著者
福渡 努 江畑 恵 佐々木 隆造 保苅 義則 紅林 毅久 橋詰 昌幸 柴田 克己
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.265-272, 2005-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

(1) ヒトを用いて, カツオ由来ナイアシン高濃度含有パウダー(カツオパウダー)中のナイアシンの生物有効性について検討した.21~23歳の健康な女子経生8名を対象として, 食事摂取基準を満たす食事を2日間与えた後, ナイアシン51mgを含むカツオパウダー15gを摂取させた.カツオパウダーを摂取した日に, 摂取カツオパウダー中のナイアシンの52%がニコチンアミド代謝産物として尿中に排泄された.カツオパウダー中のナイアシンはニコチンアミド標品に近い, 高い生物有効性を持つことが示唆された.(2) カツオパウダーがストレプトゾトシン(STZ)誘発性糖尿病の予防・改善効果を有するか検討した.5週齢のWistar系雄ラットにカツオパウダー添加食を8日間与えた後, STZ20mg/kg body weightを腹腔内注射し, さらにカツオパウダー添加食を21日間与えた.カツオパウダー摂取によるSTZ誘発性の糖尿病の予防・改善は見られなかった.しかし, STZ誘発性糖尿病によるナイアシン栄養状態の悪化を防止した.
著者
堤 ちはる 永弘 悦子 田中 初美 中島 史絵 吉中 哲子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.5-14, 1998-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
26

キウイフルーツ果汁中のコラゲナーゼ活性の存在を新たに明らかにし, さらにその精製を行い, その生化学的性質について検討し, 以下のような結果を得た.(1) 粗抽出液の活性は果肉部にあり, 至適pHは5.0, 至適温度は60℃であった.このことから, 加熱調理の初期の段階で本酵素は強く作用するものと思われた.(2) 粗抽出液を-20℃で1カ月冷凍保存しても安定であり, 調製直後のものの約89%の活性が保持されていた.(3) 粗抽出液のコラゲナーゼ活性は新鮮重量あたり, いちじく, パパイヤ, 生姜, マンゴーより高く, パイナップルより低かった.(4) ゲルろ過クロマトグラフィーの溶出位置から, 本酵素の分子量は約52kDaと推定された.精製酵素のSDS-PAGEでは約60kDaの位置にコラゲナーゼ活性を有する単一バンドが検出された.(5) 精製酵素のコラゲナーゼ活性は, 100mM のEDTAの添加によって著明な減少は認められなかった.(6) 精製酵素のコラゲナーゼ活性は, HgCl2により阻害され, システインによりその阻害は回復した.このことからSH酵素であることが考えられた.(7) 精製酵素はプロテアーゼ活性を示さなかった.(8) キウイフルーツ1個あたり最低量138μgのコラゲナーゼが含まれていた.

1 0 0 0 OA 古代・中世

著者
市毛 弘子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.453-463, 1986-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
14

It was found by my investigation that the word “Muginawa” meaned “Sakubei” at first, and it changed into “Soumen” in the Edo era. So, I tried to research for its origin, as well as the way of use, and the process of change from Sakubei to Soumen.In China, Sakubei was eaten before 220 A.D. In Japan, some data can be found indicating that it was eaten at the Todaiji Temple in the early days of the Nara era. From these facts, it is supposed that Sakubei was imported from China along with Buddhism, and sold at East and West markets of Heijokyo.In the Heian. era “Sakubei” was very important food in the Imperial Court. It was given to the priests and high society people from the Emperor at the Imperial events.“Sakubei” was served at the first step of dinner table. After ear shell's soup was served to the Emperor it was taken off the table. It came into wide use at the end of the Heian era. High society people had a custom of eating Sakubei on the 7th July according to an old Chinese tradition.From the ancient times on to the 13th century it had been called “Muginawa, ” but in the Middle Age it was very often called “Sakubei.” The custom of eating Sakubei on the 7th July was continued from the end of Heian era to the Middle Ages.On the other hand Soumen became known as food of tea ceremony in the 14th century. It was called “Tenjin, ” which gradually spread wide among priests of temples as their between-meals. It soon became generalized, but Sakubei was not eaten by many people except high society people. It is clear, however, that Soumen and Sakubei were different at all from each other at that time.
著者
古濱 裕樹 牛田 智 山越 さとみ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.389-397, 2005-06-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
13

The effect of temperature and pH on the yields of indigo and indirubin from indoxyl which was generated from indoxyl acetate was examined. In the indoxyl solution of pH 9-10 at 65-85°C, a significant amount of indirubin was produced in addition to indigo. In the case of indigo dyeing using fresh leaves of Strobilanthes cusia, a kind of indigo plants, a purple shade of dye can be achieved by merely heating the dye bath. This was explained by the relatively higher pH of the juice of the plant. In this condition, a yield of indirubin was promoted by heating. The indirubin dyeing consists of two processes, the production of indirubin in the fiber and the penetration of indirubin, which has already been produced in the dye bath, into the fiber. In the case of Polygonum tinctorium, indirubin could be dyed by making a mild alkaline juice from fresh leaves and by heating.
著者
中村 泰彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.67-70, 1990-01-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

アンモニアガスを乾燥小麦の殺菌に利用する場合の小麦粒への吸着・脱離, 抗菌効果, 小麦発芽への影響についてモデル実験を行い, 以下の結果を得た.(1) 小麦への吸着は最初の1~2時間で急速に進み, 10時間でほぼ飽科に達した.吸着したアンモニアは大部分が表層部にあり, 胚乳部への浸透は少なかった。(2) アンモニアを吸着した小麦は空気中に放置することにより徐々にアンモニアを脱離した.しかし, 吸着したアンモニアの一部は揮散せず, 粒内に残留した.(3) アンモニアに曝された小麦はかびおよび細菌生菌数が減少したが, 同時に発芽率も低下した, (4) アンモニアの菌増殖抑制作用は, 吸着したアンモニアを揮散させると消失した.小麦粒の発芽活性はその場合でも完全には回復しなかった.
著者
浜島 教子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.255-261, 1976-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
4

Present study was carried out in order to obtain the information of the relationship between the saltiness and sourness of food. The relationship was examined by organoleptic test using the solution mixture of sodium chloride and acetic acid at the concentrations corresponding to the ordinary food.The saltiness of sodium chloride was intensified by the addition of a small amount of acetic acid. That is, the saltiness of 1-2% sodium chloride solution was enhanced by the addition of 0.01% acetic acid, and that of 10-20% solution was enhanced by 0.1% acetic acid. However, the saltiness of 1-2% sodium chloride solution was reduced by the addition of 0.05% acetic acid, and also that of 10-20% solution was reduced by above 0.3% acetic acid.The sourness in all concentrations was enhanced by the addition of a small quantity of sodium chloride, while it was reduced by the addition of a large quantity.
著者
石井 克枝 境 里美
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.21, 2005 (Released:2005-12-08)

【目的】食生活の洋風化に伴いわが国においてもさまざまなスパイスを使用する調理が多くなってきた。甘い香りのスパイスは味覚に影響を与え、甘味の増強効果が報告されている。しかし、具体的な調理では詳細には明らかにされていない。そこで本研究では、甘い香りを持つスパイスを対象にし、嗜好性と各種調理における甘味の増強効果を調べ、スパイスを利用による砂糖の使用量の減少程度を明らかにすることを目的とした。br>【方法】甘い香りを持つスパイスはアニス、フェネル、バニラ、シナモン、バジル、八角の6種類を対象にした。甘味の増強効果は、一定量の各種スパイスに熱湯を加え3分間抽出し、これに蔗糖5%加えスパイス添加蔗糖溶液とし、5%蔗糖溶液を対照とし、3段階で評価した。調理における増強効果は、ババロア(バニラ)、りんごジャム(シナモン)、クッキー(アニス、バジル)、ナイトーフ(八角)、りんごのコンポート(フェネル)を対象にスパイス無添加のものを対照とし、識別法変法で、3段階評価を行った。【結果】嗜好性はバニラ、シナモン、バジルで高く、八角、アニス、フェネルで低かった。嗜好性の低いスパイスに共通する成分はアネトールである。5%蔗糖溶液に対しての甘味の増強効果はバニラが最も高く、シナモン、アニス、八角、バジルでも高い傾向であり、フェネルでは認められなかった。甘味を感じる時間を測定した結果、スパイス添加により蔗糖溶液の1.5倍から3倍になり持続性が高められることがわかった。各種調理ではすべての調理で甘味増強効果が認められ、砂糖の使用量をバニラでは40%、その他では20%減少できた。
著者
貝沼 やす子 関 千恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.690-697, 1983-11-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
3

1) 炊飯条件としての沸騰に至るまでの加熱速度の相違は, それぞれの炊飯過程や飯の性状に特微をもたらした.2) 加熱速度の速い場合 (S) は加熱に伴う米粒の吸水は遅れるが, 沸騰状態の継続時間は長くなり, この間におこる米粒の変化が著しい.しかし, 急激的に水分の吸収や糊化が行われるために, 均質的な変化は期待できず, かたくて粘りの少ない飯になる.3) 加熱速度が遅い場合 (L) は沸騰に至るまでの時間が長くかかり, 沸騰までにほとんどの水が吸収されてしまうのでいわゆる沸騰期を作る水はなくなる.またゆるやかな温度上昇にあわせて溶出した多量の固形分が米粒の表層に付着しながら徐々に糊化が進むため, 光沢がなく, やわらかい飯になる。4) 沸騰に至るまでの加熱時間が, 約10分の場合 (M) は, 1), 2) の中間的な状態を保ち, 加熱に伴う適量の吸水, 沸騰期の適度な存在により米粒の変化が好ましい状態に進む.5) その他, α化率, 飯の色は, S, M, Lにほとんど差がなく, また, 官能的にも大きな違いはないが, 使用ガス量が少なくてすむことなどを含め, 総合的には, 沸騰までに約10分を設定したMの加熱速度が最も好ましい.
著者
古川 英子 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.246-251, 1980-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
4

糖類を吸湿したときの変化について示差熱分析と熱天秤による重量変化を測定した結果次のことがわかった.1) グラニュ糖は150℃付近から部分的な分解に伴う重量減少が始まり, 185℃付近でショ糖分子の分解と考えられる吸熱ピークがみられた.2) 無水ブドウ糖を吸湿させた試料では初め70℃に吸熱ピークがあり, この領域に重量減少もみられた. この段階で吸着水がはなれたと考えられる. さらに165℃に融解に伴うと思われるピークがみられた.3) 結晶ブドウ糖では, 50~80℃の間で急激な重量減少がみられた. この区間に, 含まれている水分のうち, 比較的離脱しやすい水分が蒸発するものと思われる. 次に80~145℃では重量の変化はなく, それ以後急激に重量が減少したのは, 145℃以後結晶水の離脱によると考えられる.
著者
菊沢 康子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.488-497, 1983-08-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16

家庭用学習机・椅子の使用実態と児童の身体計測結果とをもとに, 児童の机・椅子高さの体位への適合状態について分析を試みた.調査対象は, 福山市立の小学校, 中学校, 高校から各1校と国立大学附属の小学校, 中学校, 高校各1校を選び, 全児童にアンケート調査を行うとともに身体計測を行った.ついでJIsの学校家具の高さ基準を適用して各対象児童ごとに求めた机・椅子の適正高さと, 実際に使用しているそれらの高さとの比較を行い, つぎのような知見を得た.1) 小・中学生および高校生を通じて, 机は小学校入学時またはそれ以前に購入したものを使用しているものが2/3以上を占め, さらにそれらは高さ調節装置をもつものがほとんどであった.一方, 椅子については, 小中学生では, その2/3以上が小校入学時またはそれ以前に購入したものを使用していたが, 高校生ではそれに該当するものは過半数を割り, 途中で買い換えをしているものが机の場合よりも多いことが明らかになった.以上の使用実態は, とくに机の場合は身体の発育段階に応じられる高さ調節機構が是非必要であることを示唆している.2) 机および椅子の高さ調節の実態については, 小・中学生および高校生を通じて約3割のものが過去にまったく高さ調節を行った経験をもっていない.また, 経験のあるものでも小・中学校期の体の発達の著しい時期に1年の間に高さ調節を1回も行ったことのないものが約3割認められた.なお, 調節方法については机と椅子の両方を用いて行っているものが最も多く認められた.3) 調査時に使用していた机および椅子の高さと, 各対象者の身体計測値をもとに算出した適正高さとを比較した結果, 小学生では机・椅子とも高さ過大になっているものが極端に多いことおよび中学生・高校生ではそれらの高さが過大・適正・不足にほぼ3分されていることが認められた.4) 差尺の, 適正値に対する過大・適正・不足に対して, 机・椅子の高さとの関連を調べた結果, 差尺が適正であるものは, 中学生・高校生では机・椅子とも適正高さとなっているものが最も多いが, 小学生では机・椅子とも高すぎるものが最も多くなっていることが認められた.つぎに, 差尺が過大のものは, 小学校高学年, 中学生, 高校生の場合は机が高すぎるため差尺が過大となっているものが最も多かったが, 小学校低学年では机だけでなく椅子も高すぎるものが最も多かった.なお差尺が小さすぎるものは全体的に少なかった.5) 以上の使用実態に対して, 市販の家庭用学習机および椅子の供給状況を見るためカタログ調査を行った結果, それらの調節可能最低高さは, 小学校1年生の身体計測値の平均を用いて算出した適正机高さおよび椅子高さにまで下げうるものは見当たらなかった.以上の結果を総合すると, 家庭用学習机・椅子を適正高さで使用することに対する保護者および児童の生徒の認識が十分でないことが明らかでありこの点の啓発の必要性が認められる.一方, 小学校低学年で机・椅子とも適正高さにくらべて高すぎるものを使用しているものが圧倒的に多い原因には, 市販の机・椅子が適正高さにまで下げて調節できないという机・椅子の高さ調節機構にも一因があることが明らかになった.
著者
富永 暁子 水上 和美 蟻川 トモ子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1133-1138, 2001-11-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
9

梅酒の長期貯蔵における1カ月から12年貯蔵の梅酒と梅果実の遊離アミノ酸, 糖, 酸, pH, 吸光度 (色) について調べ, 以下の結果を得た.1) 梅酒中の遊離アミノ酸量は漬け込み後急速に増加し, 1年貯蔵で梅酒と梅果実の遊離アミノ酸量はほぼ平衡に達した.梅酒中の遊離アミノ酸組成は1年貯蔵でアスパラギンが63%, アスパラギン酸が5%であった.12年貯蔵でアスパラギンは45%に減少し, アスパラギン酸は23%に増加した.2) 梅酒中のショ糖は漬け込みから1年以内に転化が完了した.3) 梅酒の有機酸は1年貯蔵まで増加し, それ以降ゆるやかに減少し, 3年でほぼ一定になった.pHは貯蔵中2.8~3.0であった.4) 梅酒の色は貯蔵が長くなるに従って濃くなり, 吸光度が加速度的に上昇したことで明らかである.5) 官能検査の結果は貯蔵期間が長くなるに従って味が濃くなり, さわやかさがなくなる.3年貯蔵の梅酒が有意に好まれた.
著者
守 康則 北 久美子 宮崎 節子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-5, 1964-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1

1. クロロフィルは熱に対しては比較的不安定にしてとくに70℃以上においてはほとんど分解槌色する。2. クロロフィルはアルカリ性側においては比較的安定性を示し、酸性下においては不安定にして、とくにpH5.0以下においては著しく分解裾色する。3. クロロフィルは光による光分解性がみられ、とくに紫外線による分解能が著しい。4. クロロフィル誘導体であるCu-クロロフィリン-Na、Fe-クロロフィリン-Na、Al-クロロフィリン-Naは温度、光に対して安定性を示し、とくにCu-クロロフィリン-Naは最もその安定性が高い。酸性下では三者とも不安定性を示す。5. クロロフィルに対するクロロフィラーゼの作用は、アセトン溶媒中では、温度25℃、pH8.3附近において最も著しい活性を示す。
著者
荒木 裕子 山本 直子 箕口 重義
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.363-372, 1998-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
26

アスパラガスにおける収穫後の木化現象について調べた. 市場規格 A および B 級に該当する収穫 1 日後のアスパラガス若茎を 15~23℃ の室温で貯蔵し, 0, 3, 7 日後の試料についてリグニン含量の分析, 組織化学的呈色反応, および食味テストを実施した.貯蔵7日後試料のリグニン含量は貯蔵による試料重量減耗を考慮しても対照群試料の2倍以上に達し, また A および B 級試料間のリグニン含量は全試験区間を通じ B 級のほうが高かった.4種の組織化学的呈色反応の観察結果から, 厚壁組織, 維管束鞘, および髄部柔組織の細胞壁リグニンの種類はグアイアシル・シリンギル型, 維管束系組織など, その他の組織のそれはすべてグアイアシル型と推定された.また, 道管と厚壁組織細胞壁へのリグニン沈着は貯蔵開始時から, その他の組織細胞壁への沈着は貯蔵期間後半になって検出された.また, 細胞間に貯蔵後半に生成したコロイド状または, 顆粒状のリグニン様物質はすべてグアイアシル型であった.アスパラガス若茎の貯蔵による木化が, 若茎下部から上へと進行することは, リグニンの分析値と食味テストの結果から明らかであった.
著者
島田 淳子 渡部 繁子 新垣 公子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.704-709, 1973-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4

The correlations of the ratio between materials and cooking temperature for making the “roux” which influences the qualities were examined by their viscosity, color, sedimentation volume, turbidity and taste.As the results, (1) when the taste was evaluated by trained panels, the roux cooked to the temperature up to 130°C was more palatable than that of the temperature 100°C. The roux turned to brown and arouse the roasted flavor by further heating.(2) The cooking temperature of roux showed inverse relations of viscosity, and of the sedimentation volume of pastes which was prepared from this roux, higher the temperature of the roux, lower the viscosity, and smaller in the sedimentation volume. On the other hand, the turbidity of filtrate of these pastes showed the increasing tendency for higher cooking temperature.(3) The changes of viscosity by the alpha amylase digestion was found to be smaller at its high temperature.(4) Acid and iodine values, and the viscosity of butter fat which was separated from roux were tested, and found no remarkable changes in the difference of cooking temperature.
著者
田辺 創一 小川 直哉 手崎 彰子 渡辺 道子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.339-342, 1997-04-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7

タマネギを鉄製のカッターで切断すると緑黒化した.この緑黒変化現象はタマネギの成分と第二鉄イオンがキレートするためであった.鉄とキレートして緑黒変化する成分を単離し, FD-MS, 1H-NMR, 13C-NMR スペクトルデータに基づいて構造決定を行った結果, この成分をケルセチン-4'-Ο-β-グルコシドと同定した.
著者
辻 美智子 舟木 愛美 藤井 恵子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.15, 2015 (Released:2015-07-15)

目的 雑穀はミネラルや食物繊維が豊富であり、食物アレルギー対応食材として活用が期待される。ハトムギは茶や漢方薬として用いられているが、ハトムギ粉を用いた加工食品の開発に関する報告は少ない。そこで本研究では、ハトムギ粉を主原料としたグルテンフリーパンを調製し、製パン性および嗜好性について検討した。 方法 パンの主原料はハトムギ玄麦粉とし、副原料にグラニュー糖、イースト、水を用いてパンを調製した。粉体特性としてアミロース、タンパク質、脂質含量、澱粉損傷度、吸水性、糊化特性、製パン性として色度、比容積、破断特性を測定し、官能評価により嗜好性を評価した。 結果 ハトムギ粉の粉体特性は、最大吸水量に達するまでに約200分かかり、米粉と比べ吸水量は少なくなった。また糊化特性のピーク粘度、最終粘度は、いずれも米粉に比べ低いことが明らかとなった。ハトムギ粉パンは、加水量が増加するほど比容積は大きくなったがきめは粗くなり、最適加水量は80%となった。また品質を向上させるためにオリーブ油を添加したところ、パンの比容積は小さくなる傾向を示し、オリーブ油2%添加時に初期弾性率が顕著に高くなった。官能評価において、市販品のライ麦パンを基準としてハトムギ粉パンを評価したところ、香ばしさ、外相のカリカリ感の評価が高く、総合的に好ましいと評価された。ハトムギ粉を主原料としてパンを調製することができ、嗜好的に好まれることが示された。
著者
治部 祐里 寺本 あい 安川 景子 佐々木 敦子 渕上 倫子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.18, 2006 (Released:2008-02-28)

<目的> 本研究では、玄米・七分つき米・精白米を、100℃・107℃・130℃対応の電気炊飯器で炊飯し、飯の物性測定を行い、玄米をおいしく炊く条件を検討した。また、電気炊飯器・圧力鍋・土鍋で炊飯した飯の官能評価や玄米と精白米の混合飯の好ましい配合割合について検討した。<方法> 本研究では、玄米・七分つき米・精白米を、100℃・107℃・130℃対応の電気炊飯器で炊飯し、飯の物性測定を行い、玄米をおいしく炊く条件を検討した。また、電気炊飯器・圧力鍋・土鍋で炊飯した飯の官能評価や玄米と精白米の混合飯の好ましい配合割合について検討した。<結果> 130℃・107℃対応炊飯器は昇温期(炊飯開始から温度急上昇期に達するまで)に細かく温度調節され、緩慢な温度上昇であったのに対し、100℃対応炊飯器は釜の温度の上下動が大きかった。普通炊きと玄米炊きを比べると、玄米炊きの方が普通炊きに比べ昇温期の緩慢上昇が短く、短時間で沸騰期に達し、沸騰期が長かった。炊飯中の温度は圧力鍋は120℃であった。玄米飯の官能評価は七分つき米・精白米の飯に比べ悪く評価され、七分つき米・精白米の飯は大差なかった。玄米を圧力鍋・電気炊飯器・土鍋の3器具で炊いた飯を比較すると、炊飯直後、2時間室温放置後とも圧力鍋で炊いた飯が最もおいしいと評価された。好ましい配合割合については玄米と精白米を同量の配合割合で炊いた飯が最もおいしいと評価された。
著者
片山 倫子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.73-76, 1993-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
4

塩素系漂白剤の漂白処理浴にリン酸エステル型界面活性剤を併用すると, 低濃度の漂白剤により, 著しく高い漂白効果が得られる. リン酸エステル型界面活性剤を併用すると漂白剤が固相の内部まで十分浸透・拡散することがわかった. この併用処理による綿布の強度低下は全く見られなかった.
著者
関千 恵子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.494-498, 1969-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4
被引用文献数
1

The preceding report (Part 1) was made on sautéed uncooked rice. The present paper gives a report on the experiments of sautéing cooked rice. The result was compared with that of the preceding report. The following facts were observed.(1) The lower the temperature of cooked rice, the easier sautéing at the beginning, but cooked rice of lower temperature requires longer time to reach the serving temperature, and sautéing becomes difficult as rice increases stickiness with time.(2) When the cooked rice is warm enough, it reaches more quickly to the serving temperature, but sautéing is not as easy as with colder cooked rice. If the amount of butter is increased, this difficulty can be avoided.(3) The appropriate amount of butter seems to be from 10 to 20% of the weight of rice.(4) The differences of property between sautéed cooked rice and cooked rice fixed with sauteed uncooked rice were shown clearly in the taste testing, rate of dehydration, Farinogram, amount of fatty substance absorbed into the rice surface, the microscopic observation, and the diffraction pattern of X-ray.