著者
岩田 靖夫
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1987

博士論文
著者
清水 英範
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、国会議事堂の位置を日比谷練兵場内に示したJ.コンドルの官庁集中計画(明治18年)について調査し、計画への経緯やコンドルの計画意図を明らかにした。また、議事堂の位置を初めて永田町に示したW.ベックマンの官庁集中計画(明治19年)について調査し、断片的ながら、ベックマンの調査・情報収集過程に関する新事実を明らかにした。さらに、議事堂建設に関する政府委員会の議事録を調査し、建設地が実質的に最終決定されたのは、議院建築準備委員会(明治43年)であったことを明らかにした。
著者
梶田 展人
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-04-25

中国の東シナ海大陸棚に存在する陸源砕屑物堆積帯(Inner shelf mud belt)から採取された堆積物コア(MD06-3040)のアルケノン古水温分析(Uk37’)を行い、完新世の表層水温(SST)変動を高時間解像度で明らかにした。コア採取地は沿岸の浅海であるため、SSTは気温(AT)と良い相関がある。よって、Uk37’-SSTの復元記録から揚子江デルタのATを定量的に推定することができた。Uk37’-SSTのデータに基づくと、Little Ice Age (約0.1-0.3 cal. kyr BPの寒冷期)など全球的な気候変動と整合的な温度変化が復元されたことから、この指標の信頼性は高いと言える。約4.4-3.8 cal. kyr BPには、複数回かつ急激な寒冷化 (3-4℃の水温低下、3-5℃の気温低下に相当) が発生していたことが示された。この寒冷化は4.2 kaイベントに呼応し、顕著な全地球規模の気候変動と関連するものと考えられる。この時期に、東アジア及び北西太平洋では、偏西風ジェットの北限位置の南下、エルニーニョの発生頻度の増加、黒潮の変調 (Pulleniatina Minimum Event) などの大きな環境変動が先行研究より示唆されている。これらの要素が相互に関係し、急激な寒冷化およびアジアモンスーンの変調がもたらされた可能性が高い。同時期は、揚子江デルタで栄えていた世界最古の水稲栽培を基盤とした長江文明が一時的に中断した期間と重なる。本研究が明らかにした急激で大きな寒冷化イベントは、稲作にダメージを与え、揚子江デルタの社会や文明を崩壊させる一因となったかもしれない。本研究のデータと考察の一部をオランダの国際誌Quaternary Science Reviews誌に投稿し、受理された。
著者
吉澤 晋
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、様々な海洋環境から分離した発光細菌の発光色を詳細に調べ、発光細菌発光色の生態学的意義の解明を目指した。発光色を調べた結果、発光細菌の放つ光の色は単一ではなく、複数のバリエーションがあることが分かった。また、極大波長が480 nm以下の発光色を持つ株は細胞内に発光色を変化させる蛍光タンパク質を持つことが明らかになった。
著者
小口 高 貞広 幸雄 村山 祐司 久保田 光一 奥貫 圭一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

大学3~4年生を対象としたGISのオンライン実習のための教材を整備し、大学の授業や講習会等で試験運用した。教材の公開にあたっては、独自のドメイン(http://gis-oer.csis.u-tokyo.ac.jp/)を取得し、GitHubを通じて正式公開に向けた試験公開(第1段階の公開)を行った。また、教材の活用状況を評価するために、前年度に課題となった外部ツールの仕様変更に対応しているオープンソースのプラグインを新たに用いて、活用状況を評価するシステムを構築した。教材の主要な内容は、GISの基本に関する総括的な書籍である「GISスタンダード」に沿っており、地理系の学部や関連学科における実習授業と対応させるようにした。これとは別に、インターネットを通じてGISを利活用するためのWeb GISに関する教材と、地形データを3Dプリンターで可視化するための手法に関する教材も整備した。インターネットを通じたGIS利活用のための教材は、WebGISと関連するツールを利用して、地理情報を可視化する手法や配信する手法を解説した。地形データを用いた3Dプリントのための教材では、GISのデータを3Dデータに変換する手法や、3Dプリントの手順を解説した。前年度からの継続の実践として、「GISスタンダード」と対応した教材を東京大学地球惑星環境学科などの授業において実際に試用し、アンケートなどを通じて利用者からのフィードバックを得た。今年度の授業では、前年度の事例を踏まえて改良した教材を用いたため、課題であった実習の難易度が軽減されたことが確認できた。さらに、教材に将来的に応用できる可能性がある地理情報システムを用いた応用研究を、研究協力者の早川裕弌氏や瀬戸寿一氏らとともに進めた。
著者
鳥海 不二夫 秋山 英三 岡田 勇 山本 仁志
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

ネット炎上などソーシャルメディア上で生じる社会問題を過剰懲罰の枠組みから説明し,その心理的メカニズムをゲーム理論などの理論分析や被験者実験を用いて検討する.特に量的過剰懲罰をスラックティビズムに基づいた心理モデルの点から,質的過剰懲罰を合理的無知によって説明し,過剰懲罰現象を実データに基づき分析・数理モデル化し,そのリスク低減を実現する社会システムを設計する.
著者
高橋 孝喜 桑田 昇治 徳永 勝士
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

1991年秋に行われた国際組織適合性ワークショップのデータに関して、特に地域差、民族差の観点から解析した。また1992年9月には、シベリアバイカル湖畔のブリアート族におけるHLA調査も行った。これらの結果に加え、昨年までの成果を考え合わせると、東アジアにおいていくつかの特徴的なHLAハプロタイプが異なる分布パターンをとっていることが示された。このような複数のパターンが見られることの解釈として、東アジアにおける民族移動が単純なものでなく、いくつかの異なる先祖集団が異なる時代に異なったルートを経て移住拡散してきた可能性が高いと考えられる。特に日本人の起源と形成過程に関しては、モンゴル周辺や朝鮮半島付近に源を発する民族の影響が主体を成し一部には中国南方の集団からの影響もあったものと推定された。1)B52-DR2を高頻度にもつ集団が中国北方より朝鮮半島を経て北九州や近畿地方に移住してきた。2)B44-DR13で特徴付けられる集団が、朝鮮半島付近より北陸地方などの日本海沿岸に到った。3)B54-DR4を持つ集団は、中国南部に発して、南西諸島や九州四国、本州の太平洋岸に達した。4)B46-DR8をもつ集団はその遠祖が中国南部にあり、朝鮮半島経由かあるいは直接に北九州に到達した可能性が考えられる。今後もより広範かつ詳細な調査を進めて、以上の仮説を検証する必要がある。
著者
植木 亮介
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

受容体型チロシンキナーゼは細胞の増殖や分化を制御する増殖因子の受容体として機能する。本研究ではこれら受容体の詳細な活性化機構の解明に向けて、細胞膜上での受容体クラスタリング挙動を制御する分子ツールの開発、およびクラスタリング様式が細胞シグナルへ与える影響について評価することを目的とした。具体的には、標的受容体に結合する核酸アプタマーの複合体を設計し、受容体のクラスタリング挙動の制御を試みた。また、受容体クラスタリングの解析手法として超解像イメージングに着目し、標的受容体の解析に供するプラスミド構築と真核細胞における発現の検討を行い、イメージング実験に向けた遺伝子発現系の検討を行った。
著者
楠瀬 正太郎
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1961

博士論文
著者
田辺 弘子
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2016-08-26

ファッションショーモデルおよびモデル経験のない女性に、普段通りの歩行運動と「美しく歩くことを意識した」歩行運動を行わせ、その際の歩行動作計測を行った。この実験課題により、どのような身体運動情報が動きの美しさを伝えるのに関わっているかを検討することを可能にした。モデル経験のない女性が綺麗さを意識して歩行を行うと、膝伸展・体幹部の後傾など全身の関節運動に変化が生じた。モデルの歩行運動はそうしたモデル経験のない被験者の美歩行運動の特徴をさらに強調したものであった。これにより、生物学的に綺麗とされる歩行運動を強調したものがモデルの歩様として確立されていることが示唆された。
著者
土田 滋 森口 恒一 山田 幸宏
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

(1)前年度に引き続き、小川資料に残るシラヤ語の資料を整理し、コンピュ-タに入力した。さらに原典・原ノ-トに遡って照合を行い、また中国語・日本語が読めない外国人研究者の便を考え、発音を漢字で表わした清朝時代の資料についてはロ-マ字翻字を付した。その結果シラヤ語資料とされているものが、実質的にはシラヤプロパ-・タイボアン・マカタオの3種の方言にわけることができることが判明した。(土田・山田)(2)浅井資料のうち、「平埔蕃 Basai」と標題をつけられたノ-トを整理しコンピュ-タに入力した。重複項目を除く異なり語数は約1000項目。英訳をつけ、バサイ語からも英語からも引けるようにした。(森口)(3)小川資料のうち、ケタガラン語に関わるノ-ト類を整理し、カ-ドにとり、コンピュ-タに入力したが、時間切れとなり、公表する段階には至っていない。(土田)(4)上記(1)と(2)の結果を印刷に付し、発表し得る形にまでまとめることができた。シラヤ語は17世紀における台湾のオランダ統治時代の聖書翻訳や語彙集、18ー9世紀における清朝時代の土地売買契約書などの資料しか存在せず、日本時代に収集し得た各方言の資料として貴重である。またバサイ語資料はこれまでまったく利用し得なかった資料である。それを見ると、祖語における*Lがtsで現われる点は、かつて台北付近に話されていたケタガラン語と同じであり、一方祖語の*sもtsで現われる点は、東海岸のアミ語と同じという、やや奇妙な音変化をみせることが判明した。また語彙的にはカバラン語と共通した部分も多く、いずれか一方から他方へ借用されたものかもしれないが、更に精密な研究が必要である。
著者
太田 博樹 勝村 啓史 植田 信太郎 須田 亙 水野 文月 熊谷 真彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

【研究目的】先史時代の日本列島に住んでいた人々は2~3 千年ほど前に劇的な“食”の変化を経験した。すなわち狩猟採集が中心であった縄文時代から大規模農耕が始まった弥生時代にかけての食性の変化である。この変化が先史日本列島に与えた生物学的インパクトは大きかったと予想される。本研究では先史時代遺跡で見つかる糞石や歯石のメタゲノム解析をおこない、“食”の対象となっていた動植物の特定を実現する。【実施した計画の概要】長崎大学医歯(薬)学総合研究科・弦本敏行教授(連携研究者)が管理する弥生時代遺跡出土人骨から採取を行った歯石から、琉球大学・澤藤りかい(研究協力者)がDNA抽出を行った。また、福井県立若狭歴史博物館・主任(文化財調査員)鯵本眞友美(研究協力者)、若狭三方縄文博物館・小島秀彰主査、および茨城県・ひたちなか市埋蔵文化センター・稲田健一主査(研究協力者)が管理する縄文時代遺跡出土の糞石から、北里大学・若林賢(研究協力者)がDNA抽出を行った。それぞれの遺跡から10検体、1検体、1検体の合計12検体からDNA抽出をおこない、うち9試料から検出限界以上のDNA濃度が検出された。葉緑体DNAプライマーをもちいて、2検体3試料でPCR増幅が確認でき、これらについてPCRアンプリコンシークエンスをおこない植物性食物の解析をおこなった。吹上貝塚遺跡出土糞石からはヒトが食する植物のDNAがヒットした。一方、鳥浜貝塚遺跡出土糞石からは環境DNAと思われるDNAがヒットした。また、前者からはヒトのDNAだけでなくイヌのDNAも検出された。このことから、この糞石がヒトのものかイヌのものか、区別を付ける必要が生じ、現在、さらなる分析をし、検討中である。