著者
神野 雄
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.125-139, 2018

<p>本研究では,先行研究で知見が一貫していない恋愛関係の嫉妬傾向と自尊感情との関連について,自己愛的観点に着目することで知見を整理し直すことが目的であった。交際経験のある大学生160名を調査協力者として質問紙調査を行い,相関分析の結果,自尊感情は嫉妬の三次元すべてと明確な直線的関係にないことが示された。また階層的重回帰分析の結果から,特に嫉妬の情動的側面に対して自尊感情と自己愛の誇大性に相当する変数を同時に投入した場合は自尊感情が負の,「有能感・優越感」が正の有意な影響を示し,先行研究の知見の混乱は自尊感情が自己愛的な自己評価の高さと弁別して測定されていないために生じた可能性を見出した。さらに自己愛の過敏性に相当する変数と「注目・賞賛欲求」を投入すると,「注目・賞賛欲求」「自己愛性抑うつ」の影響が強く示されたため,自己評価の過敏さ・脆弱さが青年の情動的な嫉妬深さを規定しうることが示唆された。</p>
著者
山本 琢俟 上淵 寿
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.12-22, 2021-04-09 (Released:2021-04-09)
参考文献数
26
被引用文献数
2

本研究では,向社会的行動の動機づけ(向社会的動機づけ)について中学生を対象とした尺度の開発を目的としている。従来,向社会的行動はその実行によりポジティブな結果をもたらすものとして注目されているが,その功名は動機づけによって支えられている部分が大きいと推察される。自己決定理論に依拠し,向社会的動機づけを自律性の観点から捉えるべく,計1,017名の中学生に自記式調査を実施した。先行研究を参考に作成した項目群について,因子分析を行った結果,日本の中学生が認知する向社会的動機づけとして「同一化的調整」と「統制的調整」の2因子が抽出された。このことから,中学生の向社会的動機づけにおいては外的調整と取り入れ的調整が未分化であり,統制的動機づけという1つのまとまりとして認知されていることが示唆された。その後,尺度の信頼性と妥当性を確認すると共に,向社会的動機づけの性差について検討した。
著者
磯和 壮太朗 三宮 真智子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.152-154, 2018
被引用文献数
1

<p>The purpose of this study was to examine individuals' sense of competence contained in their sense of coherence (SOC). There are two aspects of competence: self-esteem (SE) and assumed-competence (AC). Self-esteem relates to essential aspects rooted in personal experiences, while assumed-competence pertains to illusory aspects not rooted in personal experiences but based on undervaluing others. Data of 183 college students were analyzed. Results indicated a positive correlation between SOC and SE, and a negative correlation between SOC and AC. Thus, sense of competence contained in SOC may not be based on illusory aspects and on undervaluing others.</p>
著者
本田 周二
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.152-163, 2012-11-30 (Released:2013-02-11)
参考文献数
32

本研究の目的は,友人関係が形成,維持される理由の多様性に焦点を当て,友人関係における動機づけが同性友人との葛藤時の対処方略および友人関係満足感に及ぼす影響について検討することであった。東京都内の短大および専門学校生,兵庫県内の大学生218名に質問紙調査を行った。構造方程式モデリングによるパス解析の結果,「内発的動機」から統合スタイルへの正のパスが有意であった。さらに,「外的」から強制スタイル,「取り入れ」から回避,自己譲歩スタイルへの正のパスが有意であった。また,重回帰分析の結果,「取り入れ」から友人関係満足へは負のパスが有意であった。本研究により,現代青年においては,内発的な動機に基づく友人関係だけではなく,外発的な動機に基づく友人関係も存在しており,両者は異なった対人行動を導くこと,そして,外発的な動機である「取り入れ」による友人関係を持つ傾向が高いほど,友人関係満足感が低いことが示された。最後に,外発的な動機に基づき友人とつきあう理由について考察した。
著者
河野 和明 羽成 隆司 伊藤 君男
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.95-101, 2015
被引用文献数
1

恋愛対象者に対する接触回避がどのように生じているかを分析した。大学生334名(男性126名,女性208名)が質問紙調査に参加した。調査では,恋愛対象者,同性友人,異性友人各1名を想起させ,8つの身体接触場面において,各人物との接触をどの程度回避したいかについて尋ねた。男女とも恋愛対象者に対しては,異性友人に比べて接触回避の程度を下げたが,この傾向は女性で顕著であった。女性は,異性友人に対して接触回避を高く保っているが,恋愛対象者に対しては大幅に回避を下げると考えられた。しかし,たとえ恋愛対象者であっても,恋愛対象者への接触回避は,同性友人への接触回避よりも低くならなかった。一方,男性は,同性友人,異性友人よりも,恋愛対象者への接触回避は低かった。接触回避が性的防衛の機能をもつ可能性が考察された。
著者
小平 英志 末盛 慶 鈴木 佳代
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.170-172, 2017

<p>This study investigated the effect of work-family conflict of single mothers on family image and attitude of their adolescent children towards marriage. Participants were 219 pairs of mothers and their adolescent children, and 103 pairs of those were single-mother families. They completed the questionnaire about work-family conflict of mothers and children's family image and hopes about getting married. Structural equation modeling analysis showed that work-family conflict was negatively associated with family image and hopes about getting married among adolescent children in single-mother families. The formation of families of children from single-parent families was discussed.</p>
著者
岐部 智恵子 平野 真理
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.108-118, 2019-11-01 (Released:2019-11-03)
参考文献数
42
被引用文献数
1 6

本研究の目的は日本語版青年前期用敏感性尺度(HSCS-A)を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった。本尺度の原版は感受性反応理論の枠組みに立脚し児童期から青年期の感覚処理感受性を測定するものとして開発されている。本研究では青年前期版作成を目的として中学1年生から高校1年生までの942名(女子44%,男子56%)を対象に研究を行った。探索的因子分析の結果,原版同様の易興奮性(EOE),美的感受性(AES),低感覚閾(LST)から成る3因子構造が見出され,直交する一般性因子を含むbifactorモデルが適していることが示された。さらに,パーソナリティ,情動性尺度との関連から構成概念妥当性を検討し弁別性を示す結果が得られ,内的一貫性も許容範囲であることが確認された。これらの結果から,HSCS-Aは感覚処理感受性を測定するおおむね妥当な尺度であることが示された。
著者
雨宮 怜 坂入 洋右
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.83-86, 2018-07-01 (Released:2018-07-04)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

The purpose of this study was to investigate the effects of transient exercise on the mood in people with sensory sensitivity. The participants were 23 university students. They were randomly assigned into two groups and were required to participate in a rope-jumping exercise for 10 min. The results showed that the relaxed mood of participants with low sensory thresholds significantly decreased and was lower than that of participants with standard sensory thresholds, and their pleasurable mood was stabilized. These results suggest that people need to select adequately intense exercises or alternative interventions depending on their level of sensitivity.
著者
横光 健吾 金井 嘉宏 佐藤 健二 杣取 恵太 坂野 雄二
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.1.7, (Released:2019-06-07)
参考文献数
20

The purpose of this cross-sectional study was to examine the relationship between happiness, satisfaction, and the psychological effects of consuming “shikohin” at social events on psychological health. Five hundred and thirty-two participants (270 men, 262 women; mean age=44.91 years, SD=13.81 years) from a community sample in Tokyo, Kanagawa, Saitama, and Chiba completed a set of questionnaires and the data were analyzed. The results of partial correlation analyses showed that when people experienced positive and negative social life events, the psychological effects of consuming “shikohin” showed a weak but positive correlation with happiness and satisfaction.
著者
伊藤 亮 村瀬 聡美 吉住 隆弘 村上 隆
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.396-405, 2008-04-01 (Released:2008-07-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

本研究の目的は現代青年のふれ合い恐怖的心性の精神的健康度について,抑うつと自我同一性の側面から検討することであった。大学生292名(男性125名,女性167名)を対象に質問紙調査を実施し,対人退却傾向,対人恐怖的心性,抑うつ,自我同一性の感覚を測定した。対人退却傾向と対人恐怖的心性の高低の組み合わせによって対象者をふれ合い恐怖的心性群,対人恐怖的心性群,退却・恐怖低群の3群に分類した。一元配置分散分析の結果,ふれ合い恐怖的心性群は対人恐怖的心性群より抑うつは低く,自我同一性の感覚は高いことが示された。一方,退却・恐怖低群と比較した場合,自己斉一性・連続性,対他的同一性の感覚は低いことが示された。これらの結果から,ふれ合い恐怖的心性群は対人恐怖的心性群よりも精神的には健康的な群ではあるが,個として他者と向き合う対人関係においては自我同一性の危機が生じやすい一群であることが示唆された。
著者
三和 秀平 解良 優基
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.91-93, 2020-09-09 (Released:2020-09-09)
参考文献数
5

This study investigated the relationship between the evaluating usefulness strategies for a specific subject and the usefulness value for another subject. University students (n=76) participated in a questionnaire survey. The results showed that when participants evaluated usefulness of the knowledge gained from an educational psychology class, they felt not only the utility value of educational psychology but also of the near subject which was similar to educational psychology. On the other hand, participants did not feel the utility value of a subject which was distantly related to educational psychology. This study implied that the evaluating usefulness strategies of a specific subject transfers to another closely related subject.
著者
笹川 果央理
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.112-123, 2015
被引用文献数
3

本研究では自己価値の随伴性について3種類の領域を想定し,それぞれの領域に随伴することで得られる自尊感情として優越感,他者評価,独自性を測定し,これらと主観的幸福感への関連を検討した。その際自尊感情と幸福感の間を媒介する変数として自己受容と賞賛欲求も検討した。大学生に質問紙調査を実施し,254名から有効回答を得た。その結果,優越感および他者評価は幸福感への正の直接効果があるが独自性にはないこと,一方で優越感は賞賛欲求を経由して間接的に負の影響を与えていることが示された。
著者
中川 明仁 佐藤 豪
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.38-45, 2010-08-31 (Released:2010-08-18)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本研究の目的は,Cloningerの気質4次元から自己志向的完全主義の各側面への影響を男女別に検討することであった。重回帰分析の結果,男女共通して気質次元の「固執」が完全主義の全側面へ正の影響を及ぼしていた。また,男性のみの結果として,「新奇性追求」と「報酬依存」が「失敗懸念」に負の影響を及ぼし,「報酬依存」は「完全性欲求」にも負の影響を及ぼしていた。一方,女性は「損害回避」が「失敗懸念」および「完全性欲求」に正の影響を及ぼしていた。本研究の結果より,多次元的な自己志向的完全主義の基盤に存在すると考えられる気質特性には,男女共通する気質と男女間で相違する気質が存在することが示唆された。
著者
柴田 康順
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.34-45, 2020-06-19 (Released:2020-06-19)
参考文献数
34
被引用文献数
3

本研究の目的は,大学生のアイデンティティを中核的同一性と心理社会的自己同一性に分類し,レジリエンスとの関連について構造方程式モデリングによって検討することであった。分析の結果,アイデンティティとレジリエンスの関連は相関関係でも因果関係でも説明ができるが,因果関係を想定した場合,レジリエンスの一要素である「肯定的な未来志向」因子を除外する必要があることが示された。また,レジリエンスからアイデンティティへの影響はアイデンティティの層によって異なり,心理社会的自己同一性では非常に強く,中核的同一性ではある程度のものであることが示された。このことから,レジリエンス獲得を目指す心理教育はアイデンティティ形成に役立つものの,実存的な問題に対しては別のアプローチも必要となる可能性が見出された。