著者
堤 英敬 上神 貴佳 稲増 一憲
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、有権者と政党の関係が希薄化した政党脱編成期において、両者の関係を再構築する役割を担うと期待される投票支援アプリケーション(VAA)の効果を検証し、その可能性と課題を探ることを目的としている。平成28年度には、VAAの効果に関する2つのサーベイ実験を実施した。第1に、7月に実施された参議院議員選挙において、VAAの利用に期待される効果を検証することを目的としたサーベイ実験を実施した。具体的な実験方法としては、クラウド・ソーシングで募集した本調査への協力者ならびに研究組織のメンバーが所属する大学の学生を対象として、ランダムに選ばれた人たちに参院選前にVAAを使用してもらい、VAAを使用しなかった人との間に(参院選後の調査で尋ねた)参院選での投票参加や、参院選前後における政治意識、情報接触パターンに差異が生じるかを確かめた。VAAを利用することで情報コストが軽減され、投票者が増えることや、新たな情報を得ることで、政治への関心や政治的有効性感覚が高まったり、政治情報の取得に積極的になったりすることを予測していたが、実験の結果は必ずしもこうした予測とは一致しないものであった。第2に、VAAが利用者に対して政党の政策的立場に関する正確な情報を提供できる点に着目し、その効果を測定するサーベイ実験を行った。具体的には、調査会社のモニターを対象としたインターネット調査において、一般に認知度が低いと考えられる2つの政策争点における自民党、民進党の政策的立場をランダムに選ばれた調査回答者に提示し、それ以外の回答者との間に、政党に対する好意度や政治的有効性感覚、政治情報の取得の積極性に違いが見られるかを検証した。結果としては、政党の政策情報を示された人の方が若干ではあるが、むしろ政策情報の取得に消極的になるとの結果が得られた。

1 0 0 0 OA 丹鶴叢書

著者
水野忠央 編
出版者
中屋徳兵衛[ほか]
巻号頁・発行日
vol.[102], 0000
著者
大石 裕
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.399-424, 2004-12

根岸毅教授退職記念号一 問題の所在二 言説分析の批判性 : 合意、正当な論争、そして逸脱三 水俣病に関する新聞報道 (一) 出来事の物語化とニュース・バリュー : 対立と紛争 (二) 出来事の物語化とニュースの物語① : 紛争の発生―展開―終結 (三) 出来事の物語化とニュースの物語② : 報道の中立性、そして客観報道との関連で四 「潜在化(non-event, non-issue)」する水俣病 (一) 「地域振興」という物語、そして儀礼としての選挙 (二) 「中心=われわれと周辺=彼ら」という物語五 結び

1 0 0 0 OA [懐中暦]

巻号頁・発行日
vol.[6], 1819
著者
山田 雄二 Primbs James A.
出版者
朝倉書店
雑誌
ジャフィー・ジャーナル:金融工学と市場計量分析
巻号頁・発行日
vol.11(市場構造分析と新たな資産運用手法), pp.125-152, 2012-03

一般に,株式価格はランダムウォークに従い,将来の価格を予測することはできない.一方,同業同規模の企業の銘柄など,株式価格が一定の差(スプレッド) を維持しながら推移するような値動きが,市場において観測されることがある.このような株式価格における現象は,共和分性として特徴付けることができる.株式価格のペアが共和分する場合,スプレッドは平均回帰性をもつ.従って,一時的にスプレッドが平均を上回る(あるいは下回る) ような状況が生じても,いずれは平均的な水準に収束することが期待される.さらに,共和分ペアが複数存在すれば,これらを利用したポートフォリオ最適化問題を考えることができる.本論文では,このような共和分性をもつ株式価格のペアを抽出し,複数のスプレッドを利用して最適ポートフォリオを構築する手法について検討する.最適ポートフォリオについては,離散時間設定における条件付き平均・分散最適化問題, および,連続時間設定における動的最適化問題の2 つの問題設定の下で計算し,実データを用いてシミュレーションを行う.さらに,離散時間設定の最適ポートフォリオに対し,取引コストやパラメータ推定期間の影響について考察する.
著者
宗平 順己
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2018年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.291-294, 2018 (Released:2018-12-25)

ディープラーニング登場によりAIの適用が急激に拡大してきており、様々な企業が導入にチャレンジしているが、実際には導入以前にはわからなかった課題に直面していることが多い。本論では論文等で議論されている人工知能導入の課題を整理したうえで、筆者が実際に直面した課題との相違点を明らかにし、今後の研究課題を提言する。
著者
山室 真澄 鑪迫 典久
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

市販の柔軟剤4製品を最適化した方法で分析した。各社ともほぼ同じ香料を組み合わせて使用していた。同じ方法で千葉県の人工河川の河川水を使って分析したところ、標準試薬にある12成分のうち10成分の人工香料が検出された。このことから、最適化した方法で環境水中の香料成分を検出できることが分かった。環境水にマイクロカプセルの形で拡散している場合、環境水を濾過して懸濁物を接触する二枚貝がマイクロカプセルを取り込んでいる可能性がある。そこで西日本の汽水湖沼および首都圏の感潮河川で漁獲されたヤマトシジミを提供いただき分析したところ、柔軟剤から検出された香り成分と似た組み合わせで人工香料が検出された。
著者
舩橋 晴俊
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.4-24, 2006-06-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
28
被引用文献数
1

「理論形成はいかにして可能か」を問うためには, まず, 理論の役割とは何か, 理論の基本性格をいかに分類するかを考える必要がある.理論の役割には, 「規則性の発見と説明」「意味の発見」「規範理論の諸問題の解明」の3つがあり, 社会学理論は, 基本性格の差異に注目するならば, 「中範囲の理論」「基礎理論」「原理論」「規範理論」「メタ理論」の5つに分類することができる.理論形成を支える諸要因として, 学説研究, 実証研究, 問題意識と価値理念, メタ理論的な信念, 他の研究者との相互作用, 現実の社会問題との直面を提示できるが, これらが理論形成において果たす作用の比重は, 理論のタイプによって異なる.中範囲の理論や特定領域の基礎理論においては, 実証を通しての理論形成という方向づけに基づいた「T字型の研究戦略」が理論形成に有効であろう.この研究戦略に基づいて創造的な理論形成を達成したいくつもの先例が存在する.これに対して, 原理論においては, 独自の問題意識に基づいて, 先行研究の蓄積から鍵になる概念や論理を発掘し再編成することによって創造的な理論形成を成し遂げうるということが, 存立構造論によって例証される.中範囲の理論においては, 相対的に通常科学的な理論形成の比重が大きいのに対して, より根底的な水準の基礎理論や原理論においては, 認識の前提としての観点と価値理念の再定義を伴う科学革命的な理論形成が重要な意義を有する.
出版者
巻号頁・発行日
vol.[358],
著者
児玉 逸雄
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.17, no.Suppl1, pp.89-91, 1997-03-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
8
著者
Toshihisa Ishida Shin-ichiro Miura Kanta Fujimi Takashi Ueda Yoko Ueda Takuro Matsuda Maaya Sakamoto Tadaaki Arimura Yuhei Shiga Ken Kitajima Keijiro Saku
出版者
International Heart Journal Association
雑誌
International Heart Journal (ISSN:13492365)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.607-614, 2016 (Released:2016-09-28)
参考文献数
38
被引用文献数
3 8

Visit-to-visit variability (VVV) in blood pressure (BP) has been shown to be a predictor of cardiovascular events. It is unknown whether CR can improve VVV in BP as well as reducing BP. We enrolled 84 patients who had cardiovascular disease (CVD) and participated in a 3-month CR program. We measured systolic and diastolic BP (SBP and DBP), pulse pressure (PP), and heart rate (HR) before exercise training at each visit and determined VVV in BP or HR expressed as the standard deviation of the average BP or HR. Patients who had uncontrolled BP at baseline and who did not change their antihypertensive drugs throughout the study period showed a significant reduction of both SBP and DBP with a decrease in PP after 3 months. Patients who did not change their antihypertensive drugs were divided into larger (L-) and smaller (S-) VVV in the SBP groups and L- and S-VVV in the DBP groups according to the average value of VVV in SBP or DBP. In the L-VVV in the SBP and DBP groups, VVV in SBP and DBP in the 1st month was significantly decreased after the 3rd month in both groups. HR at baseline was significantly decreased after 3 months. In addition, CR induced a significant increase in the level of high-density lipoprotein cholesterol (HDL-C) in blood. In conclusion, CR improved VVV in BP in patients with L-VVV in BP and evoked a significant reduction in HR and an increase in HDL-C. These effects due to the CR program may be cardioprotective.
著者
Kohei Takata Satoshi Imaizumi Emi Kawachi Yasunori Suematsu Tomohiko Shimizu Satomi Abe Yoshino Matsuo Hitomi Tsukahara Keita Noda Eiji Yahiro Bo Zhang Yoshinari Uehara Shin-ichiro Miura Keijiro Saku
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.2955-2962, 2014-11-25 (Released:2014-11-25)
参考文献数
47
被引用文献数
23 48

Background:Smoking cessation reduces the risk of cardiovascular disease (CVD) and improves clinical outcomes in public health. We studied the effect of smoking cessation on high-density lipoprotein (HDL) functionality.Methods and Results:We randomly treated 32 smokers with varenicline or a transdermal nicotine patch as part of a 12-week smoking cessation program (The VN-SEESAW Study). The plasma lipid profiles, plasma and HDL malondialdehyde (MDA) levels, HDL subfractions as analyzed by capillary isotachophoresis, cholesterol efflux capacity, and antiinflammatory activity of HDL were measured before and after the anti-smoking intervention. After smoking cessation, HDL-C, apoA-I levels and HDL subfractions were not significantly different from the respective baseline values. However, cholesterol efflux capacity and the HDL inflammatory index (HII) were significantly improved after smoking cessation. The changes in both parameters (%∆ cholesterol efflux capacity and ∆HII) were also significantly improved in the successful smoking cessation group compared with the unsuccessful group. The changes in cholesterol efflux capacity and HII also correlated with those in end-expiratory CO concentration and MDA in HDL, respectively.Conclusions:Our findings indicate that smoking cessation leads to improved HDL functionality, increased cholesterol efflux capacity and decreased HII, without changing HDL-C or apoA-I levels or HDL subfractions. This may be one of the mechanisms by which smoking cessation improves the risk of CVD. (Circ J 2014; 78: 2955–2962)
著者
兼崎 友
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

常温性のシアノバクテリアが突然変異の蓄積によりどこまでの高温耐性を獲得できるのかという命題に挑むため、3年に及ぶ長期間の寒天培地上での高温順化培養により、シアノバクテリアS. elongatus PCC 7942の通常の生育限界温度である43℃を大きく超えた株群を得ることに成功した。これらの高温耐性突然変異株群について、ゲノム上の突然変異部位を次世代シーケンサーを用いてゲノムワイドに同定し、さらに遺伝子組換えを用いた実験から高温耐性に寄与した変異遺伝子座を概ね明らかにした。この高温耐性突然変異株では、高温下での転写産物プロファイルや細胞形態、生育速度などに大きな違いが見られた。