

この研究は、ヘーゲル研究にとって画期をなすものと自負する。本論末尾の「緒論攷」でまとめたように、『人倫の体系』は難解な書、挫折の書、シェリング哲学残滓の書とされ、イエナ実在哲学との関連で、そういうものだろう程度の研究しかなされていない。しかし人倫の体系は、挫折どころか、ヘーゲル哲学の根幹をなす研究をなしている。ヘーゲルはこの書物で問題にしたのは、人間による「絶対的人倫の理念の認識」だった。この認識に至る道は概念の絶対認識を通してであって、この認識を通して民族(国家)を自覚し、人間は民族(国家)を形成するとする。そしてこれを可能にするものこそは「直観と概念の相互包摂」である。直観とは人間の主観性、概念とは客観世界。人間は己を貫こうとして、客観世界に己を対置する。 しかしこの時、真に己を貫こうとしたら、客観世界に即して己を貫くのでなければならないことを知る。これが「直観による概念の包摂」から「概念による直観の包摂」への逆転であって、こうあることが直観による概念の真の包摂だと人間は自覚する。これが人倫の体系で問題にされたことであった。ヘーゲル哲学は精神の哲学と言われる。この研究の上に立つなら、精神が実現してきた世界理性をわがものとしてこそ真の実存、真の哲学と説いていることがよく分かる。私はヘーゲル研究において、新たな地平を提起したと自負する。
著者
中邨 真之
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

葉緑体では同義コドンの使用頻度と翻訳効率が必ずしも一致しない。また、葉緑体rps2 mRNAには翻訳効率の高いコドンが、rps16 mRNAには翻訳効率の低いコドンが多く含まれるように進化してきたと考えられる。このようなコドンの嗜好性がmRNAの翻訳効率にどのような影響を与えるのかについて、葉緑体in vitro翻訳系を用いて解析した。その結果、(1)rps16の5'非翻訳領域はほとんど翻訳活性を持たない、(2)rps16 mRNAのタンパク質コード領域はrps2よりも約3倍速く翻訳される、(3)この翻訳効率はコドン変換によりさらに高まることが明らかになった。
著者
伏見 嘉晃
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.155-168, 2004-01-10

個人の「自由」、そして「自立」、これらは所与のものなのであろうか。近代以降、それらは個人が他者との関係のうちでみずから形成獲得してきたものである。こうしたことを考えると、各人が己の「自由」や「自立」を求めることは、他者との関係を必然的なものとして捉えることにつながると考えられる。このようにして「人間関係」、つまり個人と個人との関係(繋がり)を基礎とする社会は構築されると考えられる。すなわち、これが近代以降みられる「共同性」のあり方であると思われる。しかし、この「共同性」は漠然としたもしくは強制的な「人間関係」によるものであってはならない。諸個人が相互に尊重しあう関係を必然とする「共同性」でなくてはならないと思われる。なぜならば、「人間関係」のうちに諸個人の「自由」と「自立」が保障される必要があるからである。以上を考慮に入れると、「自由」と「自立」そして「共同性」を解明することは、諸個人がどのように他者との関係を形成するのか、ということの検証であろう。こうした理由により、諸個人間に展開される「承認」のあり方の考察の必要性が浮かび上がると思われる。以上の理由から、若きヘーゲルが本格的に検討をはじめた『イェーナ体系構想』に見られる「承認論」の考察を試みたいと思う。この考察により、「市民社会(社会一般としての)」の本性の一端も明らかになるであろう。
著者
奥山 治美 市川 祐子 藤井 陽一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

炎症性疾患はアレルギー症、多種の癌の他、多くの難治性疾患を含み、わが国では過去半世紀の間に発症率が著増している。これらの発症、病態の進展に持続性炎症が重要な因子となっている。本研究では、摂取油脂のリノール酸(n-6)系/α-リノレン酸(n-3)系の比を下げることによって脂質性炎症メディエーターの産生を抑え、これら炎症性疾患が予防できる可能性を基礎的、臨床的に評価した。【アレルギー過敏症の体質改善】動物実験ではn-6/n-3比の低い紫蘇油が、この比の高い紅花油に比べ脂質性炎症メディエーター産生を低下させることを明らかにした。臨床的にはアトピー性患者(76名)を対象に、n-6/n-3比を低くする食物を推奨した。2年追跡時で皮膚炎症状が著しく改善し、血清脂質のn-6/n-3比の低下に伴う好酸球の減少が認められた。約半数が3年まで受診したが喘息併発者が多く、n-6/n-3比と好酸球数が元に戻る傾向が認められたが、皮膚炎症状は改善したままであった(共同研究)。【腫瘍再発予防】動物実験ではn-6/n-3比の低い紫蘇油がこの比の高い紅花油に比べ、大腸癌、乳癌、腎臓癌などの化学発癌を抑えること、腹水肝癌の肺転移を抑えることを明らかにしていた。UVB照射で誘発した皮膚癌に対し、紫蘇油は良く抑えたが魚油は紅花油と同様、抑制効果を示さなかった。魚油と紫蘇油の差は、炎症性メディエーター産生能の差では説明できずまた皮脂量でも説明できなかった。臨床的に大腸腫瘍再発予防介入試験を継続中である。ポリープ切除者の中で癌になっていない人を対象に、総脂質摂取を減らす対照群と総脂質の摂取低下とともにn-6/n-3の低下を勧める介入群につき、ポリープの再発率を評価した。各群約20名の中間段階(2年時)では、対照群の再発率が40%、介入群が8%であったが、この段階では結論的ではなかった。より多くの人数について観察する必要があるが、介入による有害作用は認められなかった(共同研究継続中)。
著者
村井 忠政
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.49-69, 2006-12-24

1965年のアメリカ合衆国の移民法改正は、それ以前の人種差別的移民制限法の下で保たれてきていたエスニック集団間の均衡を突き崩すという結果をもたらした。65年移民法体制の下、1970年代の合衆国は合法移民、「不法」移民、そして難民を合わせて恐らくは毎年100万を越えると推定される新しい移民の波に見舞われ、ラテンアメリカからのヒスパニックや従来ほとんど認められていなかったアジア系移民の激増を見ることとなったからである。1970年代以降、20世紀初頭の第一の移民の大波に次ぐ第二の大量移民時代にアメリカ合衆国が突入したことを受けて、アメリカの移民研究は現在新しい段階に入っている。本稿では、現代アメリカ合衆国のラテンアメリカとアジアからの「新移民」の同化をめぐる社会学的実証研究に精力的に取り組み、目覚しい成果を挙げているキューバ系アメリカ人社会学者アレハンドロ・ポルテスに着目し、彼の移民の同化をめぐる議論に焦点を当てることにする。本稿のねらいは、(1)アメリカ合衆国における20世紀初頭の新移民と現代の「新移民」の比較考察をすることで、現代の「新移民」の同化が持つ多様性、独自性を明らかにすること、(2)さらに、これら「新移民」の第二世代に当たる子どもたちが、現代アメリカ社会に適応し、社会経済的地位を向上させていくためには、いかなる条件が必要とされるかを明らかにすることにある。
著者
菊地 夏野
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

外国籍(フィリピン)女性の当事者コミュニテイ活動について継続的にフィールドワーク調査を行った。必要に応じてインタビュー調査を行い、当事者の経歴、ライフコースや意識を探った。とくに、当事者たちの法廷闘争に着目し、画期的な判決を出した国籍法改正裁判について調査した。当事者(原告の母)たちのインタビュー調査と、支援団体(NGO)のインタビュー調査を行い、裁判の経緯を調べた。その上で、この闘争が持った社会的意義を考察した。
著者
瀬口 哲夫 福島 茂 高山 純一 宮崎 幸恵 宮崎 耕輔
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1999年以降に合併した、800km^2以上の行政面積を持つ市を研究の対象とした。これら、「合併巨大都市」は、行政規模が大きくなり、集約型の都市を志向する傾向がある。また、土地利用や都市計画、さらに、産業振興・地域活性化では、地域的差異を抱え込みながらも広域調整の点で成果が見られる。一方で、広大な過疎地や山間部を抱えていることから、「都市内分権」や住民自治の強化が求められており、地域自治に先駆的な試みが見られる。