著者
永見 紀代子
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科教育行政学研究室紀要 (ISSN:13421980)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.85-92, 2001-03-27

This study focuses on Educational System in the Republic of Paraguay. Problems in different educational levels will be discussed through the paper.
著者
片岡 清臣
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

解析的線形偏微分方程式系に対しては初期値・境界値混合問題の座標不変かつ代数解析的な定式化,すなわちD-加群に対する定式化に成功した.同時に佐藤超関数解の境界に沿う解析的特異性伝播など超局所解析的性質を導くための主要道具となる正則関数解の層複体の柏原正樹・P. Schapiraの意味のマイクロ台の評価定理を得た.非線形方程式系については円周上を動き,弱い結合をもつ多数の振動子の共振の数理モデルである蔵本モデルに関する予想の証明に成功した千葉逸人の理論の数学的な不備を発見し修正に取り組んだ.特に主要なアイデアであり鍵となる線形作用素の一般化固有関数展開の意味を正確に与え証明した.
著者
秋草 俊一郎
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

今年度も研究活動、具体的には学会報告、論文執筆・発表といった活動を引き続き積極的に行った。研究はナボコフの自作翻訳について調査した。その結果、多くの作品について新たな知見がえられ、研究が大幅に進展した。また、ナボコフの翻訳論については実際にそれを翻訳するなどの作業も行った。一般的に英文学研究のオピニオン誌と見なされる『英文學研究』に二本、ロシア文学研究・スラヴ研究のオピニオン誌と見なされる『ロシア語ロシア文学研究』『スラヴ研究』に一本ずつの論文を掲載しており、双方で研究が質量ともに高い水準であることを示した。また日本ナボコフ協会でも成果として論文を発表するなど、専門家に向けたアピールも忘れなかった。学会発表も、ロシア文学会とナボコフ協会で二度行った。それ以外にも、大小さまざまなワークショップや研究会などで積極的に発表を行った。その際、海外の一流研究者を含むさまざまな研究者と交流し、幅広い意見交換を行った。さらに特筆すべきは、今年度の平成20年9月、博士論文『訳すのは「私」:ウラジーミル・ナボコフにおける自作翻訳の諸相』を完成させたことである。このため、博士課程修了を3年で修了して博士号を授与された。研究テーマが一応の完成を見たといえ、事実上、日本学術振興会に提出した当初の研究計画をほぼとどこおりなく遂行したと言えるだろう。なお、この博士論文と学業成績を対象にして、東京大学総長賞並びに総長大賞が授与された。
著者
嵯峨山 茂樹 小野 順貴 西本 卓也 金子 仁美
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

数理モデルに基づいて音楽信号および音楽情報の解析・認識・加工・生成の多角的な研究を行い、多大な成果を生み出した。この中には、多重音の解析のために多重音モデルのパラメータ推定(HTC)に基づく方法、同じくスペクトログラムの非負値行列分解(NMF)に基づく方法、調波音と打楽器音の信号分離(HPSS)、スペクトログラムからの位相成分の復元に基づく楽曲の速度変換やピッチ変換などの高品質な信号加工、ステレオ音楽信号からのパート分離、人声に含まれる揺らぎ成分に基づく歌声の抽出と消去、音楽信号からの和声自動推定、楽曲を構成するリズムの自動学習と小節分割(RhythmMap)、それに基づく楽曲ジャンルやムードの自動分類、多声部音楽信号からのリズム構造推定と自動採譜、上位の音楽理論から下位の信号観測までを統合したDynamic Bayesian Net に基づく音楽モデルと自動採譜、楽譜データからの作曲家自動推定、確率場学習に基づく楽譜からの音楽的な自動演奏、テーマ模倣を含む自動対位法による自動作曲、歌詞の日本語韻律を利用した自動歌唱作曲、以上の研究を支える機能和声データベースの構築など、極めて広い範囲の研究成果を含む。これらは、ジャーナル論文、国際会議論文、解説論文、国内学会発表、自動作曲のwebサービス、メディアによる報道などにより社会に公表している。
著者
岡田 康志 松岡 里実 石島 秋彦 伊藤 創祐 川口 喬吾 池崎 圭吾 澤井 哲 佐々 真一 神原 丈敏 榎 佐和子 竹内 一将 猪股 秀彦 沙川 貴大 青木 一洋 小林 徹也 中島 昭彦 福岡 創
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本領域は、生命現象を分子レベルから定量的に計測する技術の発展と、非平衡系の統計力学・情報熱力学理論の深化を背景とした、両者の融合領域である。生命現象の理解という具体的な課題に対して「情報を力、エネルギーと同列に物理的対象として議論する新しい物理学」を構築することで、生物学と物理学の間の新たな学際領域を開拓する。この目的を達成するために、本総括班は、領域内での生物系の実験研究と物理系の理論研究の学際融合研究を推進する
著者
森 重雄
出版者
東京大学
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.21-46, 1985-02-28

Recently, sociology of education is characterized by ,the ascendence of Marxist school. We examine what Marxists assert and contribute to the sociology of education, and we do this with the reference to Marx himself. Then, we can find many problems in the Marxzst scociology of education. We define the cause of these problems from the fact that the Marxist sociology of education understands Marx superficially (in many case emotionally, not logically). So, we criticize it and seek to logical and academic implications which Marx himself has to modern sociology of education. In this context, we introduce our category, Critical Sociology of Education, through developing a new connotation of educational system.
著者
斎藤 希史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

幕末明治期における漢詩文系作文書を網羅的に調査し、その特質を分析することで、以下の事実が明らかになった。1)幕末明治期は、日本における公的な文章の変動期であり、近代にふさわしい文章の確立期であったが、その時期において、訓読体.(普週支・今体文)の果たした役割がきわめて大きいこと。2)近世まで、漢文に対して補助的な文体として用いられていた訓読体は、その実用性の高さと、文体のモデルとして漢文を用いるこ.とができることの二つの理由から、公的な文体として広く用いられるようになったこと。3)訓読文で表すことのできる対象は、従来のどの文体よりも広く、また、漢文を基礎学問として学んだ人々にとって、教えやすく学びやすい文体であったため.、初等中等教育において、すばやく普及したこと。4)教育現場におけ季訓読文め普及にあたっては、『穎才新誌』などの作文雑誌による競争や、『習文軌範』『記事論説文例』などの作文書による規範の提示が、大きな役割を果たしたこと。5)従来の日本文章史においては、西洋の書物を翻訳したことによる文体の変動に力点が置かれ、言文一致文体の登場を近代のメルクマールとする傾向が強かったが、作文書の実態を研究することで、近世後期以降の漢文教育を背景にした訓読文の普及に注目すべきセあることが、明らかになったこと。6)訓読文は、新しい協念や文物に対応した新漢語を用いるのにも有効であり、訓読文は、,いわば新漢語を効率的に運用するたゆの文体でもあったこと。以上のことから、,これまで翻訳と言文一致を中心に考える傾向の強かった近代文体研究こ、新たな知見をもたらすことができた。
著者
平井 洋一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

ゲーデル・ダメット論理の証明から非同期通信する並行プログラムを抽出する方法をみつけて、FLOPS2012という国際学会で発表した。交付申請書に記載した研究目的にあるとおり、直観主義論理の証明からプログラムを抽出するプログラム抽出の技法を応用したといえる。ゲーデル・ダメット論理は直観主義論理の拡張であり、今回の研究で抽出したプログラムはもともと直観主義論理の証明から抽出できていた型付きラムダ計算の拡張である。さらに、研究目的にあるとおり、抽出されるプログラムは非同期通信する並列プログラムである。本研究の最も重要な結果は、無待機計算で解ける問題はゲーデル・ダメット論理をもとにしたプログラミング言語で解けるし、ゲーデル・ダメット論理をもとにして解ける問題は無待機計算で解けるという特徴付けの結果である。論理学への貢献はゲーデル・ダメット論理の計算的意味を明らかにしたことであり、計算機科学への貢献は無待機計算用のプログラミング言語を発見したことである。ゲーデル・ダメット論理の計算的意味が何かという問題は1991年にArnon Avronによって提起されて以来解かれないまま20年以上の時間が経過した。本研究ではこの古い問題を解けた。無待機計算は、理論計算機科学で、1990年代に注目された概念であり、2004年のゲーデル賞は無待機計算の位相幾何学的特徴付けという仕事に与えられた。本研究では、無待機計算のプログラミング言語による特徴付けを実現した。
著者
中村 亜希子
出版者
東京大学
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:02873850)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.71-108, 2006-03-31

小稿は中国黒龍江省寧安県に位置する渤海の上京龍泉府址から出土した軒丸瓦を文様によって編年し,それを製作技法の観察から裏づけしたものである。渤海国は自国書を持たないため,その歴史を考えるにあたっては遺跡からの出土遺物の検討が非常に重要な位置を占めている。従来,中国や日本,北朝鮮等の研究者が軒丸瓦の文様の分類や編年などの研究を行っており,近年は特に日本において東京大学考古学研究室所蔵の遺物を対象資料とした研究が盛んに行われている。しかし,従来の研究は主に文様によるもののみであることから,製作技法との対応関係を明確にし,さらに九瓦や平瓦との対応関係を明らかにしていく必要性を感じている。本稿ではまずその研究の基本をなす編年を提示し,今後,上京龍泉府址での出土地点による比較や他遺跡の出土品との比較を通して渤海国の歴史を明らかにしていきたい。
著者
岡本 和夫 CASALE Guy
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

微分方程式のガロア理論と付随する葉層構造のガロア理論の関係は、微分体の拡大の観点から梅村浩教授により研究されているが、これを微分方程式の観点から研究し両者の関係を明らかにすることが目的の一つである。一方、パンルヴェ方程式のガロア理論の観点からの研究は日本で盛んに研究されているが、ここでも微分グルポイドの視点は有効であると期待される。例えば、パンルヴェ方程式の既約性について新しい証明を得ることを目標の一つとしている。前者が微分ガロア・グルポイドの可積分性に関する研究であり、後者がそのパンルヴェ方程式への応用である。これら2つの研究は今のところ独立に並行して遂行する。第一の研究課題が進展すれば、その第二の課題への適用が可能となり、ともに発展が期待できる。具体的にまず考察すべきは以下の視点である。すなわち、非線型微分方程式のガロア理論においては、微分体の拡大と微分方程式の特殊解との関係を確立することが肝要であり、そのときの鍵となるのが付随する葉層構造のガロア理論である。分担者の今回の滞在予定期間は当初一年であったが、2ヶ月ほど延長し上記研究目的に挙げた研究を遂行した。目標の一つは、微分方程式のすべての解を含む微分体を構成するであるが、これはすぐ上に述べた付随する葉層構造の完全第一積分を含む微分体を通して行われるものである。パンルヴェ方程式の既約性について、ガロア・グルポイドを用いるやり方はもとのパンルヴェ自身が考察したアイデアに近いものであるので、何とか完成したい。とりわけ、パンルヴェ方程式に関するデュラックの予想についての研究はじゅうようであるからこれを遂行した。日本各地の研究者との交流は重要であるから、引き続き積極的に行った。また、得られた成果は部分的なものであったとしても研究会などで発表し、これはさらなる発展に資するものと期待している。そのためには他機関の研究者との交流に取り組み、研究打ち合わせを行った。海外の研究集会にも参加し、研究成果を公表した。また、研究代表者がパンルヴェ方程式に関する若手研究者を中心とする研究グループの構築を図っているのでこれに協力したが、今後とも協力するつもりである。
著者
三浦 太郎
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.267-277, 2006-03-10

Paul J. Burnette was appointed as the 1st librarian of Tokyo CIE Information Center in 1946 and later worked as the 2nd CIE Library Officer from October 1947 to March 1949. His duty was in line with the ALA's intension, especially (1) support for US library missions and (2) development of library education. When National Diet Library was founded in 1948, he helped advisers, such as, Verner Clapp, Charles Brown, and Robert Downs. Burnette was also organized both training program for NDL staffs and IFEL library course. He was concerned with promotion of school librarianship and establishment of public library law, too. He discussed with Japanese school library leaders about editing and publication of a guide to school libraries and with influential public librarians about principle of free library use and need for Library Board. But, activity as the Library Officer was supposed to be limited by CIE organizational system.
著者
鈴木 一敏
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究では、現在の貿易自由化交渉の基本的特徴を提えたマルテエージェント・シミュレーションのモデルを作成し、各国の戦略やその進化的安定性、系に対する外的要因(例えば交渉参加国や争点の増加、産業構造の変化など)が与える影響を、動態的に分析する。これによって、システム内で国家がとる戦略と貿易ネットワークのあり方との関係、無差別最恵国待遇を尊重する戦略やFTAを多用する戦略などの広がり方、通商交渉を巡る環境(参加国や争点の数、個々の国家の産業構造の変化)の変化が秩序に与える影響、などを検証するものである。本年度は、まず、既存の交渉理論、貿易自由化交渉の研究、相互依存論等における議論に基づいて、多争点の二国間交渉、多国間交渉のルールを、シミュレーション・モデルのルールにできるところまで明確化すべく、検討を行った。そして、この検討に基づき、個々の国家が自らの利益に基づいて譲歩の交換を行う基本モデルのコーディングを開始した。モデルは、多数の国家が多数の品目について関税譲許を交換するシミュレーションモデルとなっている。個々の国家は、各品目について、選好する関税率、政治的重要度等の変数を持っており、政治的な利益(選好する関税率と実際の関税率との差分縮小幅を、政治的重要度によって重み付けして算出される)を目指して、他国とアトランダムに交渉を行う。その際、国家は、無差別最恵国待遇、特定国最恵国待遇、自由貿易協定といった戦略を用いる。データの収集と編集に関しては、世界各国のGDP、成長率、分野別平均関税率、地域貿易協定の締結数の変化などについて、第二次大戦後の時系列データを可能な限り収集し整理した。このデータは、来年度以降、シミュレーションの初期値として用いたり、シミュレーション結果と比較検証するために用いる予定である。