著者
勝田 啓子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.711-718, 1987
被引用文献数
1

団子に対する嗜好を明らかにするために, とくにその力学的性質を左右する米粉の粒度構成および糯米粉と粳米粉の配合比を変えて団子を調製し, 官能検査と粘弾性測定を行った.その結果以下のことが判明した.<BR>1) 糯米粉と粳米粉を等量混合し, 0~60mes 1.18%, 60~100mesh8.6%, 100~150mesh7.8%, 150~200mesh28.1%, 200~250mesh28.9%, 250mesh 以上24.7%の粒度構成 (平均粒度200mesh) で, 加水量米粉100gに対して80mlの条件で調製した団子が最も好まれることが判明した.<BR>2) その団子の粘弾性値は, 自然数で表すとフック体の弾性率4.79×10<SUP>5</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>, ニュートン体の粘性率1.05×10<SUP>8</SUP>P, 塑弾性体の弾性率2.69×10<SUP>5</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>, 1組目のフォークト体の弾性率が2.52×10<SUP>5</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>, 同じく粘性率が1.32×10<SUP>7</SUP>P, 2組目のそれらがそれぞれ1.86×10<SUP>5</SUP>dyn/cm2, 8.51×10<SUP>6</SUP>Pであった.
著者
劉 敬淑 全 〓蘭
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.105-114, 2005

韓国10代の自尊心, 身体満足度と整形および服装行動との相互関連性を調査し, これらの因子の属性による差異と因果関係を解明しようとした.<BR>性別による心理要因との関係では, 男性の自尊心, 身体満足度はあらゆる身体の部位で女性のそれよりもより高かったが, 整形要求度と服装行動の面で見ると流行や個性に対する選好度は, 女性よりも男性の数値が低かった.<BR>自尊心と身体の顔部分の満足度では年齢による差は見られなかったが, 身体満足度の腰・尻部分, 身長・体型部分には差が見られた.<BR>学校類型による自尊心の差はなかった.身体満足度は全体的に高校生が中学生より低かったが, 整形要求度における顔の整形と脂肪吸引の要求度は高校生が中学生より高かった.服装行動での清楚さは, 学校類型による差はなかった.魅力と流行指向は中学生よりも高校生で高かったが, 個性指向は高校生が中学生よりも低く, 中学生より高校生がより個性を追求するとされる先行研究と差が見られた.<BR>小遣いによる, 自尊心や身体満足度との関係はなかったが整形要求度や服装行動との関係では, 小遣いが多いほど顔と脂肪吸引への整形要求度が高く, 魅力・流行・個性・清楚さの全体的な服装行動も高く示された.身体部位の整形要求の順位は男女ともにホクロ・傷跡除去を一番に望み, 次に男性では歯の矯正, 鼻, 下半身, 二重まぶたの順であり, 女性は下半身, 歯の矯正, 鼻の順で整形を望んでいた.<BR>韓国の10代に, 7個の属性と自尊心や身体満足度の因子が服装行動と整形要求度に及ぼす因果関係を調査するため段階的(stepwise)方法で多重回帰分析をした結果, 整形要求度では性別, 身体満足度, 年齢, 小遣いが有意的な影響を与え, この4因子の説明力はかなり高く, 男性よりも女性で, 身体満足度が低いほど, また年齢が高いほど, 小遣いが多いほど整形要求度が高かった.<BR>服装行動では, 魅力は自尊心, 年齢, 小遣い, 体型から影響を受け, やせ型で自尊心が高く小遣いが多いほど, 衣服の魅力性を追求する.<BR>身体満足度が高いほど自尊心が高く, 女性より男性で, やせ型で, 身長が高く, 社会階層が高いほど身体満足度が高かった.特に女性は男性より自己の外貌評価にあまり肯定的ではなく, 外貌を改善しようとする欲求が強いと思われる.
著者
林 隆子 川端 博子 石川 尚子 大久保 みたみ 大関 政康 大竹 美登利 唐沢 恵子 斉藤 浩子 高崎 禎子 武田 紀久子 山形 昭衛
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.361-369, 1992

高齢者を対象とする日常着についての調査より, 高齢者の衣服の着方について以下のような特徴がみられた.<BR>(1) 男性は, 上半身に肌着シャツ, 外衣シャツ, ジャケットかジャンパーの着用が一般的であるが, 5・6月ごろの気温の変化には, 肌着シャツの重ね着で対応していることがわかった.下半身には, パンツ, ズボン下にズボンを着用している.<BR>(2) 女性は, 上半身に肌着シャツ, ブラウス, セーター類を着用している例が最も多かった.上半身用衣服には前あき型で七分袖のものが多く, 肌着シャツの重ね着は男子と同様であった.また, 下半身には, パンツ, 長パンツやズボン下そしてズボンかスカートを着用している.夏に向けてスカート・ワンピースの着用が増すが, パンツ類の着用は依然として多く, 足腰の冷えと着衣の関連性をうかがわせる結果であった.また, 服種は男性のものにくらべ女性のほうが多い.<BR>(3) 高齢者用衣服の素材には, 下着類に綿, 外衣に化学繊維が多く使用され, 天然繊維を志向する若者と対照的である.素材に関する知識は一般に低かった.<BR>(4) 着衣の種類より推定した衣服の熱抵抗と衣服重量より, 高齢者は, 若者にくらべ厚着の傾向がみられるが, 衣服の着方に個人差が大きい.<BR>以上の結果より, 高齢者のよりよい衣生活をめざして次のような点が望まれる.<BR>服種の多様化 : 高齢者の日常着の種類をみるとき, 男性では, ジャケットやジャンパーの着用が多い.それにくらべて女性はカジュアルなセーター類の着用が多い.男性は, 習慣的に外出用としてこの種の衣服を着用していると考えられるが, 家庭内ばかりでなく近所等に出かけるときにも, 軽量で伸縮性に富む衣服の着用が勧められる.女性については, 若年者にくらべ衣服の種類が少ないが, 夏になるとスカートやワンピースの着用者も増えるなどおしゃれに無関心でないことが推察される.そこで, ファッション性を取り入れた衣服の供給が望まれる.たとえばキュロットスカートなどは活動がしやすい衣服の例として考えられる.<BR>衣服の着方と形・素材の工夫 : 男女とも, 体温調節のため厚着傾向の人が多数を占めていたが, 少ない枚数でも重ね着をすると同効果が得られるような衣服, とくに下着類の充実が求められる.すなわち, 腰, ひざやひじの冷えを防ぐよう局所的に厚手のものにするなど構成と形の工夫, 熱抵抗性の高い布素材の利用, また, 重ね着をしても活動に支障をきたさないような伸縮性素材の使用などが考えられる.一方で着衣の量に個人差が大きいことから, 季節を問わず, 保温性の高いものから低いものまで多種多様な衣服の供給が望まれる.<BR>表示の改善 : 素材についての知識は一般に低いので, 組成や洗濯表示を見やすく, わかりやすい大きさで表示されるよう改善を促す必要がある.
著者
高橋 久仁子 宮村 小百合
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.1145-1151, 1994

学童のいる世帯の調理行動を類推するために食品の常備状況を調査した.<BR>群馬県内に居住する, 小学生を持つ世帯の調理担当者を対象に, 比較的保存性のある50食品の常備状況を質問した.<BR>有効回答票2,721部を集計した結果, 醤油, 味噌, 食塩, 米, 植物油は99%以上の世帯が常備していた.99%未満90%代の常備率は砂糖, 卵, コショウ, 酢, 海苔, 小麦粉, ジャガイモ, タマネギ, トマトケチャップ, 牛乳であり, 80%はワカメ, 片栗粉, マーガリン, カツオ節, 風味調味料, ニンジン, パン粉, 70%代にゴマがあった.60%代には固形スープの素, ネギ, うま味調味料, 天ぷら粉, 乾麺, カレールウが, 50%代にはバター, コンブ, ツナ缶, そして40%代にはショウガ, ニンニク, パン, 煮干し, 干し椎茸が並んだ.以下, チーズ, 市販麺つゆ, 素材冷凍食品 (30%代), 即席麺, 唐揚げ粉, ホットケーキミックス (20%代), 調理冷凍食品, 合わせ調味料, モチ米, チャーハンの素, 100%果汁飲料, 清涼飲料水 (10%代), そして最下位の炭酸飲料は7%であった.<BR>各種の調味・香辛料類を調理目的別に配合した調味用食品 (合わせ調味料) や用途を限定した小麦粉加工品, あるいは「~のもと」と称する, 簡便さを売り物にした食品類も高率ではないが世帯の常備品目に進出していることが確認された.<BR>洗浄, 切断, 加熱などの調理操作が必須な素材食品であるジャガイモ, タマネギ, ニンジンの常備率の高さや, 利用するには調理加工が必要な小麦粉, パン粉の常備率などから類推する現り, 学童がいる世帯において「まな板と包丁のない家庭がある」とは肯定し難い.しかし調理担当者が40歳代の家事専業多世代世帯では総じて食品の常備率が高く, 30歳代家事兼業二世代世帯では低いという結果は, 世帯のタイプにより調理行動の活発度に差があることを示唆している.<BR>回答者の負担が小さいこの方法により, 家庭の調理行動の概況を類推することは可能であると考える.
著者
永井 房子 田中 百子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.1205-1212, 1990

Many ways of seam-finishing are used in sewing. The opening of a seam is one of them. For the most part, the seam-finishing brings about a loss in the width of sewn fabric. In this paper, the loss phenomena in the opening of a seam were investigated.<BR>The results obtained are as follows : <BR>(1) The loss in the width of a sewn fabric increases as the number of the stitch or the seam line increases.<BR>(2) The loss in the width of a sewn fabric increases as the thickness of fabric increases.<BR>From these results, it is considered that the loss in the width of sewn fabric could be prevented if the number of seams, the stitch density and the thickness of fabric were taken into consideration in pattern-making and dress-making.
著者
浜田 明美 林 淳一
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.1073-1081, 1989

来聘と参向という幕府の公式行事の饗応に用いられた膳組について, 膳組の格式と客の身分・役職との関係を中心に検討し, 格式を重視した江戸幕府の饗応の形態を構成していく過程と膳組の格式を区別している要素を明らかにすることができた.<BR>1) 江戸幕府の身分と格式を重視し, 上下の関係を規定した封建制は, 料理面においては饗応の膳組の格式の細かい区別という形であらわれていた。<BR>2) 膳組の格式を区別する要素として, 膳と菜の数, それに続く膳と菜の数, 材料の差, 菓子の種類と出し方, 膳と器の種類, 膳と器の組み方の六つの要素があることを明らかにした.<BR>3) 膳組の格式は, 饗応の種類と客の身分・役職で決定される.この二つに六つの要素を対応させて客にふさわしい膳組を構成していく過程を明らかにすることができた.
著者
久武 綾子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.338-341, 1967

以上が本調査対象区の、昭和25~34年における統計結果の第3編であるが、要約すると、<BR>1) 夫は、前婚解消より1年までに約27%、3年までに約60%、再婚している。<BR>2) 妻は、前婚解消より1年までに約10%、3年までに35%、5年までに約55%再婚している。<BR>3) 再婚者の挙式時の年齢階級は、男は30~34才、25~29才の層に多く、両方合わせると40%以上をしめ、女は、25~29才に30%以上あり、30~34才が24%ぐらいで両方合わせると55%近くをしめる。<BR>4) 45才以上の再婚者を累計すると男は23%、女は5.5%で、男は再婚の年齢層の幅が広く、女は狭く集中しているのが特徴である。<BR>5) 挙式時の平均年齢は、夫は約37.2才、妻は30.5才で標準偏差は夫10.43、妻7.43で、夫は妻より年齢層の幅が広いことが、これによっても実証される。<BR>6) 挙式時と届出時の平均年齢の差は、西区の統計では初婚は約0.5才、再婚は約1.1才であった。<BR>7) 再婚者の夫と妻の年齢差は、3~6才夫が年上の場合が多く、挙式時の平均年齢の差は約6.2才で、初婚の3.3才に比べるとその差は著しい。
著者
菊池 直子 佐々木 陽 久慈 るみ子 大野 静枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.871-876, 1986-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

By using the image analyzer, the area, perimeter and shape factor of interthread space of fabrics of used brassieres were investigated. The results were as follows : 1) The correlation between area (A) and perimeter (PE) of matrix was significant. As the sample was worn, the distribution of A-PE extended along the parabolic curve.2) The fluctuation width of shape factor (SF) was in the range from 0.34 to 0.43 for the used sample as well as new ones.3) The fatigue is found frequently on the back center and on the back straps, and little in the both sides.
著者
小出(末久) 真理子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.591-603, 2012

People wore everyday clothes in the mid-Muromachi period, regardless of whether they were male or female. A kosode is a kimono of simple construction; therefore the importance of expression was not so much the ornamental design and pattern as it was the shape or construction. The style of Keichou kosode and Kanbun kosode appeared in early modern times. Shortly after that, some styles of kosode design appeared especially for women of the samurai and the merchant class during the Edo period. Kosode designs with different features are found in a few Keichou kosode; however, there has been no formal discussion of the kosode designs with such features in this period.The purpose of this paper is to examine the development of kosode designs and their expression in the Genre Paintings of the early Edo period. As a result of my research, I have identified four main tendencies:1) Six design styles of kosode can be found in this period;2) Each design had a large accentuated motif;3) The six design styles are related to the styles of Momoyama kosode, Keichou kosode and Kanbun kosode;4) The six design styles have some elements in common.
著者
新谷 寿美子 堀 裕子 山内 知子 山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.271-276, 1975-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

ゼラチン・アガーゼリーについて, 寒天とゼラチンの濃度を各4水準とし, 二元配置法によって実験した. その結果, 次の点が明らかになった.1) 凝固温度はゼラチン濃度 1~3% までは寒天の凝固温度に近く, 寒天濃度の増加とともに高くなる. ゼラチン濃度が 4% になると, 寒天濃度 0.3% ではゼラチンの凝固温度に近くなり, 0.5~0.9% では寒天の凝固温度より低下した.2) 融解温度はゼラチン濃度 1~3% までは寒天の融解温度に近く, 寒天濃度の増加とともに高くなるが, ゼラチン濃度が 4% になると低下する.3) 透過率はゼラチンまたは寒天のみのゼリーの透過率より減少する. 各ゼラチン濃度で寒天濃度の増加とともに低下するが, ゼラチン濃度が 3~4% になると寒天濃度間の透過率の差はきわめて少なくなる.4) ゼリー強度は寒天とゼラチンの濃度の増加とともに大きくなり, 凹みの大きさは寒天濃度の低いほど, ゼラチン濃度の高いほど大きくなる. 軟かさは寒天とゼラチン濃度の増加とともに小さくなるが, 寒天濃度 0.7~0.9%ではゼラチン濃度間の差はほとんどみられない.5) たわみ率は寒天とゼラチン濃度の増加に伴い小さくなる.6) 離漿率はゼラチン濃度の増加に伴い減少するが, ゼラチン濃度 3~4% では寒天濃度間にほとんど差がない.7) 食味の評価が普通以上で, 120 分たっても変形しないゼリーは, ゼラチン 1% に寒天 0.7~0.9%, ゼラチン 2% に寒天 0.5~0.7%, ゼラチン 3% に寒天 0.5%をそれぞれ混合したものである. またゼラチン 1% に寒天 0.5%, ゼラチン 3% に寒天 0.3%, ゼラチン4%に寒天 0.3% のゼリーは形は保っているが変形しやすい状態である.
著者
村山 篤子 川端 晶子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.265-271, 1980-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

卵, 牛乳, 砂糖を用いた攪拌カスタードについて, 卵として卵黄, 卵白, 全卵を使用し, 最終調理温度, 加熱時間の異なったカスタードを調製し, ハーケ社二重円筒形回転粘度計ロトビスコRV3型を用いて, とくに低ずり速度における流動特性について検討を行った.1) 卵黄, 卵白, 全卵を用い, 最終調理温度を78℃, 80℃, 82℃で調製したカスタードについておのおのの粘度を測定した. いずれも最終調理温度が高く, 加熱時間が長くなるにつれて粘度は高くなった. 3種間では, 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に粘度は低くなっている. カスタードはいずれも非ニュートン流体で構造粘性を示した.2) 卵黄, 卵白, 全卵カスタードの流動履歴曲線は高ずり速度においてはずり速度流動化流動を示すが, 低ずり速度ではヒステレシスループを描く. 履歴面積からチキソトロピー特性値を求めたが, 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に値は小さくなっている.3) 流動曲線から降伏値を求めた. 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に降伏値は小さく, また最終調理温度が高いほど降伏値は大となっている.4) 一定ずり速度におけるずり応力-時間曲線から剛性率を求めた. いずれのカスタードもずり速度による大きな相違はない. 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に値は小さくなっている. これは粘度, 降伏値と同様であった.また同種のカスタードでは最終調理温度が高くなるにつれて剛性率は増している.
著者
都築 和代 水野 一枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.212, 2004 (Released:2005-04-02)

目的自分で温度制御して快適な環境を作るという実験においては,高齢者と青年の快適だと感じる温度には差を認めていない。そこで安全面を考慮した温熱環境設計を行うには,高齢者の心理反応のみならず,生理的な加齢の変化に関してのデータ集積を行い検討していくことが必要である。そこで,中等度温熱環境においては,欧米人データが示すように日本人高齢者と青年で温冷感に差がないのかどうか,そして,体温調節反応についても同等とみなして良いのかどうかを検討する。方法60歳以上の健康な高齢者と若年者を対象として,冬期に人工気候室において,気温23℃,25℃,27℃,29℃,31℃の5条件を設定し,相対湿度60%,気流は0.15m/s,壁面はカーテンで蔽い,床にはカーペットをひいたので,平均放射温度=空気温とした。着衣はスエット上下と靴下を用意し,被験者はパンツ(青年女子はブラジャーも)の上に着用した(0.63clo)。被験者は椅子座で約180分間,ほぼ安静状態を保った。高齢者100名,青年100名(男女は同数)が参加し,各気温条件につき,各群10名ずつのデータを収集した。結果中立近傍では温冷感に年齢差を認めていないが,高齢者の方が青年に比べ23℃・31℃では中立側に申告していた。また,皮膚温や口腔温は,31℃では高齢者の方が高く,23℃では高齢者の方が低くかったが,体重減少量には差がなかった。年齢による温冷感の変化は,高齢者の皮膚温反応の変化と一致しており,温熱環境の影響を受けやすいことが示唆された。また,夏期データと比較したところ,青年に比べて高齢者は、冬期においては温感受性を低下させ、夏期においては冷感受性を低下させていることを示唆している。
著者
武田 満す 沖田 富美子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.315-323, 1973-08-20 (Released:2010-03-09)

This study has a double purpose. One is to learn the actual housing situation of the family living in Tokyo in the standardized space provided by Japan Housing Corporation. The other purpose is to collect some data in order to better the living space of Japanese houses.The subject of the present investigation is housewives who live in Kameido, Jindai and Aoyama dwellings in Tokyo. The investigation was carried out at the beginning of March, 1971.Analyses are made to find out housewives' attitudes towards household chores and ways of spending leisure time, together with finding out the way of using house spaces according to their living activities.The results are summarized as follows : 1. The housewives take a great interest in household chores, although they try to cut down the time spent on them.2. About a half of the housewives investigated wish to spend leisure time rather conservatively, for instance by knitting and reading.3. The average length of time for housekeeping is 6 hr and 4 min per day, and this is about a half of “at-home” time. The leisure time is 4 hr and a half, daily.4. At any dwelling, housewives spend most of their time in the dining room and a room facing south. Especially, their stay in the dining room is longer than any other rooms. The dining room is used also for meal preparation.5. Although the housewives investigated in this paper can spend a large portion of their time in the south rooms doing their housekeeping, few of them count the rooms indispensable for the housekeeping among the rooms they want in the south if the area facing south is limited. They rather desire to have living room and children's rooms in the south.
著者
柏木 希介 近藤 憲子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.258-262, 1971-07-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

In spite of long time storage over 1300 years, some of very old dyed textiles still seem to maintain beautiful color. Among others, red colored silk fabrics known as Horyujigire, which are believed to be the product of China in the 7th century, and the red string attached to a famous armor of the 12th century, both maintaining their clear red color, were examined with regard to the dyestuff and color as well.To identify the dyestuff used on these textiles, it is considered to be necessary to extract the dyestuffs directly from the dyed fabrics, not from plant tissue. In view of this we prepared silk cloths dyed with Rubeaceae roots, sapan wood, safflower, Rhizophoraceae wood and Texaceae wood.By paperchromatographic analyses we have found that the above two old fabrics would contain madder or chay root dyes. This conclusion seems to be in agreement with the result of the investigation by means of organic chemistry.Color fastness tests against the sunlight and washing on those cloths also showed that madder was more resistant than the others.
著者
山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.395-402, 1961-11-10 (Released:2010-03-09)
参考文献数
1

(1) 電気自動ホットプレート、鉄板、フライパンを2個重ねたものは、熱容量が大きく温度変化は比較的緩漫である。(2) ホットケーキは加熱器具の焼き面が高温のときに焼くよりも、130~140℃ぐらいのときに生地を流し、180℃をもって焼き上がりとするほうが間違なくよく焼ける。(3) 膨化率は130℃から180℃までの範囲の焼き温度では、温度の高低によってほとんど変化がない。(4) ホットケーキに適度の焦げ色がつく温度は160~180℃である。(5) 材料配合については、各材料が基準量以下のものは概して製品の成績がよくない。(6) ホットケーキの膨化効果に顕著に影響するものはB.P.のほか卵の量の多少で、量の多いほうが膨化が大である。砂糖は15gが最も膨化し、30gになると減少する。一般に行われるように、あとでシロップをかけて甘みを補うほうが合理的である。脂肪は添加すると膨化を減殺するが、味と口ざわりをよくする上には大きな効果がある。その使用量の増加によって膨化率が特に減少することはない。成績の上から10gぐらいが適量である。(7) ホットケーキの生地の流動状態は、小麦粉に水を120~130%加えたくらいがよく、砂糖、脂肪、卵は換水値により、牛乳はその水分を考えて割り出すと基準量では牛乳100~110ccくらいが適量である。(8) 生地は混合直後に焼くのが最もよい。混合後20minで膨化率は直後のものの87%に下がるが、生地の広がり方にはほとんど変りがないから、実用上はこの時間の範囲ならば一時に混ぜ合わせておいてもよい。
著者
長嶋 俊介
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.205-211, 1986-03-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

Household work have to be studied in behavioral sciences. We introduce new stand point of “subjective equilibrium” into the analyses of household work. We consider the applicability of the basic concept of Jevonsean marginal result utility and marginal pain, to household work studies which should contain non-market economy. Multiple steps for the evaluation of household work, such as that by the family members and surroundings, must be introduced to know real value of household work. Out-puts measurability study can combine our analysis. Marginal result utility concept is really effective to the above mentioned methods, both. We can also combine the mental and physical fatigue research to marginal pain concept. Considering the above mentioned results and using some figures, we know what is the difference between real value of and market evaluation of household work.
著者
大浦 律子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.124, 2004 (Released:2005-04-02)

目的:家庭洗濯によって排出される排水は、下水道がまだ完全に整備されていない現状では、河川水への負荷を与えている。環境負荷を低減するための洗浄剤のビルダーとして、酸素系漂白剤の有効利用を試みた。洗浄補助剤としての漂白剤の利用は、近年の除菌習慣の高まりと共に実用されつつあるが、色素汚れの除去にはまだ不十分である。本研究は市販漂白剤入りの洗剤とモデル洗剤との比較を行いながら、漂白剤を配合することによる界面活性剤の減量化を図った。また、酸素系漂白剤の河川水中での分解について検討した。方法:漂白剤入り市販洗剤及びモデル洗剤を用いて洗浄実験を行い、洗浄性を比較した。洗浄実験には湿式汚染布および紅茶汚染布を用いた。洗浄性は洗浄効率の算出、洗浄後の汚染布の分光反射率曲線、蛍光強度の測定により評価した。また酸素系漂白剤の河川水中での分解速度を滴定法により測定し、河川水中への影響について調べた。結果:界面活性剤を10_から_20_%_減量し、この減量分の酸素系漂白剤を配合すると、湿式汚染布の洗浄効率は低下せず、色素汚れの除去率は上昇する。漂白剤配合の市販洗剤では色素除去には特に効果はなく、洗浄による白さは蛍光増白剤に依存していることが確認された。酸素系漂白剤の環境負荷について、河川水中での分解速度はpH、温度ともに高いほど速く、特に過炭酸ナトリウムについては夏季ではかなり速く分解する。界面活性剤の濃度が濃くなるとCOD値も高くなるため、界面活性剤の減量化が望まれ、このための対策の一つとして漂白剤の有効利用が望まれる。
著者
原田 一
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.286-291, 1970-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
30
被引用文献数
1
著者
湯浅 勲 湯浅(小島) 明子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.166, 2003 (Released:2004-05-25)

【目的】アロエは種々の生理作用を有し、機能性食品として注目を浴びている。我々は、昨年度の本大会においてアロエ抽出物の肝傷害保護作用について報告したが、本研究ではアロエの抗ガン作用に着目し、その作用メカニズムについて検討した。【方法】エールリッヒ腹水ガン細胞は10%FCSを含むMEM培地で3~4日間培養した後、実験に供した。アロエ(Aloe Africana Miller/ Aloe ferox Miller/ Aloe spicata Baker混合種)は乾燥粉末を有機溶媒(エタノール、クロロホルム、酢酸エチル、ブタノール)を用いて分離、抽出した後、凍結乾燥したものを用いた。細胞生存率はTrypan-blue法により、DNA合成能は細胞内の3H-thymidine量により測定した。細胞周期はPI染色後、Laser scanning cytometerを用いて解析した。【結果】アロエの各抽出画分における抗ガン作用を細胞生存率およびDNA合成能で評価したところ、クロロホルム抽出画分に最も強い抗ガン作用が認められた。さらにクロロホルム抽出画分の細胞周期に及ぼす影響を調べるためにLaser scanning cytometerを用いて解析したところ、コントロール群と比較してDNA合成期であるS期が顕著に減少し、アポトーシス細胞死の指標であるsub-G1期の増加が認められた。この際、G1期からS期への移行に関係するRbタンパクのリン酸化が抑制されていることが確認された。【結論】アロエには抗ガン作用を有する成分が含まれること、また、その成分はガン細胞におけるDNA合成を抑制することによってガン細胞のアポトーシス細胞死を誘導することが明らかとなった。
著者
加藤 みゆき 田村 朝子 水落 由美子 大森 正司 難波 敦子 宮川 金二郎
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.561-565, 1993-07-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
12
被引用文献数
4

後発酵茶の一種である阿波番茶についてその製造工程中の成分の変化について検討した.浸出液の色については, 製造工程が進むにつれて380nmの比色値は高くなりポリフェノール含量も増加の傾向を示した.しかしカテキン含量は製造工程が進むに従って減少していた.呈味成分であるアミノ酸は, 阿波番茶では減少していた.有機酸としては修酸, クエン酸, 乳酸, 酢酸等が認められた.カフェイン含量についてはあまり変化は認められなかった.