著者
海沼 亮 櫻井 茂男
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.1.13, (Released:2018-05-18)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Friendship Contingent Self-esteem as a Predictor of Satisfaction in Junior High School Students: Focusing on Social Achievement Goals and Friendship.The purpose of this paper was to examine a process model in which friendship contingent self-esteem was related to satisfaction through social achievement goals and friendship in junior high school students. Junior high school students (n=772) completed the questionnaire. A path analysis revealed that friendship contingent self-esteem was related to satisfaction through social achievement goals and friendship. The results suggest that friendship contingent self-esteem had positive and negative effects on the satisfaction process.
著者
大久保 圭介
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.1.14, (Released:2018-05-18)
参考文献数
26

本研究の目的は恋愛関係における自分磨き(self-improvement)に対する相互影響性を検討することである。アタッチメント理論に依拠して,恋愛関係にある参加者に対して,アタッチメントとケアギビングの傾向を測定し,Actor Partner Interdependence Model (APIM)の枠組みで分析を行った。結果より,アタッチメント回避が自身の自分磨きの成果に与える影響に加え,アタッチメントとケアギビングが相手の自分磨きの成果に与える影響がいくつか示された。さらに,女性の自分磨きの成果に対しては,女性のアタッチメント回避と男性のケアギビング過活性の交互作用効果も示された。したがって,恋愛関係においては,自分磨きの成果は男女のアタッチメントとケアギビングの相互的な影響によって規定されると考えられる。
著者
大山 智子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.1.6, (Released:2018-05-18)
参考文献数
9

Annual changes in the development of multi-dimensional empathy in junior high school students were examined through assessments conducted at three time points. The longitudinal data were analyzed using estimates of missing data, and a repeated measures design test using the Full Information Maximum Likelihood method. Differences in mean values at the three time points and correlations among the assessment points were examined. Results indicated that Personal Distress and Empathic Concern were the highest in the first grade, followed by that in the third and second grades, respectively. Perspective-Taking was the highest in the third grade, followed by that in the second and first grades, respectively. Fantasy decreased in the second grade as compared to that in the first grade, and it increased in the third grade as compared to that in the first grade. It is concluded that the developmental trajectory of multi-dimensional empathy in early adolescence differs for the different aspects of empathy.
著者
澤山 郁夫 三宅 幹子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究
巻号頁・発行日
2018

<p>本研究の目的は,大学生を対象とした質問紙調査を行い,独り言的ツイート頻度と社会的発話傾向および私的発話傾向の関連から,大学生の独り言的ツイートがそのどちらの性質をより強くもつものであるのか検討することであった。結果,2012年12月に得たサンプルでは,独り言的ツイート頻度は私的発話傾向と関連していた一方で,2016年1月に得たサンプルでは,社会的発話傾向と関連傾向にあった。さらに,経年変化として,独り言的ツイートの代替手段として「メモに書く」をあげる者の割合が減少傾向に,また「他者に話す」を挙げる者の割合が増加傾向にあることが示された。これらの結果から,Twitterで表出される大学生の独り言的ツイートは,私的発話としてとらえられるものから,社会的発話として捉えられるものへと変化しつつあると示唆された。</p>
著者
小田部 貴子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.45-49, 2011-07-30 (Released:2011-10-25)
参考文献数
18

This study developed and validated a scale that assessed the memory representation of everyday life types of trauma (ELTT). University students (N=275) participated in the survey study. Factor analysis of the data yielded the following three factors: Situationally Accessible Memories, Degree of Verbalization, and Nega-tivity of Verbally Accessible Memories. The internal consistencies of each factor were high. The ELTT scale showed most of the predicted correlation patterns with the Impact of Event Scale and the Posttraumatic Growth Inventory, which supported its validity.
著者
村上 宣寛
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.70-85, 2003
被引用文献数
11

本研究の目的は,語彙アプローチによって日本語におけるビッグ・ファイブを導くことである.かつてのSD法におけるEPA構造の普遍性の問題から推測すると,ビッグ・ファイブを得るための心理測定的条件は,1.用語の熟知度や使用頻度が高いこと,2.用語の分散が大きく,評定値が中央付近に位置すること,と推測される.分析1では村上(2002)の基本的な性格表現用語から原則として抹消率13%以下の用語を収集し,同義語と反意語を整理し,554語を調査対象とした.被験者は大学生男性150名,女性220名の計370名であった.分散の高い317語を選択して対角成分にSMCを入れて30因子まで抽出した.スクリー法で因子数を5と定め,オーソマックス回転を施すと,外向性(E),協調性(A),勤勉性(C),情緒安定性(N),知性(O)のビッグ・ファイブが得られた.語彙アプローチ研究によって日本語でもビッグ・ファイブが得られることが証明された.分析2では各因子の因子負荷量の大きな20語を抽出し,100語でビッグ・ファイブ構造を再確認し,各因子ごとに主因子法とオブリミン回転を適用し,側面因子を求めた.結果は,外向性では活動性,閉鎖性,自制,協調性では妬み,怒り,身勝手,勤勉性では親切さ,ねばり強さ,従順さ,情緒安定性では活動力,楽観性,知性では小心さ,愚かさ,意志薄弱の側面因子が得られた.日本語でのビッグ・ファイブは,細部では英語圏の内容と異なっている可能性が示唆された.
著者
砂田 安秀 甲田 宗良 伊藤 義徳 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.253-262, 2018

<p>本研究では,約半数のADHDの成人に併発する症状である成人のSCT症状を測定する尺度を開発し,妥当性を検討した。この新たな尺度の狙いは,既存の尺度の項目が抑うつと類似しているために抑うつとの弁別性が乏しい問題を克服することであった。文献のレビューによってSCT項目が選定され,専門家によって内容的妥当性の検討が行われた。これらの項目は抑うつ気分でないときの状況について回答されるものであった。大学生471名が質問紙に回答し,因子分析によって項目の選定が行われた。ジョイント因子分析によって,本SCT尺度は抑うつからの十分な弁別性を有していることが示された。最終的なSCT尺度(9項目)は,収束的妥当性,弁別的妥当性,内的一貫性の高さが示された。</p>
著者
桾本 知子 山崎 勝之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.96-104, 2010-01-31 (Released:2010-02-28)
参考文献数
34
被引用文献数
4 7

本研究では,日本人大学生向けの対人ストレスユーモア対処尺度(HCISS)を開発した。研究1では大学生987名を対象とし,HCISSの因子構造と内的整合性を検討した。その結果,HCISSは12項目から構成される1次元尺度で,十分な因子的妥当性と高い内的整合性を備えていることが明らかにされた。研究2では安定性と構成概念妥当性の検討を行った。大学生370名を対象として検査―再検査を行った結果,HCISSは5~6週間にわたって安定性を十分に満たしていることが示された。構成概念妥当性は,大学生96名における仲間評価,および大学生37名を対象としたRochester Interaction Recordの結果から確認された。十分な信頼性と妥当性を備えた大学生向けの尺度として,HCISSが完成した。
著者
原田 知佳 吉澤 寛之 吉田 俊和
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.82-94, 2008-09-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
49
被引用文献数
9 11

本研究は,“社会的場面で,個人の欲求や意思と現状認知との間でズレが起こった時に,内的基準・外的基準の必要性に応じて自己を主張するもしくは抑制する能力”である社会的自己制御(Social Self-Regulation; SSR)を測定する尺度を開発し,その信頼性・妥当性の検討を行った。研究1では,予備調査で選定された42項目に対して,大学生,高校生673名に回答を求めた。探索的因子分析の結果,SSRは「自己主張」「持続的対処・根気」「感情・欲求抑制」の3下位尺度(計29項目)から構成されることが示された。また,尺度の十分な信頼性と収束・弁別妥当性も確認された。研究2では,脳科学的基盤が仮定された自己制御概念として行動抑制/行動接近システム(BIS/BAS)・実行注意制御(EC)を取り上げ,SSRとの関連を検討した。その結果,先行研究を支持する結果が得られ,構成概念妥当性が確認された。
著者
井隼 経子 中村 知靖
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.39-49, 2008-09-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
11
被引用文献数
7 10

Resilienceとは,有害な出来事によるダメージを和らげるパーソナリティ特性の一種である。本研究は,Resilienceにおける4つの側面を個別に測定する4つの尺度を作成することを目的とした。資源の所在とその処理の観点から,Resilienceを(1)個人内資源の認知,(2)個人内資源の活用,(3)環境資源の認知,(4)環境資源の活用の4つの側面に分類した。447名の大学生を対象とした調査から各側面を測定する尺度を作成した。SDSとの有意な相関により各尺度は妥当であることが確認された。このモデルにより,従来よりも詳細にResilienceを検討することが可能となるだろう。
著者
国里 愛彦 山口 陽弘 鈴木 伸一
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.324-334, 2008-04-01 (Released:2008-07-15)
参考文献数
27
被引用文献数
3 3

現在盛んに研究がなされているパーソナリティモデルにCloningerの気質・性格モデルとBig Fiveモデルの2つのモデルがある。しかし,2つのモデル間の関連性についての研究は少ない。そこで,本研究は,気質・性格モデルとBig Fiveモデルとの関連を検討することを目的とした。大学生457名を対象にTemperament and Character Inventory (TCI) とBig Five尺度を実施した。その結果,TCIとBig Five尺度は強い関連を示し,気質・性格モデルはBig Fiveモデルの説明を行うことが可能であることが示唆された。また,外向性を除くBig Fiveモデルの各因子の説明には,気質だけでなく性格が必要であることが示唆された。最後に,気質・性格モデルの観点からBig Fiveモデルの各因子の特徴について論議された。
著者
砂田 安秀 甲田 宗良 伊藤 義徳 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究
巻号頁・発行日
2018

<p>本研究では,約半数のADHDの成人に併発する症状である成人のSCT症状を測定する尺度を開発し,妥当性を検討した。この新たな尺度の狙いは,既存の尺度の項目が抑うつと類似しているために抑うつとの弁別性が乏しい問題を克服することであった。文献のレビューによってSCT項目が選定され,専門家によって内容的妥当性の検討が行われた。これらの項目は抑うつ気分でないときの状況について回答されるものであった。大学生471名が質問紙に回答し,因子分析によって項目の選定が行われた。ジョイント因子分析によって,本SCT尺度は抑うつからの十分な弁別性を有していることが示された。最終的なSCT尺度(9項目)は,収束的妥当性,弁別的妥当性,内的一貫性の高さが示された。</p>
著者
森本 幸子 丹野 義彦 坂本 真士 石垣 琢麿
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.2-11, 2002-09-30 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
3

本研究の目的は,大学生の被害妄想的観念を素因ストレスモデルを用いて検討することである。大学生117名を対象として,2週間おきに縦断調査をおこなった.第1回調査では,被害観念の17の素因候補変数を測定した.第2回調査では被害妄想的観念を測定した.第3回調査では,第2回と第3回調査の間に体験した被害妄想的観念とストレッサーを測定した.分析には,第2回調査時から第3回調査時までの間の被害妄想的観念の変化を予測することが可能となる,セットワイズ階層的重回帰分析を用いた。その結果,ストレッサーと2つの素因候補(恨み,ネガティブヒアリングボイス)の間に有意な交互作用が得られた.この結果より,これらの2つの素因候補得点が高い学生は,ストレッサーを体験したときに,被害妄想的観念を持ちやすくなることが示唆された.
著者
桃木 芳枝 中谷 素之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.101-111, 2016
被引用文献数
1

<p>本研究では性役割意識が認知スタイルを介してメンタルヘルスに与える影響を検討した。調査は認知スタイルを測定する共感とシステム化の尺度,Bem性役割尺度(BSRI),およびメンタルヘルスを測定するHopkins Symptom Checklistに基づいた尺度を用いて大学生981名を対象に質問紙法で行った。先に,共感・システム化の各下位尺度の特徴を明らかにした。階層的重回帰分析の結果,性役割意識とメンタルヘルス間で認知スタイルが媒介変数として機能していることが示唆された。男女ともに,性役割意識は認知スタイルに正の影響を与えた。男性性と女性性によって媒介された共感は,有意に良好な影響をメンタルヘルスに与えた。さらに,女性では男性性,または男性性と女性性に媒介されたシステム化はメンタルヘルスに悪影響を与える可能性を示した。すなわち,女性だけに性役割が関わるシステム化の在り方に多様化がみられた。</p>
著者
堀井 俊章 槌谷 笑子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.27-36, 1995-03-31 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
3

The purpose of the present study was to construct a reliable and valid psychological scale of interpersonal trust, and examine the relationship between interpersonal trust and the earliest recollection (ER). In Study 1, high school and college students, 538 in all, filled a questionnaire, and a l7-item Interpersonal Trust Scale (ITS) was constructed. The scale had high internal consistency and test-retest reliability. In Study 2, data from 523 high school and college students showed meaningful correlations between ITS and several conceptually-related personality scales, suggesting its validity. In Study 3, the relationship between the ITS score and ER was examined with the data of 488 college undergraduates, who gave answers to an open-ended questionnaire. The result showed that students with high ITS scores remembered significantly more positive feelings and less negative feelings for their ER than those with low ITS scores. It was also found that interpersonal trust was related to feelings attached to human figures in ER.
著者
桾本 知子 山崎 勝之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.141-148, 2008-01-01 (Released:2008-03-30)
参考文献数
34
被引用文献数
5 2

本研究では, 大学生を対象にして意識的防衛性が敵意と抑うつの関係に及ぼす影響を検討した。642名の大学生を対象とし(男性418名,女性224名),シニシズム尺度,意識的防衛性質問紙およびCES-Dへの回答を求めた。階層的重回帰分析の結果,男性の場合敵意が抑うつの予測因子であるが,女性の場合には敵意がきわめて高ければ,意識的防衛性の低さにより抑うつに対する敵意の影響力は増幅する傾向のあることが示された。この結果について,高敵意で意識的防衛性の低い女性が経験しうる対人藤の観点から論議が行われた。