著者
姉川 知史
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

医薬品研究開発効率の向上には,技術イノベーションだけではなく,社会的分業,需要要因,市場競争などの「制度イノベーション」が必要である。本研究は過去20年に世界で開発された医薬品800件の医薬品属性,研究開発,特許,論文,研究者,企業等のデータを収集整理したデータ・ベースを作成し,医薬品研究開発のプロジェクト・ヒストリー,研究開発の社会的分業と技術革新とを数量化し,医薬品研究開発の効率性低下の現状と原因に関する経済的分析を行った。
著者
保坂 哲哉
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.37-49, 1996-08-25

本論はアメリカ,イギリスにおける正義論の最近の発展と論点,福祉国家とその政策への含意を論ずる。取り上げだのはJ.ロールズ,B.アッカーマン,R. ノージック,D. D.ラファエル,A.ブラウン,A.マッキンタイアの正義論である。とくに注目に値すると筆者が考えたのは,アリストテレスが『ニコマコス倫理学』で展開した徳論,善理論および正義論を基礎とするブラウンとマッキンタイアの正義論である。道徳的自然主義に立ち,人間の本性とその社会性の特質から出発して正義論を導出する内在主義的アプローチは,ブラウンによって実践的合理性によって整序された基礎財リストの提案を導く。しかしこれらの正義論討議から引き出せる実践的指針は,概して一般的性質のものであり,福祉国家正統化の根拠についての一般的合意形成には直接役立たない。その点にかんしてのマッキンタイアの言明,アリストテレス的道徳性の伝統は近代の組織的政治を拒絶すべきである,はきわめて厳しい批判と言わなければならない。
著者
清水 邦夫 柏木 宣久 栗原 考次 西井 龍映 福地 一 金藤 浩司 大西 俊郎 甫喜本 司 甫喜本 司
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

大気中の窒素酸化物や水中の酸素等の時間的・空間的濃度分布を知ることは環境を理解する上で重要と考えられます。また、鳥の飛翔行動や森林の更新の理解は生態系を把握する上で大切です。本課題では、データに基づいて環境・生態を理解するにはどのように数理的モデルを構成すればよいのかについて研究を行い、環境・生態に関係する実データの統計的解析も合わせて行いました。
著者
三井 宏隆
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.99-120, 1985-12

問題提起スティグマが相互作用活動に及ぼす影響 Kleck, Ono Hastorfの研究 手続 結果 Comer Piliavinの研究 手続 結果 Carver, Glass Katzの研究 手続 結果社会的ハンディキャップとしてのスティグマ Farina, Sherman Allenの研究 手続 結果 Mills, Belgrave Boyerの研究 手続 結果 Bullman Wortmanの研究 手続 結果スティグマを生みだす心理過程In this paper, the phenomena of social stigma, particularly the interaction between physically disabled persons and the nondisabled, were discussed in terms of experimental studies. The, main point of the discussion is that stigma is seen as a product of definitional processes arising out of social interaction, and not as an attribute that people automatically have when they acquire a trait or quality that may be discrediting. That is, stigmatization is regarded as a process in which particular social meanings come to be attached to categories of behavior and to individuals. The following things were found through the review of experimental studies which were conducted in different situations. (1) The reactions of the normals to the stigmatized are ambivalent. They can be either hostile and rejecting or sympathetic and helpful, depending on the circumstances of contact. (2) Physically disabled persons not only have the problems of coping with their physical handicaps, but are likely to experience social handicaps as well. One social handicap disabled persons face is that, in initial encounters, nondisabled persons tend to avoid social interaction with them. In this situation, one technique available to the disabled person is voluntarily to mention his handicap.
著者
佐藤 徹哉
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

磁性原子がランダムに配列した磁性体であるスピングラスでは、低温でスピンが凍結し、エイジング現象やメモリー効果などの特徴的な記憶現象を示す。しかし、その詳細については不明な点が多い。本研究では、スピン配列の詳細な情報を得るためにスピン流の利用に注目した。これは、スピン流がスピンの方向とスピンが流れる方向の二つの量を持つベクトル量であり、スピングラス中のスピンと直接相互作用してスピン配列の有用な情報をもたらし得るためである。スピン流を用いてスピングラスの低温相での挙動を解明することを目的に研究を進めた。強磁性FeNi層/中間Cu層/スピングラスAgMn層の3層構造をスパッタ法により作成し、強磁性層の強磁性共鳴を利用したスピンポンピングによるスピングラス層への非局所スピン流注入を試みた。比較のため、スピングラス層を含まない強磁性FeNi層/中間Cu層の2層構造も作成した。中間層は強磁性相とスピングラス層の間に交換結合が生じさせないために挿入した。マイクロ波を薄膜に対して垂直方向に、掃引磁場を薄膜に対して平行方向に印加し、低温での強磁性共鳴のスペクトルの半値幅の温度依存性を調べた。その結果、3層構造試料の半値幅はすべての温度領域で2層構造試料の半値幅より大きく、これはスピングラス層に注入されたスピン流が吸収されることにより生じるものと考えられる。また、2つの試料での半値幅の差はスピングラス転移温度近傍で極小を示した。この特徴は、スピングラス転移温度以下で、スピン拡散長が急激に低下するか、またはミキシングコンダクタンスが増大することで解釈される。現在のところ、この両者のどちらが支配的であるのかについては明らかではないが、スピングラス相と常磁性相ではスピン流の挙動が異なることがわかった。
著者
江坂 輝弥
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.243-252, 1991

報告第二回座談会三田史学の百年を語る
著者
鈴木 諒一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.27-32, 1996-06-25

1995年春の神戸の大地震と,円高不景気以来,海外に工場を移す会社が増えた。従って生産が増えても,国内の失業者の数は増えた。又,生鮮食料品の輸入が増えて物価は下ったが,農家所得は減った。GDPが世界一を誇った日本経済も,今や順位は下降し,世界第4位となり,産業別,地域別の賃金格差は増大して行くであろう。一方に於て,世界経済も不況に悩まされている。アメリカの財政赤字削減政策は,なかなか成功しないし,ドイツは,東西合併の余波が未だ続いて,低成長が続くであろう。これが,わが国の国際収支にまで影響してくるであろう。これにより,わが国GDPの予測は出来るが,その裏付けとなる地価の絶対額と,その昭和62-平成6年の変動率を,都道府県別に観察していこう。最も水準が低いのは,そして上昇率も低いのは,山陰地方であり,反対に上昇率が高いのは,大都市周辺の県である。これは人口疎開の面から云って,重要な参考資料となるであろう。もっとも,産業構造の変化との組合せ,との関係を追求していかなければならないわけであるが,以上,低成長下のわが国経済の問題点を指摘したまでである。
著者
鹿毛 雅治
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、教師の授業中における評価的な思考 (「教育的瞬間」 の把握・判断) を取り上げ、それを支える心理的メカニズムについて主に動機づけ研究の立場から検討を行った。質問紙調査、談話分析、協同的アクションリサーチを実施した結果、授業中におけるひとり一人の子どもの具体的な学習、授業者である教師の意図や考えを重視してそれを同僚が共有するような「当事者主体型授業研究」が、教師の意欲を高めると同時に「教育的瞬間」の把握、判断の基盤となる教師の態度を培う可能性が示唆された。
著者
岩谷 十二郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.365-387, 1958

慶應義塾創立百年記念論文集Alessandro Valignano S. J. showed us in the detailed picture, entitled "Historia del principio y progresso de la Compania de Jesus en las Indias Orientales", the navigation between Lisbon and Goa, and also the difficulties from which the people had suffered. He classified them into two parts: hardships in daily life, and perils which fell during this navigation; and further sorted both of them into six, respectively, i.e., the former into: 1. lack of accomodation, 2. food, 3. clothes, 4. hardships from becalmed ships, 5. lack of water, 6. disease ; while the latter into: 1. tempest, 2. reef, 3. fire at sea, 4. French pirates, 5. lack of water, 6. death. In recent years, Europeans have made all sorts of studies of his work, and particularly those who are inter- ested in studying the biography of S. Francis Xavier can not fail to disregard them. This is an evident fact that his sharp-eyed analysis and accuracy came to gain a high reputation as historical material. The present article which is chiefly based on Valignano's work tries to give a brief sketch of the actual condition and various difficulties they had to face during the voyages on Portuguese vessels from Lisbon to Goa.
著者
石黒 仁揮
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

大規模アナログ・ディジタル混載回路に搭載されるアナログ回路の周波数応答および時間応答をモニターする回路を開発した。高速に正負双方に昇圧されたクロックを生成するブートストラップ回路を考案し、サンプリング回路の動作周波数およびダイナミックレンジを拡張出来ることを実験で確認した。位相特性測定用の面積効率の良い位相補間回路を考案して、回路設計および測定を行った。開発したモニター回路は0.1mm角以下のサイズで、LSIのチップ内に多数搭載してアナログ回路の特性モニターおよびそのキャリブレーションに利用することができる。
著者
武田 勝藏
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.440-456, 1922-05

(一) 藏書印(二) 文庫印
著者
千葉 恵
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.1-24, 1981-12

In Post. Anal. A4, Aristotle enumerates four Kinds of "Per Se" which designate four kinds of necessity between subject and predicate. Many commentators exclude the last two "Per Se" from their concern as irrelevant to Aristotle's inquiry of the demonstrative theory. I think, however, that, as far as a necessary S-P relation, all four kinds of "Per Se" are, for Aristotle, indispensable to his theory of demonstration. In this paper, I try to investigate his true thought when he manifests four "Per Se" and to show the principal role of each of the last "neglected" two as follows. 1. implies tautological necessity which we acquire from the linguistical point of view. This must be relevant for positing a genus which each science has as its domain. 2. implies causal necessity such as is valid, in fields of nonmathematical sciences.
著者
堀澤 健一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、タンパク質の試験管内スクリーニング技術であるin vitro virus (IVV)法を応用し、アルギニンメチル化酵素群の標的となる基質タンパク質を、試験管内で網羅的に解析する系の構築を目指した。代表的なアルギニンメチル化酵素であるPRMT1の基質タンパク質の試験管内スクリーニングのモデル系を構築し、種々の検討を行った。その結果、夾雑タンパク質存在下において既知基質タンパク質が1度のプルダウン操作により約11倍濃縮されることを確認でき、PRMTs基質タンパク質の試験管内探索のモデル系を確立することができた。
著者
平田 栄一朗
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

同研究により、日本とドイツ演劇のドラマトゥルギーに関連するドイツ語書籍を一冊編纂・出版し、ユートピア研究と文学・演劇に関する日本語書籍を出版することができた。さらには、ドイツ、ギリシア、カナダ、アメリカの国際シンポジウムに参加し、日本とヨーロッパ演劇の比較論的考察について議論する機会をもつことができた。とりわけ上記のドイツ語は、日本と諸外国の研究者が現代日本演劇をドイツ語で最初に網羅的に紹介する世界初の研究書となった。
著者
大嶽 卓弘
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.321-337, 1984-03

論文III 人民保守派の成立 1 対立の激化と勢力の逆転 2 ヤング案問題と人民保守派の成立IV 結びに替えて
著者
福島 宏器
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、他者にたいする共感(感情の共有・理解)が強化または抑制されるメカニズムを明らかにし、さらに共感の強さにおける個人差の原因を解明することである。3年目となる今年度は,米国カリフォルニア州における社会性の研究プロジェクトに参加し,(1)他者の感情理解の正確さの個人差の検討,および(2)感情の理解にともなう生理活動の連動が他者理解において果たす役割の検討,の二点に関わる研究に従事した.具体的には,30名の実験参加者が,注意や感情を制御する練習を3ヶ月間集中的に行うことによって,心身にどのような効果が現れるかを研究した.実験では,感情を推定される側と推定する側の両者の推定の一致度から「共感の正確さ」を数値化し,同時に,両者の生理指標(心拍・血圧(指先脈派)・発汗・呼吸)の連動を解析することにより,共感の正確さと,共感課題時の生理活動の連動が評価された.その結果,注意と感情制御のトレーニングによって,実験参加者の共感性尺度(Davis,1983)は有意に上昇していた.他者の感情理解の正確さについては,一部の課題にのみトレーニングの効果が見られたが,感情制御の訓練による社会不安(とくに愛着不安)の低減が,他者のポジティブ感情の正確な理解に関連することが示唆されている,また,課題中の生理指標から,他者の感情の推測と,その課題中の自分自身の生理的反応(とくに血圧系や皮膚電位系)の連動が変容することも示唆されている.申請者は昨年度までに,自分の身体生理活動の調整に関わる神経機構が,他者理解,そして日常場面での共感性と関わっていることを示唆してきた(例えば,Fukushima et al.2011).3年目の研究はなお進行中であるが,申請者のこれまでの成果と合わせて,他者に対する共感の強さや正確さを左右する大きな要因の一つとして,身体の生理的活動と,これに対する認知・神経活動が関わっていることをさらに示唆した.