著者
パホモフ オレグ
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.109-109, 2009

本発表では3つのエスニック・フェスティバル、ロサンゼルス・コリアン・フェスティバル(アメリカ)、東九条マダン(京都)、ロシア・コリアン・フェスティバル"友好に国境なし"(ロシア)を比較検討する。まずフェスティバルの社会的コンテクストについて言及する。そして同じコミュニティに属する他の言説、主流社会に触れ、"構造的カップリング"が個々の実例でいかに実現されているかを見ていきたい。
著者
熊谷 瑞恵
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-24, 2004-06-30

本研究は、中国新疆ウイグル族のナンの利用を中心とした食事文化を明らかにすることにより、ムギ食品が食卓上で持つ「主食」「副食」に代わる独自の位置付けを描き出すことを目的とする。ユーラシア大陸はムギとコメという主要な穀物の違いによって二分することができる。ヨーロッパのパンを主とするムギ食文化には、パンを「主食」という概念で呼ばず、料理を「主食」と「副食」という概念に区分しない特徴がいわれてきた。本研究は、パンに注目してなされてきたそれまでのムギ食文化に対する見解に、中央アジア、新疆ウイグル族にとってのナンという新しい事例と見解を加える。そのために本稿はまず「主食」「副食」に代わるかれらの料理区分を明らかにし、それが「食事」と「茶」であること、その中で「ナン」を食すことがかれらにとっての「食事をとる」という概念と対応していないこと、そして、1日に7、8回あるかれらの食事回数のうちでかれらの語彙における「食事」に対応する食事がほとんどないことを家庭における直接観察から描き出す。そして、ウイグル族にとってのナンの位置付けが「食事」よりも「茶」の中核をなすものであることを示し、ナンと料理との関係が構築する食事体系が「主食」「副食」のある文化とは異なるものであることを描き出す。そしてその食事体系は、家庭の食卓を囲む人々との間において常に「場の共有を目的として」食べるという機能を果たすものとなっていることを論じる。
著者
小池 郁子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.189-189, 2008

本発表は、西アフリカ・ヨルバの神々であるオリシャを崇拝するアフリカ系アメリカ人の社会宗教運動をとりあげる。本発表の目的は、運動の集団的な拠点であったオヨトゥンジ村が衰退した後に、オリシャ崇拝者が米国の各地に個別に設立したオリシャ崇拝・コミュニティと地域社会との関係について考察することである。米国各地の地域社会はオリシャ崇拝者をいかに受容し、また、受容しなかったのかについて事例をもとに考察する。
著者
柘植 あづみ
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.84-84, 2011

不妊治療や生殖医療研究または再生医療研究には人の卵子の提供(授受)が伴う。卵子提供には、社会経済的格差や身体の危険性、身体の商品化などについての批判がある。にもかかわらず卵子は提供されている。報告者はオーストラリアや韓国、アメリカ、日本での共同調査(主に半構造的なインタビュー調査)の結果から、卵子提供の理由として「金銭授受が伴う場合も伴わない場合にも「卵子提供」を「利他的な行動」として説明する理由を、ジェンダーの視点から分析する。
著者
井上 雅道
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.534-554, 2004-03-31

本稿は、名護市辺野古を中心に筆者が行なってきたフィールドワークを基に、社会運動・抵抗研究の今日的な理論的枠組み-とりわけ「流用」(appropriation)論-を批判的に展開することを通じて、1995年秋の水兵による少女暴行事件後、大きな盛り上がりを見せた沖縄の基地反対運動がなぜ退潮を余儀無くされたのかを考察する。流用の概念は、社会的弱者が他者(特に権力)の文化要素を自らの文脈において別の意味で用いる過程の記述を可能にし、彼らの微細な抵抗やしたたかな主体性の分析に貢献してきた。だがその反面、流用論は、多様で異質な運動・抵抗を当事者(我々)と権力(あなた)の間の脱構築や転倒の「ゲーム」に還元し、閉域化・均質化された二者空間で「我々」の主体性や抵抗実践のみならず、「あなた」の自己増殖を助けてしまう危うさも併せ持つ。本稿では名護・辺野古の基地誘致派の運動を取り上げて、このような流用論の問題点を考える。同時に、本稿は「第三の人間」としての沖縄市民の視点を導入し、彼らが復帰後沖縄の豊かさを流用しながら基地問題に対する様々なパースペクティブが交渉・衝突する公共空間を構築する-そしてそれを最終的には瓦解させる-過程を明らかにする。一言で言えば、流用論を「我々とあなたの物語」を超えた次元にまで昇華させ、当事者の共同体、権力、市民の公共空間の間の複雑な三者関係の政治学を考察することが本稿の主題である。結論部では公共空間再構築のためのラディカルな流用の可能性も検討する。
著者
熊田 陽子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.193-193, 2009

人間は、ある目的を達成するためだけに生きているのではなく、その過程や行為を楽しむ(「遊ぶ」)ものであると考えたホイジンガは、人間を「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」と呼んだ。様々な性行為も、生殖という目的だけで行われるわけではなく、それ自体の面白さを楽しむ「遊び」である。本発表では、あるSMクラブを事例に、そこで働く女性たちがSMプレイをどのように認識しているのかついて、「遊び」を手がかりに検討する。
著者
深田 淳太郎
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.535-559, 2009-03-31

パプアニューギニア、トーライ社会ではタブと呼ばれる貝殻貨幣が、婚資の支払いから秘密結社の加入の手続、役所での税金の支払いまで広い用途で用いられている。このように貨幣がなんらかの意味を持ち、その意味を様々に変え、また実効的な役割を果たすということはいったいどのような事態として考えられるだろうか。本稿では、貨幣やそれを用いた実践が特定の意味を持つことを、それが何であるのかが周囲の人々から見て分かり、説明(アカウント)できることと捉えるエスノメソドロジーの視点を採用する。ここで問うべきは、そのようなアカウンタブルな事態がいかにして出来上がっているのかということである。この問いを具体的に考えていくための事例としてトーライ社会の葬式を取りあげる。葬式においてトーライの人々はタブを用いて、死者への弔意を表し、自らの豊かさを誇示し、他の親族集団と良好な関係を築くなど様々なことを行なう。周囲から見て、個々のタブ使用実践がこれらの様々な意味や効果を持つものと分かるのは、それがなんらかの秩序だったコンテクストの中に位置付けられることによってである。だが同時に、そのようなコンテクストは個々の実践を通して可視化され生成されるものでもある。本稿では葬式におけるタブ使用実践が、そのときどきのコンテクストに沿った適切なやり方でなされながら、同時に周囲の様々な要素との関係の中で当のコンテクストを生成していく相互反照的な生成の過程を記述し、その過程から貝貨タブが具体的な意味や効果を持つものとして可視化されてくる様子を明らかにする。
著者
橋本 栄莉
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.200-220, 2015-09-30

本論の目的は、独立後南スーダンで流通する予言を事例として、様々な出来事に直面するヌエルの人々が、予言やその背後にあるクウォス(神、神性)を介してどのように新しい経験の可能性を見出しているのかについて検討することにある。100年以上にわたり語り継がれる予言は、内戦や開発援助、国家の独立など、ヌエルの人々が直面する新しい状況を把握する方法と密接に開わってきた。予言の総体は知られていないものの、予言は人々の関心のありようや出来事とともに日々発見され、語り直されている。エヴァンズ=プリチャードとリーンハートのナイル系農牧民の宗教性に関する議論は、当該社会の変化と不可分に結びついた神性と経験のありようを、対象社会の人々の視点から抽出しようとするものであった。彼らの議論を手がかりとしながら、本論では、ヌエルの人々がどのような要素を検討することで予言や予言者の「正しさ」を見出していたのかに着目する。予言に関する人々の語りと対話、予言者を祀った「教会」の実践、近年の武力衝突という異なる場面で人々が吟味していたのは、過去に自分たちの祖先がクウォスに対して犯してしまった過ちや自身の周辺で生じるクウォスの顕れ、そしてその中で再び見出される自分たちの新しい「経験の領域」であった。本論は宗教性や経験に関する理論的検討を行うものではないが、南スーダンで生じている暴力や混乱を理解する上で、二人の人類学者が取り組んできた問題系がいかに無視しえないものとして残されているのかを例示するものである。
著者
植野 弘子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.526-550, 2011-03-31

父系社会である台湾漢民族社会における親と子のつながりを、娘を視点として再考することを、本論文の目的とする。娘としての女性の生き方に注目することは、婚姻を契機として所属集団を変更する女性にとって、その一生にわたる家族との関係を見直すことになる。また、変化する家族関係の有り様を、継承・相続の権利義務から除外されてきた娘の役割の変化から、より端的に描き出すことが可能である。漢民族の親族に関する従前の研究は、父系出自イデオロギーの優位を前提とした枠組みで考察される傾向にあり、母方親族関係・姻戚関係の研究も行われてはきたが、これらの関係を繋ぐ女性が果たす役割、女性の娘としての役割に関しては、十分な研究はなされてこなかった。本論文では、まず、台湾における伝統的家族慣行にみられる娘の役割を、その儀礼的側面を考慮に入れて再確認する。さらに、日本による植民地統治下における近代的な学校教育、とくに高等女学校教育を受けた女性達の語りを通して、親と娘とのつながりを変化する時代の日常から探っていく。彼女たちは、旧来の家庭の倫理と近代教育がもたらす知識や理念を習得し、さらに日本化の狭間の中で生きたのであり、植民地統治によって変動した台湾社会の有り様を象徴する存在である。また、変化した現代女性の原型ともいえる。こうした女性は、その親や出生家族の表象としての役割を果たし、婚出後にも娘と親の関係は維持されていく。日本統治終了後における女性の教育と就職の機会の拡大は、女性の生き方に変化をもたらし、また、娘と親との関係は、より緊密にみえる様相を呈してきた。子どもとしての娘と息子の役割の差異は、今後、より減少していくことが予想され、家族関係における娘の役割を考えることの意味はさらに増してゆこう。
著者
福井 栄二郎
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.310-310, 2008

本発表は、看護学生が医療人類学を学ぶ意味を考察する。彼女たちは必ずしも文化人類学的な思考に同調せず、進化主義的な考えを持っていることも多い。では、近代医療の実務者としてトレーニングを積む彼女たちに、文化相対主義を基本姿勢とする医療人類学を教える意味はどこにあるのだろうか。こうした問題をアンケート調査から考察し、文化相対主義と進化主義を架橋するような実践を探ってみたい。
著者
福井 栄二郎
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.301-301, 2008

本発表では、老年人類学の新たな可能性を提示するが、その足がかりとして、社会構築主義―つまり「老人」というカテゴリーやそこに付随する社会的な規範は社会的、言説的、歴史的に構築されているという考え方―の再考を行いたい。発表者が調査を行なってきたヴァヌアツ・アネイチュム島の「伝統を知らない」とされる老人の事例をもとに、「老人」を構築する行為とは、一体何なのかを探求する。
著者
内藤 暁子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.380-399, 2008-12-31

本論文の目的は、ニュージーランドにおける先住民族マオリと非先住民による国民創成を、ワイタンギ条約をめぐる社会的・政治的動向を軸に再考することにある。ワイタンギ条約はマオリに先住民族性をもたらし、かつ、ニュージーランドという国家の出発点ともなっているからである。まず、多様な解釈が可能なワイタンギ条約の概要とその位置づけの変遷を述べ、現代において再評価されたワイタンギ条約とその結果としてのワイタンギ審判所の活動に焦点をあてた。それはマオリ復権運動の現れでもある。また、現代のマオリ社会において特徴的な、都市マオリにみられるエスニック・アイデンティティのような汎マオリ的先住民族性、戦略的ネオトライバリズム、文化的ナショナリズムをとりあげ、マオリタンガ(マオリらしさ)の状況に応じた表徴の多様性を明らかにした。一方、主流社会における、前浜・海底問題を契機とする「一律の市民権」という主張は、「タンガタ・フェヌア(土地に属する者、すなわち先住民族)」という特別な位置づけを求めるマオリ側と鋭く対立した。以上の要件をふまえて、マオリとヨーロッパ系住民という二文化主義、および多文化的現実が進むなかでのナショナル・アイデンティティを考えるとき、「移民」「市民権」「二文化主義と多文化主義」という三つの要素が重要となってくる。また、ワイタンギ条約を現代に生かす道を選んだニュージーランドにおける二文化主義は、文化の尊重というレベルにとどまらず、条約のパートナーシップに則ったパワーシェアリングがめざされる。そして、「土地に属する人(タンガタ・フェヌア)であるマオリと、条約によって土地に住む人(タンガタ・トゥリティ)であるパケハとの共生」という考え方はニュージーランド国民創成の新たな指針となる可能性をもち、マオリとパケハのバイナショナリズムのコンテクストのうえに多様な移民たちを受け入れる素地となるだろう。
著者
揚 海英
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.455-468, 1991-03-30
被引用文献数
2
著者
深海 菊絵
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.134-134, 2010

「ポリアモリー(polyamory)」とは、複数の者を同時に「誠実」に愛する恋愛実践、とその実践者たちを指す。本発表の目的は、ポリアモリー実践者たちの葛藤の語りに注目し、偶発的で予測不可能な日常の中で、彼/彼女たちがいかに他者との関係を築いているのか、という問いを探究することである。具体的には、(1)ポリアモリー理念を共有する仲間たちの関係性、(2)ポリアモリー関係にある者同士の関係性、の二方向から検討を試みる。
著者
藤田 真理子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.58-85, 1988-06-30

本論は、1979-80年に行った、米国カリフォルニア州サンフランシスコ近郊に住む65歳以上の白人高齢者で、特に、高齢者向けの活動に積極的に参加している人々を対象とした調査を元に、老後の適応について象徴人類学の立場から考察した。ギァーツが提唱するように人間を「意味付ける動物」と定義し、高齢者がどのように、意味と象徴の体系を使って、彼らのとりまく世界、老後の活動を解釈するかということを中心に分析した。高齢者の日常会話を分析すると、workとmiddle classが、彼らの行動を意味付けるキー・シンボルとして浮かび上がる。この2つのシンボルに反映されているのは、独立性、主体性、勤労精神、ボランティア精神といったようなアメリカ文化の中核とされているものである。この2つのシンボルは、密接に絡まり合って高齢者の老後の生活を意義あるものとしていくと同時に、ディレンマも形成していく。このことは、無償奉仕活動に従事することの意味に的確に表れている。無償奉仕活動は、高齢者社会で社会的ステータスを築くと共に、人生の成功者という評価をもたらす。しかし、このことは、高齢者の労力に対する金銭的報酬を犠牲にするものである。2つのシンボルは、また、高齢者と他の年齢層との関係、及び、高齢者間の関係も規定する。
著者
山本 祐弘
出版者
日本文化人類学会
雑誌
季刊民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.36-50, 1949
被引用文献数
1

The author, formerly Director of the Saghalien Museum in Toyohara, after collecting folk-tales among the Saghalien aborigines, comes to the conclusion that the belief in shamanism is the only aspect of their culture which has not been changed by Japanese influence. In the present paper he gives a detailed description of the ceremonies performed by Orokko and Gilyak shamans in January, 1945, in the Otasu reservation near Sisuka, South Saghalien.
著者
額田 巖
出版者
日本文化人類学会
雑誌
季刊民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.179-211, 1956-03-25

1. Introduction : It is said that "knotting" is the first constructive technique that human beings acquired. By knotting, we can tie things, transport them and construct buildings. Knotting has also played an important part in the development of ancient designs, hieroglyphs and religious symbolism. It means posssssion, preservation, sealing, enclosing and connection. Expanding this idea, the technique of gate-bar, button, nail, hinge etc. were developed. The author believs that Japanese have acquired these techniques during the past several thousand years. 2. Classification of knotting by districts and professions. In order to clarify the binds of knotting and frequency of usage among our common people, the author has made a complete investigation throughout the country, by districts and by professions. The result indicates that the most popular knotting are the "man knot", "right knot", "weaver's knot" and "clove hitch" (heaving line bend or builder knot). And the following knots have special significance in their relation to ceratin professions, respectively: "english tie"-fisherman; "bowline knot"-fisherman; "weaver's knot'-farmer; "slide knot" (ship knot or running knot)-farmer; and "twisting-into knot"-farmer and carpenter. It would be noted that there are different names for the same knot in different districts. For example, the "man knot" has eight different names in a certain district, and has twenty-four different names in the whole country. It was found that the "man knot" and "twisting-into knot seem to have originated in our country. The author believes that these kinds of knotting were developed by using only moderately soft material such as straw. 3. Left-twisting rope and right-twisting rope: In ancient days, the miscauthus, miscauthus sinensis and tree bark seem to have been used as materials for rope. The twisting technique of rope material was invented by necessity in order to lengthen the short material. There are two kinds of twisting technique ; namely, "left-twisting" and "right-twisting". Through the investigation of the variation and distribution of these twisting techniques, the following three reasons for development were found, (a) For utillitarian purposes, (2) for religious or traditional reasons, and (c) through customs of old courtesy and manners. Especially it must be mentioned that the left twisting rope is frequently used in religious celebration in eastern Japan. 4. The method used in the solution of criminal offences : It is said that murders by using knots (strangulation) have rapidly increased after the War. The ease of obtaining knotting materials such as rope, string, cord, tape, band, strip, thong or ribbon etc., as compared with other instruments, seems to have encouraged this tendency. Investigation into the kinds of material and the knotting methods employed shows that there is a significant relation between the kind of knotting and the profession of the offender. In fact, many of famous criminal offences after the War in our country have been solved by the analysis of material of rope, characteristics of knotting method and the colors of the rope used.
著者
三瀬 利之
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.6-6, 2009

現代人類学史では、マリノフスキイによって確立されたフィールドワークの先駆的な形態は、1900年前後のケンブリッジ大学系の一連の探検調査にあるとされてきた。しかし本発表では、「パンジャーブ学派」と形容される植民地インドのスーパーエリート官僚に注目し、彼らの「科学的行政」の一環として行われた1870年代の社会調査にこそ、近代的なフィールドワークの最初の実験的な試みがあったという可能性を検証する。
著者
近藤 祉秋
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

本発表は、隠岐島の「水木しげるロード延長プロジェクト実行委員会」による、妖怪を主題とした観光開発を事例として、妖怪研究者のキュレートリアルな〈まなざし〉が偶発的な遭遇のなかで有形の観光資源をうみだす過程を扱う。本発表においては、有形と無形のはざまをたゆたう中で、偶発的な動きをする人間と非人間のネットワークのなかにときおり結ばれる結節点として、「妖怪」を捉えることを提案したい。