著者
鈴木 正昭 伊藤 誠二 松田 彰 渡辺 恭良 長野 哲雄 袖岡 幹子
出版者
岐阜大学
雑誌
創成的基礎研究費
巻号頁・発行日
2000

本研究プログラムでは、低分子有機化合物により生体機能の制御を実現する「分子プローブ概念」のもと、機能発現機構の分子レベルでの研究から個体レベルへの応用をめざし、有機合成化学者とin vivo指向型生物系研究者の連携による化学/生物学融合型新学際的連携プロジェクトを展開するための基盤を構築することを目的とした。関連諸分野の専門家を結集し、異分野の研究者間の綿密かつ有機的な情報交換のため、2回の研究準備会議を行うとともに、外部研究者らを交えて総合シンポジウムを開催した(平成12年11月30日、参加者110人)。研究状況については冊子として取りまとめ、本研究分担者のみならず関連研究者に配付し、その情報を公開した。これらの活動を通じて研究分担者同士および関連研究者との間での有意義な意見の交換、相互評価が行われ、次の学祭研究へと展開する準備が整った。なお、以下に設定された課題についてのこれまでの主な具体的成果を箇条書きにした。(1)高次脳機能の解析と制御法について: 設計したグルタミン酸トランスポーターブロッカーを基にアフィニティカラム担体およびシナプス伝達解析のための光感受性caged-TBOAを創製(島本)。ノシスタチンがノシセプチンやPGなどによる痛覚反応に鎮痛効果を示すことを証明(伊藤)。神経細胞におけるSCG10関連分子の微小管との結合ドメインを同定、崩御制御に重要なリン酸化制御部位を決定(森)。神経保護作用を示す新規PGI_2受容体リガンド15R-TICのC-11核ラベル体の創製とその活用によるヒト脳内IP2受容体のイメージングに成功(鈴木、渡辺)。15R-TICの10倍の活性を持つ15-deoxy-TICを創製(鈴木)。(2)脳機能の保護と可塑性促進研究について: PG受容体EP3の細胞内情報伝達系を解析し、神経突起の退縮や神経伝達物質の遊離の阻害、神経可塑性や神経伝達の調節などに関与していることを証明(根岸)。ラット脳組織切片を用いたポジトロンイメージングシステムを確立し、神経細胞における障害発生機序の解明と治療法開発に有用な情報を獲得(米倉)。神経突起伸展促進作用および神経細胞死抑制作用を示す新規化合物NEPP10とNEPP11を創製し、PET研究に向けた分子設計を開始(古田、鈴木、渡辺)。(3)細胞増殖・分化制御機構の解明と細胞周期制御理論について: 核内
著者
中川 一雄
出版者
岐阜大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

メアリ・コリアの文化的想像力と詩的言説は二重の意味で疎外されている。経済的・社会的構造において彼女は、スティーブン・ダックと同様に、下層の労働者階級に属している。彼らは領主層に「服従」し、その命に応じて労働することによって賃金を得、最底辺の貧困生活を送る。もうひとつのレベルでは、女性であることによって男性に抑圧されているのである。この抑圧構造がダックの農婦批判という言説を生んだと言える。この経済と性に関わる二重の疎外性は、当時のジェントリー階級文化のイデオローグの一人であったアレグザンダー・ポウプの詩を二人の詩と対置させ、彼ら3人の詩における水表象の分析によって明らかとなる。
著者
長野 宏子 粕谷 志郎 鈴木 徹 下山田 真
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

世界中の伝統的な発酵食品から食品に関与しているたんぱく質分解能微生物の探索・保存をペプチドの機能性を検討した。目的は、伝統発酵食品由来微生物の探索・保存とデータベース化を続けることと、その微生物が産生する酵素の機能性への関与を検討することである。特に、プロテアーゼ活性の強いコラゲナーゼ様酵素を産生する微生物(Bacillus属)の産生する酵素の有効性を探ることである。食由来微生物の保存とデータベース化は、生物多様性下において、タイ、ベトナム、中国、カンボジアとMOUを締結でき、公開可能な状況になった。たんぱく質分解能があり、普遍的に存在しているBacillus属を同定し、Bacillus subtilisの16S rDNA結果より、系統樹を作成した。B.subtilis M2-4株の産生する精製酵素の特徴を検討した結果、分子量は、33kDaと推定し、N-末端アミノ酸配列はAQSVPYGISQIKAPAであり、サブチリシンと同じであったが、小麦粉発酵食品からは初めて分離された微生物であった。酸性カゼインに対する分解フラッグメントのC末端は、特に親水性アミノ酸Arg,Gln,疎水性アミノ酸Val,Ile等のアミノ酸であり、ペプチダーゼの可能性がある。牛乳たんぱく質β-ラクトグロブリンに対する酵素作用には、B.subtilis DBの濃縮粗酵素を用い分解能を検討した。β-ラクトグロブリンは、短時間でペプチドに分解され、ペプチドファラグメントのN-terminalアミノ酸配列は、β-ラクトグロブリンアミノ酸配列の23、36と一致し、β-ラクトグロブリンのアレルギーエピトープ部分の分解能があった。この酵素はアレルギー患者にとって低アレルギーなど機能性食品になる可能性をもっているものである。人々の知恵の結晶である「発酵食品」中の微生物が利用される可能性のあるものとなった。
著者
鈴木 俊郎 桜井 宏紀
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.19-22, 2001-12-25

侵入害虫のアオマツムシCalyptotrypus hibinonis Matsumuraで卵寄生蜂であるアオマツムシクロタマゴバチLeptoteleia japonica sp. nov.の存在が確認された.この寄生蜂の生活史を調査した結果,幼虫は12ケ月にもわたり寄主卵内で発育し,羽化時期は寄主の産卵時期とよく同調しており,卵寄生蜂の中でも特異な生活環をもつことが確認された。寄生率はかなり高く,性比は0.32で雌に偏っていた。本種はアオマツムシの主要な天敵であることが確認された。
著者
川崎 晴久 川﨑 晴久 (2013) ABADZHIEVA Emiliya EMILIYA Abadzhieva EMILIYA Abadzhieva
出版者
岐阜大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

ロボットハンドに適用できる高性能減速機の研究開発を狙い,ベベルギヤをヘリコン型と運動学的に同等の双曲面ギヤに変換できる数学モデルを構築した。ヘリコンギアドライブは, 特殊な最適な構造と幾何学的特性を選択することでシンセシスでき, CADでモデル化できた. このとき,重複する係数の増加に関連する問題の解を見つけ,相手歯車間のバックラッシュを制御するための前提条件を明らかにし、その数学モデル化,解析法や設計法の確立等に取り組んだ.開発した設計手法の新規性は,へリコンギア減速機がバックラッシュが殆どなく,小型に構成でき,かつ減速比を60:1と大きく取れることにあり,最適なシンセシスによるロボットハンドへの技術的な実現という挑戦的な課題に取り組んできたが、実証の段階に至っていない.今後,開発した数学モデルをロボットハンドの減速機構に実際に適用してモデルの有効性を示せるように,更なる発展に期待したい. さらには,ロボットの動的運動を確実に伝達する伝達モデルや交合歯の間の反発制御を含んだ実証的なCADモデルの開発の実現に向けた研究により, ロボットハンドの減速機構の開発に役立つことを期待している.
著者
弓削 繁
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、拙著『六代勝事記の成立と展開』(平成15年、風間書房刊)の成果を承け、承久の乱後に明確になってくる、イデアとしての帝王と現実の天皇とを峻別する二元的な王権思想について、その変容と展開の姿を中世文学史の中に見定めようとするものであった。まず、乱前の思想状況を捕捉するために、改めて『愚管抄』について検討した。その結果、『愚管抄』は国家の基本形態を宗廟神の意思によるものとして、「文武兼行ノ摂録」の出現を歴史の道理と説く原理論的な著作であることを確認することができた。一方、乱後に成った『六代勝事記』は、儒教的な徳治主義の立場から政治の善悪による帝位の有限性を説く鑑戒の書であるが、中に幕府側を正当化する政子の神功皇后再誕説が含まれているのが注意される。すなわち、これを自己の存在証明として利用したのが『吾妻鏡』であり、この話に天照大神の政子への示現(の夢想)を重ね合わせることで、<政権神話>を作り上げていく『吾妻鏡』の構想を明らかにすることが出来た。次に『神皇正統記』や『梅松論』になると、国王を相対化するものとして「天道」が措定されてくるが、その思想形成過程の詳細については続考を期したい。この外、『徒然草』第226段の背景に承久の乱の記憶が存することを明らかにし、また新資料として『五代帝王物語』の高松宮家本と、『人幡宮愚童訓』の岩国徴古館本を略解を付して紹介した。なお、当初の計画では軍記物語や説話集へも視野を広げる予定であったが、問題が多岐にわたることもあり、多くを今後の考察に委ねざるを得なかった。
著者
松下 栄子
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ペロフスカイト型酸化物は酸素八面体の積層構造を基本とし、関連構造をもつ一連の酸化物には強誘電体を初め、量子常誘電体から高温超伝導体までさまざまな物質が存在する。その特異な電気伝導度や物性は、応用に直接繋がる点でも物理的解明が必要とされる。本研究では、物質に内在する量子効果に注目し、構造特有のフォノンを見極め、種々のフォノンの媒介による相転移の解析理論を展開した。以下に、4つの研究項目別に述べる。1.クリーンな燃料電池の機構であるプロトン伝導に関しては、リチウム伝導との総合的な観点から、酸素八面体の積層構造(頂点接触型、辺接触型)と動くイオン(H^+,Li^+)の量子効果の差異により統一的解釈をし、国際会議で発表した(2004.8,2006.4)。2.量子常誘電性に関しては、srTiO_3の^<16>O→^<18>O同位体効果による常誘電-強誘電性転移の微視的理論を展開した。TOフォノンモードの役割を考慮し、STO18の圧力効果やSTO16の一軸性応力効果とも統合した理論にして国際会議で発表した(2006.5)が、拡張理論は次のIEEE国際会議で発表予定である(2007.5)。3.リラクサー特性については非鉛系物質の探索が急務で、小型大容量コンデンサーに即応用可のため、発現機構やリラクサー現象の特定、グラスとの相異等を理論的に明確にした。x線散漫散乱(静的特性)とNMR-NQRスペクトル(動的特性)の微視的理論開発に成功し、リラクサーの定義やグラスとの判別条件を突き止めた(論文発表済)。さらにペロフスカイト酸化物の逐次相転移を一般論で扱い、モルフォトロピック濃度相境界との関連を解明した成果は学会発表済(2006.5)で、全貌を纏めた論文は印刷中である。4.高温超伝導に関しては、角度分解光電子分光(ARPES)実験によるLOフォノンの示唆を考慮するため、実空間表示を用いたBCS拡張式を導出し、ペロフスカイト関連構造別に異なるTcの^<16>O→^<18>O同位体効果を説明し、国際会議で発表した(2005,8)。Tcの式における光学フォノンの役割を明確にし、クーパー対発生の機構をほぼ絞り込むことに成功し、次の低温物理国際会議(2008.8)で発表する素地を固めた。
著者
井奈波 良一 井上 眞人
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

1年目研修医、研修医以外の病院勤務医および病院看護師を対象に職業性ストレス、勤務状況、日常生活習慣、燃え尽き度、仕事満足度、健康支援策等に関するアンケート調査を行い、職業性ストレス、燃え尽き、過度の眠気の要因を分析し、対策を立案・実施した。さらに再度、アンケート調査を行い、対策の効果を評価した。また、病院看護師を対象にフルオーダリングシステム導入前後でアンケート調査を行い、その健康影響を評価した。
著者
河崎 哲嗣 守屋 誠司 岡部 恭幸 垣東 弘一 小田桐 良一
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、算数・数学の苦手な学生を多く抱えた小学校教員養成課程を有する大学における数学的モデリングの授業体系の提案とその有用性を示そうとした。そこで、1.授業の教材づくりとカリキュラム構成のための調査・文献、2.算数的活動を学ばせるための基礎研究、3.算数・数学的活動を計画・授業・改良させるための実践を目的とした。小学校で行う数学的モデリングのような数学的活動は「①どんな数学を使うのかを課題内容に明確に組み込む②数学の体系化を意識する③オープンエンドである」の要素を含んだ課題を設定するとともに、学生の数学の学力向上が重要となった。その結果を踏まえ、数学的モデリングの講義案を示すことができた。
著者
福井 博一 景山 幸二 松本 省吾 松本 省吾
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

根腐病抵抗性の4倍性Rosa multifloraと根頭がんしゅ病抵抗性をのPEKcougelを交配し、複合抵抗性台木の育成を目指した。得られた種子から胚を摘出して胚培養を行った。遺伝子マーカーを用いて交雑後代の検証を行った結果、3個体のF1個体が得られた。これらのF1は根頭がんしゅ病と根腐病に対して高い複合抵抗性が確認できた。接木親和性検定の結果、' F1 No.1'、' F1 No.5'が台木として有望であった。
著者
今村 光章
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

持続可能な社会を構築するための教育思想について、海外の研究者らの論考を手がかりにして、文献研究を行った。同時に、持続可能な社会のための教育活動の一環として、現在、注目を集めている森のようちえんの理論研究にも着手した。理論研究と具体的な自然学校の営みを検証し、両者を接合し、学校教育において、ESDのような取り組みとして、自然体験教育や環境的市民の育成を目指す教育が必要であると結論づけた。その際、市民の自主性と批判的思考力、加えて、自然に対する愛情が必要であることを確認した。
著者
岡 夏央
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

核酸の生合成中間体であるカルボニル基がリン酸化されたヌクレオチドや、そのリン酸部位を修飾した化学修飾体の合成法の開発に取り組み、独自に開発した酸性活性化剤CMMTを応用することで、スピンラベルや蛍光色素を始めとする種々の官能基を持つリン酸基をイノシンのカルボニル基に導入する手法を確立した。更に、これらのリン酸エステルの生体内酵素に対する安定性について評価し、速やかに加水分解されることが分かったため、酵素耐性に優れたチオリン酸基をイノシンのカルボニル基に導入する手法の開発を試み、これを確立した。これらの化合物は、核酸の生合成経路を標的とする分子プローブや分子標的薬としての応用が期待される。
著者
若松 謙一 西田 実継
出版者
岐阜大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

銀河間衝突が銀河中心核の核活動、特にセイファ-ト現象やクエサ-と深く係わっているのではないかとの仮説は1985年に出され、最近大きな関心を呼んでいる。衝突に依って相棒銀河から剥ぎ取られたガスが銀河中心核へと隆り積もり、爆発的星の形成を引き起こし、ブラック・ホ-ルへガスを供給して中心核を活性化する、と言うのである。銀河間衝突で形成されたことがはっきりしているリング状銀河について、セロトロロ天文台で得たCCD撮像分光デ-タを本研究費で購入したワ-クステ-ションを用いて解析を行い、現在までに以下の結果を得た。1.約40個のリング状銀河の中心核は輝線や強いバルマ-吸収線を示しており,星形成等の激しい核活動が起こっている事を見いだした。2.輝線を示す銀河の大部分はライナ-(LINER)やスタ-・バ-スト型であり,セイファ-ト2型はわずか3個、1型は新たには1個も発見出来なかった。3.また、多くのリング状銀河がIRAS赤外線源であることもつきとめた。4.以上の事より、リング状銀河では予想通りの形成は極めて活発ではあるが、セイファ-ト1型が少なかったことより、銀河間衝突がブラック・ホ-ルへガスを供給して銀河中心核を活性化する、とのシナリオを検証するには至らなかった。5.その理由として、リング状銀河を形成する衝突は銀河ディスクを垂直につっきるタイプなので、ガナを中心核へ落し難しくなっているとも考えられるが、その割にはスタ-・バ-スト型が多いことからそう単純でもなさそうである。6.リングを持った楕円銀河であるHoagーtype銀河ではバルマ-吸収線が強く、10億年以内に激しい星の形成があったと思われる。なお、平成4年7月にもう一度セロトロロ天文台で観測できる事となったため、この問題をより一層突き詰めたいものである。
著者
淀川 雅夫
出版者
岐阜大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

情報教育が盛んに行われ、他の教科や総合的な学習の時間でも積極的に活用されている中、技術・家庭科としての特色を明確にしていく必要がある。現行の学習指導要領において技術分野は2つの領域で構成されており、情報教育を担う「B情報とコンピュータ」では、ソフトウェアの活用を中心とした操作方法の知識・技能の習得や機器の使い方の確認が学習の中心となりがちである。「B情報とコンピュータ」の発展的学習内容の中に、(6)プログラムと計測・制御があるが、これからの技術・家庭科の授業を考えた場合、「A技術とものづくり」との融合が進められていることもあり、この内容を選択していくことが益々重要なのではないかと考えた。本校では「創造的に学ぶ生徒の育成」を研究テーマに掲げており、自立型ロボットの製作と制御を通して、生徒の学習意欲を喚起し、創造力を育成するための授業について、教材と指導方法からアプローチを試み、追究してきた。制御基盤、ギヤボックスなど基本となる部品は指定して与えるものの、ロボットにどんな目的で、どんな動きをさせるかの自由度は生徒に与え設計を試みた。そして、仲間との議論を重ねていく中で、グループに1台のロボットを製作した。生徒はロボットそのものに魅力を感じたようであるが、作る難しさも味わい、お互いにアイデアを交流していく中で、自分の考えたような動きを持たせていくことに喜びも感じることができた。また、他グループの製作の様子をビデオ撮影し、それを示していくことで、お互いの製作の刺激とした。その後、できあがったロボットを、フリーソフトで制御した。願う動きをさせるために、どのようにプログラミングを試みたらよいかを考えさせ、効率のよさ、簡潔で明解であることを求めて、学習に取り組ませた。今回の試みにより、ロボットを製作すること、制御することに対して学習意欲を喚起することはできたが、その過程における困難に対して、十分なサポートをしていかなければ意欲の減退につながるため、サポートのあり方について、今後、考えていきたい。
著者
温水 理佳
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

今後の認知症高齢者に対する被服行動への介入方法を検討するため、まずは先行研究がなかったため現状の高齢者の被服行動についての調査をおこなった。結果から、認知能力に大きな問題がない高齢者については、加齢などによる被服に関する行動の変化は見られないことが分かった。また認知症となることで被服に関する行動は影響を受けて行動が変化することが分かった。しかし認知レベルや援助などによって維持できる行動もあるのではないかということが示唆された。
著者
川村 道彦 中村 佳正 畑田 一幸 岩田 恵司 竹内 茂 中馬 悟朗
出版者
岐阜大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

科研費の補助のおかげで、今年度は多数の研究者と何回か研究討論ができました。また、情報交換や資料収集ができ、今後の研究の推進の基礎が得られました。これらをもとに今年中にその成果を発表するつもりで頑張ってきましたが代表者自身の結果を発表するには今、少し時間を必要としている状況です。私はマルチンの理想境界、特にピカール原理について研究を続けて来ました。他の研究者から得たいくつかの情報のうち、特に、中井三留,多田俊正両先先生による結果として、ピカール原理の非斉次性に関してきわめて特異な状況が起ることが知られ、従来の考え方を一変して新しい観点から研究を進める必要性を感じ鋭意研究中です。一方、研究分担者、中村佳正氏によるものとして、次の二つの結果を上げます。1.定常軸対称な重力場を記述するアインシュタイン方程式について、ある線型方程式系の解を成分とする行列の行列式で特徴づけられる(アインシュタイン方程式の)解の系列の具体的表示を得たこと。次に、アインシュタイン方程式のある境界値問題が、指数型の無限階微分作用素を用いて、局所的に解けることを示した。2.ある形式的ループ群に値をとる行列のリーマン・ヒルベルトの意味での分解可能性を示した。さらに、この結果をある定常確率過程のスペクトル密度行列の分解に応用して、線形予測問題の解、すなわち予測子と予測誤差の存在を明らかにした。
著者
河西 栄二
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、日本の具象木彫表現において独特な表現様式を作り上げた6作家(内藤堯雄、橋本平八、新海竹蔵、桜井祐一、円空、木喰)に焦点を当て、作品実見研究や資料収集に取り組み造形的検証を行った。樹種・木取りなど材料について、一木・寄木・道具・彫り方など技法について、モデル・形態・プロポーション・テーマ・精神性などの表現について分析し、それらの作品に潜む「日本のかたち」、土着的、原始的な独自の美のありようについて研究を行った。そして、その成果を基に自身での木彫制作研究にも取り組んだ。
著者
村瀬 忍 松下 光次郎 池谷 尚剛
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、黙読時の視線の動きが言語処理に関わる神経活動を反映することを利用して、視線計測を用いた吃音評価方法を検討することを目的とした。成人吃音者5名および成人非吃音者15名を被験者として、意味的逸脱のある日本語の文章の黙読における視線の動きを測定した。その結果、標的語の注視時間は、吃音者において長い傾向があることが明らかになった。本研究ににおいては、吃音者は非吃音者の言語処理特性の違いについても追試を行った。その結果、吃音者は非吃音者に比較して、言語処理に時間がかかっている可能性が示唆された。さらに、この吃音者と非吃音者との時間的な相違は、視線計測の方法でも捉えられる可能性が示された。
著者
安田 孝志 吉野 純 村上 智一 村上 智一
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

IPCCの温暖化シナリオA1Bの下での伊勢湾台風級の台風の強大化とそれによる伊勢湾での高潮・高波の計算を,大気-海洋-波浪結合モデルと軸対称渦位モデルの組み合わせによって大気・海洋力学的に行い,その結果を基に,高潮災害の減災戦略・対策に必要な外力を科学的に予測するシステムを開発した.