著者
成田 徹男 榊原 浩之
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-55, 2004-01-10

現代日本語の表記原則では、およそ次の3つの規則がある。規則1:漢語は「漢字」で書け。規則2:和語は「漢字」または「びらがな」または「両者の交ぜ書き」で書け。規則3:外来語は「カタカナ」で書け。つまり、当該語の、語種の認定が前提となっているのである。 しかし、最近ではこの規則に合致しない、和語や漢語のカタカナ表記例が多くなっている。それをインターネット上の新聞・雑誌などのサイトに見られる実例について調査して、延べで2119語、異なりで855語の例を得た。そのような表記がさかんになされる背景には、語種以外の、語の分類を、表記文字の使い分けの基準とするような意識があると考えられる。そこで、上記のような規則とは別に、次のような表記戦略を仮説として提示する。語種を基準にしてカタカナを使うのは明らかな外来語についてだけ。それ以外については、たとえば動物名かどうか、などの語の分類が基準として優先される。日本語の、文字の使い分けの習慣は、この方向へ変化しつつあると思われる。
著者
Haynes Louise
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.247-261, 2008-12-23

This study offers a content analysis of the lyrics of 100 songs of protest during two periods of war, the Vietnam War during the 1960s and early 70s and the war in Iraq which began in March of 2003. It provides a brief overview of some of the social and technological conditions which have led to the changes that have taken place in recent protest songs. The article shows that more recent protest music has become more specific, with a greater focus on historical events than occurred in the lyrics of protest music written during the years of the Vietnam War.
著者
気駕 まり
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.115-124, 2004-01-10

女性のみを処罰の対象とする刑法の自己堕胎罪は、ジェンダーの視点から捉えて問題があると言わざるをえない。この自己堕胎罪について、保護法益を基点にして現代の日本に存在する意味、その矛盾点、背景にある文化的規範などを考察していきたい。まず、堕胎は殺人と同等とするには、あまりにも保護法益の前提量が違いすぎることを指摘する。次に、その前提の内容を検証することによって、そこから女性の自律した身体であり続ける権利を導き出す。このことによって、堕胎罪の法益を設定する前段階における一つの違法行為、男性の側からは発想しにくいであろう女性の権利の侵害行為が明らかになる。妊娠しないままでいる権利を法益とした場合、避妊しない性交は法益の侵害を意味する。行為の主体は男性で、客体は女性である。望まない妊娠があって、自己堕胎が発生するとしう因果関係を考慮するのなら、まず確立しなければならないのは、堕胎罪の運用方法より、この権利侵害の「犯罪」であろう。「犯罪」の刑罰を設定することによって、主体である男性は規範を動機づけられ、女性の権利侵害を安々と行わなくなる。これは、堕胎を減少させ、結局のところ堕胎罪が求める規範に合致するのである。
著者
日沖 敦子
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.154-142, 2004-01-10

継母の策略によつて、四辻に捨てられた鉢かづきは、入水自殺を図るが、鉢をかづいているために浮いてしまい死ぬことができない。山蔭三位の中将と出会うのは、そんな矢先のことだった。この山蔭三位の中将は、様々な文献にその名が確認できる藤原山蔭のことであると考えられる。山蔭三位の中将は、流布本系『鉢かづき』に登場し、鉢かづきのその後の運命に大きな影響を与える。鉢かづきは山蔭の邸の湯殿で下働きをし、山蔭の四男宰相殿と結ばれる。このような展開を踏まえると、『鉢かづき』の中での一つの転機が、この山蔭との出会いの場面であったと言っても過言ではないだろう。本稿では、〈亀の報恩譚〉(継子譚〉を主要素とする山蔭説話の流れが、その後の室町時代物語にどのように繋がつていくのかを辿りつつ『鉢かづき』らに山蔭というキーパーソンを登場させることによって広がる物語世界を読み味わってみたい。山蔭説話の流れの中での『鉢かづき』の位置を確認した上で、『鉢かづき』と山蔭説話の比較を試みる。そこから導き出すことができる入水直後に鉢かづきが山蔭と出会うという物語展開について考察したい。
著者
岩佐 峰雄 大谷 勲
出版者
名古屋市立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

各種動物唾液および植物抽出液のアミラーゼ活性を測定すると、サルおよび噛歯類動物唾液でヒト唾液に匹敵する活性が、植物抽出液ではわずかな活性が認められた。動物唾液斑および植物抽出液斑について、従来からのアミラーゼ活性検出法であるヨウ素-デンプン反応およびブルースターチ法を実施してみると、ヒト、サル、噛歯類唾液斑は両検査法で陽性を呈し、植物抽出液は、ヨウ素-デンプン反応のみで陽性を呈した。ヒト顎下腺から精製したアミラーゼを家兎に免疫して得た抗アミラーゼ血清をヒト血清と精漿で吸収すると、唾液とのみ反応する唾液特異的抗アミラーゼ血清が得られた。この抗血清はヒト、ニホンザル、カニクイザル唾液と反応し、他の動物唾液や植物抽出液とは反応しなかった。この抗血清をニホンザル唾液で吸収すると、ヒト唾液特異的抗アミラーゼ血清が得られた。唾液特異的抗アミラーゼ血清(ヒト、ニホンザル、カニクイザル唾液と反応するもの)を用いて、希釈唾液および陳旧唾液斑の抽出液を対向流免疫電気泳動法で検査すると、128倍希釈唾液、3週間経過した唾液斑の抽出液で沈降線が認められた。一方、ヒト唾液特異的抗アミラーゼ血清(ヒト唾液と反応し、ニホンザル、カニクイザル唾液と反応しないもの)を用いて同様に検査すると、8倍希釈唾液、1週間経過した唾液斑で沈降線が認められた。以上の成績から、アミラーゼはヒト唾液のみならず動物唾液や植物にも広く分布し、従来からのアミラーゼ活性検出法によってヒト唾液を特異的に検出することは困難である。一方、ヒト唾液特異的抗アミラーゼ血清はヒト唾液とよく反応し、サルも含めた動物唾液や植物抽出液とは反応しないことから、唾液検査において極めて有用であると考えられた。
著者
熊澤 慶伯 橋口 康之 山田 知江美 ジョニオ ピエール
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

次世代シーケンサーを用いたハイスループットなミトコンドリアゲノミクスの手法の開発を行った。まずミトゲノム配列既知の個体を用いて、この方法の効率性と正確性を証明し、ヤモリ下目の様々な系統を代表する約40種から新たにミトゲノム全塩基配列を決定した。遺伝子配置の変動の事例を4例発見するとともに、ヤモリ下目の7科間の系統関係等について従来の形態データに基づく仮説とは異なる結果を示した。
著者
小川 仁志
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-13, 2006-01-10

ヘーゲルの共同体論は、従来国家を頂点とする国家主義哲学として誤解を受けてきた。それは、弁証法的発展の理論を絶対視した結果もたらされた悲劇であるといえよう。なぜなら、家族、市民社会、国家というかたちで構成される彼の共同体論は、すべてが国家に収斂してしまい、家族や市民社会が全否定される性質のものでは決してなく、逆に家族や市民社会などの他の共同体類型によってこそ国家という共同体が基礎付けられるという側面を多分に内包しているからである。そこでは明らかに人間精神陶冶のための機能分担が企図されている。その大胆かつ緻密なロジックは、利己心と公共心の緊張関係の組み合わせによって、各共同体の存在意義を規定していく。愛のための家族、誠実さのための市民社会、そして公共心のための国家。その意味では、国家という共同体は公共心の最も開花した状態であるといえる。国家において、他者との支え合いの精神は頂点を極め、ヘーゲルのいう「具体的自由」が実現する。またそれは視点を変えると、同じく支え合いの理念である「共生」の概念とも結びついてくる。本稿は、ヘーゲルの共同体論をこのような意味で公共哲学として読み替える試みである。そのときヘーゲルは、いわば公共性というプリズムを通して、私たちに各共同体の類型に応じた共生のための知恵を授けてくれる。こうした共生のための知恵を自覚すること、これこそがヘーゲル哲学を公共哲学として読み直す今日的意義であるといえる。
著者
鈴木 貞夫 徳留 信寛
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

メタボリックシンドローム(MS)について,その成因の肥満とインスリン抵抗性が,MS関連疾患の脂肪肝とどう関連しているかなどを検討した.その結果,(1)肥満がなくともそれ以外のMS要素が多いと脂肪肝は増加し,現在のMS診断基準に問題があること,(2)肥満情報があればインスリン抵抗性はMS診断に大きな情報を付加しないこと,(3)BMIと腹囲は肥満の質の判別能力は低く,いずれをMSの診断基準にしても有病者の違いはほとんど認められないことが判明した.
著者
浅井 清文 加藤 泰治
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1、ヒトGMFB、GMFGの特異的抗体の作製。大腸菌で発現させたヒトリコンビナントGMFB、GMFGを、ウサギに免疫しポリクロナール抗体を得た。さらに、GMFB、GMFGは相同性が高いため、通常のポリクローナル抗体では互いに交差反応を示した。そこでGMFB、GMFGを固定化したアフィニティーカラムを利用し特異的に反応する抗体だけを精製した。ウエスタンブロットで検討したところ、ヒトGMFB、GMFGに対しては、特異的に反応したが、ラットについては、反応しなかった。2、ラットGMFB、GMFGのcDNAのクローニング。ラットGMFB cDNAについては、すでに報告されている塩基配列をもとにRT-PCR法を用いてタンパク質をコードしている部分のみクローニングした。ラットGMFG cDNAについては、ヒトGMFG cDNAをプローブとして、ラットBrain cDNA Libraryをスクリーニング、クローニングした。ラットGMFG cDNAは、ヒトと同様142アミノ酸をコードしており、アミノ酸レベルで91.5%の相同性があった。3、ラットGMFB,GMFGリコンビナント蛋白の発現。ラットGMFB、GMFG cDNAを発現ベクターpAED4に組み込み、大腸菌BL21(DE3)に導入した。発現したタンパク質は、カラムクロマトグラフィーにて精製した。4、ラットGMFB、GMFGの特異的抗体の作製。大腸菌で発現させたラットリコンビナントGMFB,GMFGを、ウサギに免疫しポクローナル抗体を得た。ヒトの時と同様にして交差反応を示す抗体成分をアフィニティーカラムを利用し除去し、特異的に反応する抗体だけを精製した。ウエスタンブロットで検討したところ、ラットGMFB、GMFGに対して特異的に反応した。5、ユーザンブロット、ウェスタンブロットによる検討。ラット臓器におけるGMFB、GMFGの発現を検討するためにノーザンブロットおよびウェスタンブロットを行った。ノーザンブロットは、市販のMultiple Choice Tissue Northern Blotを購入し検討した。GMFBは、脳に特に多く、他の臓器にも一様に発現していた。一方、GMFGは、胸腺、脾臓、睾丸に多く発現していた。ウェスタンブロットには、妊娠ラットより、大脳皮質、脾臓、胸腺を採取し、蛋白を抽出し使用した。GMFGは、胸腺、脾臓に発現しており、ノーザンブロットの結果とほぼ一致した。
著者
高橋 一誠
出版者
名古屋市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究は、運転者の生体指標(心拍・呼吸)から覚醒度を推定し、覚醒度低下検出時に運転者を最適な運転水準へ誘導するシステムの基礎体系を構築することを目的としている。システムは①覚醒度推定に用いる心拍および呼吸を計測する静電容量センサ、②覚醒度推定アルゴリズム、③覚醒度維持刺激の3つの要素技術から成る。平成25年度に実施した各要素の技術開発の成果を以下に記す。①自動車運転時において心電図と呼吸を着衣状態で安定的に計測することを目的とし、本年度は静電容量型アクティブ電極を用いた心電・呼吸センサのプロトタイプを実車に搭載し、直進走行時において安定的に心電図と呼吸を計測できることを確認した。②眠気兆候を捉え易い心拍と呼吸を用い、覚醒度推定アルゴリズムの開発を行った。被験者48名の協力により実施した実験から、運転時の覚醒度低下に観察される心拍と呼吸の特徴を定量化した指標を用いたアルゴリズムにより、覚醒度推定の最も信頼性の高い眼球運動指標よりも早い段階で眠気兆候を捉えることができることを見出した。この成果はInternational Journal of ITS Researchに投稿している。③生理的に眠気を緩和させる手法の開発を目的とし、眠気時の血中酸素飽和度の低下に着目した。被験者16名の実験から、運転者の心拍と呼吸リズム間にCRPS (Cardio-Respiratory Phase Synchronization)を出現させることによって眠気時の頭部酸素量低下を抑えることができることを見出した。このCRPSは運転者の心拍リズムに同期した振動刺激をシート座面から付与することによって導出可能である。これらの成果は、IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systemに掲載された。
著者
田島 譲二
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

異なる光源下での対応する色再現を目指し、二色性反射モデルを利用し、カラー画像から光源色を推定する研究を行なった。まず対象物体がプラスティック製品のようなものである場合、正確に二色性反射モデルに従うことを確認した。その場合、一定色の物体の色度分布は一直線上に分布し、異なる色の物体の色度分布は光源色度で交わるはずである。それに基づき、デジタルカメラのγ特性の補正と光源色の推定を同時に行なう手法の開発を目指した。一眼レフカメラのrawモードの画像データと、それを手動セグメントした画像データを収集し、γ特性を双曲線関数で近似してその最適パラメータを探索し、光源色度推定性能を向上させることができた。
著者
杉浦 真弓 尾崎 康彦
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

原因不明連続2回以上の6例の流産患者及び16例の人工妊娠中絶患者の流産時の子宮脱落膜組織を採用した。児の染色体異常による流産例は検討から省いた。それぞれの脱落膜組織からリンパ球を分離し、CD^<16+56+3->細胞(NK細胞)を解析した。また、6例の反復流産患者及び5例の中絶患者の脱落膜を用いてマクロファージ-を分離し、TGF-βも測定した。いずれも流産群とコントロール群の差を認めなかった。現在原因不明習慣流産の治療として夫リンパ球による免疫療法を施行しているが、感染などのリスクがあるため、これに変わる免疫刺激剤としてOK-432の投与を試みた。3回以上の流産歴をもつ患者に妊娠初期にOK-432の皮内注射を行い73.9%(17/23)が成功した。夫リンパ球の免疫療法では75.1%(154/205)が成功であり、OK-432の皮内注射は従来の免疫療法と同じ効果を示した。OK-432による免疫療法中、NK細胞活性を測定した症例のうち成功例ではNK細胞活性が低下する傾向がみられた。以前、NK細胞活性が高いと流産の危険性が3.5倍高いことを報告したが、OK-432のはNK細胞活性を抑制することで流産を予防する可能性が示された。また、NK細胞活性は精神疾患とも深く関わっている。ストレスが流産をひき起こすことは既に証明されており、原因不明の流産における精神的要因についても調査した。29組の2回の流産歴のあるカップルに半構造面接を行った。1回目、2回目のemotional impactはそれぞれ-74.5、-80.0(妻)-59.7、-65.0(夫)であり、2回目のが強かった。流産の予知をしていない人ほど強かった。また、61人の妻のNK活性について、低い神経症的性格、抑鬱状態、高い自尊心は高NK活性と関係した。つまり、これらの性格が流産と関係する可能性が示された。
著者
藤井 尚子 戸苅 創 鈴木 賢一 小松 弘和 森田 明理 小田 久美子 岩田 広子 小黒 智恵子 村瀬 裕
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、入院患者が着用する衣服である「病衣」について、名古屋市立大学附属病院の看護部や化学療法部の医師と連携し学際的研究チームを構成し、現状の病衣の実状調査をふまえ「脱着容易性」と「患者の回復意欲の向上」に重点をおき、名古屋市の伝統技法「有松・鳴海絞り」の伸縮性を応用する病衣デザインの開発と研究を進めた。成果は以下のとおりである。(1) 国内外における病衣および療養環境の先行研究調査に基づく中長期療養型病衣の提案(2) 容易な脱着性を実現する病衣の基本的構造およびデザイン要件の抽出「有松・鳴海絞り」を活用した病衣プロタイプの製作および検証(3) 病衣デザインの公的発表
著者
廣川 美子 瀬口 哲夫 岡村 穣 伊藤 恭行 阪口 明弘 寺田 博一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究費により以下の1.〜5.を行なった。1.蛍光X線分析装置(アワーズテック製:OURSTEX 100FA)・デジタル顕微鏡(キーエンス製:VH-8000)・分光測色計(ミノルタ製:CM-2002)を用いて、土壁の色彩及び発色元素の測定を行なった。測定場所は、京都市桂離宮御殿中書院(一の間、大ばらし工法で江戸時代の壁が残っている)、京都市妙法院(庫裏)、佐原市加瀬家(仏間)、京都市大徳寺玉林院、札幌市八窓庵、京都市杉本家、京都府綴喜郡田辺町澤井家、犬山市如庵、京都府大山崎町妙喜庵待庵、如庵写し〔京都市正伝如庵,京都市長好庵,和歌山市遊風〕、京都市島原の角屋である。加えて土壁の施工方法の解明の可能性を考察した。2.全国の伝統的建造物群保存地区のうち14の街並と内外土壁の色彩の調査を行なった。調査した街並は、千葉県佐原市佐原、埼玉県川越市川越、福岡県甘木市秋月、福岡県吉井町筑後吉井、北海道函館市元町末広町、兵庫県神戸市北野町山本通、京都市上賀茂,産寧坂,祇園新橋,嵯峨鳥居本、岡山県川上郡成羽町吹屋、鹿児島県出水市出水麓,薩摩郡入来町入来麓,川辺郡知覧町知覧である。3.佐原市佐原及び奈良県橿原市今井町の伝統的建造物群保存地区の再生計画を検討した。4.石田志朗博士の協力により、聚楽土と思われる土の地質学的成因の分析実験を従来からに引き続き行ない考察した。5.海外調査を行なった。5-1.中国福建省(南靖と永定)の土壁よりなる土楼及びその保存地区の町並の現地調査を行なった。5-2.スペイン・カタルーニャ地方の土壁を持つ伝統的集落の現地調査を行なった。
著者
山田 明
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.27-36, 2006-06-24

財政優遇措置により市町村合併を推進してきた合併特例法は、2006年3月末で経過措置も期限が切れ、「平成の大合併」は第2ラウンドに入った。1999年3月末からの合併件数は582、関係市町村は1993にのぼり、基礎自治体のかたちは様変わりした。合併にたどりつく前に破綻したケース、当初の構想とはかなり異なるケースも少なくない。破綻の典型的なケースとして、合併の目的やメリット、新市の名称や庁舎の位置、合併を揺るがす事件、財政状況などの原因があげられる。「3市1町」の合併協議が破綻した愛知県知多北部など、合併破綻の検証から「平成の大合併」の問題点と今後の課題を探っていきたい。
著者
三上 訓顯 西口 真也
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

この研究は、日本国民が利用している企業の製品のブランド力を国際的に評価するために行った。そのために、私たちは、アメリカ、イギリス、中国、日本の、四カ国の国民を対象に、企業ブランドが、どれぐらい認識され、どの程度の評価を得ているのかについて調査した。その結果、アメリカのコンピュータ企業やソフトウェア企業が高い評価を獲得した。他方で日本の製造企業は、低い評価となった。そうした要因は、世界的な情報化の傾向をよく反映している。私たちの研究は、従来のブランド認識とは異なる実態を明らかにした。
著者
佐々木 昌一 窪田 泰江 小島 祥敬 岡田 真介 高田 麻沙 郡 健二郎
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

モルモットを用いてBOOモデルを作成し、過活動膀胱の発症機序について検討したところ、Kit陽性ICC様細胞は、BOOモデルの膀胱粘膜下層および漿膜側を中心に、正常膀胱に比べ増加していた。またSCF は尿路上皮を中心に発現が増加していた。BOOモデル動物ならびに膀胱炎も出るラットにイマニチブを投与したところ、排尿圧を変化させることなく、non-voiding contractionを抑制し、排尿間隔を延長させることが判った。この結果からKitがICC様細胞を介して過活動膀胱の発症機序に関与している可能性が示唆された。
著者
福島 昭治 加藤 俊男 白井 智之
出版者
名古屋市立大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1990

発癌物質ならびに発癌プロモ-タ-やインヒビタ-などが相互に関連して作用することによりin vivoでの発癌がどのように修飾されるかを多重癌モデルを用いて個体レベルで総合的に解析した。F344雄ラットを用い,五種類の発癌物質,DEN,MNU,DHPN,BBN,DMHを短期間に順次投与し,その後2%BHA,0.8%カテコ-ル,2% 3ーメトキシカテコ-ル(3ーMC)を0.3%亜硝酸塩との同時投与,あるいはそれぞれを単独投与すると,前胃では扁平上皮癌の発生がカテコ-ル単独群に比較し,カテコ-ルと亜硝酸塩を同時投与した群で有意に増加した。またBHA,3ーMCの群では亜硝酸塩の同時投与による増強効果はみられなかった。腺胃では3ーMC投与による腺腫の発生が亜硝酸塩の同時投与により有意に減少した。食道においてカテコ-ル,3ーMC投与により増加傾向を示した乳頭腫の発生が亜硝酸塩の同時投与によりさらに増加した。このように酸化防止剤は亜硝酸塩の存在下では単独投与とは異なった修飾作用を示すことが明らかとなった。さらに,DEN,MNU,DHPN処置による多重癌モデルを用いて,ニンニクの抽出成分であるジアリル・サルファイド(DS)とジアリル・ジサルファイド(DDS)の発癌修飾作用を検索すると,これまで発癌抑制として注目されてきたDSは肝の前癌病変であるGSTーP陽性細胞巣と甲状腺の過形成の発生を促進させることが判明した。また,DDSは大腸と腎発癌を抑制した。その他の臓器の腫瘍の発生にはDS,DDSとも何らの修飾効果を及ぼさなかった。以上,亜硝酸の酸化防止剤への添加は酸化防止剤のもつ発癌修飾作用を相乗的に増強,あるいは抑制させ,またDSが肝及び甲状腺発癌を促進するという従来とは異なった発癌修飾作用が示された。さらに,この変動には標的臓器における細胞増殖が重要な鍵を握っていると推測された。