著者
辻 啓子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.751-758, 1988

65 歳以上の高齢者の外出時の着衣状況を夏, 冬の 2 期について調査し, 下着および中衣を中心に分析した結果は, 次のように要約することができる.<BR>1) 着衣枚数は, 夏は, 男女ともに 「 2-3 」 の組合せの者が最も多く 60% を占めた. 冬は, 男子は「4-3」の組合せの者が 45%, 「 5-3 」の組合せの者が 28% で, 上衣の着衣枚数のほうが多かった.女子は男子に比し着衣枚数の組合せ別出現の範囲が大きく, とくに和服形式にその傾向は顕著であった.<BR>2) 男子の下着は, 夏は, 上衣は半袖シャツの着用者が 55%, ランニングシャツの着用者が 29%, 下衣は下ばきとしてさるまた・パンツ類の着用者が 85%, ブリーフの着用者が 11% であった, また, ロングパンツは84% の者に着用されていた.冬は, 長袖シャツ 1 枚の着用者が 64%, 長袖シャツ 2 枚の着用者が 21% で, 下衣は下ばきの上にズボン下またはタイツを着用している者が 97% あった.<BR>3) 女子の下着は, 夏は, 上衣はシュミーズ類を着用している者が最も多く 66% を占めた. 下衣は下ばきとしてズロース・ショーツ類の着用者が 49%, パンティの着用者が 18%, 3 ・ 5 分ショーツの着用者が 11% であった.また, 下ばきと最外衣の間にはシュミーズ, スリップ, ペティコート等を 93% の者が着用していた.<BR>冬は, 着衣形式によって異なるが, 上衣は, 和・洋ともに長袖シャツを着用している者が多かった.下衣は, 下ばきの上にズボン下, タイツ, パソティストッキング, 5 分ショーツ等を保温のための被服として着用していた.<BR>4) 防寒のための中衣としては, 男子はセーター・カーディガン類, ベスト類が多く, 着衣枚数の多い場合はそれらが互いに組み合わされて着用されていた. 女子は, 洋服着用者はセーター・カーディガン類, 和服着用者は半じゅばん, 長じゅばん, 袖なし半てんを着用していた.<BR>5) 提示した下着の要求項目を配慮していると回答した者は少なく, とくに男子は各項目とも 10% に満たなかった. 項目別では, 「 素材・品質」, 「 フィット性・ゆとり量」は夏, 冬ともに出現率は高いが, 季節別では, 夏は 「 べとつき感」, 「着脱のしやすさ」, 冬は, 「 軽さ」の出現率が高かった.
著者
藤田 恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.31-41, 2002-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
27

In this study, the high school textbooks of 88 volumes of six companies, and ten kinds of magazines of eight companies were analyzed, in order to clarify the features of the changes from the 1970s to the 1990s in drawing methods of the upper trunk of women.(1) At this time, ready-to-wears became popular among ordinary people, homemade clothes and order-made suits both decreased in number.(2) In most high school textbooks, the short measurement methods disappeared in the 1980s and the proportional method of the Bunka style came to appear in the 1990s.(3) The number of magazines which printed patterns began to decrease from the 1970s, and four magazines that carried many patterns were discontinued from the end of the 1980s to the beginning of the 1990s.(4) Since the kind and number of basic patterns were selected, this time can be called the “Selection Time of Basic Pattern Making of Women's Upper Trunks.”
著者
藤田 恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.415-423, 2000-05-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
57

In this study, 200 basic patterns in 176 books and magazines were used to survey the historical changes in drawings of the upper trunk of women. These books and magazines were extracted from among 375 sewing publications, textbooks, teacher's manuals, three kinds of women's monthly magazines, and a stylebook, which were published from the beginning of the Meiji era to 1945. The results are as follows : At first, basic patterns were drawn based on mainly breast size to make the upper trunk of girls' dresses at the end of the Meiji era. Thereafter, patterns which could be used for both children and women were created. Then patterns specially designed for women were developed. After 1935, basic patterns were adopted in school curriculums at elementary schools and by women's magazines, and the use of basic patterns for dress making became standard practice among ordinary people. Therefore, basic patterns contributed to the spread of Western dress in Japan. Drawings for women were partly influenced by men's pattern making and Kimono cutting methods. In addition, drawings designed to cover the complicated curves of shoulders and breast swells began to emerge in this period.
著者
渋川 祥子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.92-99, 1976-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

圧力鍋による白米の炊飯について検討し次の点が明かになった.1) 予備浸水した米に126%の水を加え, 内鍋を使用し外鍋に180ccの水を加え, ノズルから蒸気が出はじめるまで強火, それ以後弱火で5分程度加熱し, むらし時間15分程度で炊飯できる.2) 圧力鍋炊飯は, ガス自動炊飯器による場合と比較しガス消費量, 所要時間とも, 特に利点はなかったが, 電気釜炊飯に比較し所要時間は短い.3) 圧力鍋による飯は, 粘りが強く黄味をおびている.圧力鍋は高温加熱のため, でんぷんのα化が十分に進み老化も起りにくい. また, 飯粒周囲部の組織が崩壊し付着するでんぷん量も多いため, これらが粘りの原因と考えられる.4) 内鍋を使用しない場合は, より粘りの強い, 飯粒中の水分のより不均一な飯になり炊飯方法として適当でない.5) 圧力鍋による炊飯の特長は, 硬質米よりも軟質米でより現れる. 粘りの強い米の圧力鍋炊飯は, ねばりが強すぎて好まれないため, 圧力鍋炊飯はねばりの少ない古米や硬質米の炊飯に適する.
著者
中村 久美 今井 範子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.561-572, 2004

屋外物置購入世帯を対象に調査を行い, その購入経緯や収納状況を明らかにするとともに, 居住者の収納に関わる生活スタイルとの関連から, 屋外物置の位置付けやあり方を考察した.結果を以下に要約する.<BR>1) 屋外物置の収納内容を詳細に見ると, 屋外使用品のみ収納している世帯が45%をしめる.中高年層を中心に, 屋内使用の日常品や, 季節用品などの非日常品を収納している世帯も少なくない.さらにびん・缶などの資源ゴミの保管場所として活用されることも多い.<BR>2) ほとんどの世帯が, 収納スペースの不足する部屋を指摘している.屋外物置の収納物は, 収納スペース不足の指摘のある居室に対応するモノであり, 住宅諸室からあふれ出たモノを, 屋外物置に収容していることが確認できる.<BR>3) モノの持ち方や片付けに対する生活態度, 意識より, 収納に関わる生活スタイルをみると, 物持ちがよくそれらをきちっと管理する「こだわりタイプ」 の世帯が半数をしめる.とにかくモノを持つことに価値をおく「とりそろえタイプ」も3割存在する.一方限られたモノをきっちり管理する「すっきりタイプ」やモノを持つことも整理することにも消極的な「あっさりタイプ」は少数派である.<BR>4) 屋外物置の位置付けとして, 1つは, 屋外使用の生活用品, 用具の収納庫としての使い方がある. 実際に収納される屋外使用品は, 積雪地域特有の生活用品や, 温暖地域のガーデニング用具, あるいはスポーツ, レジャー用品など, 地域性を反映する.「すっきりタイプ」の居住者はこの種の使い方が多い.このタイプは若年層が多いことから今後このような使い方は増えると考えられる.<BR>5) 「こだわりタイプ」を中心に, 住宅内にあふれるモノを受け入れることで, 居住スペースの確保と住宅内収納スペースの有効利用を図る使われ方がされており, 住宅内収納空間の不適応を補う, 消極的な意味ながら, 屋外物置を設置する意義は見出しうる. 一方, 屋外物置は一時収納, 処分保留のスペースと位置付けて使われる場合もあり, 住み手がモノの保有や管理のあり方を考えるうえで, 以前の蔵や納戸に替わる有効なスペースとして積極的に評価できる.また, 資源ゴミの分別保管場所としての用途は, そのスペースがまだ一般には住宅内に確保されていない現状では貴重である.<BR>6) 屋外生活品の専用庫として使われる物置は, 収納物とそれに対応する設置場所ごとに, ふさわしいデザインが求められる.一方, 住宅内の収納スペースの延長として使われる場合, 屋内生活品を含めた多様な収納物に配慮して, 耐久性, 棚数, 換気などへの配慮を要する.
著者
三吉 満智子 大塚 洋子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.157-165, 1995-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

This report provides theoretically a comparative study of basic pattern of waist loose type and fit type. Following experiments on basic patterns were conducted : 1) Experiments on the theoretical derivation of basic pattern making; 2) experiments on the theoretical verification of basic pattern making; 3) experiments on the body measurement as case examples.The results are summarized as follows : 1) Under convex points of upper trunk, there were differences in the surface angles between waist loose type and fit type, accordingly the element lengths of each parts differed. Therefore the lengths of basic pattern differed.2) The difference of element lengths was larger in back pattern than in front pattern.3) It was devised to change from basic pattern of waist fit type to loose type, utilizing “the difference” of element lengths.4) Even the three-dimentional form of armhole was the same, the sole of pattern armhole differed between in the case of waist loose type and the fit type.
著者
桑田 寛子 治部 祐里 田淵 真愉美 寺本 あい 渕上 倫子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.193, 2015 (Released:2015-07-15)

目的 ダイジョは別名アラタと呼ばれ、東南アジア原産のヤマノイモ科ヤマノイモ属ダイジョ種に分類される。自然薯に次ぐ粘質多糖類含量であるため、粘りが強い。このため、とろろの起泡性を利用した菓子への利用が期待されるが、えぐみと褐変しやすいという欠点を持つ。今回は冷凍耐性およびえぐみの原因の1つと考えられる針状結晶に着目した。すなわち、ダイジョと他のヤマノイモとの比較を行い、ダイジョの調理特性を検討するための基礎研究を行った。方法 剥皮したダイジョ、ナガイモ、ツクネイモを5%食酢液に30分間浸漬後、すりおろした。砂糖無添加、および10%添加したとろろを-20℃、-30℃、-80℃のフリーザーで凍結した。その後、25℃の恒温器で解凍し、動的粘弾性測定装置でレオロジー特性を測定し、冷凍前と比較した。また、ヤマノイモの皮を含む5㎜角の試料を食酢原液、0.5%塩酸溶液、1%塩酸溶液に浸漬し、針状結晶の有無を低真空走査型電子顕微鏡で観察した。結果 砂糖添加の有無や冷凍温度によって、冷凍後のレオロジーに大差はみられなかった。すべてのヤマノイモの皮下部にシュウ酸カルシウムの針状結晶がみられた。ナガイモに最も多く、次いでツクネイモで、ダイジョは最も少なかった。皮を剥くとき手が痒くなるのは、細胞中に埋もれていた針状結晶が飛び出して、手に刺さるためである。1%塩酸溶液に30分浸漬すると、すべてのヤマノイモの針状結晶が溶けたが、食酢原液では溶けなかった。

1 0 0 0 OA 食品中の水

著者
野口 駿 中沢 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.755-763, 1989-09-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
83
著者
木村 友子 小川 安子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.851-860, 1985-11-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

肝臓を調理し食べやすくする目的で, 女子大学生210名にレパーに関する意識調査ならびに調理操作上の前処理として, 超音波照射処理による適当な血抜きと, 煮熟後の鶏肝臓の脱臭効果について調べ, さらに洗浄処理後の肝臓を調理し, 官能検査を行い検討し, 次の結果を得た.1) 意識調査では肝臓の喫食率は65.2%であり, 喫食者の肝臓の調理法は, 焼く>炒める>煮る>揚げる>ペースト>その他 (茄でる, 和える) の順位で喫食頻度が高く, また好まれない理由は, 味が悪い>臭み>外観>食べず嫌い>感触>その他 (体質的に合わない) の順位であった.2) 鶏肝臓の血抜き効果においては, 超音波洗浄処理法は, 単なる水洗い処理法よりも効果が著しかった.超音波照射処理時間数は一般的な若鶏肝臓は10分間, 老鶏 (メス, 品種 : ピルチ) の肝臓は5分間が適当と思われた.また洗浄洗液には0.5~1.5%の食塩水が有効で, 洗浄液のpHの影響 (0.2Mリン酸-0.1Mクエン酸の緩衝液を用いた場合) は, pH5.6, 7.0より, pH 3.4, 4.4, 8.0の場合, やや効果的であったが, 嗜好面や外見上, 食用には供しにくくなるものと思われた.3) 鶏肝臓の脱臭効果については, 超音波洗浄処理した肝臓は, 対照の単なる水洗い処理した肝臓より臭みが緩和されることを認めた.4) 官能検査においては, 一般的な若鶏肝臓を用い, 調理法として煮る, 茄でる場合に, 下処理として超音波10分間照射処理したものが, 対照の単なる水洗い処理のものよりおいしく, 臭気が少なく, 総合評価にも, 有意に好まれ, 効果的であった.しかし炒め焼きの調理法では両者間に有意差なしの判定で, 強いて超音波照射の必要はないものと判断される.またパネル者間では老鶏 (メス, 品種 : ピルチ) の肝臓は, においが少ないが, 外観 (色) ・感触・総合に, 一般的な若鶏 (100日生育鶏) の肝臓に比すれば, 好まれない傾向であった.
著者
大瀧 ミドリ 中塚 綾子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.509-516, 1994-06-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

子どもの愛着対象に関する父親と母親の認知における実態と父親と母親の認知に影響する要因を明らかにするために本研究を行った.対象は, 保育園児をもつ665組の父親と母親である.彼等を対象に14の異なる生活場面において, 子どもが誰を愛着対象としているかについて調査し, 以下の結果を得た.1) 父親も母親も, 子どもは母親を最も多く愛着対象にしていると認知している.2) 父親も母親も子どもとの情愛的関係において, パートナーが考えるよりも自分は子どもから重要な存在であると思われていると考える傾向がある.3) 父親の認知には, 子どもの性や年齢と妻の就業形態が大きな影響を与えていることが明らかになる.4) 母親の認知には, 子どもの年齢と母親の就業形態が大きな影響を与え, また, 子どもの性と母親と子どもの接触量もかなりの影響を与える原因であることが明らかになる.
著者
磯部 由香 水橋 津奈美 成田 美代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.61-64, 2002-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7
被引用文献数
4

(1) 魚肉中の細菌の生菌数は本漬け後, 1カ月で107オーダーまで大きく増加し, 乳酸菌および嫌気性細菌はその後108オーダーまで達し, 好気性細菌は104まで減少した.(2) 米飯中の乳酸菌および嫌気性細菌の生菌数は本漬け後, 108オーダーでありその後の増減の傾向は魚肉と類似していた.また, すべての期間において, 米飯中の生菌数は魚肉中の生菌数よりも1オーダー高かった.(3) 熟成期間中に観察された微生物を同定したところ, 乳酸菌はヘテロ発酵型のLactobacillus buchneriであった.
著者
伊東 清枝 石川 由里子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.497-501, 1989-06-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
12

精製オボアルブミンとコンアルブミンを単独あるいは混合して用いてメレンゲおよび焼きメレンゲを調製し, 両タンパク質の調理機能特性について検討した結果, 以下のことが明らかとなった.1) メレンゲの状態では, オボアルブミンは, 卵白の場合と同様に, 空気泡の混入状態に優れたかたいメレンゲとなったが, コンアルブミンは, 柔らかなメレンゲとなった.またこれらを 焙焼した場合, オボアルブミンにはスポンジケーキの組織と同様に小気泡の分散が認められたが, コンアルブミンには中心部にシュー皮状の大きな空洞が認められた.2) 焼きメレンゲの体積を比較した結果, 製品の体積が大きい順にオボアルブミン50%とコンアルブミン50%の混合物>卵白>オボアルブミン100%>コンアルブミン100%となった.しかし, 膨化率では, コンアルブミンが高い値を示した.3) オボアルブミンは単独に用いた場合でも膨化状態のよい焼きメレンゲとなるが, コンアルブミンと混合した場合には, コンアルブミンのもつ膨化力により, 製品の膨化状態はさらに向上することが明らかとなった.
著者
平野 雅子 谷口 富貴子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.24-28, 1971-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

実験結果を要約すると1) 生クリームの起泡性はその外観、泡立て時間、オーバーラン、粘稠度、乳清分離量などにより評価できる。2) 生クリームの温度履歴は起泡性に大きく関与する。したがって、貯蔵および起泡は低温 (10℃以下) で行なわなければならない。3) 攪伴速度は速いほど泡立てに要する時間は短縮されるが、起泡性は落ちる。反対に速度を下げすぎてもオーバーランは低くなる。4) 一般に砂糖の添加はオーバーランを低下させる。砂糖は生クリームをある程度起泡してから添加する方がよい。5) 粉末生クリームは便利ではあるが、生クリームに比べ、起泡性や嗜好性は劣っている。
著者
菊沢 康子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.467-472, 1968-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

5~6名の成年女子に、種々の作業位を指示して皿ふき作業を課し、その時の心搏数、筋活動量、エネルギー代謝量より生体負荷を測定した。結果は次の通りである。1. 心搏数は作業位が、肘位、肩位、額位の順に高い位置になるほど増加する。各高さにおいては、作業点が身体前面より10、20、30、40cmと前方に離れるほど心搏数は増加する。しかし、低い高さの場合でも、身体前面より離れすぎた場合は、高い高さで身体に近い位置よりも負荷はむしろ大きくなる。2. 筋活動量は、一般に作業点の高さが高くなるほど増し、身体前方向では各高さとも、身体から離れるほど筋活動量は増加する。特に額の高さにおいて、その増加が著しい。又、肩や額の高さでは、身体前面より40cmの位置で筋活動が急増する。3. エネルギー代謝量は、高さの違いによる差はみられなかったが、各高さにおいては、身体前面よりの距離が大きくなるほど増加する値向がみられた。4. 一般に皿ふき作業のような空中位で行なう作業は作業台上で行なう作業よりやや高い位置で行なう方が、生体負荷が少なく、その高さは約90cmであり、身体より10~20cm離れた位置が最もやり易いことがわかった。
著者
伊豫田 潤子 野口 駿
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.169-175, 1973-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

The “nuts” in this paper is not necessarily strictly classified botanically but includes the nuts as ordinarily used, and distinguished from the “seeds” and “fruits.” The fatty acid compositions of oils obtained from various familiar nuts, seeds and fruits by means of gas-liquid chromatography were comparatively investigated. In general, major components of the nut oil were oleic, linolic and palmitic acids. The ratio of oleic to linolric acid content of any nut oil was higher than that of seed oils.Further it has been observed that pine seed oil contains an unidentified fatty acid in amounts of about 15% or more. The mass spectrometrical work to date has identified the acid to an isomer of linolenic acid, γ-linolenic acid (6, 9, 12-octadecatrienoic acid).
著者
岡村 〓か子 竹中 はる子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.115-121, 1977-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

以上のことから明らかになったことは, 1) 切削には包丁を同じ切削抵抗に対しては, 垂直に切りおろすよりも, 被切削試料に対して押し出し切り, あるいは, 引き切りの方が容易に速く切れる.2) 押し出し切りと引き切りを比較すると, 引き切りの方が同じ切削抵抗に対して, より速く切ることができる.3) 切り込み角度を大きくすることにより, 切削速度が同じ場合には, 切削抵抗は小さく, 抵抗が同じ場合には, 速度は速く切ることができる.4) 切削による被切削試料の変形量については, 切り込み角度が大きく, また同じ切り込み角度では引き切りの方が, いずれも変形量が少ない.5) 食品の切削については, 食品のかたさの条件などいろいろあるが, ほぼ, 標準被切削試料で得られた結果が適用できる.
著者
荒木 裕子 渡部 昌世
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.70, 2012 (Released:2013-09-18)

【目的】ケークサレ(cakes  sales)はフランス由来の塩味のケーキであり、フランスの各地方で親しまれる伝統ケーキである。バターを利用しないバウンドケーキであり、さまざまな副材料を混入することでバリエーションの富んだケークサレが製造できる。近年、わが国でも健康的なホームメイドケーキとして注目を集め、専門の販売店も見られる。本研究では、ケークサレの製法について検討を行った。【方法】1)ケークサレを調製する方法について、出版されているケークサレ料理本のレシピを基にケークサレの基本生地の配合割合と、副材料の種類、配合割合について調査した。2)副材料の添加割合による嗜好性の検討。副材料として、3種の野菜(ニンジン、タマネギ、トマト)を用い、添加割合を基本生地の30%、50%、70%とした3種のケークサレを調製し、嗜好性を比較検討した。3)ケークサレの栄養価を評価するために、一般成分の分析を行った。【結果】基本生地を調査した結果、薄力粉と膨張剤(ベーキングパウダー)、鶏卵、牛乳を用いるものが多く、さらに油脂として、オリーブオイルやサラダ油、マヨネーズ等を添加するレシピも多かった。また、基本生地に添加される材料として各種のチーズが用いられていた。副材料として各種野菜、ハム、ソーセージ、肉類など多くの食材の利用が見られた。副材料の添加割合は高いもので90%、低いもので20%であり、平均するとほぼ添加割合は50~60%を示した。副材料の添加割合を変えて、ケークサレを調製し、官能評価を行った結果、添加率50%が好まれるという結果が得られた。ケークサレと市販焼き菓子と成分値を比較した結果、ケークサレは市販焼き菓子に比べ、水分含量が高く、脂質が少ないという結果が得られた。
著者
古松 弥生 岡田 宣子 松山 容子 有馬 澄子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.919-925, 1989 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2

成人女子の体幹の形状特性を, 年齢的変化に着目しながら類型的に把握することを目的としている。工技院の体格調査資料 (484名) を用いて主成分分析を行うことにより, 主成分を代表する計測項目を選定し, クラスター分析を行い体型の類型化を試みた.1) 得られた主成分 (Table1) は第1主成分としてはサイズファクター, 第2主成分としては体幹部の厚みに対する肩部の幅のプロポーション, 第3主成分としては体幹の丈と肩部の幅のプロポーション, 第4主成分としては肩部の傾斜度, 第5主成分としては体幹上部の丈と下部の丈とのプロポーションと解釈された.形態特徴を表すこれらの主成分は年齢が加わってもあまり変化しない.しかし, 主成分へのかかわりは年齢により相違すると考えられる.2) 計測項目・示数項目の検討から, 体幹の厚みを表す腰部や胸部の矢状径, および体幹の太さを表す胸囲・胴囲などの周径項目は, 加齢とともに増加傾向を示し, 体幹の厚み・太さが著しく増加し, 腰囲/胴囲・腹囲/胴囲などの年齢的変化 (Fig.1, Table4) から, ずん胴型へ移行していることが確認された.3) 体幹の形状の情報を表す主成分に強いかかわりをもつ項目として, 胸囲・背肩幅・背丈・B.N.P.-W.L.・W.L-座面・肩傾斜の6項目を選定し, クラスター分析により体型の類型化を行った.その結果12個のクラスターが得られ, 年齢グループ別の分析でもほぼ同様なクラスターが得られた (Fig.2, Fig.4) ことから, クラスターそれぞれは体型の個体差を表す類型であると判断される.一方, 各クラスターの身体部位の計測値 (Table5) や出現率 (Fig.3) には年齢の影響がみられた.これらは, 成人期においては体型の個体的特徴は年齢を越えて持続すること, しかし年齢の影響は同一類型でも具体的なサイズや寸法を変化させ, さらに各類型の出現頻度の変化を引き起こしていることを明示するものである.
著者
中谷 圭子 松元 文子 桜井 芳人
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.201-206, 1974-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

前報につづいて醤油が加熱調理食品をかたくする原因を追求するため, 大豆を用いて, 醤油中に含まれる化学成分の影響を調べた.その結果を要約すると, 1) 醤油に含まれる有機酸16種はいずれも, 加熱処理大豆をかたくし, その程度は酸の種類によってことなる.また, アミノ酸の中では酸性アミノ酸のグルタミン酸とアスパラギン酸が大豆をかたくした.一価のイオンの食塩と塩化カリウムは水処理のものよりやわらかく, カルシウム, マグネシウム, 三価の鉄の各塩化物溶液は逆の結果となった.2) 上記のアミノ酸および有機酸0.1モル濃度を含む5g/dl食塩濃度の醤油水で大豆を加熱処理すると, 同醤油水のみで処理した大豆のかたさの約1.5~2倍のかたさを示した.また, 食塩濃度5g/dlの醤油液あるいは同食塩濃度の緩衝液をベースにして, 乳酸, コハク酸および酢酸を溶かした各溶液で加熱処理した大豆は, 前三者の水溶液の場合より, やわらかく, 酸の添加量による影響は小さかった.