- 著者
-
原 真志
- 出版者
- 香川大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2004
第1に,集積内と集積間の関係を総合的に取り扱い,また,企業から独立したプロジェクトリーダーチームが意思決定を行う場合があるコンテンツプロジェクトを説明するためには従来の組織論,組織間関係論,境界連結単位を超えるプロジェクトの理論が必要であり,申請者のこれまでの研究成果と他の既存研究の再検討を通して,「プロジェクトの空間デザイン」の研究フレームの構築作業を進めた。第2に,「プロジェクトの空間デザイン」の研究フレームを具体的に検証するため,ハリウッドにおけるVFXプロジェクトの総括責任者であるVFXスーパーバイザーへのヒアリングを行った。具体的にはKevin Tod Haug氏,John Bruno氏,John Dykstra氏を対象に,担当したVFXプロジェクトでの,要求内容に応じた企業選択の要因を,分業内容,企業や集積の評価(コストとクリエイティビティ),過去のプロジェクト経験,監督やプロデューサーの意向などの点について詳細にヒアリングを実施した。第3に,プロジェクトリーダーであるハリウッドのVFXスーパーバイザーを対象に調査した内容を,連携するハリウッド外の視点から検証するために,ハリウッド映画の参加実績を持つロンドンとプラハに立地するVFX企業を対象とした現地調査を行った.第4に,日本におけるアニメの事例として,東京のサンライズ社を中心とする日本で初めてのフル3DのCGによるテレビアニメシリーズ「SDガンダムフォース」プロジェクトにおけるコミュニケーションとイノベーションに関する調査を実施した。第5に,日本における実写の事例として,円谷プロとNHKの共同制作によるデジタル衛星放送用のハイディフィニションテレビSFシリーズ「WoO」を取り上げ,VFXスーパーバイザーである松野美茂氏を対象に1週間の参加観察を実施し,コミュニケーション行動のデータ収集を行って分析した.