著者
黒林 淑子 河野 恵美 森光 康次郎 久保田 紀久枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.156, 2005 (Released:2005-12-08)

目的 セロリはコンソメスープを調製する際、よく用いられる香味野菜のひとつである。セロリは目的とする風味により、葉・茎部が使い分けられることがある。本研究ではセロリの部位別の香気組成を調べ、それらがスープ風味に与える影響を検証し、調理における使い分けの意義付けを試みた。方法 セロリの葉・茎部はそれぞれ水系で加熱後、水相をエーテル抽出し、SAFE(Solvent Assisted Flavor Evaporation)蒸留装置を用い揮発性成分を捕集し、GC、GC/MS、GC/O測定に供し、成分の分析を行った。一方、動物性素材のみでチキンブロスを調製し、水蒸気蒸留法により得られたセロリの葉・茎部の煮熟香気を添加し、その風味について官能評価を行った。結果 セロリ香気を加えたチキンブロスは添加前に比べ、大きく風味が改善された。その際、葉と茎では風味改善効果の特性に若干違いが認められた。セロリ特徴香に関与する主要成分として3-butylphthalide (1)、Sedanenolide (2)、Sedanolide (3)などのフタライド類が同定されたが、葉中には茎に比べ、特にSedanolideが多く見出された。フタライド(1)および(2)を単独でブロスに加えた場合の効果を評価したところ、種類により風味に与える影響が異なっていた。このことから葉と茎におけるフタライド類の組成の違いが、出来上がったスープの風味の差に影響を及ぼすのではないかと考察された。
著者
澤田 崇子 舘 郁代 遠藤 金次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.747-752, 1993-09-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16

シイタケの加熱調理過程における5'-Nt蓄積におよぼすpHやシ翼糖および食塩添加の影響について検討した.その結果は次のように要約できる.(1) 加熱調理時の5'-Nt蓄積量はシイタケのpHによって異なり, pH6.5前後のとき, 5'-Nt量は最大となった.(2) ショ糖および食塩存在下で水もどし後, 加熱調理を行ったシイタケの5'-Nt蓄積量は無添加の場合に比べ少なかった.(3) ショ糖および食塩の濃度の異なる諸条件で干しシイタケを加熱調理した場合, 加熱終了後の総吸水量および昇温過程における50-80℃の温度域での脱水量と5'-Nt蓄積量との間に密接な関係が認められた.
著者
田中 伸子 岡村 浩
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.587-592, 1989-07-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

唾液中α-アミラーゼ活性の変動要因として日常喫飲する機会の多い紅茶につき検討を加えた結果をまとめると次のようになる.1) 日常われわれが喫飲する濃度に調製した, 各種茶類 (日本茶, ウーロン茶, 紅茶) おのおのの抽出液を直接添加し, 唾液中α-アミラーゼ活性を測定したところ, 紅茶は特異的に活性を低下させることが認められた.2) 唾液中α-アミラーゼ活性低下因子として紅茶中のタンニンが作用しているものと推察された.3) 同一の生茶葉から製造した日本茶, ウーロン茶, 紅茶を用いて比較検討の結果, 活性低下因子としてタンエソの含有量よりもむしろ紅茶製造中に生じた重合度の高い高分子タンニン, すなわち, タンニンの組成が大きく関与していると考えられた.われわれが日常直接口にする機会の多い食品 (各種茶類) が唾液中α-アミラーゼにいかなる影響をおよぼしているのか, 作用する食品側からの検討を試みたわけであるが, 今後はさらに一歩進めて, 影響を受ける側すなわち, α-アミラーゼがなぜ特異的に影響を受けるのか, その活性低下機構につき詳細に検討していきたい.
著者
鍜島 康子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.291-296, 1974-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11

In this treatise, which is based on the previous paper about development of women's readymade dresses in America, I intend to point out the characteristics of costume design in the course of the popularization of the ready-made garments in Japan. As the chief data for research, statistics of garment production are used. Then six articles of clothing are chosen that represent the characteristics in wearing costumes at present. It follows that the industrialization of garments during the years from 1958 to 1969 was influenced by the steady increase in the market of the younger generation who liked 'separates', and their characteristics have affected costume design. Consequently it has lessened the individuality of clothing. Because 'separates' have been in great demand in Japan, this new trend is received easily.
著者
白木 まさ子 貝沼 やす子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.651-657, 1979-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
13

最初に, A法 (卵白のみをおもに起泡する別立て法1), B法 (卵白, 卵黄を別々に起泡する別立て法2), C法 (全卵を起泡する共立て法) によって調製したスポンジケーキの品質について比較検討した.次に, これらの調製方法との関係において, 小麦粉混合のための攪拌の程度およびケーキ生地の放置が焙焼前のケーキ生地の安定性に及ぼす影響を知るため実験を行った.1) A法とB, C法の間に相違がみられ, B法とC法は似た傾向を示す.A法によればケーキのきめは密で均一性にすぐれているが, 比容積が小さく, ややかためとなる.外形は中央部が高い山型で, 表皮の焼き色は黄褐色を呈する.B, C法はきめが粗く, 均一性ではA法に劣るが比容積が大きく, A法に比べやわらかい.外形はなだらかな直線型で焼き色は褐色である.2) (卵+砂糖) 攪拌液と小麦粉を混合するときは短時間の軽い攪拌が望ましい.C法ではさっくり軽く混ぜる程度 (G-Emixer, No. 1で15秒) にとどめるべきであり, A法ではC法以上の攪拌 (G-Emixer, No. 1で30秒) であってもよい.しかし, 過度の攪拌 (G-Emixer, No. 1で1分) になると比重の増加, 粘度の低下が著しい.3) ケーキ生地の放置は, A, B, C法とも40分以内であればケーキ生地の安定性にほとんど影響を与えない.しかし放置60分ではケーキ生地の比重と粘度の増加が認められる.
著者
片平 理子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.65, 2012 (Released:2013-09-18)

目的 シイタケのうまみ成分のグアニル酸(5’‐GMP)は、加熱調理中にヌクレアーゼによるRNA分解により生成され、続いてホスファターゼの作用を受けると無味のグアノシン(GR)になることが明らかにされている。しかし、この2つの酵素以外の5’‐GMPの生成と分解に関与する酵素や代謝経路については、ほとんど報告が無い。本研究では、シイタケの5’‐GMP生成に関係するプリンヌクレオチド代謝経路の全体像を明らかにし、これまで注目されなかった経路のうまみ生成への寄与について検討を加えた。方法 生及び50℃送風乾燥干しシイタケスライスを用いて14C標識したプリン代謝関連物質のトレーサー実験(25℃・4時間)を行い、粗酵素液でプリン代謝関連酵素活性を測定した。結果 生シイタケには、5’-GMPの分解により生じるGRやグアニン(G)がサルベージ(再利用)されて5’‐GMPに再変換される代謝経路が存在した。グアニンヌクレオチドはアデニンヌクレオチドの変換によっても生成されたが、逆は起こらなかった。酵素活性測定結果から、GRは直接5’-GMP には変換されず、ホスホリラーゼによってGに分解されてか ら、GとPRPPから5’-GMP を生成するホスホリボシルトランスフェラーゼ(GPRT)によって5’-GMP に再変換されると推定された。干しシイタケスライスでは、GPRT活性が生と同レベルで検出されたが、トレーサー実験ではGやGRはPRPPを添加した場合にのみ5’-GMP に変換された。干しシイタケでは限られた条件下でのみサルベージ経路による5’-GMP合成が起こると考えられた。
著者
大田原 美保 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.841-848, 1995-09-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
18
被引用文献数
4

米飯の保存中の食味低下, すなわち米飯の老化感の客観的評価方法を検討し, 以下の知見を得た.(1) 官能検査により米飯の老化感を測定した結果, 一般的に家庭で食している米飯 (日本晴加水比1.5) レベルでは, 保存5時間ですでに有意に老化していると評価され, SEMによる微細構造も保存5時間で変化が始まっていた.(2) BAP法による糊化度と老化感の保存中の変化は, 特に保存初期において必ずしも対応しなかった.(3) 物性測定のパラメータを説明変数, 米飯の老化感を目的変数として変数増減法による重回帰分析を行った結果, テクスチュロメータのHと-Hを用いた重回帰式Y (米飯の老化感) =0.86X (H) -3.15X (H) -0.48 (R'2=0.87) によって米飯の老化感を精度良く予測できることが明らかとなった.
著者
松本 〓子 青木 邦男
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.439-449, 1993-06-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
34

5, 6歳児352名 (男児183名, 女児169名) を対象に, 幼児の運動能力に影響する要困について, 運動能力測定および質問紙による調査を実施し, そのデータを数量化I類を用いて分析した.その結果, 以下のことが明らかになった.(1) 男児の運動能力に影響する要因として, 「歩行開始時期」, 「徒競走の成績・母」, 「動作性IQ」, 「遊び回数・母」, 「遊び友達の人数」, 「遊び場所」, 「出生順位」, 「身体活動状況」の8要因が抽出された.この8要因の男児の運動能力に対する重相関係数はR=0.5801である.(2) 男児の運動能力を促進するのは, 早く歩き始めること, 母親の徒競争 (学生時代) の成績がよいこと, 母親の子どもとの遊び回数が多いこと, 多くの遊び友達と広い場所で遊ぶことである.(3) 女児の運動能力に影響する要困として, 「テレビ視聴時間」, 「身体活動状況」, 「遊び回数・母」, 「言語性IQ」, 「歩行開始時期」, 「通園時 (往復) 徒歩時間」, 「出生順位」, 「徒競争の成績・母」の8要因が抽出された.この8要因の女児の運動能力に対する重回帰係数はR=0.5134である.(4) 女児の運動能力を捉進させるのは, テレビ視聴時間が短いこと, 身体活動が活発であること, 母親との遊び (静的受容的遊び) 回数が少ないこと, ある水準以上の言語性IQがあること, 歩行開始が早いことである.(5) 男女とも運動的遊びを含む身体活動量の多さが幼児の運動能力の発達を促すと結論づけられるので, 幼児の日常生活の中に身体活動量を増す機会を意識的に作る必要があろう.
著者
平林 由果 片瀬 眞由美 渡辺 澄子 栗林 薫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.93, 2003 (Released:2004-05-25)

【目 的】制服にローファーを履いて通学する女子高校生の姿をよく目にする。ローファーは歩行に適した靴とは言えない。それにも拘わらず、ローファーを履いている高校生が多いのはなぜだろうか。そこで、高等学校における通学靴の現状を把握するため、生徒指導教諭と女子高校生を対象にアンケート調査を実施した。【方 法】調査1:愛知県下の全高等学校(男子校を除く)218校に調査用紙を送付し(郵送調査法)、通学靴に関する規定の有無とそれに関連する着衣や持ち物などに関しての規定について調査した。調査は2002年7月に実施し、127校(58.3%)から回答を得た。調査2:調査1の結果から、通学靴を指定している高等学校に対し、指定されていることに対する女子高校生の意識を尋ねる調査を実施した(自記式集合調査法)。調査時期は2002年12月、有効回答数は759であった。【結果および考察】調査1:通学靴を「指定している」高校は13%であり、すべてがローファーを指定していた。「規定を設けている」は61%であった。指定や規定を設けている理由としては、「制服との調和」、「高校生らしさ」などが多く挙げられていた。調査2:回答した高校生の67%が指定されているローファーを気に入っていた。指定靴に関して「制服との調和」、「色」は、ほぼ80%が満足していると回答したが、「価格」、「個性の表現」では、50~60%が不満足と回答した。指定靴がない場合でもローファーを履きたいというものは64%を占めており、靴を選ぶ第1の基準が「色・デザイン」であるという高校生の実態と関連していると思われる。
著者
島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.120-124, 1974-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3

アミノ酸が揚げ油の色や匂いに及ぼす影響について検討し, 次の結果を得た.1. アミノ酸添加により大豆油はやや黄色味をおびた.生じた匂いは一般的に生ぐさみをおび, あまり良い匂いではなかった.2. 新鮮油に対するアミノ酸の影響はあまり大きくなかったが, 加熱油の色に対する影響は著しく大きかった.すなわち, 200℃, 5hr撹拌加熱した大豆油で, グリシン0.02%を180℃10min揚げた場合の色の変化は, 新しい油でグリシン2%を180℃30min揚げた場合の色の変化に匹敵した.3. グリシンを油の0.02~0.5%揚げた加熱油は, その量の増加および温度の上昇に伴い著しく褐変が進み, 強い匂いとなり, 油中の2-ヘプテナールの割合が減少した.4. アミノ酸による着色の著しい油ほど, 油中の2-ヘプテナールの減少が顕著であった.
著者
笹倉 栄恵
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.160-165, 1970-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

Comparative studies on top note (the first impression of scent) of eleven kinds of black tea sold on the market were carried out. Aroma patterns were obtained by cryogenic vapor phase chromatography and acceptability was judged by organoleptic test. Correlation between prices and acceptability was also discussed. Comparing aroma patterns with acceptability of eleven kinds of black tea sold on the market, it was con cluded that linalool, n-pentanol, iso-pentanol, acetaldehyde, dimethylsulfide and ethylacetate contributed to the acceptable top note of black tea. It also was made clear that flavor-enriched black tea was easily recognized by cryogenic vapor phase chromatography because its aroma pattern was distinctively different from that of no-flavor-enriched black tea. The prices do not always guarantee the acceptability of black tea.
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 佐々木 弘子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.153-160, 1997-02-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2

鶏骨スープの調製法の迅速化・合理化・実用化を目的に, 食品の新しい処理方法として加熱過程に超音波照射を併用した熱水抽出法を試み, 鶏骨スープ (鶏骨20%濃度) の溶出成分と嗜好性の関係を調べ, 好適な調製条件を検討した.(1) 鶏骨スープの色調は経時的に明度の値が低下しこの傾向は照射ありのスープが顕著に低くなり, 色相のa値, b値では抽出温度および照射の有無で, 相違が認められた.(2) 鶏骨スープ中の抽出成分では照射ありの試料が照射なしの試料に比べ全エキス, 総窒素, ヒドロキシプロリンの含量がやや多く, また80℃・98℃設定は60℃設定に比べ溶出量が多かった.(3) 遊離アミノ酸量では照射ありの場合は30分間でグルタミン酸, アラニン, グリシン, セリンなどが大幅に増加し, 5'-IMPの溶出でも照射30分間で最大となり, 以後下降する傾向を示した.(4) 官能検査で高い評価を得た鶏骨スープは, 98℃設定の照射ありの30分間処理であり, 旨味成分などの理化学的測定値とよく対応した.(5) 超音波照射を併用した調製法は, 対照の照射なしの調製法に比し抽出時間が1/3に短縮され, しかも良質なスープが得られ有利であることが示唆された.
著者
土肥 沙有里 飯島 久美子 香西 みどり
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.165, 2012 (Released:2013-09-18)

目的 真空調理法は食品を調味液と一緒にフィルムに入れ、減圧状態で包装してから加熱する調理方法であり、煮崩れしにくく、味がしみこみやすいと一般的にいわれているが、基礎的な研究に関する報告は少ない。そこで本研究では、減圧処理が食品に及ぼす影響を明らかにするために、種々の検討を行った。方法 試料としてダイコンを用いた。真空包装機による真空包装試料、真空デシケーターによる減圧処理試料(0~0.8 atm)を調製し、対照を大気圧試料として、真空包装後に加熱した試料の硬さ、生試料中央部の切片における生細胞率、密度測定による空隙率、生および加熱試料における調味液(食塩水、しょうゆ溶液)浸漬後の食塩濃度の測定を行った。結果 真空包装し20℃で2または4時間放置後に沸騰水加熱をした試料でわずかな硬化傾向が見られた。各減圧処理および処理後1~5日間の4℃保存による生細胞率の明瞭な変化は確認されなかった。減圧処理による試料の空隙率の明瞭な低下は見られなかった。加熱後に食塩水中で0 atmの減圧処理した試料では、浸漬10分で外側において対照よりやや高い食塩濃度を示したが、適度な濃度となる30分以上では差がみられなかった。試料と同量のしょうゆ溶液と共に真空包装した試料および10倍量の同液中に浸漬した対照試料を95℃で加熱すると、少ない調味液量の真空包装試料は調味液が十分な対照試料より低い塩分濃度を示した。以上より、減圧処理による細胞膜の損傷はわずかであり、調味液中の食塩拡散の明らかな促進は認められなかった。真空調理法は成分の溶出と煮崩れが防止できるため、少量の濃い調味液で加熱することで、より効果的に利用できることが示された。
著者
中里 トシ子 宮崎 一恵 吉松 藤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.223-228, 1984-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

かき卵汁の清澄度について検討した結果を要約すると次のとおりである.1) 水を用いたかき卵汁と煮出し汁を用いたかき卵汁の清澄度は, しょうゆを加えた汁以外のかき卵汁では, 煮出し汁を用いた場合に清澄度が高いことが危険率1%で認められた.水を用いたかき卵汁の清澄度は, 食酢を加えた汁が最も高く, 調味料無添加の汁が最も低い.煮出し汁を用いたかき卵汁の清澄度は, 食酢を加えた汁が最も高く, 食塩, しょうゆを加えた汁は無添加の汁より低い.2) 卵濃度5%のかき卵汁では, 食塩濃度が増加するにしたがって清澄度が低く, 卵濃度を10%にしたかき卵汁では, 食塩濃度1%の汁の清澄度が高い.3) 汁の中に卵液を加えるさい, 卵の加熱温度が高くなるに従って清澄度は高い.4) 卵黄のみを用いたかき卵汁では, 98℃前後で加熱しても汁全体が白濁して清澄度が低い.卵白のみを用いたかき卵汁は, 清澄度が高く, 80℃で加熱した場合でも全卵で98℃前後で加熱したかき卵汁の清澄度とほとんど同程度である.5) 産卵当日の卵は, 清澄度にばらつきがみられるが, 産卵後7日前後経過した卵を用いた汁の清澄度は高く, 安定している.6) かつお節使用量1%より2%の煮出し汁を用いたかき卵汁のほうが清澄度は高い.

1 0 0 0 OA 古着について

著者
松本 幸子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.237, 2015 (Released:2015-07-15)

■目的 古着の意味は、過去に着用されたことのある服飾品の総称である。古着は他の人と違う個性あるファッション表現と格安であることから、若者の間で着用する人が増えている。現在どのような古着が売れているかを店舗商品の傾向と若者の古着に対する意識を調査し、どの程度取り入れられているかを明らかにすることを目的とする。■方法 現在古着の店舗がたくさんあると言われている中で、高円寺、下北沢、原宿、中目黒、町田、渋谷が古着店舗の地域が有名とされている。そこで今回は、高円寺と下北沢に加え、地元である町田の店舗調査を行った。方法として、店内のコーディネートとそれぞれのお店の特徴と売れ筋商品の聞き取り調査を行った。更に古着に対しての意識調査をアンケート調査よって収集し検討することとした。■結果 店舗調査の結果、高円寺店舗は、チェック柄やギャザー、フリルなどの可愛い系が目立ち、下北沢店舗は、ビックシルエット系が多く、町田店舗は、あまり特徴がなかった。共通点として挙げられるのは、重ね着とロング丈のスカートが多いことであった。アンケート結果では、古着のイメージとして、1・2・3位は「個性的である」・「安い」・「オシャレ」となった。他の選択肢であった「着こなすのが難しい」「古ぼけている」といったマイナスイメージはとても少なく、古着に対するイメージはプラスのものが多く、日常生活に活用されている割合が多いことがわかった。
著者
河原 咲子 萱島 知子 松原 主典
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.69, 2014 (Released:2014-07-10)

目的 これまで我々は、シソ科ハーブのローズマリーの機能性成分であるカルノシン酸とカルノソールが血管新生を抑制することを明らかにした。血管新生はガンの進行に関与していることが知られている。今回は、卵巣腫瘍細胞に対するローズマリー成分の効果として、細胞増殖とガン進行の因子であるストレスホルモン刺激に対する影響を明らかにすることを目的とした。 方法 卵巣腫瘍細胞(SKOV3)を用い、ローズマリー成分であるカルノシン酸、カルノソール、ロスマリン酸、ミルセンを培地に添加し、一定時間培養後、Cell Counting Kit-8を用い吸光度を測定し細胞数を測定した。またカルノシン酸添加後、ストレスホルモンであるノルエピネフリン添加により刺激を与え、一定時間培養後、上清中の血管内皮細胞増殖因子VEGF量をELISA法にて定量し求めた。 結果 SKOV3の増殖については、コントロールと比較しカルノシン酸添加により、25 µMで50%程度、50 µMで10%程度にまで抑制された。同様に、カルノソール添加によりSKOV3の増殖は有意に抑制された。ストレスホルモン刺激に対する影響については、ノルエピネフリン添加でSKOV3の増殖は増大し、これはカルノシン酸添加により抑制された。また、ノルエピネフリンによるVEGFの増大も、カルノシン酸添加により抑制された。
著者
中西 央 小野瀬 裕子 草野 篤子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.1185-1198, 1998-11-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
17

第3章人権条項のうち「男女平等」と「教育の機会の平等」を中心にベアテが第一次案として起草した条項の生成過程を考察してきた結果を以下にまとめる.(1) GHQ内における草案の作成第一次案の作成を担当することになったベアテは, 10年に及ぶ在日経験から憲法で女性の権利を明確にしておく必要性を認知していた.具体的には, 以下の内容を起草している.「法の下の平等」「家庭における男女平等」「家制度の廃止」「母性保護」「既婚・未婚の差別禁止」「嫡出子・非嫡出子の差別禁止」「長子相続権の廃止」「教育の機会の平等」「児童への無償医療制度」「学齢期の児童及び青少年の常勤的雇用禁止」「男女雇用機会均等」「男女同一価値労働同一賃金」「社会保障制度 (生活保護) 」「著作・特許権」等である.その後, 簡潔・原則主義のGHQ内での検討・修正によって, 多くの条項が削除・統括される.ただし, 「法の下の平等」「家庭における男女平等」だけはほぼそのままの形で残り, その他「教育の機会の平等」「社会保障」「勤労の条件に関する基準の設置」が残る.しかし, 削除された中には, 後に法制化の課題として残ったものもあり, ベアテの先進性がわかる.(2) マッカーサー草案から日本国憲法に至るまで次にGHQと日本政府の折衝の結果, 修正が行われた.「家庭における男女平等」について日本側は抵抗を示したが, 通訳としてよく働き好感をもっていたベアテの起草と聞き, 残すことになる.ここにベアテが同席していたことは重要であった.帝国議会では, 「個人の尊厳」に基づく人権意識は希薄で, 議員の多くは戸主権の廃止に危惧感を示した.ベアテが起草していたものと同じ「母性保護」規定を求める提案があったが却下されている.(3) 日本国憲法制定に伴う動きと現在日本国憲法が制定され, その24条が, 個人の尊厳と両性の本質的平等に基づく婚姻を家族の出発点としたことで, 「家」制度を規定していた明治民法, 刑法の規定が改正された.今なお残る課題の中で, 「非嫡出子の差別の禁止」「男女同一価値労働同一賃金の原則」については, ベアテがGHQ第一次案で起草しカットされた条文と重なり, ベアテの先進性がわかる.(4) 第3章人権条項の推移GHQ第一次案として起草された第3章人権条項が, どのように修正され, 統括され, または削除されて日本国憲法となったかを系統的に整理し, 図によって提示した (図1).ベアテ起草条項の文言が日本国憲法になるまでを整理し, 表によって提示した (表 1).以上のように日本国憲法の第一次案の起草にベアテが携わったことで, 第24条, 第26条等が盛り込まれ, 「家族」「両性の本質的平等」「児童」という言葉が使用される等, 民主主義日本の出発にあたって, ベアテの果たした役割の大きい事がわかった.
著者
寺元 芳子 塩田 育子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.384-388, 1966-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

1. 完全糊化した澱粉糊は半糊化のものにくらべ、粘弾性、ゲル化速度が大で調理操作可能範囲が狭い。したがって、くずざくらは半糊化の澱粉糊で、あんを包み蒸して完全糊化させる方がよい。2. 半糊化にする方法は全体を半糊化にするよりも一部を完全糊化させ、残りを懸濁液のままで混ぜ合わせる方が調製しやすい。ただし馬鈴薯澱粉糊は流れやすいため、全体を半糊化にする方がよい。3. 単独澱粉では次のような欠点が認められる。くず澱粉…手に付着しやすい。馬鈴薯澱粉…流れやすく成形しにくい。玉蜀黍澱粉…くず澱粉に類似している。4. 単独澱粉の欠点を補うために澱粉を混合して用いることは効果がある。混合割合は、くずと馬鈴薯澱粉、玉蜀黍と馬鈴薯澱粉とも3:1がくずざくらに対しては実用的配合と考えられる。
著者
河村 フジ子 松崎 紀子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.270-275, 1974-07-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7

牛乳の熱凝固におよぼすキャベツ汁の影響をみた結果を要約すると次の通りである.1) キャベツの生汁は, 牛乳を凝固させやすく, 次に加熱汁, 加熱浸出液の順であった.2) キャベツは産地によって成分, 緩衝能に個体差がかなりあり, 汁にした場合のpHが低く, CaおよびMgの多いもの程牛乳を凝固させやすい.3) 緑色部の多いキャベツは, 汁のpHが低く, Ca およびMgが多く含まれているので牛乳を凝固させやすい.4) キャベツは, 包装して貯蔵すると鮮度が保持できて, 牛乳を変化させにくい.5) キャベツを煮る時, 細かく切ると, 短時間に成分が溶出し, ふたをして煮ると酸がふえて汁がにごり, 食塩を加えて煮ると, 酸は少ないがpHが低下し, Ca, Mgの溶出量が増加し, 汁の透明度は増す.6) キャベツ汁に牛乳を加えて加熱する時, 90℃以上で長く加熱すると, 牛乳は変化しやすい.