著者
松山 容子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.791-799, 2001-09-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
51
被引用文献数
1
著者
倉賀野 妙子 木村 宏樹 和田 淑子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.45-52, 1991-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
26
被引用文献数
3

薄力系の小麦粉よりグリアジン画分, グルテニン画分を分画して, それぞれ小麦澱粉に8%混合添加したものを小麦粉の代わりとし, これに油脂および水を混合してクッキーを調製して, ドウおよびクッキーの物性に与える両タンパク質画分の影響を調べた.ドウのクリープ試験による粘弾性係数ならびに定速圧縮試験による最大応力, 最大エネルギー値の結果によると, グリアジン画分のドウはやわらかくて変形しやすく, 滑らかに伸展するのに対し, グルテニン画分のドウは弾性に富んで硬く, 圧縮に抵抗する力が大となる傾向を示した.グリアジン画分のクッキーは焼成時に上方への膨張が大きく, みかけの膨化率は173%であった.電顕観察の結果から, 膨張は吸水したタンパク質によると思われる膜様の存在により, 内部組織に気泡が安定に保たれたためと推察された.一方, グルテニン画分クッキーのみかけの膨化率は102%であり, 焼成による膨化はほとんど生じなかった.電顕観察でも気泡のあとはほとんどみられず, ところどころにタンパク質によると思われる相互につながりのない小さな集合体が認められた.クッキーの圧縮破断試験によると, グリアジン画分クッキーはみかけの破断応力, 破断エネルギーが小さく, やわらかくて砕けやすいが, みかけの破断時間, 破断ひずみは大きく, 荷重一時間曲線には小さなピークが多数生じた.一方, グルテニン画分はみかけの破断応力, 破断エネルギーが大きい, 硬いクッキーとなるが, 破断時間, 破断ひずみが小さく, 荷重一時間曲線はピークの少ないシャープなパターンとなった.酸可溶性グルテン画分のドウおよびクッキーの物性はグリアジン, グルテニン両画分の影響を受けていると推察される場合と, グルテニン画分の特性による依存が大きい場合がみられた.酸不溶性タンパク質画分のドウおよびクッキーの物性は酸可溶性グルテン画分とは異なる傾向を示した.

1 0 0 0 OA 南方録

著者
福崎 春子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.770-778, 1985-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
75

In Part 1, by studying the tea-ceremony classics Nanboroku, Sennorikyu's opinion concerning meals served in the tea-ceremony was interpreted and the origin of the meals was clarified.Study was continued to make clear details of the served foods referring to the documents of teaceremony classics, cooking books, dictionaries which were published between the latter half of the 16th century and the first half of the 17th century and some cooking books in the 18th century.This report contains the study of the soups in the tea-ceremony meals which are difficult to understand with the present knowledge and disappeared in the present-day cooking. The soups were classified in two groups, i.e., the one was a side food taken with boiled rice and the other a relish taken with Sake (Japanese wine). Bean paste was usually used for seasoning of the soups and clear soup was prepared by suitably treating bean paste as soy sauce was not popular.In addition, cooking techniques of vegetables, birds, shellfish and so forth being used in the soups were examined.
著者
津田 淑江 小寺 俊子 大家 千恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.1009-1020, 2002-10-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
30

本研究では女性の食生活と低体重児出産および適正体重児出産との関係を調べた.食物摂取頻度および食行動パターンの調査を行い, 妊娠1年前の母親の食物摂取頻度, 年齢, 身長, 体重と新生児の体重を調べた.調査データーから低体重児出産婦および適正体重児出産婦の平均値には違いは見られなかった.しかし低体重児出産婦は適正体重児出産婦よりBMI19.5未満の人が多かった.食物摂取頻度調査の結果, 両出産婦ともエネルギー, タンパク質, カルシウム, 鉄の摂取量が低かった.また低体重児出産婦はコンビニエンスストアやスーパーマーケットの惣菜の利用が多く, 3食外食でも平気, スナック菓子をよく食べる, ダイエットで食事制限の経験があり, 偏食がある事が明らかとなった.これから次の世代を出産する女性にとって, この現状を改善し, 低体重児出産防止のために, 若いころからの家庭での食教育が重要であることが示唆された.
著者
武 恒子 大塚 一止
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.125-129, 1964-06-20 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9

抽出条件を変えて、調整した鰹節煮出汁の核酸組成を調べ、溶出された5'-IMP量と煮出汁抽出の条件との関連性について検討した結果を要約すると次の通りである。1. 煮出汁に溶出されるN量とP量には関連性がないが、P量の多い煮出汁には5'-IMP量も比較的多量に存在する傾向がある。2. 60℃、80℃、100℃の何れの温度でも5'-IMP量は殆んど差異が認められなかった。尚、5'-IMP量は100℃、10分の加熱時に於いて最高であった。3. 吸物用としては60℃ 5分浸漬する抽出法が、官能試験結果及び5'-IMP量よりも適当であることが明らかになった。
著者
小倉 博代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.323-325, 1974-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
4

蓋をしないで解放の状態で加熱を行なう時はVB1の大気中への逸散が大きく, 残存率はとくに少なくなることが認められた.このことは蒸気とともに大気中に逸散されるためであると推定される.大気中への逸散を防ぐため蒸留装置を用いて加熱した場合でも還流冷却器をつけた場合でも, 加熱中に若干はVB1の臭いがすること, また実験はpHをVB1が安定である酸性に保ちながら行なったためにVB1の破壊によって残存率が少なくなったとは考えられないからである.今まではVB1の損失についてはpHが高くアルカリ性であればVB1が破壊されるため, 酸性または中性でやらなければならないとか, 加熱温度が高い (140℃以上) 場合は分解するとかに注意をはらってきた.この実験からもわかるように蒸気とともに大気中に逸散される量も非常に大きいので調理においては充分注意されねばならない.実際の調理にあたっては, pH, 温度に注意することは勿論であるが, 大気中への逸散も考慮して加熱時には必ず蓋をするとか, 食品を焼く場合はアルミニウムの箔で包んでやるとかしなければならぬし, 加熱時間もできるだけ少ない方が良いと思われる.
著者
岡田 みゆき
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.3-15, 2003-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
6

The objective of this study is to clarify how the nature as well as the contents of a dinner time talk between parents and their children has changed over the years. The children under study are those in elementary school and junior high school. For this purpose, the junior high school students' perception of dinner conversation was surveyed and compared to the results obtained of elementary school children. The results are as follows : 1) Junior high school students have conversation with parents less frequently than when they were elementary school students. The percentage of the students who feel happy or useful about dinner conversation is becoming lower. 2) Overall, the conversation seems to be centered around their entrance examinations; more specifically, their academic achievement and future aspirations. The subjects such as their school life, episodes in their younger days, and political and economic issues are less frequently taken up. 3) Among those students who feel happy and useful about the dinner time talk with parents, the junior high school students would want to talk more about subjects such as their academic achievement in connection with their future, social issues, and things about their parents. 4) There is more significant relevance between the children's image of their parents and the contents of conversation than when they were elementary school students.
著者
下坂 智恵 村木 路子 江原 貴子 下村 道子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.963-970, 1997-11-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

骨つきのマアジをから揚げにしてマリネ処理するときの温度の違いによる魚の物性とくに骨の硬さと成分の変化について調べ, 以下の結果を得た.(1) 官能検査において, 浸漬時間による硬さの差は, 魚肉ではみられなかったが, 骨ではマリネ処理の時間の長い方がやわらかいと評価された.(2) マリネ処理した魚の骨の硬さは, 揚げた魚を高温で食酢に浸漬した方が低温にしてから食酢に浸漬したものよりも低下の程度が大きかった, (3) 高温浸漬による酢漬魚は, 低温浸漬によるものよりも重量増加が大きく, pHの低下, 食酢の浸透が速やかで浸透量が多いことが認められた.(4) 骨つきのマアジを油で揚げて後マリネにすると, カルシウムなどの無機成分が溶出して骨が軟化していることが示された.
著者
髙橋 秀子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.176, 2015 (Released:2015-07-15)

目的 2004年に一関市内の保育所の給食とおやつの実施状況に関する調査を行なった.その調査から10年経過しており,その後乳幼児の給食とおやつの嗜好は変化したのか,食育指導はどのように行われているのかをアンケート調査した.一関市内の保育所の10年後の状況を報告する.方法 調査へのご協力のお願い,協力同意書,アンケート項目を作成した.事前に許可を得た保育所2014年10月中旬に,書類を郵送または訪問で渡した.回答の期限を10月中,返信方法は郵送とした.回答を,Ⅰ保育園の全体に関すること,Ⅱ給食,Ⅲおやつ,Ⅳ食育に関する4つの項目に集計をした.結果 20ヶ所でアンケートを実施し,18ヶ所から返信があった.各年齢で最も好まれた給食献立はカレーあった.0,1歳児は味噌汁,2歳児以上は唐揚げやハンバーグなどの肉を使用した献立であった.手作りするおやつはおにぎり,蒸しパン,がんづきなどで好まれるおやつはゼリー,せんべいがあげられた.おやつと給食に関しては,10年前の調査とほぼ同じ結果であった.保育士が主となって毎日食育指導をしている保育所が多かった.その内容は,箸や食器の持ち方,食べ物についての紙芝居や絵本の読み聞かせ,クッキング,3色食品群など食べ物の栄養,さつまいもとトマトの野菜作りがあった.乳幼児は食材に興味を持ち,意識し,好んで食べるようになったと報告された.
著者
畑江 敬子 中谷 圭子 福留 奈美 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.155-162, 1999-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

旧本人とフランス人の食物に対するおいしさの評価基準の違いを客観的に表すために, 前報のアンケートの結果に基づいて官能検査を行った.パネルは野菜 4 種, パスタ 2 種, 焼き物 3 種, 飯 4 種について, 加熱時間を 5~6 段階に変えた試料の好ましさをそれぞれ評価した.日本人パネルは野菜の緑色を重視し, 加熱時間の短い硬めのものを好んだ.フランス人パネルは加熱時間の長い軟らかめの野菜を好む傾向にあった.焼き物の焦げ色の強いものをフランス人パネルは好む傾向にあった.飯の色とテクスチャーに対する好みは, 日本人パネルとフランス人パネルでは全く異なった.いずれの場合も日本人パネルの好みは特定の試料に集中し, フランス人パネルの好みは広範囲に分布した.
著者
高正 晴子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.1011-1019, 1998-09-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
38

In this paper I have attempted to clarify the characteristic of the menus for the banquets held in Osaka for Korean delegations during the Edo period.Comparing the 6th Osaka banquet (1655) with the 7th one (1682) for the important officials of the delegation, changes were observed and the banquet for the 10th delegation (1748) tended to be simplified.Also, the delegates who arrived by ship were given food for the journey to and from Edo (Tokyo), and some of the attendants were supplied with food for two or more months when they remained in Osaka. At Osaka, there was the record that venison and whale meat sent by the Kii Tokugawa Household. The delegates were also invited to a drinking party by the Tsushima Household's officials in Osaka before they returned to Korea.Thus, each delegation was civilly received at Osaka, but the banquets became gradually simplified after 1682.
著者
湯浅 勲 湯浅(小島) 明子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.133, 2002-06-01 (Released:2003-07-29)

アロエの肝臓におよぼす影響を調べるために、培養肝細胞傷害モデルを用いてアロエ粉末の抽出物およびクロロホルム、酢酸エチル、ブタノールの各抽出分画の肝傷害保護効果について検討した。アロエ抽出物は1,4-ナフトキノン(NQ)による肝細胞傷害を濃度依存的に抑制した。その抑制効果は酢酸エチル抽出分画において最も顕著であった。NQによる細胞傷害に先立ち細胞内グルタチオンおよびタンパク-SH量の低下が認められたが、それらの低下はアロエ抽出物の添加により濃度依存的に抑制された。その際ジエチルマレートにより細胞内グルタチオン量を低下させたところ、肝細胞傷害の抑制効果およびタンパク-SH量はほとんど影響されなかったことから、肝傷害抑制効果にはタンパク-SH量が関与することが示唆された。
著者
飯盛 キヨ 飯盛 喜代春
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.393-398, 1962-12-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3
被引用文献数
1
著者
小林 雅美 福島 潤子 野口 駿
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.511-515, 1973-11-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
9
被引用文献数
1

The variation of fatty acid composition of oils at various parts in an individual was investigated with 19 kinds of commercially available fishes. A fish body was divided into five parts, namely, back, abdomen, tail, skin and dark-colored flesh (if any), and the lipid from each part was extracted with ether and converted into the corresponding methyl esters in an usual manner and thereafter analysed by gas chromatography.While the oil content varied considerably from part to part and generally decreased in the following order : skin, dark-colored flesh, abdomen, back, and tail, the fatty acid composition was not found to be appreciably different from each other in our examination using a pattern vector analysis, where the vector sum of the segments, which is obtainable by plotting the concentration of each component on the corresponding independent axis, is assumed to represent the pattern of the composition. Thus, the angle between two vector sums or cos θ is considered to be a measure of the degree of resemblance between the two patterns.Furthermore, on some fishes obtainable in all year round, the variations of the content and fatty acid composition of their oils at four seasons were found to be considerable, but the relationship between the variations mentioned above and the taste was found to be rather obscure and at random.
著者
青木 香保里 藤本 尊子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.247, 2003 (Released:2004-05-25)

目的:高度化、複雑化する現代社会にあって、生活を構造的に把握する視点の有無は生活にたいする認識と実践のありようを左右する。こうした状況下にあって教育の役割は一層重要になる。本研究では、生活を構造的に把握するための枠組みの検討と整理を試みるとともに、教育における実習の現代的再構成の意義について述べる。方法:文献研究による。なお、本研究の適用対象としては学校教育における家庭科教育を主として考えるが、家政教育、生活科学教育などへの拡張も可能であると考えている。結果:私たちの生活は人間の生産的な活動を基盤に成立している。人間の生産的な活動は「労働の生活」「職業の生活」として具体化する。労働するうえで必要となるエネルギー、すなわち労働力は、主として職業の生活において必要とされ消費される。また、労働力を回復する場として主となるのが家庭生活である。生活の総体からみた家庭生活の役割は、「労働力の再生産」にあることになる。したがって、「労働力の消費」「労働力の再生産」から構成される人間の生活活動は、その両側面を職業と家庭によって構造的に枠組みされていることになる。ゆえに、よりよい生活の実現のためには、労働を「労働力の消費」と「労働力の再生産」から双方向的に分析・総合する認識と実践が不可欠である。労働の多様化に伴い「労働とは何か」が見えにくくなっている現在、生産・消費と密接不可分な関係にある労働にたいする認識形成と実践化に向けて、教育において単なるものづくりに終始しない実習を積極的に位置づける必要がある。
著者
田中 伸子 岡村 浩
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.13-19, 1983-01-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
35

以上の実験結果より, 食事がα-アミラーゼ活性の変動因子であることは明らかである.また, その構成要因の一つである咀嚼という口腔内の直接的機械的刺激がごく短時間に終了するという事実より考えると, α-アミラーゼ活性の変動は, 食物摂取による直接的な, あるいは生体内における代謝の機序を含めた間接的刺激が作用していると推察される.唾液中α-アミラーゼ活性の変動要因につき検討を加えた結果をまとめると次のようになった.1) 唾液中α-アミラーゼ活性の変動は, 生活のパターンと密接な関連性をもっており, 食事は大きな変動因子であることが認められた.2) 咀嚼という直接的機械的刺激を口腔内に与えると, ただちに唾液量, pHおよびα-アミラーゼ活性が増加する.また, 咀嚼終了とともに, 咀嚼時間の長短に関係なく, 唾液量, pHおよびα-アミラーゼ活性は減少し, ほとんど咀嚼開始前のレベルにもどり以後大きな変動は示さない.したがって, たんなる咀嚼という機械的刺激は, α-アミラーゼ活性に一過性の変動を与える因子であることが認められた.3) 唾液中α-アミラーゼ活性は個人差が大きく, 332名の女子大生の起床時における活性は271mg/ml salivaであったと同時に行ったアンケート調査より, 食物を口に入れてから嚥下するまでの平均咀嚼回数の多い者のほうが, 少ない者よりα-アミラーゼ活性が高いこと, 澱粉性食品を好む者のほうが, 普通もしくは好まない者より高いことに有意差が認められた.この結果より, 食生活における個人の習慣が唾液中α-アミラーゼ活性と関連があるものと考えられた.
著者
吉野 梅夫 増野 亮子 柴田 宏子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.736-739, 1979-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7

1) 市販焙煎コーヒー6品種について, 水分, 水抽出物量, 酸度, カフェイン, 全褐色色素およびクロロゲン酸を定量した.水分と全褐色色素についてはコーヒー会社間に差があり, 焙煎程度の相違によるものと思われる.2) 粗挽き, 中挽き, 細挽きのどの試料についても粒度分布には会社により, また同一店でも購入の度にかなりの変動が見られた.3) ペーパーフィルター, ネルフィルターおよびサイフォンでは細挽きまたは中挽きを用いると抽出量が多い.パーコレーターでは抽出量は粗挽きを用いると多く, 細挽きでは減少した.
著者
広井 勝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.173, 2005 (Released:2005-12-08)

【目的】油脂は加熱により変質を生じ易い。そのため油脂の劣化防止は大変重要である。近年、炭の活用の一つに油脂劣化防止効果が報告されている。しかし、炭の劣化防止効果は用いる炭の種類や炭化温度によりその効果が異なることも示されてきている。そこで本研究では、昨年に続き桃の種を炭にしてその効果を竹炭と比較して調べた。桃種を用いたのは、福島県は桃の産地であり消費量も多く、加工の際に大量の種が廃棄されていることから、この種の炭に油脂劣化防止効果が見られれば、資源の有効利用という観点からも重要と考えたからである。【方法】試料油としてキャノーラ油を使用した。実験では温度コントロールの精度の高いホットプレートを用い500mlビーカーに油脂を100gとり、桃種の炭5g(5%相当)を入れ、220℃、250℃で2時間の加熱を行い、油脂の劣化度やトコフェロール(Toc)残存率を調べた。また、同様に60℃の定温器で加熱油脂、未加熱油脂を用い、数週間自動酸化を行い、その劣化防止効果も調べた。同じ条件で竹炭についても実験を行い、その効果を比較した。【結果】(1)桃炭を5%添加し加熱した場合、油脂劣化防止効果が認められたが、竹炭には及ばなかった。(2)自動酸化(60℃)におていは、1週間の放置では桃炭による劣化防止効果は少なく、2週間目より効果が認められた。竹炭では1週間目より効果があり2週間ではその効果が顕著であった。(3)劣化防止効果は竹炭では800℃炭化、桃炭では1000℃炭化のものがすぐれていた。(4)加熱油脂の一部を取り、60℃の定温器に放置した場合でも、桃炭による油脂劣化防止効果が認められたが、竹炭には及ばなかった。
著者
浜島 教子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.282-286, 1977-07-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

In many instances a food stuff has both sweet and sour tastes and proper combination of sweetness and sourness is one of the factors in making the taste good.An experimental study has been carried out to find out the relationship between sweetness and sourness in a food stuff.The results of the experiments are as follows : Sweetness became less by the addition of only a small amount of acetic acid, and the rate of the sweetness lessened was directly proportional to the amount of acetic acid added.Sourness became less by the addition of sucrose. The rate of the sourness lessened was not directly proportional to the sucrose added, but it seemed that the rate of sourness lessened was in proportion to pH of the acetic acid solution. Namely, acetic acid solutions stronger than 0.3% in concentration were not masked by adding even a large amount of sucrose.