著者
馬場 啓至 小野 智憲 戸田 啓介 馬場 史郎
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.177-183, 2007-03-20
被引用文献数
1

脳梁離断術は発作の二次性全般化を防止する目的で1940年Van WagenenとHerrenにより報告された.しかしながらその後,全般発作に対する有効性が確認され,過去30年多くの症例に行われた.特に脱力発作,強直発作,全般性強直間代発作に有効で,複雑部分発作についてはその効果が一定していない.手術適応を含め,手術時期,離断範囲など未解決の点も多い.切除外科とは異なり,脳梁離断術はあくまで緩和手術であるため,発作消失率は低いが,術後発作軽減が得られ,ADL改善につながる.脳梁離断術の歴史,脳梁のてんかんにおける役割,発作抑制機序について考察した.
著者
秋元 治朗
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.475-485, 2020 (Released:2020-07-25)
参考文献数
31

脳腫瘍外科医の関心は, 腫瘍本体の病理像とともにその切除断端の病理である. その意味で, 腫瘍と正常脳との境界 (brain tumor interface : BTI) の病理に精通することは, 手術戦略の策定, 摘出限界の把握, 術後補助療法の選択, 予後推定など, 臨床的な示唆に富む. 本稿では, まずBTIにおける正常脳の反応像を示し, その後, 代表的脳腫瘍のBTIの病理像を示した. 髄内腫瘍はその多寡はあるが, 腫瘍細胞の浸潤が認められる. 一方, 多くの髄外腫瘍は基本的に境界明瞭だが, 悪性髄膜腫では特異な浸潤パターンを示す. 術前画像や術中では捉えられないBTIの病理像を知ることは, maximum safe resectionの達成に多くの示唆を与えるものと思われる.
著者
足立 明彦 小林 英一 渡邉 義之 米山サーネキー 智子 早坂 典弘 鈴木 誉 岡本 美孝 佐伯 直勝
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.8, pp.597-603, 2011-08-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3 8

CBS(carotid blowout syndrome)は,頭頚部腫瘍に対する放射線治療後に,遅発性に動脈破裂をきたす致死的疾患として知られている.今回,放射線治療後36年および2年を経て大量出血で発症し,血管内治療で良好な結果が得られた2例を報告する.1例目は,瘤内塞栓をしたものの,2週間後に再出血し,母動脈を閉塞した.2例目は,虚血耐性を確認できたため,同様にtrappingにて止血を得た.大量出血で発症するCBSは緊急の止血処置を要する.将来的には膜付きステントに期待が寄せられるが,現時点では閉塞試験が不可能な際にも,救命目的に母動脈閉塞を要する場面は少なくない.その際,照射野を外してのendovascular trappingは永続的止血を得る確実な方法であり,有効と考えられた.
著者
大野 誠 成田 善孝
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.82-90, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
31

グレード2・3神経膠腫はWHO2016分類ではIDH遺伝子変異と1p/19q共欠失の有無に基づいて分類されるようになった. グレード2・3神経膠腫は緩徐であるが直線的に増大し, 悪性転化をきたす. 早期手術および手術摘出率を上げることは生存期間延長に寄与する可能性があるが, 手術のみでの腫瘍制御には限界があることも留意する必要がある. グレード2・3神経膠腫に対する放射線治療は重要な役割をもつが, 治療から長期経過後の高次脳機能障害が問題である. 近年化学療法による生存期間延長効果が示され, 現在欧米および本邦において適切な化学療法を検討する臨床試験が進行中である. 今後は, 分子遺伝学的な解析が進み治療効果を予測するバイオマーカーの同定や新規治療の開発が行われ, 治療成績が改善することが期待される.
著者
山崎 文之 西淵 いくの
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.188-197, 2020 (Released:2020-03-25)
参考文献数
39

本邦の膠芽腫の補助療法は, 放射線治療, テモゾロミド, ベバシズマブ, 交流電場腫瘍治療システムが挙げられる. 補助療法の標準治療は放射線60Gyとテモゾロミドの同時併用とそれに引き続いたテモゾロミドの維持療法で, オプションとして交流電場腫瘍治療システムが追加される. NCCNのガイドラインでは, 高齢者やKPS<60の状態が悪い患者では, 寡分割照射による放射線治療が推奨され, テモゾロミドによるDNAダメージを修復する酵素のMGMTのプロモーター領域がメチル化されている患者ではテモゾロミド単独治療も選択肢となる. ベバシズマブは脳浮腫を改善させるが生存期間延長効果はなく, 高血圧やタンパク尿, 血栓塞栓性合併症への対策と真に有効な患者の選別などが課題である. 新たな分子標的の発見と患者の層別化が期待される.
著者
本郷 一博 柿澤 幸成 後藤 哲哉 酒井 圭一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.122-128, 2008-02-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

脳幹部病変のうち,海綿状血管腫,比較的限局した神経膠腫などは摘出術の適応となる場合がある.摘出術に際しては,術前の神経症状の改善を目指すのはもちろんであるが,新たな神経症状を生じさせない手術が必要である.そのためのキーポイントは,脳幹部の神経解剖を熟知し,脳幹病変に対してどこから進入し摘出を行うのが最適か,またその際に起こりうる神経症状がどのようなものであるかを十分に把握することである.そして,神経症状が最小限となる摘出ルートを選択することが重要である.さらに,術中の脳幹モニタリングあるいはマッピングにより,可能なかぎり機能温存を図ることも重要である.本稿では,海綿状血管腫の自験例を提示しつつ,機能温存の点から脳幹内の種々の病変部に対する最適な手術アプローチの選択について考察する.
著者
鎌田 恭輔 小川 博司 田村 有希恵 広島 覚 安栄 良悟
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.250-262, 2017

論文撤回のお知らせ<br><br>論文題目:てんかん外科手術から得られる病態生理<br>著&emsp;&emsp;者:鎌田 恭輔、小川 博司、田村 有希恵、広島 覚、安栄 良悟<br>掲&ensp;載&ensp;誌:脳神経外科ジャーナル&ensp;Vol.26&ensp;No.4&ensp;pp.250-262<br><br>当論文は,2017年3月24日に公開いたしましたが,著者からの申し出により撤回されました.
著者
山澤 恵理香 大野 誠 里見 介史 吉田 朗彦 宮北 康二 高橋 雅道 浅野目 卓 里見 奈都子 成田 善孝
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-32, 2019 (Released:2019-01-25)
参考文献数
12

Multinodular and vacuolating neuronal tumor of the cerebrum (MVNT) は比較的新しい疾患概念のため, 長期観察された報告は少ない. 今回われわれは再発なく5年経過した自験例と, これまでに報告された31例を対比しながら, MVNTの画像所見・治療経過をまとめた. これまでのところ年齢中央値は41歳であり, 男女差はない. 病理組織のみでなく画像上も結節を認めるものが約半数存在した. MVNTの症候性てんかんは手術により改善することが多い. これまでのところMVNTの悪性転化は報告されておらず, MVNTの予後は良好である.
著者
鈴木 倫保 末廣 栄一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.817-828, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
3
被引用文献数
2

脳神経外科専門医の10年間の変化を報告した. 日本脳卒中学会, 日本脳神経血管内治療学会, 日本脊髄外科学会専門医を併せて取得する者が増加した. 専門領域は, 脳腫瘍, 脳血管外科, 脊椎・脊髄, 小児, 定位・機能, 脳神経外傷は減少し, 脳血管内治療, 神経内視鏡, てんかん, リハビリテーション, 救急/神経集中治療を専門とする医師が増加した. これは1999年の脳神経外科専門医の再定義が影響している可能性がある. 過労死レベルの就労時間を訴える回答者も多く, 入会者・受験者の減少, 近年の外科系離れを考え合わせると, 従来型の診療体制維持に不安を抱く. 施設・専攻医の集約化とローテーション方法の熟慮, 研修・研究の集約化と効率化の工夫が必須だろう.
著者
石川 耕平 佐藤 憲市 伊東 民雄 尾崎 義丸 浅野目 卓 山口 陽平 石田 裕樹 石塚 智明 岡村 尚泰 渕崎 智紀 谷川 聖 田中 伸哉 中村 博彦
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.688-693, 2017 (Released:2017-09-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

Tumefactive multiple sclerosis (MS) は広範な浮腫や巨大な病変を形成することから, 脳腫瘍と鑑別が困難な例が多い. 本症例は66歳男性で右上下肢の単純部分痙攣発作で発症した. 左前頭葉の病変は画像上悪性グリオーマが疑われ摘出術が行われたが, 病理検査で脱髄性の所見や広範な出血および壊死像, Creutzfeldt cellを認めたことからtumefactive MSの診断に至った. 診断には病理検査が決定的となるが, 画像上病変部の血流上昇を認めないことが悪性グリオーマとの鑑別点と考えられた.
著者
石合 純夫
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.427-434, 2016 (Released:2016-05-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2

神経心理学は, 局在性脳損傷によって起こるさまざまな症候を分析し, 病巣との関連から脳の働きを知ろうとする臨床神経心理学が基本となって発展してきた. このような症候論は, どちらかといえば亜急性期から慢性期の病態を扱っている. 一方, 脳神経外科領域の覚醒下手術中の電気刺激あるいは脳腫瘍等の切除過程で評価される症状は急性の病態をみていることになる. 症候論に加えて, 近年は機能画像研究や拡散テンソルトラクトグラフィ−等の脳画像研究の進展により, 神経心理学は, 巣症状の考え方から神経ネットワークとしての捉え方へと変化してきている. 急性に起こる症状はしばしば一過性であり, 神経ネットワークの冗長性によって, その構成部分のうち損傷されても機能脱落が慢性的とならない部位が少なくない. 脳神経外科手術においては, 術後1カ月頃の機能的予後を重視すべきであり, 覚醒下手術中の所見と臨床神経心理学の知見とのすり合わせを行うことが望まれる. 本稿では, 左半球の言語の神経ネットワークと右半球の空間性注意のネットワークに注目して, 必要十分な切除範囲を判断するのに役立つ情報を整理したい.
著者
宮崎 祐介
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.468-476, 2015 (Released:2015-07-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

乳幼児揺さぶられ症候群と家庭内転倒・低位転落事故における頭部外傷発生メカニズムとその相違を解明することが虐待鑑別において重要である. そこで, 力学的手法により, これらの状況における頭部外傷発生メカニズムについて検討した. 生後4カ月の乳児のCT画像に基づき, 頭蓋内脳挙動を可視化できる頭部実体モデルを有する乳児ダミーを構築した. 本ダミーを用いて暴力的揺さぶりと家庭内転倒・低位転落事故を模した実験を実施した. その結果, 暴力的揺さぶりにおいて転倒・転落事故よりも大きな頭蓋内の脳の相対回転運動が観測された. これは伸展から屈曲方向に回転運動が転換する際に生じる頭蓋骨と大脳の顕著な逆回転挙動によると考えられた.
著者
園田 順彦 冨永 悌二
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.8, pp.582-589, 2013 (Released:2013-08-25)
参考文献数
26

The Cancer Genome Atlas (TCGA) はヒト癌の発生に関わる遺伝子異常を網羅的に解明するためのプロジェクトであるが, そのpilot studyの最初の対象疾患は膠芽腫 (GBM) である.  本稿ではそれらのうち代表的な4つの成果, (1)膠芽腫において高頻度に認められる3つの経路の異常, (2)IDH1遺伝子, (3)分子プロファイルに基づいたGBMの分類, (4)glioma CpG island methylator phenotype (G-CIMP) についてその内容を紹介する. GBMはヘテロな疾患群であることが改めて証明され, 近い将来, 分子標的療法を施行するうえで重要な指標になると考えられる.
著者
久保 真一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.770-774, 2004-11-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
22
被引用文献数
1

頭部外傷症例に求められる法医学的課題は,受傷時の模様を再現し,被害者の傷害の責任の所在を解明するための情報(資料)の提供,法的因果関係の解明にある.この情報とは,損傷の種類(名称)のみならず,成傷器具の種類(鈍器,鋭器など),外力の種類,成傷機転(打撲,転倒・転落),受傷時の身体状況(飲酒,薬物摂取,疾病),受傷後死亡までの状態(意識レベル,行為能力など),死亡例では死因の解明である.成傷機転では,同側挫傷が認められた場合は打撲が,対側挫傷の場合は転倒・転落が疑われる.成傷器具は,外表の損傷の種類から判断可能である.受傷時の飲酒の程度は,血液・尿ばかりでなく頭蓋内血腫からも分析可能である.
著者
中田 光俊 木下 雅史 中嶋 理帆 篠原 治道
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.657-667, 2017
被引用文献数
3

<p> 右前頭葉はヒトが社会生活を円滑に営むうえで重要な高次脳機能を有し社会脳として機能する. 右前頭葉の機能は運動機能に加え, 作業記憶, 非言語性意味記憶, 視空間認知, 社会的認知, 注意, 遂行機能を有する. 高次脳機能に関する皮質の機能局在は明確になっておらず広い局在が示されている. 白質神経線維として錐体路, 前頭斜走路, 前頭線条体路, 上縦束, 弓状束, 帯状束, 下前頭後頭束, 鉤状束が存在しそれぞれ運動, 運動開始, 運動統御, 視空間認知, メンタライジング, 注意, 非言語性意味記憶, エピソード記憶を担う. 右前頭葉病変に対して覚醒下手術を行う際には, 皮質の機能局在と白質神経線維の走行を熟知し適切なタスクを選択する必要がある.</p>
著者
根尾 昌志
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.114-120, 2014 (Released:2014-02-25)
参考文献数
21

頭蓋頚椎固定術は骨の手術であるということを認識し, 手術にあたってはbone biology, biomechanics, 頭蓋頚椎アラインメントについての知識, 理解が必須となる. これらの視点から, 頭蓋骨や上位頚椎のアンカーの特徴と注意点について述べる. 後頭骨や頚椎のインストゥルメンテーションの最大の合併症は血管損傷であり, これを予防するためには, 血管走行のバリエーションの理解と, 術前のCT angiographyやCT venographyによる椎骨動脈や脳硬膜静脈洞の評価が必須である. また, 上位頚椎のアラインメント不良が, 後頭骨頚椎固定術のもう一つの重篤な合併症である術後の嚥下障害に与える影響についても述べる.
著者
對馬 敏夫
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.147-154, 1997-03-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
20

成長ホルモン(GH)は正常な発育,成熟に不可欠である.GHの合成や分泌は,視床下部のソマトスタチン(SS)とGH放出ホルモン(GHRH)により制御されている.これらのホルモンやその受容体のDNAがクローニングされ,その発現調節機構が研究されている.GHRH,SS受容体は,いずれもG蛋白と会合し,アデニールサイクラーゼを介して,GH合成分泌を調節する.このほかに,強力なGH分泌刺激作用をもつ一群のペプチド(GHRP)が開発されている.その作用は,プロテインキナーゼC(PKC)を介するようにみえる.最近,GHRPの受容体が同定され,これは内因性GHRPの発見を刺激するであろう.GHRPはあるタイプのGH欠損症の治療に有用であろう.また・GH合成やGH産生細胞の分化には,転写因子であるpit-1が必要なことも明らかにされている.GHは糖,脂質,蛋白,電解質代謝に広範な影響をもつ.これらの作用は受容体に会合するJAK2というテロシンキナーゼを介して発現するが,PKCを介する系もある.GHの成長促進作用は,主としてインスリン様成長因子(IGF-1)を介する.IGF-Iは各種諸細胞の増殖や分化を促進する.また,IGF-Iやその受容体は,腫瘍発育にも関与する.IGF-IIは非膵腫瘍に伴う低血糖の原因と推定されている.血中のIGF-I,IIの大部分は,IGF結合蛋白(IGFBP)と結合して存在する.6種類のIGFBPが同定されているが,その生理的意義は不明な点が多い.
著者
桑山 直也 久保 道也 遠藤 俊郎 坂井 信幸
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.12-19, 2011-01-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
8
被引用文献数
29 25

硬膜動静脈瘻の治療の現状を知るため,全国の脳血管内治療専門医を対象とする調査を実施した.【方法】日本脳神経血管内治療学会専門医388人を対象とし,2005〜2006年の2年間に経験した症例の年齢/性,部位,症状,mRS,治療法,転帰,合併症を調査した.【結果】863症例の回答を得た.男性43%,女性54%,平均年齢は64歳であった.海綿静脈洞(CS)が46%,横・S状静脈洞(TSS)27%,その他27%であった.814例に積極的治療(血管内88%,外科7%,放射線4%)が施行された.治療後(ほぼ)完全閉塞が83%であった.mRSは1.4から0.6に改善した.治療合併症が4%に出た.【まとめ】CS,TSSの成績は良好であった.前頭蓋底,頭蓋脊椎移行部では安易な血管内治療が行われている可能性があり,外科治療を再評価すべきと思われた.