著者
北薗 幸一
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1999

博士論文
著者
前田 陽一郎
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

向精神薬誘発性と考えられる鼻閉について(目的)日常診療において、鼻閉を愁訴として来院する患者さんの中に向精神薬を長期にわたり使用し、鼻閉コントロールが困難となる症例に対し、多面的な検討を行った。(方法)向精神薬を長期にわたって使用している症例につき、その前鼻鏡所見、5000倍ノルアドレナリン経鼻投与前後における鼻腔通気性の変化、CT所見、採取した鼻粘膜の病理所見およびその粘膜収縮力の評価を行った。なお、鼻腔通気性の変化はacoustic rhinometryにより測定し、粘膜収縮力の評価はin vitro bioassay法を使用し、肥厚性鼻炎症例の鼻粘膜(通常のヒト鼻粘膜)と比較した。(結果)前鼻鏡では著しい粘膜肥厚を認めた。ノルアドレナリン投与前および5分後のacoustic rhinometry所見では、C-notchの断面積や鼻腔容積に影響をほとんど与えなかった。また、CT所見では著しい下鼻甲介の腫脹を認めた。採取した鼻粘膜の病理所見では腺組織周囲に細胞浸潤を認め、粘膜固有層は著しく増生した線維化組織および浮腫を認めた。粘膜収縮力は手術的に切除された標本にノルアドレナリンを投与してそのdose-response curveを比較検討したが、向精神薬使用症例は肥厚性鼻炎症例に比較して収縮閾値の上昇と最大収縮力が低下していた。(考察)クロルプロマジンを代表とするフェノチアジン系抗精神薬は強いα1受容体遮断作用を有しており、この薬理作用がヒト鼻粘膜の収縮作用低下をおこす引き金になったと推察される。また、鼻粘膜に線維化を引き起こした症例などでは通常の鼻粘膜浮腫を改善する薬剤の効果は期待できないため、手術治療のよい適応になると考えた。
著者
関山 牧子 村山 伸子 石田 裕美 野末 みほ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

インドネシアでは、教育省から学校給食の予算が捻出されることとなり、2016年から公立小学校において学童に対する給食提供を開始することとなった(PROGASプロジェクト)。2016年度は東ヌサ・トゥンガラ州の3県、計4万人の学童が、給食プロジェクトの対象者として選択された。2016年4月末にキックオフ会議が行われ、対象校の教員や調理者へのトレーニングが実施された。その上で、各小学校は給食提供に係る様々な準備を行い、7月から給食提供が開始された。給食は、24日間を1クールとして4クール、計96日間提供された。本研究では、各県のプロジェクト対象校7校と非対象校3校(コントロール群)を選択し、A)食費、B)健康的な食物選択に関する知識、C)学校での学習態度、D)栄養素摂取状況、E)身体計測値、F)ヘモグロビン値の面について、介入前後の変化を調査するとともに、対照群との差異を検証した。また、現地調査の際に、小学校教諭、調理者、保護者に対し聞き取り調査を実施し、給食提供の問題点等を明らかにした。今年度は、初年度に収集したデータ解析を中心に行った。また、インドネシアの学校給食の歴史に関して国際的に発表されている報告書や学術論文が限られているため、現地のカウンターパートの研究者とともに、インドネシア国内で公表されている情報をもとに、レビュー論文を執筆した(現在査読中)。インドネシアでは1991年以降、何度か国レベルでの学校給食プログラムが実施されてきたが、その人口規模と地理的広がりから統一的な政策が難しく、国際的にみても低い普及率の向上が優先課題であることが明らかになった。
著者
本吉 勇
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

今年度に予定していた離散運動錯視の特性の心理物理学解析は昨年度中に概ね完了した.その結果,この錯視には4-5 Hzの周期で動作するメカニズムが深く関わっており,それが主観的な時間の連続性を支える大きな要因であるとの推察を得た.今年度は,心理物理学実験の一部について新たな方法に基づくデータを追加し結論の正しさを確認するとともに,大規模な脳波計測実験に基づき錯視の生理学的基礎を検討した.18チャンネル脳波計(Neuroscan SynAmp2 System,東京大学進化認知科学センター共用施設) を用いて,のべ25人の健常者から,離散運動錯視を引き起こす刺激と引き起こさない刺激をそれぞれ観察中の脳波を計測し,錯覚の生起と関連する成分を様々なやり方で分析した.試行錯誤の結果,錯覚が生起するときには後頭頂葉における4-8 Hzの帯域における振動成分が有意に低減することが示された.同じ分析を,視覚刺激がステップ状に現れ消失する条件とガウス状に緩やかに提示される条件で行ない,類似の結果を得た.この結果は,後頭頂葉に現れる4-8 Hz付近のいわゆるシータが,知覚の時間的連続性の成立に関与している可能性を示唆している.これらの結果を,前年までの心理物理学実験の結果と統合する形で一つの論文にまとめることに決定し,投稿を準備した.また,本研究の成果をInternational Symposium on the Science of Mental Timeおよび第16回脳と心メカニズム(統合脳WS)において講演(招待)した.上記とは別に,昨年度に採択された視覚コントラスト感度と運動座標系に関する研究成果を国際会議VSSで発表した.また,以前より進めていた視野闘争における座標系の役割に関する論文をJ. Visionに公刊した.
著者
安田 元久
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1962

博士論文
著者
堀 正敏 藤澤 正彦 堀口 和秀 道下 正貴 百渓 英一 田島 剛
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

我々は、消化管には5-HT4受容体(5-HT4R)を介する消化管局所での抗炎症シグナル機構が存在することを術後イレウスモデルを用いて発見した。そして、さらにその詳細なシグナル伝達系の解明を試みた。その結果、5-HT4Rの活性化を介した消化管壁内神経刺激は、神経終末からAChを放出する。AChは健常時には消化管平滑筋に作用し消化管運動亢進作用を発揮するが、消化管炎症時にはマクロファージ上のα7ニコチン様ACh受容体(α7nAChR)を活性し、マクロファージ浸潤を抑制するとともに、ムスカリンM2受容体(M2AChR)を介して好中球浸潤を抑制することが明らかになった。
著者
水口 雅 池田 和隆
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

結節性硬化症はmTOR系の過剰な活性化を主な病態とする遺伝性疾患で、自閉症を高率に合併する。mTOR阻害薬を用いた自閉症の薬物治療を開発する目標に向けた橋渡し研究として、結節性硬化症モデルマウスを用いた薬物治療の実験を行なった。モデルマウスの思春期個体にmTOR阻害薬ラパマイシンを投与したところ、成獣と同等に自閉症様症状(社会的相互作用の低下)が改善した。しかし発達期にラパマイシンを長期投与すると全身状態の悪化、臓器の萎縮など副作用が顕著であり、今後、投与の時期と量を最適化する必要がある。
著者
水口 雅 池田 和隆
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

自閉症の中核症状である社会的相互交流障害の改善に有効な薬物療法を開発することは重要である。結節性硬化症はTSC1ないしTSC2遺伝子のハプロ不全に起因し、自閉症をしばしば合併する。本研究は、結節性硬化症モデル動物Tsc1^<+/->およびTsc2^<+/->マウスの自閉症様行動異常、mTOR阻害薬ラパマイシンの投与によるその改善、mTOR系遺伝子の脳内発現異常のラパマイシン治療による正常化を見いだした。これらはマウスの自閉症様行動におけるmTOR信号伝達の重要性を示すとともに、ヒト自閉症の薬物治療におけるmTOR阻害薬の有用性を示唆する。
著者
東野 治之
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1993

博士論文
著者
佐藤 寿芳
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1963

博士論文
著者
柴田 碧
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1958

博士論文
著者
吉本 堅一
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1969

博士論文
著者
井口 雅一
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1962

博士論文
著者
淺間 一 田中 宏和 井澤 淳 近藤 敏之 矢野 史朗
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

四肢の欠損した患者や統合失調症の患者は,自分の身体への所有感が低下することや自分の運動に対して主体感が持てなくなり,健常者と比べて脳内身体表現が変容していることが知られている.本年度はこの身体所有感や運動主体感が脳内身体表現の変容に対してどのように影響を与えるのか定量的に評価し,数理モデルの構築を行った.具体的には,健常者に対してラバーバンド錯覚という現象を起こした上で,身体所有感と運動主体感がそれぞれ感じられない条件で,脳内身体表現がどのように変化するか調べた.その結果,被験者が能動的に動くことで,運動主体感は増し,ラバーバンド錯覚で呈示する腕の映像が実際のものと異なる時には,身体所有感が低下することがわかった.次に脳内身体表現の変容に対して,身体所有感と運動主体感が与える影響を定量的にモデル化した結果,対象とする被験者の数回の試行データを用いることで,変容がどの程度進むかを推定することができるようになった.またこのような知見を実際のリハビリテーションに応用可能なプラットフォームとして,バーチャルリアリティ環境の運動介入システムの実装を行った.これは使用者の腕の運動と筋活動を計測し,それをリアルタイムで使用者にフィードバックするシステムである.このシステムを使うことで,実際に使用者が行っている運動とは異なる結果を返したり,あえて運動を過剰に表示することで,運動を誘導することができることが分かった.