著者
堀井 俊宏 ARMAH George KRUNGKRAI Je BZIK David INSELBURG Jo 田井 久美子 三田村 俊秀 森松 克実 GEORGE Armah JERAPAN Krungkrai DAVID Bzik JOSEPH Inselburg 杉山 智彦 JERAPAN Krun BZIK David J ARMAH Geroge INSELBURG J
出版者
大阪大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

ハマダラカによって媒介されるマラリアは年間2億7000万人が感染し200万人が死亡するという最も大きな被害を人類に及ぼしている原虫感染症である。クロロキン、DDTなどの特効薬や殺虫剤により一時は撲滅が可能かに見えたマラリアは、薬剤耐性マラリア原虫株や殺虫剤に耐性の媒介蚊の出現によりその治療と制圧は現在困難な状況に陥っている。一方、マラリア原虫の細胞より十分な量の蛋白質を精製する事が極めて難しいため、マラリア原虫に関する生化学的な解析にも乏しい。さらに、マラリア原虫のcDNAは大腸菌において一般にうまく発現せず、レコンビナント蛋白質として調製することも容易ではないことも解析を遅らせている。マラリアワクチンの開発は人類の夢の一つであるが、マラリア感染に対する宿主(ヒト)の免疫応答が理解されていないことに加えて、マラリア原虫はその主要抗原のアミノ酸配列を高頻度で変換するための機構を複数有していると考えられる。マラリアワクチンの開発をめざす本研究課題においては、まず、ワクチン候補抗原蛋白質を安定して供給できるシステムの構築を行なった。抗原遺伝子は以下で述べるSERAであるが、本抗原遺伝子はマラリヤ原虫株のなかでもよく保存されていると考えられているが、このSERA遺伝子の抗原変異の頻度について解析をすすめた。(1)熱帯熱マラリア原虫の培養細胞に対して増殖阻害的に働くマウスのモノクローナル抗体を用いて単離したSERA(Serine Repeat Antigen,113kD)は、赤血球期マラリアのトロフォゾイト、シャイゾント期に大量に発現される蛋白質であり、感染赤血球が壊裂する直前に、47kD、50kD、18kDの三つの断片となる。このSERA抗原はマラリアワクチンの候補抗原として重要と考えられているが、一方、SERA遺伝子のcDNAを大腸菌の発現ベクターに組み込んでも、レコンビナント蛋白質の発現は容易ではなかった。我々は、極端にAT含量の高いマラリア遺伝子とGC含量が高い大腸菌の間におけるコドン使用頻度の違いがレコンビナント蛋白質の発現量を低下させていると考え、熱帯熱マラリアのコドン使用頻度を大腸菌型に変えた、これら三つの断片をコードする人工合成遺伝子を構築し、大腸菌において3種類のSERA蛋白質を大量に発現させた。精製した後、マウス及びラットを免疫し、得られた抗血清を用いてマ
著者
西端 律子
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究の最終年度の成果として、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サーバの確立があげられる。まず、デジタルカメラで撮影した自作の映像の他に、既存のビデオライブラリをデジタル方式に変換し、また、8ミリフィルム、資料、写真などをデジタルカメラで録画することにより、視聴覚メディアのデジタル化を行った。これにより、すべての映像情報をコンピュータネットワーク上で利用できるようになる。次にこれらの画像ファイルを入力し、外部からアクセス可能なサーバに蓄積した。ユーザは、無償配布されている映像配信ソフトウェアを利用し、このサーバ内の画像ファイルを自由に視聴することができる。また、画像情報がデジタル化されているため、発信者、受信者双方に映像の修正、加工が非常に容易である。例えば、発信者が「見せたい」ところにマーキングをしたり、受信者が「見たい」ところをクローズアップしたりなどである。またその時々の目的、視聴環境、映像の内容などの状況によって「見せる」もしくは「見る」映像の順序や時間、内容を自由に編集することも考えられる。これらの活動は、一方通行、多義性という従来の映像の特性を補完するものであり、映像による教授・学習理論の新たな一歩であると考えられる。本研究では、このシステムを利用し、本学部周辺の四季折々の風景、研究内容、新館工事の様子などの映像を世界規模で配信した。この配信実験では、アメリカ、アルゼンチン、タイ、台湾の各国で受信されたことが確認された。ひきつづき、VODサーバを利用した映像実験を行うことにより、映像視聴過程を記述できるようになると考えられる。
著者
藤山 和仁 大橋 貴生
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

大腸菌を用いて、ヒト型糖鎖構造を持つ組換えタンパク質生産のための、基盤技術の開発を行った。これまで、大腸菌は糖鎖付加機能がなく、糖たんぱく質の生産に不向きとされていた。当該プロジェクトでは、Campylobacter jejuni JCM 2013の糖鎖修飾関連遺伝子と出芽酵母遺伝子を大腸菌に導入し、合成生物学的手法により、糖鎖修飾能をもった大腸菌を創製した。この技術を発展させると、抗体などの医療用糖タンパク質を大腸菌で簡便に生産できると期待される。
著者
山下 俊英
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

神経軸索の変性現象は、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病などの神経変性疾患において認められ、軸索変性を適切に制御することにより、神経変性疾患による神経症状の進行を止めることができることが示唆されているが、そのメカニズムについてはほとんどわかっていない。本研究では、我々が明らかにしてきた軸索変性誘導シグナルとゲノム高次構造の変容による自己破壊プログラムというふたつの観点からアプローチを試み、軸索変性現象を形作る分子メカニズムの全体像を捉え、効果的な作用点を探る戦略を進めることを目的とした。均一なglutamatergic neuronsをES細胞から分化させるin vitroのアッセイ系を用いて、外因および内因による軸索変性の分子メカニズムの解析を行った。これまでに、HDAC inhibitorがglutamatergic neuronsの細胞死を誘導することを見いだした。また軸索変性時におけるゲノムの転写構造の解析を行う目的で、cohesinのコンディショナルノックアウトマウスを作成し、解析を行ったところ、大脳皮質において樹状突起の複雑化が認められた。さらに大脳におけるシナプス形成に関わる蛋白質量の低下が認められた。行動解析を行った結果、不安様行動の亢進がみられた。これらの結果より、cohesinの欠損がシナプス形成異常をもたらし、精神神経疾患の病態形成に関与することが示唆された。
著者
草部 浩一 丸山 勲
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々が開発した電子の相関運動を表現可能とする新しい密度汎関数法によって、遷移金属酸化物など強い電子相関を示す物質の電子状態計算を行った。新手法の特許取得を行って情報公開を進めた。高温超伝導を示す銅酸化物において電子状態の評価を進め、未知の物質相を複数理論的に発見した。既存のHg系やTl系の置換系として見出したものであってこれらと同等の超伝導性を示しうるという理論結果を得た。さらに、α相MNX物質、アルカリドープされたピセンなどの超伝導物質、La2CuO4などの磁性体の電子状態計算を進め、グラフェン中の欠陥起源による強相関電子状態では実験グループとの共同で新構造の発見から決定までを行った。
著者
権田 知也
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究成果の概要(和文): 歯の欠損に関しては,特定の欠損形態において,より欠損が進み,咬合崩壊が起こるといわれているものの,成立機序および欠損拡大を防ぐ方法については,ほとんど検討されていない.そこで,欠損に応じた歯に加わる応力の特徴,また特定の歯に応力を集中させない対応策を明らかにし,欠損拡大を防ぐことをめざす研究を計画した.その結果,まず下顎遊離端欠損が大きくなるほど上顎前歯の負担は増加することが示された.それに対し,遊離端義歯により,上顎前歯の負担が減少することが示され,さらにインプラント支持遊離端義歯によりさらに上顎前歯の負担が減少することが示された.
著者
菅野 盾樹
出版者
大阪大学
雑誌
大阪大学人間科学部紀要 (ISSN:03874427)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.47-76, 1984
著者
中山 竜一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

リスク理論を軸に法思想史的アプローチと「法と経済学」的アプローチを結びつけ、そこから、過失責任・無過失責任・予防原則を総体的に捉えるような、民事責任にかんする新たな類型論を提示した。さらに、これを足がかりに、リスク社会における公共的決定のあり方として(1)熟議民主主義、(2)個人化・市場化、(3)リバタリアン・パターナリズムの三つの対案を示し、そこでは「法の支配」が新たな意味を担うことを明らかにした。
著者
松尾 知之 松尾 知之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

新しいタイプの指導者支援システムを構築するための基礎資料を得ることを目的とし, 経験豊富な運動指導者の培った経験知を体系的に調査・抽出した. 特に, 本研究では野球の投球動作指導に焦点をあてた. 熟練指導者等への面接調査によって, 投球動作の指導内容について, 飽和状態に達したと考えられる段階まで知識を抽出できた. また, 心理実験やアンケート調査により, 指導者間で共通性のある項目と共通性に乏しい項目を明らかにするとともに選好度の高い投球動作をCGで表すことが可能となった.
著者
菅原 徹
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究/開発では、低温排熱を回収する為の実用に耐えうる熱電発電モジュールを開発することを最終的な目標とし、極薄フレキシブル基板上に多数の微細化した熱電素子を高密度で実装し、円筒状熱源に対して湾曲自在で密着性良く装着する従来にない高熱回収効率が可能なストレッチャブルでフレキシブルな熱電発電モジュールを開発した。
著者
林田 理惠 横井 幸子 黒岩 幸子 宮崎 衣澄 金子 百合子 山本 有希 柳町 裕子 熊野谷 葉子 堤 正典 小林 潔 小田桐 奈美 角谷 昭美 加藤 純子 北岡 千夏 佐山 豪太 竹内 敦子 ボンダレンコ オクサーナ 三浦 由香利 宮本 友介 依田 幸子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

国内ロシア語教育各機関における教育カリキュラムの質的評価を行い,問題点を明確化,さらに各機関における語学能力到達度の相互比較を実施した.また全国高校・高専・大学ロシア語学習者1114名を対象にアンケート「ロシア語とロシア語学習に対する意識調査」を実施,量的・質的分析に基づき学習者の動機づけと学習環境との相関性観察を行った.国内外でその結果を発表,ロシア語学習者の傾向を明らかにし,ロシア語教育のあるべき方向性について明確な指針を提示した.さらに,カリキュラム・教材開発,指導方法,評価システム,就職関連情報等について,各機関教員の共同利用サイト『ロシア語教育支援・就職情報』を構築し公開した.
著者
高橋 佳文 久保 武
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

音源定位認識機構の解明は、当初高橋によりメンフクロウの蝸牛神経核で単一神経細胞活動記録を行うことから始めた.この研究の結果、音源の認識は両耳に入った音の時間差が最適な場合蝸牛神経核ニューロンの興奮、不適当な時間差によって興奮性の低下が起こることがわかった(Saberi and Takahashi、2002).すでに従来の研究で知られているごとく、この情報は上位の中枢である下丘に到達して音源の定位認識がなされている.ヒトにおける音源定位認識機構および両耳聴効果については多くの研究がなされている.しかし、補聴器具を装用した難聴者における機構については殆ど知られていない.そこで我々は、補聴器および人工内耳を装用した高度難聴者における両耳装用効果および音源定位認識の研究を進めた.予備試験において、人工内耳単独より補聴器併用時に雑音下の聴取能の改善が認められた(井脇、久保、1999).騒音負荷の下に語音聴取能を自動的、定量的に検査するために、米国House Instituteにて開発され、欧米においては標準的検査法となっている(Hearing in Noise Test ; HINT : Nilsson and Soli,1994).我々は、難聴者のおいて両耳聴の効果を調べるためHINTの日本語版を作成した(HINT-Japanese : Shiroma et al.,2002).この検査を用いて、正面、左右のそれぞれのスピーカより、音圧の校正された言葉およびマルチトーカノイズを聞かせ、単耳聴および両耳聴時における明瞭度の差を調べた.すなわち、人工内耳単独使用(CI)の場合と、人工内耳と補聴器(CI+HA)の両耳併用の場合において、静寂時と雑音負荷時の条件で語音聴取検査を実施した.結果は、補聴器単独では、語音聴取能が0%とほとんど補聴効果が得られない症例においても両耳併用することにより人工内耳単独で得られる補聴効果よりも大きな効果が得られ、統計学的にも有意な改善が認められた(松代ら、2003).人工内耳と補聴器の両耳併用により、認知レベルでの拮抗はなく、しかも語音聴取能は改善されおり、人工内耳と補聴器の併用によっても両耳聴効果が得られることが明らかにされた.
著者
トゥリン カーン デュイ (2013) トゥリン カーンデュイ (2012)
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

元々の研究の目的は確率論を数論に応用することである。研究したいことは次の通りである : (1)ディリクレ列をスペクトルとするようなベシコビッチ概周期関数、一般ディリクレ級数の値分布, およびそれらの間の関係の研究、(2)臨界線上、あるいは臨界線の周辺での広義ディリクレ級数の極限分布の挙動の研究、そして(3)ランダム行列理論とそのリーマンゼータ関数の零点分布とモーメント問題への応用の研究。本年度には研究(3)を遂行するために、まずランダム行列理論とランダムな正則関数の理論を研究した。以下、得た結果を述べる。ウィグナー行列とは実対称行列で、対角成分と上対角成分がそれぞれ平均ゼロを持つ独立な同分布確率変数列であるときにいう。これらの確率変数はすべてのモーメントが存在することを仮定する。このランダムな行列は原子核のエネルギー準位の研究で1950年代にウィグナーが導入したものである。ウィグナー行列の経験分布が確率で半円分布に弱収束することをよく知られ、ウィグナー半円法則と呼ばれる。この結果はランダムな行列理論の出発点として考えられる。経験分布のモーメントは中心極限定理を満たすことも知られる(V. L. Girko 1988とG. W. Anderson & O. Zeitouni 2006)。私はウィグナー行列の経験分布ではなくスペクトル測度を研究した。スペクトル測度の性質は経験分布の上記で述べた性質はほとんど同じである。違うところは経験分布のモーメントの中心極限定理の極限分布は行列の成分の分布を依存しないが、スペクトル測度に対しては行列の対角成分の分布に依存する。証明方法はYa. Shinai&A. Soshnikov 1998の論文の手法を用いる。これらの結果は新しくて、ガウス型アンサンブルのスペクトル測度の分布に応用することができた。
著者
岸 亮平
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

一重項縮環共役開殻分子系の電子構造と(非)線形光学スペクトルの相関関係を解明するための計算・解析手法の開発と実在系への適用を行った。ab initio MO 法に基づく量子マスター方程式を用いて動的二次非線形応答の計算・解析法の開発に成功し、第二高調波発生スペクトルの置換基効果や波長分散に対する構造特性相関を明らかにした。一重項縮環共役開殻分子系の多参照摂動論による励起状態計算を実行し、線形、二光子吸収スペクトルの実験値と比較することで構造特性相関を明らかにした。開殻分子系の派生として、キノイダルオリゴチオフェンやなど局在化ジラジカル系についても構造特性相関を明らかにした。
著者
高原 淳一 久武 信太郎 栗原 一壽
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

プラズモニック導波路は金属を用いた光導波路であり、光の回折限界よりずっと微小な領域での光伝送など誘電体光導波路では不可能な機能を実現できる。金属薄膜は最も基本的なプラズモニック導波路である。本研究では金属薄膜を用いて超集束、分散制御によるスローライトや負屈折などの新しい光機能へとつながる現象を見出し、実際に受動機能デバイスを実現した。将来はナノ空間での非線形光学デバイスの効率向上に応用できる。
著者
水谷 泰久 水野 操 石川 春人
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

タンパク質は人工の分子では成し得ない高度な機能を有する。したがって、タンパク質を理解することは生命現象の理解のみならず、高度な機能性分子の創成に重要なヒントを与える。タンパク質の機能発現では、複数の機能単位が相互に連動して構造変化することが必須の役割を果たす。そのため、その機構解明には安定構造をもとにした議論のみでは不十分であり、機能する際に起きる構造変化を明らかにすることで理解が進む。本研究課題では、主に時間分解共鳴ラマン分光法を用いて、機能部位間の連動的な構造変化を可能にするタンパク質の構造変化と、構造変化を駆動する分子内のエネルギーフローを明らかにした。
著者
ニシムラ 博明
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

平成5年度より開始された科研費補助をもとに2次元弯曲結晶を用いたモノクロカメラの設計、製作を進め、平成7年度に至る3年間で以下のような結果を得た。(1)5チャンネルX線モノクロカメラを設計、製作し、技術的問題点を明らかにした爆縮プラズマ観測用のシ-ドガスとしてArを選び、さらにプッシャー中にClを混入させ、このAr(Ar^<16+>Heb,Ar^<17+>Lyb)とCl(Cl^<15+>Heb,Cl^<16+>Lyb)とおよびAr^<16+>Heb線とAr^<17+>Lyb線との間に位置する連続線からの5波長それぞれの単色画像を得るべく、Ge(311),Si(311),Si(220),Quartz(11.2),Quartz(10.-1)の2次元弯曲結晶を製作し、微調機構を有する超小型の結晶ホルダーに組み込んで5チャンネル単色X線カメラを完成した。X線フレーミングカメラへの接続に先立ち、X線フィルム、X線CCDカメラによる時間積分像を撮像することに成功した。(2)X線駆動型爆縮Arコアープラズマ、Clプッシャープラズマの観測し、スペクトル解析を行い空間分解コアー温度分布の計測に成功した。阪大レーザー研。激光XII号ガラスレーザーシステムを用い、X線駆動で得られた爆縮からArコアプラズマを作り、分光画像を得、コア温度の空間分布、さらに燃料・プッシャー混合領域の温度分布を導く実験データを得た。また爆縮流体シミュレーションとの比較から実験における爆縮過程の解析を行った。(3)X線フレーミングカメラへの接続を成功させるための光軸調整技術が明確になった。結晶面と結晶の格子面とは最大1ミリラジアン程度のズレが生じるため、予め空間を規定する針などを設けその光学的な影絵とX線影絵像とを撮影し、両者のズレのデータを基に光軸調整すれば、所定の結果が得られる事がわかり、今後の展望を明らかにした。
著者
宮内 肇
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

年度の前半は、昨年度に中国広州で収集した同テーマに関する史料の読解および分析を行った。同収集史料は、1920年代前半期に中国共産党が広東各地で農民運動を展開した時期のものである。これまでの研究は、中共あるいは中共に参加した農民運動の指導者によって作成された史料を利用したものが多かったのに対し、収集した史料の多くは、農民運動による打倒の対象となった紳士や郷紳と呼ばれる地域社会の指導者が、民団と呼ばれる地域の自衛組織に関する史料や、土地の権利や境界といったトラブルを仲裁の報告書であった。その多くが手書き史料であったために、読解には一定の時間を労した。また、8月25日から9月1日まで、広州の広東省立中山図書館の古籍部を訪問し、補足的な史料収集を行った。年度の後半には、上記の史料を用いて、同時期の政権が展開した民団政策と実態としての民団との関係についての論文執筆に取り掛かった。概要は以下の通りである。1923年に開始された民団政策は行政区画(県・区・郷)を基準に民団を組織し匪賊盗賊からの自衛を規定した。しかし、実際に組織された民団の多くは、宗族を基盤として組織され、郷村を自衛するというよりも、自らの宗族の保護や維持、さらにはその影響力を拡大させようとする意識が強かった。その結果、政策としての民団と実態としての民団との間には齟齬が見られた。一方、これまで、民団とは対立関係にあったとされた同時期の農民運動により組織された農民協会も、郷村内の大姓によって構成され、さらに、その中には郷村内での紛争を民団に持ち込み解決をはかった事例などが見られた。すなわち、両者は必ずしも対立関係にはなかった。1920年代半ばの珠江デルタの郷村社会における宗族結合は、依然として強固であり、郷村民にとって信頼に足るものとして一定の役割を果たしていた。
著者
伊東 正浩
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

リン酸アルミニウムを担体とする白金触媒を作製し、これとゼオライト触媒との階層複合化を検討した。作製した複合化触媒について、水素を還元剤とした脱硝反応を行ったところ良好な特性を示した。赤外吸収により反応吸着種を評価したところ、反応過程におけるアンモニアの生成が確認され、白金触媒上で生成したアンモニアがゼオライト触媒上に吸着し、疑似NH_3-SCR的に脱硝が進行することで良好な特性が得られることがわかった。
著者
杉村 光隆 丹羽 均
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

女性ホルモンであるエストロゲンの神経障害性疼痛に対する修飾作用を卵巣摘出(OVX)ラットを用いて検討した。行動学的手法により、エストロゲンは神経障害性疼痛の急性炎症期には増悪因子として、慢性期には減弱因子として作用することを明らかにした。本研究では、特に急性炎症期におけるエストロゲンの作用に着目し、研究を行った。具体的には、炎症性疼痛に重要な役割を担うカプサイシン受容体であるTRPV1とANO1の発現量に及ぼすエストロゲンの影響を検討した。その結果、エストロゲンがTRPV1やANO1の発現量を亢進させることで、炎症性疼痛を増悪させることが示唆された。