著者
北村 尚子
出版者
横浜国立大学留学生センター
雑誌
横浜国立大学留学生センター教育研究論集 (ISSN:18810632)
巻号頁・発行日
no.18, pp.53-74, 2011

The understanding of the learning subjects that is considered students should learn in an early stage has a basic consistency between teachers and teaching materials however no specific command of that has been given. In order to discover the command of learning subjects necessary for the early learners, this writing takes up the request expression of "~te kudasai" (please do~) and analyzes from two sides; the human relationship of the communicators such as hierarchy and the strength of the friendship, and the cost that the person who received the request needs to take, using the conversation written in elementary level Japanese textbook as the investigation object. As a result of the investigation, we found that it is important for the students in first half of the elementary level to be able to understand that "~te kudasai" has the "request" function and is used in situations when people ask requests. For the students in the second half of the elementary level, they need to be able to understand the "request" function in the word and be able to use it when they ask a small cost request. They also need to understand that the word is also often used as "order" and be able to differentiate this word from other requests words in different situation to not to be excuse to people, considering the hierarchical relationship and the size of cost.
著者
道免 逸子 Itsuko Domen
出版者
甲南大学
巻号頁・発行日
2018-03-31

本論文の目的は、ナラティブ・エクスポージャー・セラピー(Narrative Exposure Therapy、以下NET)の、日本の心理臨床現場における適用可能性を検証することである。 精神病院に長年通院・入退院を繰り返し、情緒不安定で自傷・自殺企図の傾向が高く、安定した治療に乗りにくい患者には、原病にPTSD(心的外傷後ストレス障害)が併存することが多い。子ども虐待やDV、いじめ等長期的反復的な被害から生じる複雑性PTSDは、PTSDの中核症状に情動調整の困難を伴い、原病の症状を増幅し治療を困難にしている。 NETは、曝露療法に証言療法を組み合わせたPTSD治療のための認知行動療法である。馴化による恐怖反応の消去と全人生史の構築による自伝的記憶整理は、特に複雑性PTSDに有効とされる。NETは、国際的ガイドラインで複雑性PTSDに対する有効な治療法として推奨されている。日本では2010年に試行的に導入され、次第に実施例が増加しているが、さらに系統的な導入を図るべき段階に至っている。本研究は、今後の普及の準備として、日本の臨床現場におけるNETの有効性を検証しようとするものである。 この目的を達成するために、道免氏は、まず第1章で、PTSDおよび複雑性PTSD、解離、自伝的記憶、複雑性悲嘆という、NETの治療メカニズムに関係する諸概念について、近年の診断基準の改訂状況も含めて概説する。そのうえで、開発者が提示するNETの技法とそこに含まれる治療的要素を記述する。第2章では、まず、NETがPTSDに対して推奨される治療技法として、ISTSSをはじめとする関係機関の近年のガイドラインで紹介されていることが示される。そして、現在までの先行臨床研究を網羅的に調査し、戦争や武力紛争という「組織的暴力」に由来するPTSDへの治療実践とその効果検証研究が行われてきた経過と、近年、通常の医療機関における市民生活由来のPTSD治療に対象を拡大していることを明らかにする。効果検証結果には、PTSDへの効果だけでなく、併存するうつ症状、BPD(境界性人格障害)症状、解離症状などの軽減が報告されていた。 第3章では、実施されたNETによる効果検証の結果が報告される。治療実践を行った臨床機関は、精神病院外来と大学心理相談室であり、対象者は複雑性PTSDと診断された14名(精神病院12、大学相談室2;女性13、男性1;平均38.1歳)である。複雑性PTSDの併存症状として、うつ病、双極性感情障害、BPD、アルコール依存症、摂食障害、複雑性悲嘆、解離性障害、適応障害、線維筋痛症があり、通院歴は0〜23年、入院歴は0〜33回であった。実施者はNET研修を受けた臨床心理士で、面接頻度は週1回〜2回、NET回数は8〜46回、平均27.4回であった。 効果評価のために用いた症状評価尺度は、PTSD症状にIES-RとCAPS、うつ症状にSDS、解離症状にDESを使用し、NET実施前、実施2週間後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に評価した。 症状評価尺度によって実施1年後に評価された治療効果は、以下の通りであった。IES-R のCohen’s d は2.972、CAPSのCohen’s d は2.587であり、PTSD症状が著しく軽減したことを示す結果であった。IES-R得点は、14例中6例において、過去の出来事から影響を受けていないと判定される水準までに低下した。他の例においても1年間を通じて漸減傾向にあった。CAPSは実施の負担から6例のみに実施された結果である。PTSDの3大症状以外の、罪悪感、注意減退、非現実感、離人感においても症状が軽減していた。うつ症状については、NET実施1年後の SDSのCohen’s d は0.953であり、明らかな軽減を示す結果であった。ただし、PTSD症状と異なり、6ヶ月後では軽減が少なく、効果が得られるまでに時間を要した。解離症状では、低得点に偏った偏りの大きな分布であるため、いくつかの指標によって結果が示された。BPD症状の著しい軽減は先行研究と一致するものであった。他の併存症状にも軽減が見られたが、アルコール依存への効果は明らかではなかった。 第4章において道免氏は、第3章で確認された症状評価尺度上の全般的効果を踏まえて、本研究から得られたNET実施上の知見を提示し、考察を加える。解離症状の軽減が大きかったことは先行研究と一致する。治療前に解離傾向が高かった例では、すべて治療過程で新たな記憶の想起があった。解離傾向が少なく侵入症状の強い例では、NETの進行に従って侵入症状が速やかに軽減し、症状が及ぼす苦痛が軽減することを実感するのに対し、解離傾向の高い例では、解離されていた記憶や感覚が繋がってくる第1段階から、喪失体験への直面から生きづらさを改めて感じる第2段階へ進んだ時点で、安全の確保と共感的・支持的環境とともに感情の重要性に関する心理教育が必要である。特に環境調整が重要と考えられた。それら留意点を有するものの、NETには、記憶整理の効果、人生を理解されることによる愛着外傷への治療効果、言語化能力の向上による対人関係改善などの効果が期待でき、解離症状を併存するPTSDの治療に有望な技法であると考えられた。 BPD患者の60%にはPTSDが併存すると言われるように、BPDの診断名を持つ患者のPTSDに対するNETの有効性を指摘する文献が増加している。本研究は、BPD治療を直接対象としたものではないが、14例中7例に、BPD周辺の症状があった。孤独感や不安定な対人関係を特徴とするそれらの例について、治療中の語りを整理すると、治療中および治療後のフォローアップの中で、交友関係を楽しめる、一人の時間を楽しめる、怒りがコントロールできるなどの症状軽減を示す内容が多く見られた。これらの知見および先行研究の知見を総合し、道免氏は、PTSDを構成する恐怖ネットワークと、過去の体験に由来する怒りのネットワークの相乗効果から症状を理解し、人生史の整理という目標を共有することで、対等な関係の中で治療に取り組む道を開くことができると考察する。 NETが対象とするPTSD症状を有する患者には、死別体験を有するものが含まれる。NET後に悲嘆を扱うグリーフワークを組み合わせる方法を有効とする先行研究も存在する。今回対象とした例の中にも、近親者との死別による重い悲嘆を伴う例があった。この例に対してグリーフワークに取り組むことによって、うつ症状が軽減されたことから、死別を伴う例に対しては、NETだけでなく、グリーフワークを治療計画に組み入れることが有効であると示唆された。 以上のような検討の後、道免氏は、第5章の総合考察によって全体を総合した上、NETには多くの治療的要素が複合的に組み込まれていると指摘しながら、NETで扱えない要素を以後の治療で扱うことの必要性、安全を確保することの重要性、普及のためのスーパーバイザーの育成の必要性を指摘する。最後に、事例数による限界、比較対照群を持たないことの限界、評価尺度の不足という本研究の限界を整理し、さらなる効果検証の必要性を述べて論文を締めくくっている。
著者
Bing Han Chuan Li Hao Meng Fernando Gomes Romeiro Andrea Mancuso Zhirui Zhou Giovanni Battista Levi Sandri Ying Xu Tao Han Lei Han Lichun Shao Xingshun Qi
出版者
International Research and Cooperation Association for Bio & Socio-Sciences Advancement
雑誌
BioScience Trends (ISSN:18817815)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.10-22, 2019-02-28 (Released:2019-03-14)
参考文献数
79

Hepatocellular carcinoma (HCC) is one of the most common malignant tumors. During the recent years, external-beam radiation therapy (EBRT) has been safely and effectively employed for the management of HCC. We overviewed the current evidence regarding the efficacy and safety of EBRT for HCC according to the different target population. PubMed database was searched for identifying English-language full-text articles regarding EBRT for the treatment of HCC. Search items were "hepatocellular carcinoma AND radiation therapy". Until now, preliminary evidence has suggested the following role of EBRT for HCC. 1) EBRT, especially stereotactic body radiation therapy, is an emerging choice of therapy for small HCC. 2) EBRT combined with non-surgical treatment can achieve an excellent intrahepatic tumor control and a potential survival benefit for huge HCC. 3)Adjunctive EBRT may improve the efficacy of transarterial chemoembolization for HCC with portal vein tumor thrombosis. 4) EBRT can relieve the pain and improve the quality of life for patients with extrahepatic metastases. 5) EBRT may be a bridge to liver transplantation by minimizing the tumor progression. 6) Adjunctive EBRT may reduce the tumor recurrence and improve the survival after resection. In summary, EBRT is a promising choice of treatment of HCC. However, more high-quality evidence is needed to further establish the status of EBRT for the management of HCC.
著者
上野 益雄 野呂 一 Masuo Ueno Hajime Noro
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Tsukuba International University (ISSN:13412195)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.97-118, 2001-03-25

Tosihumi Hujimoto is a person who became the first president of the Japan federation of the deaf established after world war II. Before the world war 2, it was called the Japan association of the deaf-mutes which was made at 1915 (T. 4), and Mr. Hujimoto had been a director of this association from the beginning. He had been also a editor of a bulletin of the association and a teacher of the deaf school. In his papers, we can find the word "pretty signs" in his article. They have been said that pretty signs are signs along the each word of the sentence. We can see usually this signs by many interpreters. On the other hand, Deaf peoples support for the natural signs used by them everyday life, and that signs are recognizing nowadays. Which ones are pretty signs, signs along the words or signs used in daily life by deaf peoples? What signs did Hujimoto want to tell? In this paper, we will examine Hujimoto's meaning of "pretty signs" Hujimoto says that "you must make and use signs based on Japanese language" 1) When he taught Japanese in his class, he always gave attention to students not to translate literally word for word but to make a free translation He said to his deaf students "why you became so stiff in the classroom? You always make signs lively out of classroom." 2) One of Hujimoto's colleagues, Mr. Matunaga wrote a paper regarding to signs as the language of the deaf people. He distinguished clearly between signs and Japanese. 3) He oppose to oral system against using signs. He advocated to use signs anytime. But he thought that the deaf needs education. Without education, signs remain being grubby and ugly. 4) He became deaf about at nine ages. He could speak Japanese freely to hearings. He signs freely to the deaf or the hard of hearings. So he didn't notice the existence of different signs. He did not know difference among signs. He intended to cultivate to deaf people's fundamental knowledge. He wished that signs spread out more and more in a society. We concluded that "pretty signs" did not mean signs along each word of sentence.
出版者
日本民族協会
巻号頁・発行日
vol.第11, 1921
著者
鈴木 義雄
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.1173-1182, 1982-08-20

はじめに 人工肛門というアイデアがこの世に生れたのは1710年のことである.フランスのルイ14世時代で,日本では,宝永7年,7代将軍家継の時代にあたる.フランスのAlexis Littr'eは,生後6日目,鎖肛で死亡した新生児を解剖し,閉鎖部位を切除して,今日でいう,端々吻合を行うか,少なくとも,閉鎖部位より口側の腸管を体外に誘導すれば,救命できたであろうと示唆した.Académie Royale de Sciencesの歴史学者Fontanelle氏が,上記のような,Alexis Littr'eの文献に着目し紹介したのが初まりである(Tilson Dinnick1)より).現在の高度に発達した医療を十分に理解するために,過去の流れに注目することは意義がある.人工肛門造設術も当然変遷の歴史があり,今回は現在の人工肛門造設術にいたつた過程を年代順にひもといてみたい.
著者
北村 郁海 浦辺 幸夫 前田 慶明 藤井 絵里
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.387-390, 2017 (Released:2017-06-23)
参考文献数
15

〔目的〕本研究は踵接地時に足関節背屈を意識させたランニングでの下肢筋活動および関節角度の変化を測定し,アキレス腱障がいのリスクを軽減するための一助とすることを目的とした.〔対象と方法〕対象は大学陸上長距離選手7名とし,トレッドミル上で通常のランニングと足関節背屈を意識したランニングを行った.〔結果〕背屈を意識したランニングでは,踵接地時に床と足底のなす角度が増加し,立脚前期での足関節背屈角速度の最大値が減少した.筋活動は,踵接地前の前脛骨筋,立脚前期の大腿直筋で増加を認めた.〔結語〕背屈を意識したランニングでは,接地時の衝撃吸収に足関節底屈筋群以外の筋がより貢献したと予想され,アキレス腱への負担が小さくなると思われた.
著者
吉田 容子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.242-262, 1996-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
65

本稿は,欧米において近年議論が活発になってきたフェミニズム地理学に触れるものである.フェミニズム地理学は,現実世界のあらゆる局面において生じる性差に起因した不平等的・抑圧的関係を疑問視し,このような関係がいかに社会空間に反映され,強化されていくのかを把握する学問である. 本稿では,1970年代中頃から現在までのフェミニごム地理学の展開過程をフェミニズム理論の流れと関連づけながら整理するとともに,今日の人文・社会科学全体で盛んに議論されているポストモダニズムやポストフォーディズムとの間で共有する論点についても,関連諸文献をもとにまとめた.また,フェミニズム地理学が抱える問題点にも言及した.
著者
長屋 美穂子
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.58-69, 1984-12-01

The purpose of this study is to research the condition of children's living at home.The report is based on the questionnaire to the children's parents of an elementary school in Saitama prefecture.The contents are as follows, 1. Diet life2. Time budget 3. TV Watching4. Private school5. Play6. Pocket money7. Habit of life 8. Health conditionIn this study it is found that it is necessary to improve living of children's parents so as to bring up children sound.
著者
小川 和孝
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.225-244, 2017-07-28 (Released:2019-03-08)
参考文献数
21

本論文では,日本の教育政策に対する人々の選好に関して,公的支出の水準と支出の配分を,それぞれ区別して分析する。これによって,日本の公教育におけるマクロな特徴を支えている,ミクロな意識構造を明らかにする。 2011年に東京都内で行われた質問紙調査をデータとして,(1)税金を増やしてでも教育への公的支出を拡大すべきか,(2)異なる教育段階間ではどこに資源を配分すべきか,(3)同一教育段階内では,エリート的・非エリート的学校のどちらに資源を配分すべきか,という3つの次元を従属変数とする。独立変数としては,人々の持つ利害と,平等性規範が影響するという仮説を立てる。具体的には,性別,年齢,学歴,世帯年収,政党支持,高校生以下の子どもの有無,就業の有無を用いる。 第一に,公的支出の水準に関しては,学歴や世帯収入による選好の違いは見られず,政党支持と高校以下の子どもの有無が影響している。第二に,異なる教育段階間における支出では,高学歴者は低次の教育段階への配分を望み,また左派的な人々は高次の教育段階への配分を望む傾向にある。第三に,同一教育段階内における支出では,高学歴者や富裕な人々はエリート的な教育機関への配分を,また左派的な人々は非エリート的な教育機関への配分を,それぞれ支持している。これらの理論的な示唆として,高等教育への公的支出に伴う逆進性と,意識の次元に見られる社会的な閉鎖性について考察する。
著者
菊池 幸子
出版者
文教大学
雑誌
人間科学研究 = Bulletin of Human Science (ISSN:03882152)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.91-97, 1986-12-01

Lifelong education have payed interesting attention since Paul Lengrand had reported to Commitee of adult education in UNESCO in 1965.As the national educational policy, there have been twice reported on lifelong education by the Central Educational Council in Japan, too.The third report on lifelong integrated learning have been proposed by the National Council on Educational Reform April 23 in 1986.This report says that basic direction of educational system for the 21centry is to reform to lifelong learning system to solve many educational problems. It is the reason of written this report and its main contents are as follows;1. Lifelong education as the national educational policy in Japan.2. Move to lifelong integrated learning society to solve many educational problems.3. The adquate curriculum on each life stage.4. Cooperation with home, school and Community.