著者
奥木 芳明 古田 貴久
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.69-78, 2005-07-15 (Released:2016-08-02)
参考文献数
9
被引用文献数
5

本研究では, 情報教育の目標である情報活用の実践力を, 初等教育の問題解決過程の学習指導において測定するための尺度を作成し, その信頼性と妥当性を検討するための調査を行った.対象は小学校高学年の「総合的な学習の時間」とした.尺度の信頼性を検討したところ, 高い内的一貫性が示された.因子分析の結果, 尺度の内部構造は問題解決学習の学習指導段階と合致することが示された.また, 各教科において情報教育と関連する項目と本尺度との相関を求めたところ, 有意な正の相関が見られた.さらに, 本尺度の内容は, ユネスコが示した情報学カリキュラム(UNESCO 1994)の基礎レベルをカバーすることが示された.以上の結果から, 今回作成した尺度は, 児童の問題解決過程における情報活用の実践力を測定することに適しているといえる.
著者
吉田 容子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO
巻号頁・発行日
no.1, pp.22-29, 2006
被引用文献数
1

男性による女性支配システムの構造解明や,そこに発生する権力関係のあぶり出しを目指すジェンダー研究は,いまや多様な学問領域に浸透している.地理学においても,1970年代に入ると,英語圏の女性研究者たちの間から,従来の地理学研究が男性中心主義に偏ったものであるとする批判がなされるとともに,空間に刻まれた男女の非対称の権力関係,すなわちジェンダー関係をあぶり出す作業が行われるようになった.本稿ではまず,英語圏を中心としたジェンダー研究の展開を整理する.次に,日本の地理学におけるこの方面の研究をもとに,これまでの到達点を明らかにする.さらに,個人レベルの男女間に潜む権力関係に着目し,それがより大きな権力関係へと転化され空間に刻まれ,そして,またそれが,空間に映し出されていることを示すため,二つの事例をあげる.一つは,大都市圏郊外につくられた「監視空間」ともいうべき住宅地におけるジェンダー関係であり,もう一つは,1950年代に軍事基地の建設が本格化した沖縄で,米兵相手につくられた特飲街にみられるジェンダー関係である.
著者
新田 英治
出版者
日本法社会学会
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1956, no.7, pp.33-52, 1956
著者
二橋 文哉 北原 佳泰 村上 有里奈 岸本 祐太郎 青野 祐也 永福 建 右藤 智啓 佐藤 潤 妹川 史朗 須田 隆文
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1_2, pp.81-84, 2018-10-25 (Released:2019-04-02)
参考文献数
14

呼吸不全を呈した加湿器肺3例の臨床像について後方視的検討をおこなった.全例新規に購入したしずく型の超音波式加湿器を,水を交換せずに注ぎ足して使用し,使用開始後3 ヶ月以内に発症していた.初診時のPaO2/FiO2の中央値は164(104-293)であり,1例で非侵襲的陽圧換気,1例でhigh flow nasal cannula,1例は通常の経鼻カヌラを使用した.胸部CTで,小葉中心性粒状影が主体であった例は無く,浸潤影,すりガラス影が混在し,器質化肺炎との鑑別を要するパターンが認められた.加湿器の使用中止とステロイド投与で全例改善した.加湿器の水のβ-Dグルカンとエンドトキシンはいずれも高値であり,加湿器の水の培養でグラム陰性桿菌,真菌や非結核性抗酸菌(Mycobacterium gordonae)が検出され,病態への関与が推察された.急性~亜急性経過の間質性肺炎の診断において,冬季には,加湿器肺も念頭においた詳細な問診が必要である.
著者
白幡 洋三郎
出版者
京都大学農学部附属演習林
雑誌
京都大学農学部演習林報告 (ISSN:0368511X)
巻号頁・発行日
no.53, pp.p216-230, 1981-11
被引用文献数
1

横浜公園は日本に於ける近代公園の先駆として知られている。創設に至る経緯も何人かの先達によって研究されている。ただそれらに共通しているのは, 横浜居留地の外国人達の要求が発端となっているせいもあって, 外交文書の文面を追うことに終始している点である。本稿では, まずそもそも何故外国人居留地の中に公園が必要とされたのか, また居留外国人のうちどのような層の人々が必要としたのかを考察し, 居留地内のハイクラスの人々が, 本国での生活のスタイルを居留地に持ち込んだものであると結論づけた。さらに, これまで利用きれなかった外務省資料の図面, 費用調書から公園造成の具体的なうごきを追った。その結果日本側の財政事情により造成費が削減されたこと, それに伴い直線ばかりの整形的な地割が, 曲線を持つ自然式に変わり, また植付けの樹木も当初リストに挙げられていた仕立物が最後に消え, 自然樹形のものとなったことが明らかになった。工事を担当する日本側は様々の変更に器用に対処している。一方外国側は, 一貫して公園の必要を主張して, 当初のプランとは異るとはいえ, 目指す公園をとにかく確保した。これは公共造園を舞台にして, 明治初期の特にヨーロッパと日本の文化, また生活の流儀の差があらわれたものであり, 日本側のヨーロッパ文化の受容と近代化への対処の一例と考えられよう。(なお本文中の年代の漢数字は陰暦, アラビア数字は太陽暦での年代を示す。たとえば明治三年五月, 明治6年11月, のごとくである。)
著者
土屋 明
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.295, 1962 (Released:2014-08-29)

皮表脂質は脂腺排泄管から排出されたものと角質層から由来したものとで成立ち,皮表に一種の薄い脂質の膜を形成しているものであるが,この皮表脂膜は皮膚柔軟性の保持,体温放射,乾燥化,細菌侵襲等に対する防禦能としての機能を有し,皮膚生理に重要な役割を演じているものであり,古くからその性状機能等が諸家によつて研究され論じられてきている.近年この皮脂に対して発汗が重大な影響を与えるものとして注目される様になつた.即ち皮表脂膜は脂質と汗のemulsionによつて形成されており,前記の皮膚表面に於ける種々の機能はこのsurface filmがemulsionであるという性状に依つて明解に説明しうると主張されたり,又一方これに対し実験的にこのemulsion説を追求し少なからず疑義を表明している者もあり,未だに皮表脂質と汗の関係に就いては結論的なものが見出されず現状に至つている.私は単位時間内に新たに排出された皮脂をオスミウム酸濾紙により観察し,これによつて皮脂腺の排出程度を推量し,皮脂腺機能の諸問題のうち,その2,3について検討し,更に位相差顕微鏡を用いてsurface filmの性状を観察,検討を加え見るべき知見を得たので諸家の報告と比較検討しつつ独自の見解について報告する.
著者
森 晃爾 石丸 知宏 小林 祐一 森 貴大 永田 智久
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.179-198, 2022 (Released:2022-01-13)

感染症、特にヒト-ヒト感染を伴う感染症では、ワクチンによる集団免疫の獲得が、感染症制御のために極めて有効な手段である。しかし、ワクチンに強い反感を持っている一部のグループだけでなく、ワクチンに対する不安やその他の要因でワクチン接種を躊躇する層の動向によって、十分なワクチン接種率が得られないといった、Vaccine Hesitancy(ワクチン躊躇)の問題が存在する。本稿では、ワクチン接種行動に影響を及ぼす要因のうち、社会人口学的要因や心理社会的要因について紹介するとともに、ワクチン接種意思に与える職場要因および職域でのワクチン接種プログラムに関する知見についても検討する。
著者
早川 由紀夫
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山.第2集 (ISSN:24330590)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.25-40, 1983-04-01 (Released:2018-01-15)

The Hachinohe ash is a widespread pyroclastic-fall deposit erupted from the Towada caldera about 13, 000 years B. P. Along the dispersal axis, the thickness is 150cm 50km away from source, and the estimated volume is 14km3 It is composed of alternating beds of fine ash (65%) and pumice lapilli (35%). No erosional break is observed and the contacts between beds are gradational. The fine ash beds have two components : a dominate component of grain-supported accretionary lapilli and a subordinate component of fine ash-coated pumice; an ash matrix is lacking. The maximum grain size of accretionary lapilli does not decrease systematically away from source. The size population of constituent ash particles shows a small degree of fractionation with distance from source; the grain size class 1mm to 1/4mm increases while the class finer than 1/16mm decreases. Pumice beds are composed primarily of sub-angular to sub-rounded pumice fragments coated with fine ash and a subordinate amount of lithic fragments and accretionary lapilli. Maximum pumice size and maximum lithic size systematically decrease away from source. The beds show bimodal grain size distributions and contain more than 10 weight percent fine ash. An individual fine ash particle has too low a terminal velocity to fall out as a separate grain near the source area. It is certain that, throughout the Hachinohe ash eruption, fine ash continued to fall in the form of accretionary lapilli and/or attached to pumice fragments. The fine grained nature and wide dispersal indicate that the Hachinohe ash is representative of the phreatoplinian deposit formed by the interaction of water and silicic magma during explosive eruptions. At times when the proportion of erupted magma to lake water gaining access to the vent became sufficiently high, violet eruptions took place and deposited pumice fragments and accretionary lapilli simultaneously at the same place. Examples of phreatoplinian deposits are also reported from the Kutcharo and Hakone calderas, in addition to two other deposits from the Towada caldera. Such deposits are used as a possible indicator of source environment.