著者
内田 啓司
出版者
昭和大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

目的多量の高分子抗原が,消化管に入ると,正常の消化管であれば,種しゅの酵素,IgA, pinocytotic, 粘着バリアーなどの働きにより,容易に抗原性の持たない物質に分解される.しかし,腸管アレルギーでは,腸管粘膜の波状をきたし,容易に高分子抗原物質を分解できず,体内に吸収されることが報告されている.1981年,ROBERT等は分子量45.000のオバアルブミンで感作されたRatを用い,その腸管にオバアルブミンでchallenge後1時間後に分子量18.000のβ-lactoloblinの吸収がオバアルブミンで感作されていない(コントロール)群に比べ血中に抗原性を持つ形で出現することを報告した.また,高分子蛋白の最高血中濃度は,負荷後2時間が最高血中濃度を呈すことが報告されている.方法分子量45.000のオバアルブミンで感作されたRatを用い,オバアルブミンで経口的にchallenge後,1時間後,3時間後,6時間後,12時間後,24時間後の5群に分け,高分子抗原の分子量18.000のβ-lactogloblinを経口的に投与し,最高血中濃度を呈す2時間値(吸収率)をELISAを用い,その値をそれぞれの群で比較検討し,それを腸管炎症マーカーとした.結果1時間群(n=9)では,55%(5/9)に,β-lactogloblinが血中に出現した.また,55%の平均血中β-lactogloblinは,189.3ng/ml, 3時間群(n=5)では(1/5),20%の陽性率であった.またその1例の血中濃度は1800ng/mlであった.6時間群(n=7)では,(4/7) 57%で陽性であった.平均血中β-lactogloblinは,900ng/ml, 12時間群は,negative dataであった.24時間群(n=10)では,40%の陽性率であった.また,平均血中β-lactogloblinは,97.6ng/mlであった.考察今回の検討から,challenge後1時間から6時間あたりまでβ-lactogloblinの腸管吸収が亢進しており,12時間後には,一時低下するものの,24時間後に再びβ-lactogloblinの腸管吸収の亢進が認められた.このように2相性に,しかも持続してβ-lactogloblinの腸管吸収が認められる機序に関してはIgEdependent mechanismの即時相だけでなく,連発相も関与して抗原吸収に影響を及ぼしている可能性が示唆された.
著者
安部 友佳
出版者
昭和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

顎口腔系に破壊的な作用をもたらす睡眠時ブラキシズムは補綴歯科治療の予後を左右する重要なリスクファクターであるが、その発症メカニズムは明らかでない。本研究では、研究代表者が過去に示した遺伝子多型リスクアレルを指標に、睡眠時ブラキシズム特異的 iPS細胞を樹立して神経細胞を誘導してその表現型の電気生理学的特性を明らかにすることを目的としている。2016年度までの時点で、セロトニン2A受容体遺伝子(HTR2A)のrs6313(T102C)の一塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)の解析を行い、睡眠ポリグラフ(PSG)検査を用いた睡眠時ブラキシズムの診断とリスクアレルであるC alleleの有無が合致する被験者(睡眠時ブラキシズム群3名、コントロール群3名)を選定してiPS細胞から神経細胞を分化誘導した。2017年度には、それらの誘導した神経細胞の中からセロトニン2A受容体発現神経細胞を識別するため、Venusを挿入したレポーターレンチウイルスを作成して浮遊培養開始後12日目に神経細胞に感染させた。その結果、レポーター蛍光反応を示す細胞が識別可能であることを確認した。さらに、電気生理学的検討を行っていくために、睡眠時ブラキシズム患者由来の神経細胞と、コントロール群由来の神経細胞からそれぞれ、前述の方法にてセロトニン2A受容体発現神経細胞を選択し、ホールセルパッチクランプを行った。その結果、生体の神経細胞と同様の、静止膜電位と、電圧負荷をかけた際の活動電位の発生を確認した。
著者
松田 幸子
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

オーラルフレイルの前兆を予測するための評価の1つとして、舌骨の位置を側方セファロ分析によって水平および垂直的位置の推移について評価した。加齢とともに舌骨が垂直方向の下方に推移する傾向があること、特にそれは男性において著明であったことを国際学会において発表した。同様の発表は少なかったが、ディスカッションの場で、海外でも患者が加齢によりむせやすくなる傾向があるという情報を共有することができた。現在英文誌に投稿中である。簡易的に舌骨の評価を行うことができないかを評価するために、歯科治療においてよく用いられているパノラマエックス線写真を用いることができないか評価した。パノラマエックス線写真における舌骨の見え方を評価した。顎変形症や症候群、口蓋裂などの顎骨の変形を主とした患者を除いた333名(25本以上の歯を有している22-69歳までの矯正治療を予定している患者)のパノラマ分析と側方セファロ分析を行いった。パノラマエックス線写真で舌骨の見え方を前回同様に6群に分けて評価した。舌骨が一部ないしほぼ見えない群では、側方セファロ写真でも舌骨が低い位置にある傾向を示した。ただし、パノラマエックス線写真上で舌骨が完全に見えている症例でも、側方セファロ分析では舌骨が低い位置にある症例も認められたことから、パノラマエックス線写真で舌骨が一部しか見えない患者は舌骨が低位にある傾向が高いが、パノラマエックス線写真で舌骨がすべて見えている症例でも側方セファロ分析では舌骨が低い位置に認められる症例があることが明らかになった。この研究成果を国際学会にて発表した。咬合高径の低さとの関連性について検討した。リケッツの分析の下顔面高(LFH)と舌骨の上下的な位置について分析を行ったが、有意な傾向は認められず、咬合高径と舌骨の垂直的な位置の関連性は低いことが示唆された。
著者
吉田 武美 小黒 多希子 田中 佐知子
出版者
昭和大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

本研究は、薬毒物の投与により肝グルタチオン(GSH)の急激な減少(枯渇)が引き起こされると、肝臓内の様々な酵素やタンパク質が急速に合成されるという平成3、4年度の科学研究費助成で得られた成果を基に、その応答の多様性をさらに解明すると共に、遺伝子レベルでの機構解明を目的に進められたものである。本研究の結果、トランススチルベンオキシド(TSO)やファロンが、肝グルタチオンを減少させ、酸化的ストレスを引き起こすことにより、メタロチオネイン(MT)やヘムオキシゲナーゼ(HO) mRNAを急速に発現させることが明らかになった。この結果は、すでに明らかにしている同条件下におけるこれらタンパクの増加が遺伝子レベルでの応答の結果であることを支持している。これらの薬毒物によるHO mRNAの増加は、ヒト肝癌由来のHepG2細胞を用いる培養細胞系でも充分に観察され、今後の機構解明を進める上で有益な情報が得られた。興味深いことは、TSOの立体異性体であるシス体が培養細胞系でほとんど影響が認められなかった点である。この理由については、今後の検討課題として残された。これらの結果に加え、種々のジピリジル系化合物がHO誘導をはじめシトクロムP-450に対し多彩な影響を及ぼすことが明らかになり、とくに2、2'-ジピリジルの作用は、従来のGSH低下剤とほとんど同様であった。本化合物やフォロンは、ミトコンドリアや核内のGSH含量も顕著に低下させることが明らかになり、酸化的ストレスが細胞内各小器官に及んでいることが解明された。酸化的ストレス応答が細胞内のどの小器官のGSH低下と関連しているかについては今後の検討課題である。本研究と関連して、ピリジンやイミダゾール含有化合物の多彩なP-450誘導作用を明らかにし、1-ベンジルイミダゾールのP-450誘導がテストステロン依存性であることなど大きな成果も得られた。本研究課題の遂行により、薬毒物による肝GSH枯渇に伴い、様々なストレス応答が遺伝子レベルで発現していることを明らかにした。
著者
中村 雅典 近藤 信太郎 江川 薫 曽我 浩之 八木 秀樹 伊藤 恒敏
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

我々は、骨破壊を伴う重症リウマチ性関節炎(RA)患者腸骨骨髄における著しい好中球造血の亢進とその好中球による骨破壊の可能性を示した。また、破骨細胞による骨吸収を強力に抑制するaminobisphosphonate(ABP)をコラーゲン誘導関節炎マウスに投与しても骨破壊が抑倒されないことも見いだしている。そこで、好中球による骨破壊の可能性を詳細に検討する目的で、コラーゲン誘導関節炎マウスにABPを投与した時の破骨細胞によらない骨吸収機構を好中球の動態を中心に検索すると共に顆粒球と骨との共培養による骨破壊についても検索を行った。ABP投与群・非投与群共に骨破壊を伴う関節炎が認められ、ABP非投与群に比してABP投与群では炎症が悪化する傾同にあった。骨破壊部位を観察すると、ABP非投与群では多数の酸性フォスファターゼ(ACP)強陽性の破骨細胞が骨表層に認められるのに対し、ABP投与群では破骨細胞は少数存在するもののACP活性は弱く、また骨表面から遊離していた。骨破壊部位には顆粒球が集積し、超微形態学的に骨表面に集積する好中球のrupture、細胞内顆粒の骨周辺への散在、コラーゲン線維が消失が認められた。好中球と骨との共培養系では、in vivo同様骨基質からのコラーゲン線維の消失が認められ、好中球の持つMMP-2,9やelastaseに対する阻害剤添加実験でコラーゲン線維消失が抑制されることが明らかとなった。以上の結果から、骨破壊に好中球が直接関与することが示された。
著者
小風 暁 木庭 新治
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々はこれまでに長寿関連ミトコンドリアDNA 5178C/A(Mt5178C/A)多型とコーヒー飲用との高血圧リスク、高LDLコレステロール血症リスク、貧血リスクおよび肝障害リスクへの交互作用について報告した。また、Mt5178C/A多型と血清電解質濃度との関連についても報告した。今年度はMt5178C/A多型とコーヒー飲用との血清電解質(ナトリウム、塩素、カリウム、カルシウム)濃度への交互作用について検討した。1999年から2000年にM市の某病院の人間ドックを受診した602名のうち、女性、糖尿病患者、データ欠損がある人を除く男性402名(53.9 ± 7.8歳)を解析の対象とした。Mt5178C/A遺伝子型の判別は制限酵素AluIを用いたPCR-RFLP法によった。コーヒー飲用については、1日1杯未満、1日1-3杯、1日4杯以上、の3群に分けた。また、血清塩素濃度低値が心血管系疾患の危険因子として報告されている(De Bacquer et al. J Cardiovasc Risk, 1998)ことから、血清塩素濃度100mEq/L未満を血清塩素濃度低値とした。Mt5178C型においてコーヒー飲用が増えるほど血清ナトリウム濃度および血清塩素濃度が上昇した(順にP for trend = 0.033, 0.001)。また、コーヒー飲用杯数が増えるほど血清塩素濃度低値のリスクは低下した(P for trend = 0.032)。なお、百寿者に多いとされるMt5178A型においてはコーヒー飲用と血清電解質濃度との関連は認められなかった。Mt5178C/A多型はコーヒー飲用による血清ナトリウム濃度および血清塩素濃度への影響を修飾する可能性が示唆された。
著者
照井 優一
出版者
昭和大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

ナノジルコニアの表面処理の影響と陶材の熱膨張係数(CTE)が焼付け強さに与える影響を明らかにするため,ナノジルコニアに対し各種表面処理を行い,表面性状の評価とX線回折分析による結晶状態の同定を行うと共に,市販の4種類のジルコニア専用陶材と,ボディ陶材のCTEだけを変化させた3種類の試作陶材(CTE 9.0, 9.5, 10.0)での焼付強さを測定した.破断後の試験片に対しSEM観察ならびにEPMA分析を行い,ナノジルコニアとライナー陶材間の親和性も検討した.その結果,ナノジルコニアのCTEを境に,僅かに低いCTEを持つ陶材が,他の2種と比較して有意に高い陶材焼付強さを示すことが分かった.
著者
滝戸 次郎 中村 雅典
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

破骨細胞は、単核細胞の融合により形成される多核細胞であり、その機能は骨を分解することである。その細胞融合に関与する構造として、我々は新規のアクチン超構造体を報告してきた。本研究では、その構造の構成タンパク質の空間配置を決定し、前駆体であるPodosome beltとの違いを明らかにした。また、その構造保持に関与するシグナル伝達経路を解明した。アクチンの動態を観察し、超構造体内で内向きのアクチン流動が起きている事を発見した。これらの知見を統合し、破骨細胞間の接着に働く力の釣り合いを考察した。本研究により、アクチン超構造体は、破骨細胞同士の融合時の接着に寄与することが示された。
著者
土肥 謙二 大滝 博和 小川 武希 宮本 和幸
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本検討の目的は熱中症モデルにおけるneuroinflammationの病態のメカニズムを明らかにすることであった。まず本研究ではいまだ確立されていなかったマウスの熱中症モデルを開発し、生理学的評価、血液学的評価、ミネラル補充の効果について明らかにした。さらに現在は酸化ストレスの評価や水素水を用いた新規治療法の開発に向けた検討を行っている。また、熱中症モデルにおいては腸管のダメージが組織学的に強かったことから重症熱中症モデルにおけるneuroinflammationと脳-腸管によるsystemic inflammationとの関係について再検討している。
著者
福原 達郎 槙宏 太郎 柴崎 好伸 鐘ケ江 晴秀 平出 隆俊 加藤 博重
出版者
昭和大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1989

本年度は、本システムによる立体復構モデルを、実際の臨床における外科手術前の診断・術後の予測に応用した。まず、顎顔面部の左右非対称性がみられる患者において、三次元画像上におけるミラ-テクニックを用いた外科手術のシミュレ-ションをおこない、立体モデルとの比較をおこなった。その結果、三次元画像は、それまでのセファログラムの比べて、外科的な骨削除の部位や移動方向のおおよその推定は可能であるが、立体モデルと比べて、離断部位、削除量などが不正確であることが示された。また、本システムを用いた正確な部位の確認と削除量、移動量の検討により、顎関節部の形態、位置関係を前後的、上下的に容易に観察できるため、術後の骨片の動きなどを予測することが可能となった。モデルの作成に要した時間を以下に示す。1.CT撮影・外形線の抽出70(分)2.イメ-ジリ-ダ-による各断層像座標値の取り込み403.CAD内でのモデル構築204.CAMへの出力ならびに切削3005.積層時の外枠形態の出力(一体加工)406.積層・接着20したがって、本システムによる立体モデルは、外科矯正治療における診断・予測のうえで非常に有用であり、治療の支授システム、または、術者間のコミュニケ-ションツ-ルとしての大きな効果が期待されるものと考えられた。
著者
井上 和明
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

慢性C型肝炎は世界で2億人近くが感染し、肝細胞癌や肝不全の原因の筆頭である。現在の標準治療の効果は十分とはいえず新たな治療法の確立は臨床上の急務である。経口剤のウイルス増殖阻害剤の欠点を克服すべく、我々は新たな環状ペプチドライブラリーを用いてHCVの増殖に必須である宿主因子の、サイクロフィリンの阻害薬のスクリーニングを行い、カルシニューリンと相互作用を持たないLead化合物を発見し、検討している。
著者
水間 正澄
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

知的障害特別支援学校の児童・生徒における運動器障害を調査し、問題点として姿勢、歩容の異常、足部変形が多くみとめられた。それらに対し、担任教諭および保護者に対して運動や靴の指導を中心に行った。実施度にはばらつきがみられたが実施者には改善が見られた。担任教諭に関しては担任の交代時に指導内容の申し送りがなされていないケースが多かった。結果をもとに作成した指導モデルの活用による実施率の向上に期待したい。
著者
馬場 一美
出版者
昭和大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

NANOZRインプラントの開発を目指し,表面にHF処理(0,4,55%)を施し骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1)に及ぼす影響と骨結合能について評価した.SEM像より,HF処理したNANOZRの表面は、55%でナノレベルの球状構造が顕著に認められた.蛍光二重染色では,発達した細胞骨格,細胞突起が認められ、細胞接着・増殖では,顕著な増加が認められた。骨形成関連遺伝子の発現でもAETiと比較し有意な上昇が観察された.ラット大腿骨埋入後の骨結合力は,55%でAETiと比較し有意に高い値となった.NANOZRはHF処理による表面改質によって、骨芽細胞の接着・増殖・分化並びに、骨結合力を促進させた。
著者
白川 美也子
出版者
昭和大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的はDV等のストレスやトラウマをもつ妊産婦の精神医学的・心理学的実態と、それらか新生児の心身の状態および発達に及ぼす影響について産前から産後の母子を追跡調査して明らかにすることである。このたび昭和大学新生児コホートに参加することになり、特にオキシトシンの測定が可能になった。オキシトシンは胎児の成長や発達、出産後のアタッチメント形成の双方に関連があることで知られており、さらに抑うつや不安で女性において低下することが知られている。参加者の中から本研究に同意が得られたものに、妊娠初期・中期・後期における採血を行い、オキシトシン濃度を測定する。初期には抑うつや不安、児へのボンディング、知覚されたストレス等の調査を行い、関連の可能性がある要素としてセルフエスティーム、ソーシャルサポート、ライフスタイルの調査を行う。中期にMINIを施行して現在および過去の主だった診断名をつけ、出産後に新生児行動評価と母子相互作用の評価を行い、ストレスやうつ、不安からくる自己調節障害の現れとオキシトシンの関連を確認することとした。さらに1か月の時点での身体的発達と、6か月の時点での養育者の育児ストレスと子どもの気質を調査することによって、妊娠時のストレスや不安がうつが、胎児の成長発達やその後の母子相互作用に関連するか、それがオキシトシンにyって媒介されていつかをみる。また社会福祉施設で生活する周産期等にDV被害をうけた女性のデータとも比較可能な部分は比較していく。現時点で発達コホート中の母親で同意がとれたケースが100例程度あり、また社会福祉施設でより簡易な調査を行っているケースも100例程度ある。今後、オキシトシンのデータを得て、順次母親のメンタルヘルスと関連する要素や、オキシトシンデータとの関係、その後の発達や母子相互作用や気質等に及ぼす影響を順次解析していく。
著者
関沢 明彦 市塚 清健 松岡 隆
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

正常妊娠の末梢血を採取し、胎児由来の遺伝子としてY染色体特異的なマーカーであるDYS14遺伝子を標的にして、その妊娠経過に伴う変化を標準化した。この結果を元に、胎児DNA濃度をMultiples of Median (MoM)値に変換し、妊娠週数による違いを補正した上で各種病態における胎児DNA濃度の変化について比較できるようなシステムが整った。RhD血液型診断に関し、研究期間中にRhD陰性の症例は合計で25例に過ぎなかった。RhD遺伝子exon7を標的とする遺伝子診断を行い、25例全例で正確な胎児診断が可能であった。このことから、この方法は、既に確立された方法であり、精度向上を図る必要性がない思われた。超音波診断で極端な下肢の短縮を認めた症例が9例あり、その症例の妊婦血漿を採取した。また、同時に分娩時の膀帯血も採取した。その症例にFGF-R3の遺伝子についてAchondroplasia、Thanatophoric Dysplasiaなどの原因遺伝子を直接シークエンス法で検討した。しかし、9例全例で遺伝子異常は検出されず、新しい診断には結びつかなかった。次に、妊娠高血圧症候群での胎児DNA濃度の変化及びそれを用いた妊娠高血圧症候群の予知についてであるが、妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)では、胎児DNA濃度が上昇することが分った。また、蛋白尿と高血圧の臨床症状の程度と胎児DNA濃度を比較検討した結果、胎児DNA濃度は、蛋白尿及び高血圧とは独立した因子であり、蛋白尿に比較し、高血圧により強く相関していることが分った。また、それらの症状の重症化に伴ってその濃度も上昇することが示され、妊娠合併症の病態把握にも優れたマーカーになると考えられた。
著者
山縣 文
出版者
昭和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

平成21年度は、当初の予定通り4月~9月の間に、主な備品である52チャンネルNIRS装置(Hitachi ETG-4000)の整備・調整を行い、解析用のパソコン、必要な解析ソフト、図書の整備などを行った。10月より患者登録を開始した。昭和大学病院附属東病院精神神経科を受診したDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th ed (DSM-IV)にて大うつ病と診断された未治療の患者のなかで、本研究の参加へ同意を得られたのは9名だった(当初の本年度の目標は10名である)。そのうちの4名が12週間後の2回目の検査も現段階で終えている(残りの5名は当外来へ通院を継続している)。外来に患者の基礎情報を聴取し、かつNIRS測定を採血を実施した。血清BDNFの測定は(株)エスアールエルに外注してる。各被験者の基礎情報や、検査結果は持ち出し禁止のオフラインのノートパソコンと、バックアップ用に外付けハードデイスクに匿名でナンバー化して保存している。また、平成21年11月には米国スタンフォード大学医学部精神科を訪問し、脳科学研究センターにて精神疾患に対するNIRSの臨床応用についてのミーティングに参加し、本研究の概要を説明し、意見交換を行った。
著者
古川 匡恵
出版者
昭和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

オフィスブリーチは現在審美歯科において人気のある漂白法である。しかしながら、オフィスブリーチ法は熟練した術者においても術中に歯肉や口腔粘膜に漂白剤が付着してしまうことがある。その場合、歯肉に一過性の疼痛および白色化が起こるが、数時間後には症状は緩和し、白色化も消失してしまう。この漂白剤の歯肉に対する影響については文献などでは知られていないため本研究では、漂白剤の歯肉に対する為害性をin vitroで検討した。
著者
佐藤 満 井野 秀一
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

大地震等で孤立した被災地に容易に携帯搬送でき、電力や燃料を使わずに閉鎖空間からの初期救助活動に利用できる携帯瓦礫昇揚装置の開発を行った。1t以上の瓦礫を1分以内に50mm昇揚できる仕様の外径347mm高さ90mmの昇揚機構を試作した。動力源には加熱することで大量の水素を放出する水素吸蔵合金を利用し、その熱源には酸化カルシウムと水の反応熱を利用した。試作した昇揚機構は0.2MPaという比較的低い水素内圧で1.19tの出力を発揮し、昇揚動作中に堅牢な水素気密性が保たれることを確認した。さらに140gの酸化カルシウムの反応熱によって上記の出力が達成できることを実験的に示した。
著者
平出 隆俊 小澤 浩之 斉藤 茂 柴田 恭典
出版者
昭和大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

平成5年度は、平成4年度にまとめた『歯の健康に関するアンケート』から得られた、1.咬合ならびに顎機能異常の出現状況の精度を検討するため毎年実施している矯正専門医による歯科検診の『咬合異常の頻度』との比較検討を行った.その結果、高校3年次男子においては歯科検診:22%、アンケートによる自己申告性:26.5%とほぼ同程度の割合であった.従って、本アンケート調査結果は信頼性の高いものと判断できた.このことから次に2.スポーツ活動時に生じた歯・顎・顔面部外傷による咬合・顎機能異常の出現との関連を調査した.その結果、スポーツ外傷は男子:13.8%、女子:0%であった.男子のスポーツ外傷のうち外傷が原因となりその後、咬合・顎機能に異常を訴えたものは男子:41.7%であった.以上のことから活発な顎・顔面部の成長発育期における学童のスポーツ活動に対しては、安全性に対する歯科医学的に検討されるべき点が示唆される.1、2の調査結果をもとにスポーツ活動時における顎機能を調査するため、平成5年度は中学1年生から高等3年生までの6学年に『咬合圧シート』を配布し回収した.現在本資料を解析中である.このことによりスポーツ活動を積極的に行っているものとそうでないものの差異、ならびに各種スポーツ活動に特有に見られる顎機能を調査中である.