著者
高原 世津子 野間 俊一 種村 留美 上床 輝久 種村 純
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.251-258, 2005 (Released:2007-03-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

欧米で広く推奨されている学習方法であるPQRST法は, Preview, Question, Read, Self-Recitation, Testからなり, 他の記憶ストラテジーに比べ有効であることが示されている。今回われわれは, 両側側頭葉前下部, 前頭葉眼窩面に広範な脳内出血を認め, 受傷後7ヵ月半を経過した健忘症患者にPQRST法を用いた記憶訓練を施行し, 良好な結果を得たので報告する。PQRST法は本来言語的手がかりを使用するが, 今回は, 症例に相対的に残存していた視覚性記憶もあわせて利用した。PQRST法は記憶障害患者に深い情報処理を促し, 文章の理解と保持を促進したことが示唆された。また, Baddeleyらによってその有効性が確認されている, 誤りなし学習法についても検討し, それが追認された。また, 学習時にのみ示していた軽度保続に対しても, 誤りなし学習が有効であることが示唆された。約2ヵ月の治療的介入の結果, 検査成績の向上とともに, 実際の生活場面においてもエピソード記憶が改善し, 症例は社会復帰を果たした。
著者
Nasution Asnawir 村岡 洋文 Rani Mawardi TAKASHIMA Isao TAKAHASHI Masaaki AKASAKO Hideo MATSUDA Koji BADRUDIN Muhammad
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.87-97, 2002
被引用文献数
1 1

フローレス火山弧の溶岩類は玄武岩からデイサイトの組成範聞をもつが,とくに安山岩に卓越し,ソレイアイト岩系ではビジョン輝石,カンラン石を,カルクアルカリ岩系では角閃石や黒雲母を斑晶とし て合む.化学的には,広い範囲のSiO<sub>2 </sub>(51ー67 wt.%)およびAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub> (14-20 wt.%)合量と低いTiO<sub>2</sub> (<1 wt.%)含量を示し,比較的高いRb,SrおよびBa含量を示す. これらKグループ元素はべニオフ帯の深度の増大につれて増加する. ソレイアイトからカルクアルカリ溶岩にかけてのストロンチ ウム同位体比は0.7042-0.7045であり,これも島弧を横断して沈み込むスラブの深度に比例していると推定される. フローレス島の地熱有望地域は若い安山岩や玄武岩の火山地域に位置し,標高500-1000 m にあって,火山活動後の断裂と断層や,カルデラ構造に伴う. 湧出熱水は広い化学的タイプを示 し,硫酸塩型,塩素型,重炭酸塩型に分けられる.硫酸塩型は主に噴気に伴って,高い火山地域 (標高 700-1100 m)に位置し,表層におけるH<sub>2</sub>Sの酸化を示す(Ulumbu, Mataloko, NageおよびSokoria). 重炭酸塩型熱水はLangagedaやSokoria2のように火山中腹 (標高400-700 m)に位置する. 中性塩素型熱水は低い火山地域 (標高5-600 m)に位置し,温度210-280 ℃の地熱貯留層からのアウトフローを示す.地熱井はUlumbu とMataloko地熱有望地域でそれぞれ700-1800 mと200m の深度まで掘削されているが,200から240°C の地下温度を示し,その高い硫酸塩濃度が蒸気卓越型に伴うことを示している. 同様の型はSokoria地域にも期待される. 他方,高塩素型の地熱有望地域はおそらく熱水卓越型か混在型を示すのであろう (Wai Sano, Wai Pesi, Jopu, LesugoloおよびOka).
著者
村元 隆行
出版者
岩手大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

牛パティの粗脂肪含量とインピーダンスとの関係を示す回帰式を用いてインピーダンスから牛パティの粗脂肪含量が推定可能であることが示された.この回帰式を用いてインピーダンスからパティだけではなくステーキの粗脂肪含量も推定可能であった.牛肉の最大荷重およびガム性荷重は屠畜後4および6日目が屠畜後2日目に比較して有意に低かった.筋線維に対して垂直方向のインピーダンスは,屠畜後6日目が屠畜後2日目に比較して有意に低かった.牛肉テクスチャーの違いはインピーダンスから非破壊的に推定できる可能性が示された.
著者
渋川 祥子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.92-99, 1976-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

圧力鍋による白米の炊飯について検討し次の点が明かになった.1) 予備浸水した米に126%の水を加え, 内鍋を使用し外鍋に180ccの水を加え, ノズルから蒸気が出はじめるまで強火, それ以後弱火で5分程度加熱し, むらし時間15分程度で炊飯できる.2) 圧力鍋炊飯は, ガス自動炊飯器による場合と比較しガス消費量, 所要時間とも, 特に利点はなかったが, 電気釜炊飯に比較し所要時間は短い.3) 圧力鍋による飯は, 粘りが強く黄味をおびている.圧力鍋は高温加熱のため, でんぷんのα化が十分に進み老化も起りにくい. また, 飯粒周囲部の組織が崩壊し付着するでんぷん量も多いため, これらが粘りの原因と考えられる.4) 内鍋を使用しない場合は, より粘りの強い, 飯粒中の水分のより不均一な飯になり炊飯方法として適当でない.5) 圧力鍋による炊飯の特長は, 硬質米よりも軟質米でより現れる. 粘りの強い米の圧力鍋炊飯は, ねばりが強すぎて好まれないため, 圧力鍋炊飯はねばりの少ない古米や硬質米の炊飯に適する.
著者
高木 安雄
出版者
The Health Care Science Institute
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.25-40, 2001
被引用文献数
1

高齢者医療制度の創設を患者の立場から考えるひとつの論点として,高齢者のターミナルケアについてこれまでの取り組みと医療費に及ぼす影響などを考察した。日本で報990年代以降,終末期ケアでのホスピスなどが導入されつつあるが,国民の間に定着したものとはいいがたく,緩和ケア=ホスピスを選択する一般国民の意識は医師・看護職より低い。そして,診療報酬による「緩和ケア病棟入院料」「在宅末期総合診療料」などの経済的誘導も,がん患者や在宅高齢者の増加に対して大きな影響をもつものとはなっていないことも指摘した。<BR>また,医療費に占める終末期医療の比重は,それほど大きなものではないことを強調して,高齢者のQOLの向上とそのための適正な資源配分が重要であることを明らかにしている。そして,今後の課題について,(1)高齢者のターミナルケアは,現実の混迷と高齢者の意思がなかなか確認できないこともあって,極端な議論に走りやすく慎重な議論が必要である。(2)ターミナルケアよりも社会的入院を含んだ高齢者の長期療養による医療費増加が問題なのであり,長期療養における高齢者ケアのあり方,そして資源配分=診療報酬支払い方法の見直しが優先されるべきであり,夕一ミナルケアの議論はその次になされるべき課題である。(3)高齢者医療制度は長い人生を生きた高齢者の多様な健康感・死生観にどう答えていくのかという課題を抱えており,画一的・平等というこれまでの制度構築の発想では対応できず,困難な課題解決を迫られている。
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第6巻 (風雲天満双紙), 1934
著者
森 傑 舟橋 國男 鈴木 毅 小浦 久子 木多 道宏
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.23, pp.71-76, 1998-10-31 (Released:2012-08-01)
参考文献数
4

Actually, how do ordinary people decide their housing?(“By whom...?”“Which type of dwelling...”“What are it's criteria?” etc.)This study aims to describe the structure of actions in production of order-made detached houses. People do act in their housing by changing their conceivable facts and indirect experience from their neighbors (for example, past relocation of housing, visit to housing exhibition, talk with acquaintance and consultation with professionals or salespeople) into their own objective reality rather than wide and more ubiquitous information.
著者
加藤 学陽
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科内『法学政治学論究』刊行会
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.116, pp.175-209, 2018

一 はじめに二 近代日本における学位令の制定と展開 (一) 歴史的概観 (二) 明治二○年学位令の制定三 明治二○年学位令下の法学博士 (一) 法学博士授与の顚末
著者
加藤 学陽
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科内『法学政治学論究』刊行会
雑誌
法學政治學論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.119, pp.237-273, 2018-12

一 はじめに二 明治期における日本人ドクトル・ユーリスの存在 (一) ドイツにおける,,Dr. jur.'' (二) 明治期の日本人ドクトル・ユーリスの全体像三 日本人ドクトル・ユーリスたちの歴史的意義 (一) 「第一期」 : 立法的摂取へ関与したドクトル・ユーリス (二) 「第二期」 : 帝国大学法科大学体制確立期のドクトル・ユーリスたち (三) 「第三期」 : 私学の法学教育の充実とドクトル・ユーリス四 むすび

1 0 0 0 OA 唱歌:四条畷

著者
大和田 建樹[作詞]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1935-06
著者
いれいたかし著
出版者
朝日新聞社
巻号頁・発行日
1982
著者
Miyume Tanji
出版者
Routledge
巻号頁・発行日
2006
著者
友近 晋 今井 功 TOMOTIKA Susumu IMAI Isao
出版者
東京帝國大學航空研究所
雑誌
東京帝國大學航空研究所報告 = Report of Aeronautical Research Institute, Tokyo Imperial University
巻号頁・発行日
vol.12, no.146, pp.69-128, 1937-02

水上飛行機が海面上を滑走してゐる場合,或は海面の極く近くを飛行してゐる際に,海面が飛行機の揚力に相當大きい影響を及ぼすことが知れてゐる.實際,數年前英國のFelixstoweに於いてなされた實物飛行機による試驗の結果は,水上機の最大揚力が海面の影響によつて約10%も増加することを示してゐるのである.この樣な揚力に對する海面の影響を理論的に研究することは興味あることであるが,この現象を満足に説明し得る理論は今までに提出されてゐない樣である.普通の所謂渦理論の如きは到底うまくこれを説明し得べしとも思へない.本論文では,一つの試みとして,純粋な流體力學的の一問題を研究し,その結果を水上機の揚力の問題に應用することを試みてゐる.先づ,一つの自由表面を持ち且つ半無限大に擴がつてゐる二次元的の流れの中に一つの平板を置く場合,その平板の受ける揚力は如何といふ流體力學的問題を考へ,その揚力を嚴密に計算した.但し,この場合,自由表面は平板の下方に於いて流れを限界してゐるものとした.次に,平板の迎へ角及び平板と自由表面との間の距離を色々に變へて,平板の揚力が自由表面のために如何に影響されるかを詳しく數値的に研究したものである.この樣な問題は一つの理論的の問題としても興味があると信ずるものであるが,又冒頭に述べた水上飛行機の揚力に對する海面の影響といふ實際的の問題にも密接に關聯してゐると考へられる.即ち,若しも海水が靜止してゐるものと假定し且つ重力を無視するならば海水中の壓力は到る處一定であり,從つてその場合には海水とその上の空氣との境界である海の表面は一つの自由表面を形成すると考へることが出來る故に,吾々の研究した理論的の問題は,かゝる假定の下に於いては,水上飛行機が海面上を滑走する場合,或は海面の近くを飛行する場合の條件とよく似て居て,平板は即ち飛行機の翼に對應し,自由表面は海面に對應することになる.從つて,吾々の問題から得られた結果を,大きい誤なしに,實際問題に應用することが出來ると思はれるのである.本論文に於ける色々な詳しい數値計算の結果を適用すると,水上機が海面上を滑走するか,又はそれの極く近くを飛行してゐて,翼と海面との間の距離が翼の幅と同程度の大いさの場合には,翼の最大揚力は海面のために約6%増加することが理論的に豫想される.この理論的結果は前述の實物試驗の結果と比較さるべきものであつて,吾々の理論的問題では流れが二次元的であるに反し實際の場合には三次元的である故に完全な一致を期待し得ないのは當然であることを考慮すると,理論の結果と實際とはかなりよく合ふと云つてもよいと思はれる.