著者
田代 聡 堀越 保則
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

放射線被ばくにより染色体異常がどのようなしくみで形成されるか、という本質的な疑問については、未だに未解明のままである。さらに、低線量被ばくでも、高線量被ばくと同じしくみによる染色体異常を形成するのか?などの疑問についても未だ明確な回答はない。我々は、紫外線レーザーを用いて放射線障害に特徴的なDNA二本鎖切断を誘導する紫外線マイクロ照射法を開発し、放射線誘発核内ドメインの形成制御機構の解明に取り組んできた。最近、従来の顕微鏡の数倍の解像度を持つ超解像顕微鏡が開発された。超解像顕微鏡に紫外線マイクロ照射法が可能な装備を備えた新しいシステムを用いることで、放射線誘発核内ドメインの超微細構造の解析が可能となる。また、次世代シーケンサーを用いることで、特定の染色体DNA領域の位置関係を分子細胞遺伝学的に解析することが可能となってきた。本研究では、超解像顕微鏡を用いた放射線誘発核内ドメインの動的構造解析を行ったところ、放射線照射細胞では代表的な放射線誘発核内ドメインとして知られているRAD51フォーカスの形が変わること、損傷ゲノムの一部はRAD51がもともと集積していた場所に移動すること、などを明らかにすることができた。また、生化学的アプローチでは、損傷シグナル因子ATMキナーゼによるクロマチン再構成因子複合体の活性制御により、損傷クロマチンへの適切なRAD51の結合を調節していることを明らかにした。さらに、RAD51タンパク質複合体に含まれる細胞核構造構築に関連する因子が、RAD51の機能制御を介して染色体異常形成の抑制に関与していることを明らかにし、論文発表している。さらに、本年度は染色体構造異常の形成に関与するクロマチン再構成因子複合体について、ATMキナーゼによる損傷依存的なリン酸化による活性制御を受ける構成因子を同定した。
著者
金子 周司
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.49-59, 2017 (Released:2017-07-27)
参考文献数
20

From 2012 to 2014 in Japan, a total of 214 cases of motor vehicle collisions were attributed to the use of illegal drugs by drivers. In 93 out of 96 investigated cases, the causative agents were 22 kinds of synthetic cannabinoids (SCs). Those SCs can be grouped into three groups according to the timeline of use and their chemical structures. The first generation SC naphtoyl indole derivatives, such as MAM-2201, were used in 2012 and disappeared by governmental overall regulations in Spring, 2013. Instead, quinolinyl ester indoles (second generation SC, such as 5F-PB-22) and indazole carboxamides (third generation SC, such as 5F-AB-PINACA) appeared thereafter with much stronger potencies. An outbreak of SC occurred in Summer, 2014 with one of the strongest SCs, 5F-ADB. The common signs observed in the SC-abused drivers are impaired consciousness, anterograde amnesia, catalepsy with muscle rigidity, tachycardia, and vomiting or drooling. Since the third generation SCs are extremely potent CB1 agonists (only a small amount is required) and instable in blood, it is very difficult to detect SCs in biological samples. Actually, only in one third of the cases, SC could be detected in blood or urine.

19 19 19 0 OA 洋式適用規矩術

著者
中谷 礼仁
出版者
建築史学会
雑誌
建築史学 (ISSN:02892839)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.38-82, 1998 (Released:2018-10-09)
著者
坂井 弘紀
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
no.16, pp.41-60, 2015

日本の民話・伝承について考えるとき、これまで多くの研究者が指摘してきたように、中央ユーラシアの遊牧民の民間伝承を避けて通ることはできない。本稿では、ユーラシアのテュルク系民族に語り継がれてきた『アルパムス・バトゥル』、『ナンバトゥル』・『エメラルド色のアンカ鳥』、『勇士エディゲ』、『ジャルマウズ・ケンピル』、『大ブルガルのクブラトの遺訓』などを取り上げ、日本に、これら中央ユーラシアの伝承・民話とよく似た伝承・説話が存在することを具体的に提示した。これらの話は、中央ユーラシアと日本の民話・伝承の比較研究に大きな示唆を与える適例であるといえよう。古来、遊牧騎馬民が駆け巡った、アルタイ地方を中心とする中央ユーラシアの草原地帯に、日本の民間伝承の起源を解く鍵があるかもしれない。本稿は、それを解くための「たたき台」となるはずである。
著者
津曲 敏郎 小林 香与 葛西 香子
出版者
北海道大学大学院文学研究科
巻号頁・発行日
pp.1-25, 2006-08-31

津曲敏郎著; 小林香与協力; 葛西香子挿画, ウデヘ語の手引き : こんにちは! ウデヘ語で話しましょう! = Baagdifi! Udiemeji dianazafi!. 北海道大学文学研究科, 2006, 25p.
著者
孫 大輔 塚原 美穂子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.129-132, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
6

オープンダイアローグは,「社交ネットワークの視点」や「不確実性への耐性」といった7つの原則に基づき,「ポリフォニー(多声性)」の状態を目指す対話的アプローチである.この手法は,フィンランドで精神疾患に対するアプローチとして始まったが,今後プライマリ・ケア領域でも大きな可能性を持つと考えられる.特に複雑性・不確実性の高いケースに対して有効性が期待される.
著者
堀 翔太 藤本 修平 杉田 翔 小林 資英 小向 佳奈子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.100-109, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
24

目的:患者のヘルスリテラシーに関して,臨床場面で医療者が行う介入方法とその効果を明らかにすることである.方法:電子データベースから,患者のヘルスリテラシーに関するランダム化比較試験の論文を抽出し,PRISMA声明に従い,質的なシステマティックレビューによりその内容を評価した.結果:介入方法別にその効果をみると,「資料の配布のみ」では「ヘルスリテラシー」が,「資料の配布と医療者による説明」では「健康行動に対するアドヒアランス」が向上したとする論文が多く抽出された.また,「医療者から患者への一方向の介入」と「患者と医療者の双方に向けた介入」では,「ヘルスリテラシー」が向上したとする論文が多く抽出された.結論:資料の配布に加え医療者による説明を行うことで,個別性に配慮した情報提供を行える可能性や,医療者が患者の理解の程度を適宜確認することで,疾患の理解度や自己管理能力が向上する可能性が示された.
著者
水野 優起
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.437-442, 2006-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
5

いわゆる“シミ”とは, 主にメラニン色素の増加によって起こる色素異常症 (色素沈着症) を指すことが多い. 発症機序の面から考えるとシミは, メラノサイトが後天性に外的・内的な影響を受けメラニン産生が増加する状態であると定義される. それはメラニン産生とメラニン消化のバランスの上に生じており, メラニンの表皮でのin (産生) とout (排出) のバランスが崩れた状態であると考えられる. 一方シミはその病態生理により, 大きく以下の3つに分類できる. (1) メラノサイトの異常が原因のシミ: 肝斑・雀卵斑, (2) ケラチノサイトの異常が原因のシミ: 日光黒子・脂漏性角化症, (3) 炎症後色素沈着: 色素沈着性接触皮膚炎・固定薬疹. これら (1) - (3) は, 発生までの過程に差はあるものの, 臨床的に色調や形態などに大きな差はない. つまり,“シミ”を主訴に来院された患者でも, 個々の症例により存在するシミの種類は様々で, 当然のことながらシミの種類により効果的な治療法が異なってくるので注意が必要である. シミの治療には簡便にできる外用薬や内服薬のほかに, 理学療法 (イオントフォレーシス・凍結療法) や光を用いた治療法 (レーザー・IPL; Intense Pulsed Light) などが存在する. 実際のシミ治療の際, これらの治療法は単独で, 時に複数の治療法をコンビネーションして行われるが, 前述のようにシミには様々な種類があるので, まず症例ごとに適切な診断がなされた上で, 効果的なシミ治療が行われるべきである.