- 著者
-
花村 克悟
- 出版者
- 岐阜大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2001
本研究は、多孔質体内部で燃焼熱を光や熱ふく射に変換し、熱光起電力電池(Thermophotovoltaic Cell : TPV Cell)によって発電する,新規なエネルギー変換システムを提案し,その熱効率や自立分散型発電システムとしての可能性について検討したものである.その構造は,断熱された30mm×30mmの流路内に厚さ10mmのセラミック多孔質体を流路中心に充填し,その両側に20mmの燃焼空間および石英多孔板(厚さ3mm,φ2.5mm×75孔,開口比35%)を1mm間隔で10枚づつ配置したものである.ここへ周期的に流動方向を反転させながら空気を供給し,流動方向に合わせて燃焼空間に燃料を供給し中央のセラミック多孔体を加熱する.この燃焼ガスは下流側の石英多孔質体を通過する際,顕熱が蓄熱されるので,温度低下を伴って排出される.流動方向が反転すると,この蓄熱された熱により空気が予熱された後,燃焼空間に流入する.この熱循環により,わずかな燃焼熱でセラミック多孔質体が1500K程度まで加熱される.数値計算によれば,燃焼熱の約70%がふく射エネルギーとして系外に取り出され,2.2μmまで電力に変換できるTPV電池により熱効率15%が期待される.また,試作した実験装置を用いて発電したところ,電池への入射ふく射エネルギー強度の非一様性であるとか,電力変換に有効な短波長成分が周囲の断熱材に吸収されることなどにより,トータル熱効率は0.2%に留まっているが,この装置で最高温度が目標の1500Kに達していることから,発展性が期待できることが明らかとなった.なお,このシステム内の加熱用として,直径5mmのミリサイズスワールバーナーも同時に開発し,このような微小サイズでは壁面での角運動量損失や熱損失の影響が大きく,スワール数1前後の最低な条件で利用する必要があることが明らかとなった.