著者
福原 正人
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.2_224-2_245, 2018 (Released:2021-12-26)
参考文献数
47

民主主義は, どういった決定単位を採用するべきなのか。こうした問いは, 意思決定の母体集団, つまりデモスを特定する課題として, 「民主主義の境界問題」 と呼ばれる。しかし, 同意という現実の手続きは, その個別性ゆえに, 正しいと評価しえない母体集団を特定する一方, 集団構成や行為主体性に注目する境界画定の正当性は, その一般性ゆえに, アジェンダごとの考慮事項に耐えられる母体集団を特定できない。そこで本稿では, D. エストランドが定式化する 「適格な受容可能性」 という正統性条件を参照しながら, アジェンダごとの考慮事項を織り込む仮説的な手続きが, アジェンダごとの母体集団内部における意思決定のみならず, 意思決定の母体集団それ自体を構成する作業に適用されることで, 境界画定の正当性を担保する 「理に適った境界画定」 を構成することを擁護したい。
著者
田中 崇裕 長原 正人 高橋 春雄 橋本 成弘 山田 隆 宮脇 律郎 門馬 綱一 重岡 昌子 徳本 明子 松原 聰
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2015年年会
巻号頁・発行日
pp.40, 2015 (Released:2020-01-15)

鹿児島県薩摩川内市入来地区に露出するカオリンを主とする変質粘土帯に存在する熱水石英脈中に、我が国初産のスカンジウムリン酸塩鉱物であるコルベック石とプレツール石と考えられる鉱物が確認された。これらの鉱物について、化学組成、産状、成因などについて報告する。
著者
平野 修 河西 学 平川 南 大隅 清陽 武廣 亮平 原 正人 柴田 博子 高橋 千晶 杉本 良 君島 武史 田尾 誠敏 田中 広明 渡邊 理伊知 郷堀 英司 栗田 則久 佐々木 義則 早川 麗司 津野 仁 菅原 祥夫 保坂 康夫 原 明芳
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

奈良・平安時代において律令国家から、俘囚・夷俘と呼ばれたエミシたちの移配(強制移住)の研究は、これまで文献史学からのみ行われてきた。しかし近年の発掘調査成果により考古学から彼らの足跡をたどることが可能となり、本研究は考古学から古代の移配政策の実態を探るものである。今回検討を行った関東諸国では、馬匹生産や窯業生産などといった各国の手工業生産を担うエリアに強くその痕跡が認められたり、また国分僧尼寺などの官寺や官社の周辺といったある特定のエリアに送り込まれている状況が確認でき、エミシとの戦争により疲弊した各国の地域経済の建て直しや、地域開発の新たな労働力を確保するといった側面が強いことが判明した。
著者
吉原 正人 鈴木 馨 梶 光一
出版者
動物の行動と管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.134-144, 2016-09-25 (Released:2017-02-02)
参考文献数
48

都心(上野動物園)と郊外(雪印こどもの国牧場)のハシブトガラス(Corvus macrorhynchos japonensis)の捕獲調査個体を材料として、体格と栄養状態の地域間比較を試みた。上野・こどもの国いずれでもカラスの性的二型は明瞭で、オスはメスに比べて体重・嘴峰長・嘴高が有意に大きかったことから(P <0.01)、体格の地域間比較は成鳥・幼鳥とも雌雄別に実施した。体重は成幼・雌雄とも上野がこどもの国より小さかったが(P <0.01)、餌の確保・運搬や他個体への威嚇・攻撃など生存競争に有利に働く嘴(嘴峰長・嘴高)は逆に成幼・雌雄とも上野がこどもの国より大きかった(P <0.01)。栄養状態(栄養不良率)については、上野がこどもの国よりも悪く(P <0.01)、成鳥と幼鳥で比較すると、上野・こどもの国とも幼鳥の方が悪かった(P <0.01)。雌雄の栄養状態は、上野ではメスがオスに比べて悪かったが(P <0.05)、こどもの国では雌雄差がみられなかった(P >0.05)。捕獲季節を繁殖期(3〜7月)と非繁殖期(8〜2月)に分けても栄養状態を比較したが、繁殖期・非繁殖期とも上野がこどもの国より悪く(P <0.01)、上記の地域差に及ぼす捕獲季節の影響は認められなかった。以上から、生ゴミを餌資源として高密度分布する都心では体格が小型化して栄養状態が悪くなること、特に成長過程の幼鳥や体格でオスより劣るメスでは、栄養不良が顕著になることが示唆された。
著者
今泉 麻美 佐藤 常男 白井 弥 雨森 隆 桑原 正人 小坂 俊文 田中 茂男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.396-399, 2000-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
18

犬2例 (症例1: ゴールデン・レトリーバー, 雄, 9歳; 症例2: 雑種, 雄, 11歳) の前立腺に発生した腫瘤を病理学的に検索した. 症例1は前立腺上皮細胞に類似した円形~楕円形の細胞のシート状増殖から成り, 多数の核分裂像を伴っていた. 症例2では異型性の強い腺上皮の腺房内増殖が認められた. 抗ヒト前立腺特異抗原に対する免疫染色で, 症例1のほとんどの腫瘍細胞は陰性を, 症例2は大部分の腫瘍細胞が陽性を示した. 電顕的に, 症例1の腫瘍細胞の核は大型で異型性が認められ, 細胞小器官の乏しい細胞と豊富な細胞とが混在していた. 腺腔構造は認められなかった. 症例2の細胞は核の異型性は軽度で, 明らかな腺管を形成し, 細胞質内には遊離リボソーム, 分泌顆粒が認められたが, 他の細胞小器官は乏しかった. 症例1, 2ともに細胞間に接着斑が認められた. これらの所見から症例1は合胞体型前立腺癌, 症例2は腺房内増殖型前立腺癌と診断された.
著者
川原 正人
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.25-34, 2021-03-31 (Released:2021-05-26)

近年、インターネットの過度な使用によって生活や健康に支障をきたすネット依存の問題が指摘されている。こうしたネット依存を測定する尺度としてインターネット依存度テスト(IAT)がある。本研究ではIATの因子構造について検討した。探索的因子分析により「コントロール喪失」と「執着と恥・苛立ち」の2因子が抽出された。1因子モデルと2因子モデルについて確認的因子分析を行い、モデルの適合度について比較したところ、各指標について2因子モデルの方がよい値を示した。精神的健康に関わる指標や対人関係に影響を及ぼす指標との関連を調べたところ、因子によって相関係数に差が見られる尺度があった。従来のIATの合計得点で表される重症度は日常生活の活動への支障を表す「コントロール喪失」がより強く反映されており、「執着と恥・苛立ち」はネット依存の心理的側面を検討するのに有用であることが示唆された。
著者
川原 正人
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.37-44, 2020

<p> 本研究では大学生を対象として、居場所感とアパシー傾向がネット依存傾向にもたらす影響について検討した。今回の調査では先行研究に比べて高い依存傾向に含まる調査対象者の割合が多く、項目ごとの回答や尺度の平均得点で見ても上昇しており、大学生のネット依存傾向が強まっている可能性が示唆された。ネット依存と居場所感、アパシーの関連について検討したところ、アパシーとネット上での自己有用感がネット依存に影響を与えており、アパシーに対しては現実生活での本来感が影響を与えていることが明らかとなった。ネット上での自己有用感の直接効果よりも現実生活での本来感がアパシーを経由してネット依存に与える間接効果のほうが大きいことが確認され、ネット依存への対策として、ありのままいられる感覚を現実世界で見出すことがアパシーの低減につながり、それによってネットへの回避を和らげることが手がかりとして示された。</p>
著者
上原 正人 上嶋 俊彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.963-970, 1985-12-15

鶏の尾髄は第37節から第41節までの5節からなるが, 灰白質は第39節まで認められ, 背腹角を区別しえたのは第37節のみであった. 大型の運動神経細胞は第39節でごく少数みられたが, 第40節および第41節の頭側部には小型神経細胞のみが見られた. 変性軸索は尾髄を通じてしばしば見られた. 第41節は尾端骨中の脊柱管内にあり, おもに多量のグリコーゲン果粒を含む線維性星状膠細胞と上衣細胞から成っていた. また, この節には血管がみられず, 多量のグリコーゲンの存在との関連が示唆された. 脊髄の尾端で中心管は開放し, 直接クモ膜下腔と連絡し, 中心管内の脳脊髄液の活発な移動に役立つものと思われた.
著者
萩原 正人 小川 泰弘 外山 勝彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.440-450, 2011 (Released:2011-04-01)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

Extraction of named entitiy classes and their relationships from large corpora often involves morphological analysis of target sentences and tends to suffer from out-of-vocabulary words. In this paper we propose a semantic category extraction algorithm called Monaka and its graph-based extention g-Monaka, both of which use character n-gram based patterns as context to directly extract semantically related instances from unsegmented Japanese text. These algorithms also use ``bidirectional adjacent constraints,'' which states that reliable instances should be placed in between reliable left and right context patterns, in order to improve proper segmentation. Monaka algorithms uses iterative induction of instaces and pattens similarly to the bootstrapping algorithm Espresso. The g-Monaka algorithm further formalizes the adjacency relation of character n-grams as a directed graph and applies von Neumann kernel and Laplacian kernel so that the negative effect of semantic draft, i.e., a phenomenon of semantically unrelated general instances being extracted, is reduced. The experiments show that g-Monaka substantially increases the performance of semantic category acquisition compared to conventional methods, including distributional similarity, bootstrapping-based Espresso, and its graph-based extension g-Espresso, in terms of F-value of the NE category task from unsegmented Japanese newspaper articles.
著者
村野 一郎 常岡 英弘 飯野 英親 亀井 敏昭 中村 功 塚原 正人
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.75, no.9, pp.808-811, 2001-09-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
8
被引用文献数
7 7

Two patients were reported as having been infectd with Bartonella henselae after having contact with a dog. Both of the patients owned a dog, but had no contact with cats.One patient was a 10-year-old boy who had experienced a fever of 38-39°C for 11 days, as well as having bilateral cervical lymphadenopathy. The boy's serum IgM antibodies to B. henselae were negative on the 6th and 16th day of his illness, whereas his IgG value, using indirect fluorescence antibody (IFA) method, was found to be elevated from 1: 256 to 1: 1, 024. B. henselae DNA was detected, by PCR method, in swabs from the gingiva and buccal membrane of the dog with which the boy had been in contact. The boy was first treated with cefdinir (300mg daily) for 6 days without beneficial effect. He responded, however, to minocycline (100mg daily) with symptom resolution in four days.The other patient was a 64-year-old man who had experienced a fever of 38-39°C for 27 days, as well as having right inguinal lymphadenopathy. The man's serum IgM antibody to B. henselae was negative, although his IgG value, determined by IFA, was 1: 1, 024. In addition, B. henselae DNA was detected, by PCR method, in parafin-embedded tissue obtained from the biopsied inguinal lymph nodes. The man was treated with cefazolin (2g daily). His fever resolved, but his lymph nodes remained swollen. After a regimen of erythromycin (1, 200mg daily), the swelling in his inguinal lymphnodes gradually disappeared.Careful review of suspected CSD victims' history of contact with animals is important in making a prompt diagnosis of B. henselae infection.
著者
細川 泰秀 柴田 徹 拜原 正人
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
pp.36-39, 2012-01

本誌 日経SYSTEMSが実施した調査によると、プロジェクトの失敗を繰り返す割合は89.9%と、非常に高い結果となりました。最初にプロジェクトの失敗が実際にどの程度あるのかについてお聞きします。ユーザー企業の代表として、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の細川さんは、どのようにご覧になりますか。
著者
黒原 正人
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P1252-E3P1252, 2009

【はじめに】<BR> 「食べる」ことは生命活動の根幹であり、生きていくために不可欠な行動として日常生活の中で行われている.しかし、高齢者は様々な理由で、咀嚼能力の低下や嚥下障害を起こすことが多い.そのため、咀嚼に問題がある場合は軟らかい素材の選択や、すりつぶして噛まずに飲み込めるような工夫を行う.このように、質の高い食生活を送るには、安全で適切な食形態を選択することが必要となる.食形態は噛むことを包括した口腔機能を反映するとされる.従来、口腔機能と全身状態との関係には何らかの関連があることが指摘され、全身状態の低下に伴い食形態が変化することは臨床でもよく経験する.そこで本研究は、全身状態の指標としてADL能力に着目し、食形態とADL能力の関係を調べる目的で行った.<BR><BR>【対象・方法】<BR> 対象は、2006年4月から2008年4月までに当院の回復期リハビリテーション病棟から退棟した症例のうち、再発症例や状態悪化等で転院・転科した症例及び嚥下障害の認められる症例を除いた129例を対象とした.方法は、食形態の評価は摂食機能と食形態に応じて3区分(並食群・軟食群・粥食群)に分類、ADL能力についてはFIMを用いた.統計処理は、食形態とFIM得点の関係にSteel-Dwass検定を用いた.統計解析にはR Ver2.7.0を用い、統計学的有意水準は5%未満及び1%未満とした.なお、本研究は当院倫理委員会での承認を得て行った.<BR><BR>【結果】<BR> 食形態とFIM得点(合計点)の関係において、並食群と粥食群の間に有意差(p<0.05)が認められた.なお、食形態別のFIM得点(合計点)の中央値は、並食群=106.5点、軟食群=96.5点、粥食群=93.0点であった.<BR><BR>【考察】<BR> 食形態が軟らかくなるにしたがって、ADL能力が低下する傾向が認められた.したがって、食形態とADL能力には何らかの因果関係があり、食形態はADL能力に影響を与える可能性があると考えた.しかし、臨床場面において口腔機能とADL能力との関連性を検討する場合には、口腔機能がADL能力へ影響を与えるのか、逆にADL能力が口腔機能へ影響を与えるのか、さらには他の要因なのかを患者個々に考察する必要がある.したがって、食形態だけで全てが決定されるわけではなく、種々の周辺症状に影響されることにも注意が必要である.多くの高齢者は、食事は一番の楽しみであり、より快適により安全なものにする必要がある.しかし、食形態の選択は、口腔機能を考慮しない安易な選択が多いのが現状で、食べさせてみた結果から判断しているのが大部分であると思われる.しかしながら、本研究で食形態はADL能力に影響を与える可能性があると考えたように、食形態の適切な選択は非常に責任あることであり、患者一人ひとりの特徴と状態を理解し、それぞれに合った選択が必要である.
著者
松田 義弘 高橋 則英 原 正人
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.22-23, 2006

The latest digital ink-jet prints have achieved excellent image quality, not only of color photographs, but also monochrome images, of which many photographers still think as important media for fine art and creative photography. In this presentation, discussed is the image stability of those digital ink-jet B & W prints. To evaluate the stabilities, used for accelerated aging are xenon and fluorescent light test, thermal chamber test and ozone exposure test. Through those aging test, the latest ink-jet prints are evaluated as having exceedingly improved image stability.
著者
山内 正仁 今屋 竜一 増田 純雄 山田 真義 木原 正人 米山 兼二郎 原田 秀樹
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.545-553, 2005

To help develop a technology for the conversion of the solid matter contained in sweet potato shochu lees, which is a food industrial waste, into a new resource, a study was conducted on the use of dried shochu lees as a nutrient material in the culture medium of hiratake mushrooms (Pleurotus ostreatus). Mushroom cultivation could be shortened by 4-8 days by using the shochu lees medium in lieu of the conventional rice bran medium. The mean yield in a test plot with 60% shochu lees was 137g, which was 1.6 times the yield from rice bran medium. Moreover, hiratake cultured in the shochu lees medium contained more protein than mushrooms grown on rice bran medium, indicating that the use of dried shochu lees could make it possible to commercially produce mushrooms with higher protein contents than conventionally grown mushrooms and open a way for large-scale utilization of shochu lees.