著者
市野 順子
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

身体的インタラクションが,人がデジタル環境とインタラクションする際の身体・心理・認知・感情を統合する分野として注目されている.本研究では,Vusik-ユーザーが全身を使ってお絵描きしながら音楽を編集・作曲するアプリケーション-を開発した.Vusikは,子どもの創造的な体験を促進することを目的としている.アプリケーションは,ユーザーがパレットと筆や指を使ってキャンバスに見立てた大型ディスプレイに絵を描く行為を通して,音楽パラメータを変えることによってユーザーの動きに反応する.従来手法との比較評価実験より,Vuzikがユーザーの全体的なイメージの構成を促進し,学習容易性を向上させることを確認した.
著者
佐々木 睦子
出版者
香川大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

双胎妊婦と双子の母親に,妊娠中の胎児への思いと要望についてインタビュー調査した.結果より,双胎妊娠中は,双子に関する制度や出産育児情報の提供,さらには双子をもつ母親との交流等,双胎妊娠中の心理的特徴を考慮した支援の必要性が示唆された.また,要望に沿って保健指導に活用できる,双胎妊娠・分娩の経過,異常の早期発見,多胎育児準備チェックリスト,産後のサポートに関する情報パンフレットを作成した.さらに,双胎妊婦と双子の母親の交流の場作りをめざして,地域の多胎児子育て支援団体と連携を続けている.
著者
呉 秀賢 常森 寛行 杉元 幹史 乾 政志 筧 善行
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

難治性・進行性腎癌、膀胱癌、前立腺癌に対する抗TRAIL受容体抗体併用抗癌化学療法の開発研究を行った。その結果、(1)抗TRAILデスレセプター2に対するモノクロナール抗体であるLexatumumabと臨床的投与可能な低濃度のアドリアマイシン、シスプラチン、エピルビシン、テラルビシンなどとの併用抗癌化学療法による相乗効果を発見した。(2)カスパーゼを阻害することにより相乗効果が抑制されることからカスパーゼカスケード、特にカスパーゼ8の活性化がこの相乗効果に重要であることを証明した。(3)PCR array解析で26個のアポトーシス関連遺伝子の発現変化を発見するなどの成果を得た。
著者
川合 克久 三宅 克也 沢田 光一 西垣 新
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

光活性化Rac1(PA-Rac1)により顕微鏡下でマクロパイノサイトーシスを誘導する実験系を利用しマクロパイノサイトーシスの形態的特徴および分子基盤の解析を行った。その結果、PA-Rac1誘導性マクロパイノサイトーシスは、典型的なマクロパイノサイトーシスと異なりRab10が一過的に集積することを見出した。さらにRab10陽性のマクロパイノゾームは、チューブ構造を出芽した。Rab10陽性マクロパイノゾームおよびチューブ構造は、細胞外と行き来のある開いた構造であった。以上の結果から、PA-Rac1依存的マクロパイノサイトーシスは、従来型と異なる新規の取り込み経路であることが示唆された。
著者
澤田 秀之 中村 祐
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、形状記憶合金ワイヤの微小振動子をアクチュエータとして用いた触覚呈示デバイスを構築し、指先感覚の喪失の程度を数値化する、指先触覚感度測定手法を開発した。まず高出力触覚アクチュエータの研究開発をおこない、皮膚の微小部位に様々な周波数の振動刺激を与えることで、触覚の高次知覚の呈示が可能であることを示した。更に指先触覚感度を定量的に測定するシステムを構築し、糖尿病などで引き起こされる末梢神経障害に起因した指先感覚の喪失程度を数値化する測定法の実装をおこない、被験者実験により有効性を示した。糖尿病の症状の進行度を定量的に計れることは、早期の診断や的確な治療に大きく貢献できる。
著者
小川 雅廣
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

老廃牛肉や廃鶏肉などの硬い肉を、肉特有のテクスチャーを損なうことなく軟化させる技術が求められている。本研究では、肉の硬さの原因であるコラーゲン線維を分解できる酵素(CDE)を海洋生物から探し出し、その酵素が肉を軟化できるか検討した。魚介類(ハマチと帆立貝)の内臓と魚類体表に付着した細菌89菌株にCDEを見出した。最も強い活性を示したのはPseudomonas属菌SF10株(ババガレイ体表に付着)とShewanella属菌JS51株(スズキ体表に付着)由来の酵素であった。SF10由来酵素を大量生産し、牛肉塊に添加し4℃で5日間保存したところ、肉は柔らかくなった。
著者
上野 耕平
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

いじめなどの問題が噴出するなか,現代社会が体育・スポーツ活動に期待する事柄の一つとして,フェアプレイの日常生活場面への般化が挙げられる。そこで本研究ではフェアプレイとして鬼ごっこにおける援助行動に注目し,附属小学校との連携のもと,スポーツ活動及び体育授業の実践を通じて,援助行動の学校生活場面への般化を促進する体育授業を構築することを研究目的とした。本研究の結果,援助・被援助行動が頻繁に行われるなかま鬼及び,その効果を測定する援助自己効力感尺度を開発した。なお体育授業場面への実践及び日常生活場面への般化については新しい研究課題に引き継いだ。
著者
有馬 道久
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

教職1年目の小学校教師の頭部にアイカメラを装着し、その教師の視点から2回の授業を録画した。その映像を見ながらその教員と指導教員が視線の向け方についてリフレクションを行った。その結果、指導教員から、全く視線を向けない場所があること、視線の移動が多いこと、子どもの方を見ているが一人ひとりの学習状態を把握できていないことなどが指摘された。2回目の授業とリフレクションから、1回目に指摘された課題は少し改善されたが、まだ残された課題は多いこと、また、授業力を上げるためには新たな課題があることが指摘された。
著者
合谷 祥一 脇坂 聡
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ポリグリセリン脂肪酸エステルとポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの混合系を乳化剤とし、水、乳化剤、食用油の状態図を作成して、混合状態と滴下法による省エネルギーな乳化法によって作成したエマルションの粒径の関係を調べた。ポリグリセリン脂肪酸エステルとにポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを混合することにより、ポリグリセリン脂肪酸エステル単独の場合よりも、水と乳化剤と油が均一に混合した状態(L3)が大きく広がることが分かった。L3あるいはこれに液晶が混合した状態から乳化すると、平均粒径が50nm以下の、微細な、O/Wナノエマルションが調製されることが明らかとなった。
著者
稲本 隆平
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

前庭と蝸牛の内外リンパ静水圧は同程度で、イソプロテレノールは前庭及び蝸牛の電位をそれぞれ変化させることなく、有意に前庭と蝸牛の内外いリンパ静水圧を上昇させた。イソプロテレノールによる前庭の内リンパ静水圧の最大変化量は蝸牛と比較して有意に小さかった。内リンパ嚢を閉塞した動物では、前庭内リンパ静水圧におけるイソプロテレノールの効果は蝸牛と同様に消失した。前庭と蝸牛では、イソプロテレノールは異なった方法で内リンパ静水圧を上昇させていると考えられる。
著者
宮脇 秀貴
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、従来のエンパワーメント研究では解明されてこなかった「経営理念・組織文化」と「組織成員」のインターラクションプロセスの解明に重点を置いたものである。理論的なフレームワーク作りを、新しい脳科学の分野等の文献(例えば、共感覚、社会脳、錯覚の科学、異彩を放つ障害児の感覚、乳児・幼児の心理やコミュニケーションの発達過程、組織の免疫力等)を用いて考えると共に、3年間、地元Jリーグクラブのイベントを私の研究室の学生を中心に行ってもらい、香川県庁や高松市、他大学の学生や高校生と協働していく過程で、文献研究等で得たエッセンスを学生に適用しながら彼らの成長を観察することでケースを蓄積してきた。
著者
青木 昌三 宮崎 英一
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育実践総合研究 (ISSN:1345708X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.35-46, 2005-03

本年4月より試験的に運用が開始された,携帯電話端末からのアクセスにも自動対応する休講通知掲示Webシステムについて,アンケート結果やアクセスログの集計に基づいて,システムの動作の安定性や運用・利用の状況,継続運用の必要性等について検証した。開発時に意図したユーザビリティやシステム利用による業務の省力化も肯定的に評価され,休講通知情報の登録機能,ダイナミックなWebページ作成機能,携帯電話からのアクセスへの自動対応等の各種機能も含めシステムがトラブルも無く安定して稼動しているこどが確認できた。利用者である学生からの普段のアクセスはそう多くはないが,台風時など緊急時におけるシステムの有用性が認められた。継続運用が強く求められていると判断されたが,システムの更なる活用には,利用についてより一層広く学生に周知することが必要であることも明らかとなった。
著者
川村 理
出版者
香川大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

マイコトキシンは、カビが産生する有毒2次代謝産物で、様々な農作物や食晶を微量汚染しており、耐熱性で調理程度の加熱ではほとんど分解しない。よって、マイコトキシンを迅速かつ高感度に測定し、汚染食品を排除することが食の安全において重要である。そこで、水晶発振子バイオセンサーを用い、抗原抗体反応を利用したデオキシニバレノール(DON)とアフラトキシンB_1(AFB_1)の迅速検査法の開発することを本研究の目的とした。1.抗体の作製抗DONと抗AFB_1モノクローナル抗体産生細胞を無血清培地で大量培養し、培養上清を回収後、硫安分画法で精製抗体を調製した。2.測定系の検討生体分子間相互作用定量QCM装置AFFINIX Qを用いて、特に迅速測定法の必要性が高いDONとAFB_1の測定のための測定系を検討した。(1)直接法抗体を振動子に固定化し、規制値に相当するDON又はAFB_1標準品を加え測定を行ったが、いずれの場合も反応が微弱で測定できなかった。(2)競合法振動子に結合する質量を増幅させれば、測定が可能となる。そこで、次に規制値に相当するDONとDON-OVA結合体又はAFB_1とAFB_1-BSA結合体とを同時に加え競合法について検討した。その結果、DONでは、規制値の約1/5程度相当までの測定が可能であったが、AFB_1の揚合は、規制直相当の濃度では、反応が微弱で測定できなかった。以下の実験は、DONのみで行った。(3)DON汚染穀物への適用性の検討競合法で、DONを各濃度添加した小麦を調製し、アセトニトリルー水で抽出し、祖抽出液中のDONを測定し、本法の穀物検体への適用性を検討した。その結果、小麦からの抽出マトリックス存在下では、抽出マトリックスが振動子や抗体およびDON-OVAに付着し、規制値相当量のDONの検出も不可能であった。抽出マトリックスの付着防止のために界面活性剤の添加も試みたが、現時点では解決していない。
著者
石井 明 清國 祐司 大西 美智恵 中西 美恵子
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

小児期における近視の発症と進行には長時間の近業が大きく影響するが、その抑制には十分な屋外活動が有効である。そこで、児童が視力を低下させない保健行動を取らせるための保健モデルを提案した。このモデルは、①自動視力計による視力測定、②視力に関するアンケート調査、③視力に関する講義の3つから構成される。これを県内の小学校で実施した結果、児童の視力に対する関心が高まること、視力が心配な児童は視力を低下させない保健行動をとることがわかった。
著者
香川 考司 富永 浩之 白岩 真一 堀井 達也 池田 秀聴 横山 裕一 韓 根鎖 吉崎 翔 平川 裕弥 長江 明彦 白神 佑典 尾崎 陽一 末友 貴大 鳥原 悠平 藤沢 尚樹 森田 昌樹
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

Webベースプログラミング学習支援環境のサーバー側プログラムに、Scalaスクリプトによる柔軟なカスタマイズ機能を提供できるプラットフォームを構築することを目的として、教師用システムと学習者用システムの間のファイルシステムを利用した疎結合インターフェイスの設計と、プロトタイプによる基本機能の確認を行った。教師用サーバー側プラットフォームにScalaインタプリターとのインターフェイスを実装した。また、プログラム可視化ツール、スクリプト入力支援ツールなどのクライアント側の補助的なツールを設計・実装した。
著者
八木 陽一郎
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、中小同族企業の後継経営者がどのようにリーダーへと自己成長するかを定量的および定性的な調査を通じて明らかにすることである。定量的なデータを用いた研究を通じて、内省がリーダーの自己成長に重要な影響を及ぼす要因であることが明らかにされた。そして、定性的なデータを用いた研究を通じて、内省が深まるプロセスとして、1)判断の保留、2)他者の想いや背景を受け止める、3)問題の構造を深く探求する、4)自分がどうありたいのか問い直す、5)新たな対話を開始するという5段階のステップが見いだされた。
著者
古谷 修一
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、多様な国際刑事裁判の規程・手続規則の起草過程および旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)、ルワンダ国際刑事裁判所(ICTR)の決定・判決等の分析を通して、各裁判所が想定する国際法実現プロセスの詳細を検討した。平成13年度は、(1)ICTY・ICTRの設置過程、ICCの設置に至る議論を詳細に分析することにより、国家を中心とした従来の国際法実現プロセスとは異なる個人への直接適用・執行を軸としたプロセスが現れてつつあることを実証した(「研究発表」欄の第2論文)。また、(2)オランダ出張によって得たICTYの国内実施立法に関する資料を素材として、国家の協力義務の性格について検討を行った。その成果はオランダ人研究者の編纂した論文集の一部として公表された(「研究研究発表」第2論文)。平成14年度は、(1)シエラレオネ特別裁判所に関する国連・シエラレオネ間の協定、同裁判所規程の起草過程に関する安保理における議論、(2)東チモール裁判所に関するUNTAET(United Nations Transitional Administration in East Timor)のRegulation 2000/15の起草過程、(3)ICTY・ICTRの決定・判決の分析、を通して国際刑事裁判所と国内裁判所の管轄権配分とそれを規律する原則に関する検討を行った。この結巣、各裁判所は、その設置目的や関係国の状況に応じて、異なる管轄権配分の原則を採用し、制度的にほぼ同型であるICTYとICTRにおいてさえ複数の原則の間の優先順位が異なることを実証した。とりわけ、これまでの管轄権配分に関する議論が、"primacy"があるか否かといった単純な分析に終始し、配分決定過程が多段階的に存在する点を見逃してきていることを批判的な知見として得た。この研究成果は、英語論文としてまとめ、現在外国雑誌への投稿準備中である。
著者
最所 圭三
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

Webサーバへのアクセス集中により十分な応答ができないとき,クラウド上で提供されるキャッシュサーバをアクセス量に応じて用いてサービスを提供するWebシステムを構築するための機能の開発を行った.具体的には,Webサーバの負荷量を監視する負荷監視機能,アクセスの振り分け先を設定する振分先設定機能,キャッシュサーバの起動・停止を行うキャッシュサーバ管理機能を開発した.これらの機能をソフトウェアロードバランサやDNSと組み合わせることで目的のシステムを構築できる.さらに,キャッシュサーバでのサービスの質を向上させるために,キャッシュサーバからのアクセスをWebサーバで優先的に処理する機能も開発した.
著者
高村 武二郎 深井 誠一
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,青紫色花シクラメンと紫色花シクラメンの花弁slip部分では,いずれにおいてもマルビジン3,5ジグルコシドを主要アントシアニンとするものの,青紫色花シクラメンでは,花弁細胞の高いpHにより花弁が青色化していることを明らかにした.また,シクラメンにおいて花弁のpHが高くなり青色化する形質は,単一の劣性遺伝子に支配されている可能性が高いことを示唆した.
著者
小松 秀和
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

①介護の経済効果、②高齢者住まい法改正による民間高齢者施設の再編、③民間高齢者施設の料金とサービス内容の関連性、について次の研究成果を得た。①産業連関分析によると、介護のような労働集約型産業では一次効果は公共事業等より低いものの追加効果を含めて考えればそれらを上回る経済効果をもつ場合がある。②サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の登場で状況把握・生活相談が重要なサービスに位置付けられ、外部の介護サービスの利用次第ではサ高住が特定施設等の代替となり得る。③民間高齢者施設の料金は立地と人員配置と強い関連性が見られる。ただし、人員配置はあくまで標榜上の数値であり、それを担保する仕組みが必要である。