著者
砂原 秀樹 和泉 順子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

インターネット上にあふれる情報を収集し処理・公開していくシステムとしてセンサネットワークがあるが、これを安全で安心して利用できるようにするためには、大量の情報源からの情報の流れを取り扱うための技術、情報源の信頼性の確保、情報源の攻撃からの保護を実現する基盤技術の開発と運用技術の確立が重要となってくる。そこで、多数のセンサが接続されたインターネット基盤において安定したセキュアなネットワークを構築・運用する技術の開発を行った。具体的にはノード群の相互監視による自律的情報管理機構を提案し、実装評価を行った.その上で、100箇所/10カ国以上に設置された環境センサを用いたセンサネットワークによる国際実証実験基盤Live E! Projectにおいて提案手法の検証を行った。Live E!から得られる実際のセンサデータと組み合わせることで、東京都心におけるゲリラ豪雨とセンサ機器の故障による異常値を判別することに成功している。また、イベント駆動型の処理が可能であるCBNにデータ処理機構を導入し、また負荷分散機能も同時に実装した。データ処理機構が処理部分を分割し、処理の再割り当てを行うことで規模性を担保している。またセンサデータにはデータ発生源を示すセンサIDに加え発生データにシーケンシャル番号を与えることでデータ処理過程やトレーサビリティに役立てている。本研究での成果により、センサネットワークという新しい情報基盤に社会が依存することが可能となり、より安心、安全な社会を構築する礎となると考える。
著者
前嶋 信次
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-37, 1959-04

一 突騎施可汗蘇禄二 蘇禄の全盛時代三 唐朝と蘇禄四 蘇禄の死五 黄姓と黑姓六 唐の對突騎施政策の一轉七 莫賀達干の運命八 唐軍の潰滅結語This chapter begins with the activities of Su Lu, Khaqan of Turgesh Turks. He engaged in successive battles for about sixteen years with the Arabs on one side and with the Chinese on the other. But, after he was murdered by Baga Tarkhan (Kursul) in 738, the Turgesh Turks splitted into two parties, Black (Kara) Turgesh and Yellow Turgesh. At first, the authorities of T'ang dynasty supported the yellow party, but afterwards changed their policy and helped the black party. The battle of the Talas between the Arabs under Abbasid Caliphate and the Chinese of T'ang occurred amid the Turgesh territory in 751 after the expedition of Chinese frontier general Kao Hsien-shih to Shash (present Tashkent in Tajik SSR). However, as to the reason why the Chinese gave such a chastisement on the king of Shash, the descriptions of Chinese historians do not coincide with those of Arab chroniclers. The Chinese sources say that general Kao punished severely the king of Shash because the latter neglected the duty as a subordinate state. Ibn al-Athir, Arab historian in the 13th century, stated that the king of Farghana came into conflict with the king of Shash, the former asked for aid to the Emperor of China who sent a large force to besiege the capital of Shash and that Abu Muslim dispatched one of his generals to rescue the besieged. In my opinion, both of these records, Chinese and Arab, are not sufficient to explain the real cause of the accident. I think that Kao Hsien-shih punished the king of Shash because the latter was the most fervent helper of Yellow Turgesh, while the policy of T'ang at that time was to support the other Black Turgesh.
著者
前嶋 信次
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.657-691, 1958

慶應義塾創立百年記念論文集はしがき一 二大勢力の接近二 西突厥故地の經營三 波斯の滅亡と吐火羅四 第三勢力としての吐蕃五 碎葉城の護り六 クタイバ・イブン・ムスリム七 フェルガーナの運命The battle at Talas in Central Asia, fought between the Chinese army of T'any dynasty and the Arab and Iranian troups of Abbassid Caliphate in 751 A.D., was not only significant from political and military standpoints, but it produced various interesting effects on the history of cultural intercourse between the West and the East. But the Chinese sources concerning this event are comparatively poor and the Arabic sources astonishingly scarce. The researches into the history of Heart of Asia in this period are admirably executed by E. Chavannes, W. Barthold, H.A.R. Gibl and other scholars. However, we cannot find any monograph which treats particularly this serious encounter. In my opinion, there still remain considerable parts to complement the studies of the predecessors. In this preliminary chapter, I wish to re-examine the relations and contacts between T'any dynasty and the Caliphate from the beginning to the day of Talas. As to the direct causes of the incident and the relating circumstances, I intend to publish my opinion shortly in the SHIGAKU, historical quarterly of Keio University.
著者
香坂 俊
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

レジストリ登録されたデータを用いて(15施設、4000例)、PCI に伴ってみられた出血合併症の発症率の計算を行い、関連する臨床的因子の寄与度の定量化を行った。さらには、PCI施行後の適切な処方の用いられ方、そして休日と週末のPCI入院による実際の成績の違い等に関しての解析を行い、その結果を平成23年3月に行われた日本循環器学会にて発表、現在論文として学術誌に順次投稿している。また、四半期に一度程度継続的なフィードバックをかけて各施設の医療の質の向上に努めている。
著者
田久保 圭誉
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

造血幹細胞(HSC)はニッチと呼ばれる特殊な微小環境で維持される。本課題ではHSCは骨髄内骨膜近傍領域において低酸素状態で細胞周期を静止期にとどめていることを見出した。また、こうした性質の維持のためには低酸素応答因子HIF-1alphaとその蛋白を破壊するために必要なE3 ユビキチンリガーゼVHLが必須であり、HIF-1alphaが失われるとHSC は老化してストレス耐性を失った。一方、VHL欠損でHSCの細胞周期がより静止状態になったことから、HIF-1/VHL制御系の精密な制御はHSC維持に必須であることが示された。
著者
小草 牧子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

本年度の研究は、前年度の基礎研究の総括とその研究分析結果をもとにした構法開発が主であった。基礎研究の総括としては、まず個々に行われている研究を収集しそれらを体系化することがベースとなる。また、遊牧型住居に限らず、自然材料を使用している在来構法についても同様であるが、これらの住居形態は、「原始的住居形態」として位置付けられた上で取り上げられていることが多いため、本研究では、さらにそれを発展させ、住居環境や構法システムなどの評価を行い、現代への技術移転や構法開発に関する研究に展開させた。その際、構築される評価システムは1960年代半ばに生まれたPOEの概念を参考にし、これまでに細分化され試みられた評価方法から、評価項目の検討と評価指数の設定に関して分析し、独自の評価分野と項目、指数設定を行い評価を試み、その結果を構法開発にフィードバックするものであった。発展途上国において、在来構法を応用した経済的、合理的な構法開発を行うためには、構法システムについて考察する必要があり、そのシステム開発においては、これまでの建築生産の変遷を調査、分析することが不可欠であった。建築産業の分野としては、特に大量生産の時代におけるユニット方式、プレファブリケーションによる部品の大型化やBE(Building Element)論について、また、建築家による仮設住宅やアフリカでの住宅提案、軍事用仮設建築について、さらには、UNDROやUNHCRなどの活動報告による、近年の災害時や難民キャンプなどで必要とされる仮設住宅の提案、実験について、それぞれの分野でのデータ収集と分析研究を行った。また、これまでの基礎調査とパイロットプロジェクトを踏まえて、技術移転を利用した学校施設計画と実際の建設活動を行っているが、この構法計画において日乾し煉瓦の開発を行い、環境に適した建築資材の提案を行ったという意味で、途上国の抱える施設不足の解決糸口として評価できるものであり、同時にサスティナブルな開発援助手法を示唆するものとなった。
著者
大西 達也
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

実験では鉄磁性体に、外部より交流磁場を印加することで得られる熱させ、医学的な応用を検討した。はじめに様々な鉄磁性体に交流磁場を印可し、発熱を確認した。続いて鉄磁性体に腫瘍細胞に特異的に集積させる機能を持たせることが可能であることを確認した。最後にマウスの背部に生着させた腫瘍に鉄磁性体を注入し交流磁場を励起させることで、腫瘍の縮小効果を確認することに成功した。生体内で鉄磁性体と交流磁場を用いた温熱療法の抗腫瘍効果を確認出来たことは、医学的応用に向けて大きな前進であると考えている。
著者
長谷川 次郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.361-362, 1970-02

発表要旨彙報
著者
山口 元樹
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、1914年に設立されたインドネシアのアラブ人協会「イルシャード」の活動を分析するものである。本研究の目的は、これまで十分に検討されてこなかった協会の指導者・設立者、アフマド・スールカティーの役割に着目することによって、中東のイスラーム改革主義運動の影響を受けた組織という観点からイルシャードを分析することである。平成22年度に実施した研究内容は次のとおりである。まず、史料・文献収集のために、シンガポール(2010年4月10日から13日)とインドネシア(2010年10月2日から年10月21日まで及び2011年2月5日から23日まで)において調査を実施した。シンガポールでは、文献を集めるとともに、4月10日と11日に開催された国際会議、"Rihlah:Arabs in Southeast Asia"にも参加した。インドネシアでは、ジャカルタとボゴールに滞在し、主なものとして、20世紀前半に発行されたアラビア語とインドネシア語(ムラユ語)の新聞・雑誌、イルシャードが発行した冊子類を集めた。次に、研究成果の発表としては、2010年7月30日に東京外国語大学で開催されたlnternational Workshop on the Emergence and Dynamic of Various Islamic Variants in Indonesia (Bilateral Program : Joint Research Project, JSPS-LIPI)における"Transformation of the Identity of Al-Irsyad : From a Hadhrami Organization to an Indonesian Muslim Organization"と、2011年2月28日と3月1日に南山大学で開催されたセミナー「東南アジアのマイノリティ・ムスリム」における「オランダ領東インドにおけるアラブ人協会『イルシャード』の教育活動-アフマド・スールカティーの改革主義思想とその影響-」がある。これらの発表では、オランダ統治期からインドネシア独立後までのイルシャードの変化を、イスラーム改革主義と関連付けて明らかにした。後者の発表内容に基づいた論文を『東洋学報』に提出し、現在審査中である。
著者
立野 清隆
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.141-162, 1958-11

I 哲学,慶応義塾創立百年記念論文集Man kann die Grundeigentumlichkeit der europaischen Philosophie im intellektuellen Essentialismus befinden. Es vollendet sich im allgemeinen beim Aristotelischen-Thomismus. Das Aristotelischen-Thomismus (die scholastische Ontologie), das die Identitat zwischen das Denken, Seiendes und Wesen, und das Identitats-Widerspruchsprinzip als das hochste ontologische Grundprinzip betrachtet, erfahrend die Gewissheit des Seins des denkenden Ich, d. i. das neuzeitlichen subjektiven Selbstbewusstsein, wendet es sich hierauf in die Metaphysik des subjektiven Willens, welche in der Hegelsphilosophie des absoluten Geistes und Nietzsches-Philosophie des Willens zur Macht zu Ende kommt. In diesem geschichtlichen Entwicklungs-Prozesse vom intellektuellen Essentialismus zur Metaphysik des subjektiven Willens kann man gewiss das Wesen der europaischen Metaphysik begreifen. Aber das intellektuellen Essentialismus, das Identitats-Widerspruchsprinzip fur das hochste ontologische Grundprinzip haltet, ist nur noch eine analytische Erklarung der erscheinenden Welt oder eine reflektierende verstandliche Auslegung, der mit der unmittelbaren Bejahung des Anwesen der wirklichen Welt beginnt und endet. Deshalb gehorte es durchaus nicht zur Sache, die existierende Moglichkeit des Anwesen der wirklichen Welt zu fragen; die existierende Welt und die in der Welt anwesende Seiende in den absoluten anfanglichen Woraus und den schopferischen zukunftigen Wozu sich selbst aufbrechend zu fragen. Ich wollte die innere Geschichte darstellen, in der sich die Ausbildung und die Zerstorung der Herrschaft des Denkens als ratio der Logik uber das Sein des Seienden vollzog.
著者
平山 勉
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

地方史資料を入手して基本的史実の整理・理解に努めた上で、資料残存状況を把握して、新たな仮説を検討した。区裁判所による商業登記公告などから県内会社の設立・増資・減資・解散・倒産のデータベースを構築し、郷土資料などの収集を通じて農家や商工業者などの株式投資行動を分析するとともに、地元紙に提供された株価情報などをもとに証券業者の機能を分析した。その上で、富山県在住満鉄株主のデータベースとの接続を図り、仮説の再検討を展開した。
著者
笠井 昭次
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.49-70, 1993-12-25

会計(学)と簿記(学)との関係と言えば,一見,過去のテーマのように思われるが,しかし,けっしてそうではない。簿記教育の側面および理論研究の側面のいずれにおいても,今日なお,重要な意義を帯びているのである。まず前者の簿記教育面であるが,今日にもなお,資本等式が生きていると主張されることがある。財産計算の体系である資本等式は,とうてい,損益計算にかかわる今日の複式簿記実践の説明理論たり得ない。それにもかかわらず,そうした主張がなされるというのは,損益計算体系性の説明ということより,むしろ貸借複記に基づく複式簿記の自己完結的な機構そのものの説明が主題になっていると考えざるを得ない。つまり,簿記学という感覚での教育がなされているのである。ここに,会計(学)と簿記(学)との関係が問題になるのである。次に理論研究面であるが,今日,複式簿記が軽視されているにもかかわらず,現実に取り上げられているのは,損益計算書・貸借対照表等の複式簿記により産出される情報だけなのである。そうであれば,複式簿記機構の特質を理解しないかぎり,損益計算書・貸借対照表等の特質も明らかにならないはずである。したがって,この複式簿記の意義を今日の会計学のなかに適切に位置づけることが,どうしても必要になる。本稿は,複式簿記をもって会計の構造とみる立場から,会計(学)と簿記(学)との関係を論じている。
著者
服部 哲弥 南 就将 安田 公美 厚地 淳 服部 久美子 竹田 雅好 鈴木 由紀 針谷 祐
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

ウェブで見られるランキングの時間発展のモデルとなる確率順位付け模型の位置ジャンプ率結合経験分布の大数の法則(流体力学的極限)と軌道についてのカオスの伝搬を一定の仮定の下で証明した.結果はオンラインストアのロングテール構造の解析に適用できる.成果は学術論等の専門的な場での発表の他に「Amazonランキングの謎を解く」(服部哲弥著,化学同人出版)で紹介した.
著者
須田 年生 鄒 鵬
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

昨年度はp57による造血幹細胞静止状態維持の分子機構を詳細に検討するために、ノックアウトマウス胎生期の肝臓由来の造血幹細胞を用いて、放射線照射したマウスに移植するin vivo実験系で解析した。1)p57の欠損に従って、p27が造血幹細胞の細胞質における発現が特異的に増加することがわかった。その結果より、造血幹細胞のp57が欠損する場合、その静止期維持における機能はp27が代償する可能性が考えられる。2)静止期造血幹細胞のcyclin Dの転写活性は高いレベルを維持することを見出した。また、新規p57結合タンパクHsc70がcyclin Dタンパクの局在を制御することによって、造血幹細胞の細胞周期制御に重要な役割を果たしていることが示された。3)Hsc70のinhibitorデオキシスパガリン(DSG)を用いて実験では、DSGは造血幹細胞の静止期での維持を阻害することがわかった。この結果より、p57とhsc70、およびcyclinD三者の相互作用が造血幹細胞の細胞周期制御において重要な働きをしていると考えられる。4)CDK inhibitorであるp27もHsc70と結合し、Hsc70/cyclin D複合体を細胞質に安定化させることによって、幹細胞の静止期維持に働くことがわかった。p57とp27は単独に一つでも存在すると静止期維持の機能できるが、両者の発現がともに抑制される場合、Hsc70/cyclin D複合体が核内に排出され、幹細胞静止状態の維持ができなくなることが証明された。
著者
石田 恵子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.431-459, 1975

論文序一 六世紀のアッティカ二 Kleisthenesと民衆の提携三 新部族制改革の内容 (一) 区 (a) 区 (b) 区とフラトリア (二) トリッテュス (三) 部族 (a) 新部族組織の特殊性 (b) 新部族組織の目的四 五百人評議会 (一) 評議会員の選出方法 (二) 評議会の権限五 Kleisthenesの「貴族政」六 五〇一/〇年の改革 (一) アルコン (二) 将軍 (a) 将軍と民衆 (b) 将軍と貴族結Kleisthenes has often regarded as a founder of Athenian Democracy. Some historians have suggested that he sought by his reforms to put an end to regional struggles and to give a blow to the noble forces. Therefore, in his reforms, the democratic side has a tendency to be emphasized. But, did he really intend to break down the noble forces? Surely, he turned to the demes in order to have their support. At first he reorganized the tribes and satisfied their prospect of local self-government in a deme-system. However, according to our evidence, he never touched the Phratries. In the demes, the Phratries and the tribes, he could ensure the excellent position to the nobility. Next, he established the new council of five hundred. Even in this, and then, in the Strategia, the nobility could control the real policy. It seems that Kleisthenes manipulated the demes and created his institution on the compromise with the nobility. In this way, although in the institution he gave equal political rights to all demes, in fact he did the nobility a special favor and ensured their traditional rights. Therefore, we must emphasize the aristocratic side in his reforms. Indeed the nobility was no longer the privileged class, but Athenian Democracy in the fifth century which was founded on by Kleisthenes, reminds us of the control by the nobiles in Rome.
著者
上田 政和 神野 浩光 宮田 量平 城戸 啓
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

平成15年から17年度にかけての3年間の研究により以下のような成果が得られた。1.HBs抗原L粒子のC末端側に緑色蛍光タンパクを結合させたL粒子を作製し、in vitroおよびヒト肝細胞癌およびヒト大腸癌細胞をヌードマウス皮下に移植したモデルに投与すると、in vitroおよびin vivoでヒト肝細胞癌でのみ緑色蛍光が認められ、ヒト大腸癌では緑色蛍光は検出されなかった。2.HBs抗原のpreS1を削除しランダムペプチドを結合させるとあらゆる細胞に遺伝子および蛍光物質が取り込まれた。3.アドリアマイシン封入L粒子によるヒト肝細胞癌に対する殺細胞効果:アドリアマシン封入L粒子を作製・精製してヒト肝細胞癌株にin vitroで添加し、細胞数をMTT assayで測定すると、濃度依存的な殺細胞効果が認められた4.HBs抗原結合GFPcDNA封入MPCポリマーに関する研究:cationic portionを導入したMPCポリマーに緑色蛍光cDNAを結合させてエステル基にHBs抗原を反応させたHBs抗原結合遺伝子封入MPCポリマーを作製して、in vitroおよびin vivoでヒト肝細胞癌に投与すると7日後にと殺して各種臓器の蛍光を測定するとヒト肝細胞癌組織でのみ緑色蛍光物質の発現が認められた5.RNase挿入FGFタンパクによるin vivoにおける血管新生阻害:小さなチャンバー内でがん細胞株であるA431を培養し、培養液内にRNase挿入FGFを添加し、その後チャンバーをマウス背部皮下に置きその部位の血管新生を形態学的に測定し、対照群と比較すると、腫瘍細胞であるA431を培養しているチャンバーを皮下に植え込んだマウス背部では培養液のみの対照群より蛇行した血管新生が著明に認められたが、A431に加えてRNase挿入FGFを添加したチャンバーを植え込んだマウス背部では血管新生が抑制され、対照群と有意の差を認めなかった。
著者
佐藤 和
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.1-21, 1993-10-25

本論文では組織文化を「あるグループのメンバーに共有された基本的価値観と,そこから生じる行動パターンのことである」と定義し,企業におけるその外部適応機能,内部統合機能の検討を通じて,組織文化がその組織の広義の情報処理特性を特徴付けていることを示した。そして情報システムを企業におけるコミュニケーション・メディアの一つであるとし,組織文化に応じて異なった特性や異なった発展度を持つ情報システムが必要とされると考えた。そこで組織文化の直接的,間接的な分類項目によって企業の分類を行ない,これと組織の情報処理特性や情報システムの発展度との関係について実証分析を行なった。3つの組織文化の分類軸が抽出され,これを用いて企業を6つのグループに分類した。また情報システムを含む広義の情報処理特性の発展度を表す5つの評価軸を抽出し,組織文化による企業分類との関係を分析した。こうした結果から,組織文化は組織の広義の情報処理特性と強い関連を持つと同時に情報システムの発展度に影響を与えていることがわかった。有効な情報システムの構築を通じて企業全体の総合的な情報処理特性を向上させてゆく為には,組織の個性としての組織文化に応じた対応策が必要なのである。