著者
安東 恭一郎 結城 孝雄 村上 尚徳 鈴木 幹雄 福本 謹一 山口 喜雄 天形 健
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013

2015年度は、美術デジタル教科書活用の実施に向けて、デジタル教材の開発とその活用の為の理論構築、実践に向けての環境整備を行った。まず、デジタル教材を活用した学習モデルの構築として、デジタル教材として利用できるコンテンツの選定をおこない、美術教育の「鑑賞」領域に焦点を当てたデジタル教材開発を行った。同時並行に、これを裏付ける理論構築と実践に関する共同研究として、間テクスト性概念に基づいた学習活動の筋道を明らかにした。これらの研究成果を3学会で6本の発表を行い、そのうち2学会に4本の論文投稿を行った。
著者
長谷川 修一 山中 稔 野々村 敦子 伊藤 久敏 菅原 弘樹
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

東北日本の太平洋側にある松島は,松島湾とその内外にある大小260余りの島々からなる日本三景の一つである景勝地である.長谷川ほか(2008)は,松島周辺の地形,地質を検討した結果,巨大な地すべりによって形成された可能性が高いとの仮説(松島巨大地すべり説)を示した.本研究では松島巨大地すべり説を実証する目的で,東松島市宮戸島において2015年に深さ70mのオールコアボーリングを実施した。また、想定すべり面の上盤側,想定すべり面,想定すべり面の下盤側の3箇所から得たジルコンのU-Pb年代を試みたが,誤差の範囲で一致する15.2 Maを示し、地すべり説を積極的に支持する結果は得られなかった.
著者
Neuman Florian
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

研究課題は 戦前日本の保守派と右翼の政治、国家、憲法、ユートピア思想(「国体観念」)である。2014年と2015年、革新右翼の代表者大川周明に関する資料を分析したあと、東京に事務局のあるOAGドイツ東洋文化研究協会のドイツ語雑誌『OAG Notizen』で二つの論文を発表した。2016年と2017年、東京帝国大学の国史学教授平泉澄について研究を行い、2017年3月、同雑誌で平泉に関する第一の論文を発表した。
著者
青山 夕夏
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育学部研究報告. 第I部 (ISSN:04549309)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.17-32, 2006

In this article I discuss some modern Japanese works for flute composed mainly from the 1920s to the 1930s including Koscak Yamada's pieces. These works were created under the influence of interrelationship between many artists of various fields. For example, when a female Japanese poet Sumako Fukao was staying in Paris, she was given flute lessons by a virtuoso Marcel Moyse who got interested in Japanese music through meetings with her. Their cross-cultural exchange further influenced some Japanese composers who started on creating new pieces for flute. This article focuses on such complicated human relationships that encouraged the creation of several pieces of Japanese modem flute music. This article is a greatly enlarged and revised edition of a program note of the concert entitled the Beginning of Flute Music by Modern Japanese Composers, where I performed these pieces at Kanazawa Phonograph Museum as a part of the concert series Music Live Circuit '06 in Kanazawa.
著者
原 直行
出版者
香川大学
雑誌
研究年報 (ISSN:04512081)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.173-204, 2006
著者
田村 道美
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育学部研究報告. 第I部 (ISSN:04549309)
巻号頁・発行日
vol.123, pp.A1-A15, 2005

Wakai Musuko (The Young Son), one of the masterpieces of Yaeko Nogami's novels written before World War II, deals with the relationship between an intellectual and conscientious young man and socialism. As Sumiko Watanabe points out, Keiji Kudo, the hero of Wakai Musuko, is the male version of Machiko, the heroine of Machiko. The two novels have another thing in common. This is the fact that Wakai Musuko is written based on a European literary work, just as Machiko is based on Jane Austen's Pride and Prejudice. The literary work is Frank Wedekind's Fruhlings Erwachen. In this paper, the characters, plots and themes in Wakai Musuko and Fruhlings Erwachen are compared and it is demonstrated that the former is an adaptation of the latter : Yaeko Nogami changed the theme of Fruhlings Erwachen - conflict between the young people's sexuality and the school authorities trying to suppress this natural sexual desire - into the conflict between young intellectuals awakening to socialism and the school authorities ruthlessly oppressing the socialist movement. By the adaptation she is successful in depicting effectively the internal and external struggles of intellectual young people with a strong sense of justice in the early Showa era.
著者
Willey Ian
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育研究 (ISSN:13490001)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-42, 2008-03

日本の大学で英語教育に携わる外国人の多くは,大学生が取り組んでいる日本語による課題について充分な知識を持っていない。「課題レポート」はそのひとつである。著者は「英語の書き方」と「日本語の書き方」に関する研究,偏見,および経時的変化について言及した。現在日本語で出版されているレポートの書き方に関する文献からのアドバイスについても触れた。さらに大学生を対象に課題レポートの課し方や学生の取り組み方等を明らかにするために行ったアンケート結果を報告した。対象は4学部の2年生(123人)。アンケート内容は,評価基準の説明はあるか,資料収集は必要とされるか,学生がレポートの書き方について指導を受けたか等。その結果,学生の多くはレポートの返却をされておらず,半数以上は大学で指導を全く受けていなかった。しかし,指導を受けたことのある学生はアメリカの学生と同じように様々なアドバイス(引用する方法,段落の組み立て方等)を受けていたことがわかった。以上のことから,1年生のために日本語によるWriting授業やセミナー,あるいはWriting支援センターの必要性を示した。
著者
井上 正也
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は 1950 年代から 1970 年代初頭にかけての中ソ関係の変遷を分析し、日本政府がいかに中ソ対立を認識し、日中国交正常化に至る日中関係において、「ソ連要因」がいかなる影響をもたらしたかを解明すると同時に日本外交の戦略性を明らかにする。
著者
青木 昌三 宮崎 英一
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育実践総合研究 (ISSN:1345708X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.9-16, 2005-09

2004年4月より運用が続けられている休講通知掲示Webアプリケーションシステムに,休講通知情報を電子メールにより配信する機能を付加実装した。実現したメール配信機能では,メール文の作成・配信やメール配信希望の登録・登録削除を含め全てに自動化が図られ,また,携帯電話端末でのメール受信に対応するよう文字化け防止等の対策もなされている。本研究で付加した機能は,マルチプラットフォームに対応し,Windows系OS以外でも容易に実装可能である。休講通知掲示システムの機能が補完され,システムの有用性や利用者の利便性が一段と高まることが期待される。
著者
越智 百枝 酒井 由紀子 高尾 良子
出版者
香川大学
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.57-64, 2007-03

研究目的は,断酒会に参加しているアルコール依存症者のどん底体験とそれに至るプロセスを明らかにすることである.方法は質的帰納的研究である.対象は断酒会員10名で,倫理的配慮に基づき研究趣旨を説明し同意を得た.データ収集はどん底体験をテーマにグループインタビユーを行い,収集時間は135分であった.分析は逐語録を意味のある文脈で区切り,類似する意味内容を分類しカテゴリ化した.また得られたカテゴリを対象ごとに時系列に並べ,どん底体験とそれに至るプロセスについて分析した.対象は男性9名と女性1名で,年齢は40〜60歳代,断酒期間は平均5.2年であった.分析の結果,192コード,80サブカテゴリ,40カテゴリ,8コアカテゴリを形成した.対象はどん底体験を出来事として語った.その出来事は,断酒以前は[飲酒の継続による社会生活上の関係性の断絶]と[飲酒の継続による自己概念の揺らぎ]であった.断酒後は,[再飲酒による自分の末路の確信]であった.またどん底体験に至るプロセスは2つのプロセスであった.ひとつは,断酒前に,再飲酒と一時的断酒を繰り返しエスカレートする飲酒の末に,「社会生活上の関係性の断絶」あるいは「自己概念の揺らぎ」によって底をついていた.その体験がどん底体験になる場合は負の感情体験と内省が伴い,それが重要な役割を果たしていると考えられた.もうひとつは,断酒後に,他者の体験に自分の体験を重ね,「再飲酒による自分の末路の確信」をすることで底をついていた.また本研究では新たにどん底体験が断酒後にも見られることが明らかになり,この体験が断酒の継続の維持につながっていた.アルコール依存症者の支援として,治療導入のタイミングを図ることや自己の内省化の促進,断酒会への導入,家族への教育と支援の必要性が示唆された.
著者
坂井 聡 宮崎 英一 武藏 博文 小方 朋子
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

障害のある子どもに対して、ICTを導入するためのアイデアを提案した。また、学校において導入することができるアプリケーションを企業と共同で完成させ、障害のある子どもの学習やコミュニケーション支援に活用できるようにした。作成したアプリ等はインターネット等からダウンロードして使うことができるようにしている。
著者
原 真志
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

第1に,集積内と集積間の関係を総合的に取り扱い,また,企業から独立したプロジェクトリーダーチームが意思決定を行う場合があるコンテンツプロジェクトを説明するためには従来の組織論,組織間関係論,境界連結単位を超えるプロジェクトの理論が必要であり,申請者のこれまでの研究成果と他の既存研究の再検討を通して,「プロジェクトの空間デザイン」の研究フレームの構築作業を進めた。第2に,「プロジェクトの空間デザイン」の研究フレームを具体的に検証するため,ハリウッドにおけるVFXプロジェクトの総括責任者であるVFXスーパーバイザーへのヒアリングを行った。具体的にはKevin Tod Haug氏,John Bruno氏,John Dykstra氏を対象に,担当したVFXプロジェクトでの,要求内容に応じた企業選択の要因を,分業内容,企業や集積の評価(コストとクリエイティビティ),過去のプロジェクト経験,監督やプロデューサーの意向などの点について詳細にヒアリングを実施した。第3に,プロジェクトリーダーであるハリウッドのVFXスーパーバイザーを対象に調査した内容を,連携するハリウッド外の視点から検証するために,ハリウッド映画の参加実績を持つロンドンとプラハに立地するVFX企業を対象とした現地調査を行った.第4に,日本におけるアニメの事例として,東京のサンライズ社を中心とする日本で初めてのフル3DのCGによるテレビアニメシリーズ「SDガンダムフォース」プロジェクトにおけるコミュニケーションとイノベーションに関する調査を実施した。第5に,日本における実写の事例として,円谷プロとNHKの共同制作によるデジタル衛星放送用のハイディフィニションテレビSFシリーズ「WoO」を取り上げ,VFXスーパーバイザーである松野美茂氏を対象に1週間の参加観察を実施し,コミュニケーション行動のデータ収集を行って分析した.
著者
若林 教裕
出版者
香川大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

原因側と結果側の「変数」の関係に着目することや, 一つの関係を調べるためには多くの変数を適切に制御したり, データを統計的に評価したりすることが科学の世界では重要であることを学習内容に組み込むことで探究する能力・態度の育成に効果が見られた。また, 変数を意識しながら, 関係する条件を一つ一つ明確にしていく教材を開発したり, 変数に着目させるための教師の問いを工夫したりすることで, 条件制御することの意味を実感させたり, 生徒の誤概念を修正したりすることにも有効であることが検証された。以下にその内容(全18時間)を示す。<基礎編(6時間)>1 : 「科学者は何をしているか」→探究学習の視点を与え, 変数に着目する重要性を知る2 : 「変数を見付けるには」→変数を見付ける活動をさせ変数同士の関係を見極める3 : 「パイプ音の高さは何に関係するか」→制御制御の仕方を身に付ける4 : 「画鋲が上を向く確率は」→データを繰り返しとると数値が安定していくことを学ぶ5~6 : 「温泉卵のでき具合は何に関係するのか」→二つの変数が交互に関係して自然現象が起きる作用(交互作用)や失敗を経験させることで, データ取得の重要性を学ぶ<実践編 : 紙グライダーの探究(12時間)>1~2 : 入力(独立)変数と結果(従属)の変数を選出し探究テーマの決定3~8 : 探究 例)「紙の大きさと滞空時間の関係」「羽根の角度と飛距離の関係」など9~12 : 発表の準備と発表会→発表者には入力・結果の変数, データの回数を意識させる<事後アンケート>本プログラム実施生徒45人(肯定的に答えた生徒の%)Q1 : 自ら研究テーマを設定するのは苦にならない方だ? 学習前45%→学習後73%Q2 : 探究の方法は心得ている方だ? 学習前78%→学習後98%理由 : 自分で変数を見つけ多くの変数を制御しながら関係性を見つけられるようになったから理由 : 先生が決めた変数や課題じゃないから, 先生も結果が謎でわからないのが面白い
著者
別府 賢治 藤本 華倫 片岡 郁雄
出版者
香川大学
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.55-58, 2007-02-28

暖地条件における秋季のホウ素の葉面散布が、甘果オウトウ'佐藤錦'の翌春の花器の発育および結実に及ぼす影響を調査した。9月上旬にホウ素濃度500ppmのホウ酸溶液を鉢植え樹の全葉に噴霧処理した。ホウ素処理により、翌春の胚珠の寿命が延長し、花柱内での花粉管伸長がやや速まった。ホウ素処理区では対照区に比べて結実率がやや高まった。これらのことから、暖地条件における秋季のホウ素の葉面散布は、翌春の結実性を向上させる効果があることが示された。