著者
宮本 又次
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.138-170, 1978-10-01
著者
中尾 佳行 地村 彰之 佐藤 健一 大野 英志
出版者
福山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

話法の研究は、近代の小説が中心的に行われ、その発達過程の調査は少ない。中世の韻文は殆ど扱われず、特に意味論では、Fludernik (1993, 1996)やMoore (2015)により部分的な検証がある程度で、チョーサーでの体系立てた調査は殆どなされていない。話法の設定の切り替えは、多くの場合その言語の意味を変容させ、話法は本質的に意味論の問題である。本研究では、話法を意味付けるタグを精緻化し、そのタグを多様な社会層の巡礼者が話をし、話法の多様性が見られる『カンタベリー物語』、これまでの研究で作成した電子化された4テクスト、Hg, El写本及び刊本に付加し、話法の意味論コーパスを構築する。
著者
張 楓 北浦 貴士 柳沢 遊 平山 勉 松村 敏 高柳 友彦 満薗 勇
出版者
福山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

最終年度に実施した研究成果は、つぎの通りである。1.2018年10月20日・21日に一橋大学で開催された2018年度政治経済学・経済史学会秋季学術大会にて「戦後日本における地域産業化の歴史的ダイナミズム-備後福山地区を中心に-」と題するパネル・ディスカッションを行った。科研メンバーのうち、代表者を含む4名が報告を行った。報告内容はいずれも本科研費にもとづく成果の一部となっている。具体的に「備後地域機械工業集積の形成・発展」(張楓)、「日本鋼管における福山製鉄所と福山市」(北浦貴士)、「福山中心市街地商店街の形成と展開」(柳沢遊)、「地域企業としての日東製網」(研究協力者:植田展大)であった。2.3月26日に慶応義塾大学三田キャンパスにて科研メンバー全員参加による研究会を開催した。そこで出版社の編集担当をまじえながら、本科研費にもとづく研究成果の2019年度中刊行にむけての1次原稿に関する意見交換と2次原稿などに関する打ち合わせを行った。本科研の課題は、戦後における地方工業地帯・地方都市の歴史的展開について、広島県東部に位置する備後福山地区に着目して多岐にわたる製造業(機械工業、鉄鋼業、製網業、造船業)と商業・サービス業(小売業、観光業、デザイン産業)を事例に、地域と産業・企業との「相互作用関係」を重視する視点から実証的かつ総合的に検討することにある。3年間にわたって行われてきた研究成果は、当初目指していた研究目的と実施計画にそった形で期待以上のものであったと認識している。
著者
信岡 巽
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.4, pp.159-202, 2004-03-01

1914年7月一次大戦が勃発すると、T. E. Hulme はためらうことなく直ちに陸軍名誉砲兵中隊に一兵卒として志願し入隊した。翌年4月ベルギーのフランダースで戦闘中、負傷して本国に送還され入院した。しかし、退院後、再度志願し、今度は海兵隊の士官として1917年8月、ベルギーのオースト・ダンケルク・ベインズに出動。それからまもなくの9月28日ドイツ軍の砲撃にあって不帰の客となった。34歳の若さであった。知識人の多くが戦争に懐疑的であった中で、彼は、なぜ敢然と銃をとり、砲弾に身を曝したのであろうか。彼は入院除隊中 New Age 誌や Cambridge Magazine 誌で戦争擁護の論陣を張り、特に後者の誌上で当時の反戦平和論者 Russell (Bertrand) と激しく論戦した。彼はその中で Russell の平和論が、個人の生やパーソナリティに価値を置くローマン主義的な進歩思想に基づいていると批判し、ヨーロッパのヘゲモニーを目指すドイツの軍国主義に対し伝統的な文化や思想を防衛するために、「英雄的価値」に拠る主戦論を展開した。しかし、彼がいう「英雄的価値」とはなんであろうか。Hulme は比較的早い時期、フランスのサンジカリスト、ソレル (G. Sorel) やアクシオン・フランセーズの思想に触れ強い影響を受けた。また、熱烈な原罪説の信仰者でヒューマニズムを激しく攻撃した。彼の戦闘参加と彼のこうした思想とは、どのように結びつくのであろうか。このノートは、比較的おろそかにされている Hulme の政治思想の解明に、これらの問題に照準を合わせながら、一つのアプローチを試みたものである。
著者
秋枝(青木) 美保
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.8, pp.A1-A17, 2008-03

童話「銀河鉄道の夜」は、一九八〇年代以降、アニメーション化されて若者によく知られるようになり、現代少年少女の教養の一部となっている。二〇〇一年刊行の人気小説「世界の中心で、愛をさけぶ」は、恋愛小説の形をとりながら、実はその若者の教養の上に、互いに愛し合った十代後半の主人公二人が死別に直面し、自らの苦悩を通して死生観を構築していく過程を描いた一種の教養小説である。本論においては、現代社会において構築の困難な死生観を、若者が身近に存在する文学を通して立ち上げる過程を、作品内の表現を分析することを通して論じた。それによって、この小説の教養主義的な性格を明らかにした。
著者
阪本 憲司 沖増 英治 雨村 明倫
出版者
福山大学
雑誌
福山大学附属内海生物資源研究所報告 (ISSN:09178147)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-15, 1994-12

因島近海から未知の有用微細藻類の探索を行い,35℃でも増殖可能な耐高温性を示す微細藻SY-4を分離した。SY-4は,直径5μmの単細胞で,浮遊性を示し,繊毛や鞭毛の類を持っていない。増殖は,細胞の2分裂によって行う。SY-4は,原核細胞で,同化色素にフィコシアニン,アロフィコシアニンなどの色素蛋白質を含有していることから,藍藻の一種シネコキスチス属(Synechocystis)に属することが判った。SY-4は,ナンノクロロプシス用施肥培地で,培養温度25℃,塩分濃度10‰,pH7付近の条件下で,最も良好な増殖を示した。A microalga, SY-4, capable of growing well at 35℃ was isolated from the Mekari Strait, Seto inland sea. SY-4 was characteristic of procaryote and unicellular spherocyte (4-5 μm in diameter) containing phycobiliprotein, and was classified into a blue-green alga (cyanobacterium), Synechocystis. SY-4 grew autotrophically and utilized ammonium sulfate more efficiently than sodium nitrate. Its optimum temperature, salinity and pH for growth were 25℃, 10‰ and 7, respectively
著者
篠田 昭夫
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.8, pp.35-54, 2008-03

The Mystery of Edwin Droodは作家の他界により未完に終わったディケンズ15番目の長篇小説である。クロイスタラム(ロチェスター)大聖堂の聖歌隊長という地位にありながら、ロンドンの阿片窟に出入りする阿片常習者であるとともに、甥工ドウィン・ドルードをクリスマスの日に殺害してまで、その許嫁ローザ・バッドへの偏執的愛を実現させようとする主人公ジョン・ジャスパーの人間像と生の軌跡の分析を通して、それに投影されている大作家という名声の輝きの下で苦闘と不安の軌跡を描き続けたディケンズとの関わりを考察することを目的としている。
著者
無漏田 芳信
出版者
福山大学
雑誌
福山大学工学部紀要 (ISSN:0286858X)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.85-94, 2003-12

The traditional private house is very interesting on grasping how the floor plan changes by the reconstruction, when the regionality on floor plan of the modern housing is known. Then, I examined the floor plan before and after the rebuilding in the equal site, of traditional private house with Nakanoma, Nema and Omote in Iya Region of Tokushima Prefecture, and with Okunoma, Nakanoma or Nando in Jinseki County of Hiroshima Prefecture. As the result, I was able to collect 15 samples in Iya Region and 25 samples in Kibikogen Highlands. In case of Iya Region, (1) In floor plan of rebuilt house, the element of entrance and corridor of the modern housing is gradually applied. (2) Omote has rebuilt arrangement and function almost. However, the case of inheriting the function of Nakanoma is observed only 20%. And, original place of Nema tends to have not been inherited. In short, it could be understood that Nakanema with three layouts changed by the reconstruction for the family life center composition from the reception center. In the order, in case of Kibikogen Highlands. (1) The widening of the depth of the site is carried out, and by widening of the first floor part and installation of the second floor, there is the increase of the floor space of the near double. (2) Okunoma, Nakanoma and Nando have fundamentally been inherited after the reconstruction. However, the layout of the living room has been changed in the southeast edge, and lavatory and bathroom change in order to establish in the back of Nakanoma. And, the tokonoma where the front side was equipped has been changed in the gable side of which the usability is good, because the Nando has been established in the back of Okunoma.
著者
吉永 昭
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.A1-A21, 2001-03-01

この論文では、これまですすめてきた個別御家騒動研究の一環として、肥後国人吉藩2万2000石、藩主相良頼寛治政下で寛永17年 (1640) に起こった相良清兵衛騒動について考察する。この騒動については残された史料が極めて乏しく、ここでは主に騒動記を中心に、家中対立の原因や騒動の内容、その経緯や性格などについて検討を試みることにしたい。
著者
片山 博和 菅家 甫子
出版者
福山大学
雑誌
福山大学薬学部研究年報 (ISSN:0288724X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-22, 1991

Inhalation offers an alternative to injection for new generation proteins and peptides. In this review, basis for inhalation therapy and disposition of drug containg macromolecules absorbed from alveolar region are summarized shortly.
著者
橋本 優花里 澤田 梢
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.8, pp.117-127, 2008-03
被引用文献数
1

認知リハビリテーションには,認知機能回復訓練および代償手段の獲得だけでなく,障害認識の向上や社会的行動障害および心理症状へのアプローチが含まれる。本稿では,認知リハビリテーションの現状について,ここ20年ほどの間に定着してきた認知機能回復訓練の手法を概観するとともに,コンピュータの導入や集団訓練などの近年の新しい試みを紹介し,これからの課題について考える。また,認知リハビリテーションに携わる心理士についても,業務の実態を通して今後の課題を検討する。
著者
福長 将仁 高橋 幸江
出版者
福山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

地理的隔離により生物が適応進化することが知られている。本研究ではライム病ボレリアと媒介マダニが隔離状態において共進化していることを明らかにした。すなわち、北海道と長野の2地点で捕獲したマダニについてリボソームRNA遺伝子間配列(ITS2)領域とミトコンドリアリボソームRNA遺伝子塩基配列を比較、寄生ボレリアでは鞭毛蛋白遺伝子ならびに菌体表層蛋白遺伝子の塩基配列をそれぞれ比較して、2地点間における両生物種の遺伝的変化について定量的に検討した。その結果、ボレリアの鞭毛蛋白遺伝子ならびに菌体表層蛋白遺伝子の塩基配列についてそれぞれ両地域に特徴的な遺伝グループが認められ、あわせて媒介マダニのミトコンドリア遺伝子についても地域特異的な遺伝グループが存在し、両生物がそれぞれの地域に適応進化していることが裏付けられた。さらに遺伝子の変異率は、マダニのそれに比較してボレリア細菌で高く、高い変異率を持つボレリア細菌がマダニの変異進化に適応しながら変化していることが推察された。ボレリア細菌はマダニの吸血行動にともなって小型脊椎動物とマダニ体内を行き来しながら生活する生物である。このうち小型脊椎動物は種類を問わず保菌動物となることが出来るので、ボレリアの感染はマダニの性質に深く関わっていると考えられ、ボレリアの生存はマダニへの適応が必須条件となる。本研究で明らかにした事実はボレリアが変異多様化することは、地理的隔離により地域に適応進化していくマダニに適応するためであることを証明している。
著者
高橋 衞
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-25, 2002-10-31
著者
宮本 又次
出版者
福山大学
雑誌
福山大学経済学論集 (ISSN:02884542)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-19, 1979-09-30
著者
三宅幹子
出版者
福山大学
雑誌
福山大学こころの健康相談室紀要 (ISSN:18815960)
巻号頁・発行日
no.4, pp.89-95, 2010

This paper reports on effects of a peer support training by undergraduate students for 4th grade students (N=29) in a primaryschool, focusing on changes of adaptation to friends, teachers and classroom atmosphere. These were measured by aquestionnaire that was self-rated by students. Results showed that the peer support training seemed to make students moreaware of problems and immaturity of their peer relations and students' feelings of adaptation to friends and classroomatmosphere decreased. Needed further practices to support students to develop their peer relations and adaptation werediscussed.
著者
新田 祥子
出版者
福山大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)の逆反応もしくはアミノリシスを用いることで、アミノ酸もしくはアミノ酸エステルを重合してポリペプチドを合成する化学酵素合成が注目されている。これまで報告されているポリペプチドの酵素触媒重合に用いられるプロテアーゼは主にエンド型である。一方エキソ型プロテアーゼはオリゴペプチド分解反応を抑制できると考えられることから、エキソ型プロテアーゼ触媒による重合反応はより高分子量オリゴペプチドが得られると期待できる。そこでエキソ型プロテアーゼであるCarboxypeptidase Yを選択し、Benzoyl alanine methyl ester(BzAlaMe)およびleucine methyl ester hydrochlorideを基質に用いたオリゴマー化を試みた。重合反応における反応条件(反応温度、反応pH、基質濃度、酵素濃度、反応時間)がオリゴマー収率に与える影響について検討を行った。逆相HPLCによる分子量測定の結果より、反応時間の経過とともに転化率ならびに分子量が徐々に増加し、反応時間1時間程度で転化率はほぼ一定の値を取った。その間、主鎖中の分解挙動は見られず、分子量分布も1.0に近い値を示した。さらにオリゴマー収率は反応時におけるBzAlaMe/基質仕込み比やバッファーpH、温度といった条件に大きく依存した。重合反応をを妨げるBzAlaMeの加水分解反応は、バッファーpHや温度を制御することで10%程度まで抑えることができた。