著者
渡辺 俊哉
出版者
国立音楽大学
雑誌
研究紀要 = Kunitachi College of Music journal (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.245-251, 2021-03-31

初の作品集のCD作成にあたり、まずコンサートのライヴ録音とCD録音との違いを考察して、それぞれの特長を述べる。そしてそこから導き出された考察の結果、全曲新しく録音するという結論に至った経緯と、今回の収録にあたって作曲した新曲について、更に他の収録曲について述べる。日本語の詩を用いた新曲に関しては、その中で試みたことや、詩の選択に関して考えたこと、その狙い、また器楽曲の作曲との違いなどを述べる。最後にCD発売後の反響や、石川星太郎(指揮)、星谷丈生(作曲)、筆者によって結成された「庭園想楽」の第1回オンライン・レクチャー、「渡辺俊哉自作を語る」の講演において新曲について触れた際に、石川星太郎より指摘された箇所の考察を通して、作曲家側と演奏家側の視点の違いを紹介する。
著者
石田 淳
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学 国際学部 紀要 = NUIS Journal of International Studies (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.101-107, 2020-04-01

国際政治学分野に教科書は数多あれどもリーディングスは滅多に見かけない。なぜなら、そもそも論争らしき論争がないからである。そしてこの論争の不在は、専門領域ごとの研究者の棲み分けに由来する。この状況は研究の持続的発展を触発するものではない。とは言え、論争がなかった訳ではない。ただし、その意味が正確に理解されなければ、学知の蓄積はない。その論争とは、冷戦期日本の防衛姿勢の「意図せざる結果」をめぐる議論である。高坂正堯の「現実主義者の平和論」は、坂本義和の「中立日本の防衛構想」を、西太平洋におけるアメリカを基軸としたハブ・アンド・スポークスの同盟構造に起因する《同盟のディレンマ》を直視するものではないため、所期の安全保障効果をもたないと評価した。しかし坂本は、同時代のシェリングのコミットメント論を意識しつつ、《安全保障のディレンマ》を直視しない防衛構想は、所期の安全保障効果をもたないと論じていたのである。
著者
中野 倫靖 後藤 真孝 梶田 秀司 松坂 要佐 中岡 慎一郎 横井 一仁
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1222-1235, 2014-03-15

本論文では,ユーザ歌唱における顔表情を真似てヒューマノイドロボットの顔動作を生成するVocaWatcherについて述べる.ここで,我々が以前開発したVocaListenerを用い,ユーザ歌唱の歌い方(音高と音量)を真似て歌声合成も行う.従来,歌唱ロボットに関する研究はあったが,手作業による動作制御が主で,その自然さに限界があった.それに対して本研究では,単一のビデオカメラで収録した人間の歌唱動画を画像解析し,口,目,首の動作を真似て制御することで,自然な歌唱動作を生成した.ここで口の制御には,VocaListenerから得られる歌詞のタイミング情報を用いて,歌声に同期した動作を生成できる.さらに,ロボットによるより自然な歌唱を実現するために,我々が以前開発したブレス音の検出技術とVocaListenerを組み合わせ,ブレス音を真似て合成できるように拡張した.In this paper, we describe VocaWatcher that is a facial-motion generator for a singing robot by imitating user's singing. It can synthesize singing voices by using our previous VocaListener to imitate pitch (F0) and dynamics (power) of user's singing. Although singing humanoid robots have been developed with synthesized singing voices, such robots do not appear to be natural because of limitations of manual control. To generate natural singing expressions, VocaWatcher imitates a human singer by analyzing a video clip of human singing recorded by a single video camera. VocaWatcher can control mouth, eye, and neck motions by imitating the corresponding human movements. To control the mouth motion, VocaWatcher uses lyrics with precise timing information provided by VocaListener. Moreover, we extended VocaListener by combining our previous method of breath sound detection to imitate breathing sounds that make the robot singing more realistic.
著者
平松 祐司 北村 豊 長谷川 雄一 堀米 仁志
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

「ビタミンKを含まない納豆風味食品」の開発試験を実施した。発酵納豆から粘性物質を溶出し、この水溶液に紫外線照射を加えてビタミンKの分解および納豆菌の殺滅を図った。これを粉末化したものを別途蒸煮した大豆に還元し、納豆風味の煮大豆を得た。1)納豆粘性物質中のビタミンKの分解特性の解明、2)納豆粘性物質中の納豆菌の熱死滅特性の解明、3)納豆粘性物質の乾燥特性の解明のための評価を実施し、紫外線照射や加熱操作の適用性の向上、粘性物質の保存性や加工性の向上、および高い次元での納豆風味の再現を目指した。
著者
田中 彰吾
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.10_2, 2019

<p> パフォーマンスの速さと正確性、チームワーク、他者との身体的相互作用などが競われる点で、eスポーツはそれ以外のスポーツと多くの共通点を持っている。ただし、すべてのパフォーマンスがコンピュータに媒介されている点(computer-mediatedness)は、他とは異なるeスポーツの顕著な特徴である。コンピュータ媒介性は、次の2点で競技者の身体活動のあり方に変化をもたらすと思われる。第一は「道具使用」である。競技中のほぼすべての活動は、手元のデバイスと眼前のモニターを利用してなされる。ボールゲームや体操における道具使用と比べて、eスポーツにおけるそれは、目と手の協調を限定的かつ極端に推進する。第二は「仮想現実」である。競技が行われる場所は、現実のフィールドではなくモニター上に展開される仮想現実である。競技者は一人称視点でフィールドに入り込んだり、俯瞰しつつフィールド全体にかかわったりするが、いずれにしても、仮想現実における仮想身体を利用しつつパフォーマンスが行われる。当日の報告では、以上の2点について、現象学的な観点からさらに踏み込んで読み解いてみたい。</p>
著者
日本臨床腎移植学会・日本移植学会
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.225-243, 2020 (Released:2020-12-08)

A total of 2,057 kidney transplants including 1,827 from living donors, 54 from non-heart-beating donors and 176 from heart-beating donors were performed in 2019 in Japan.The data obtained from the Japanese Renal Transplant Registry are shown and analyzed in this annual report. The characteristics of recipients and donors such as relationships, original diseases, duration of dialysis therapy, blood transfusion, status of viral antigens and antibodies, pretransplant complications, causes of death of deceased donors, ischemic time and histocompatibilities are described. In addition, immunosuppressants used initially and other treatments are analyzed.We also report the results of follow-up survey for recipients and living donors.
著者
笠井 純一 笠井 津加佐 Kasai Junichi Kasai Tsukasa
出版者
金沢大学大学院人間社会環境研究科
雑誌
人間社会環境研究 = Human and socio-environmental studies (ISSN:24360627)
巻号頁・発行日
no.42, pp.245-261, 2021-09-30

本稿は、北の新地で行われた春の踊や温習会に関わる、大正期から昭和初期の書信を紹介するものである。全て北の新地の経営者であった佐藤駒次郎が受信したものであり、大阪大空襲で湮滅したと考えられてきた大阪花街の史料として希少価値を持つだけでなく、築地小劇場、花柳舞踊研究会、新舞踊運動など全国規模で展開された文化・芸術活動と花街の関りを伝えるものとしても貴重である。演劇・舞踊・文学・美術・音楽などの文化と、社会との関係を考えるための史料として、広く公開したい。紙数の関係から二回に分載し、本稿(下)では、北陽浪花踊と直接関係しない発信者の書信を翻刻・紹介する。