著者
五嶋 千夏
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.36-47, 2013 (Released:2018-06-14)

本論文では、宮沢賢治の農本主義と農本ナショナリズムとの近接性を「ポラーノの広場」と『家の光』との比較によって検討した。両者は農本的な志向があるが、『家の光』では、満州事変以降、ナショナリスティックな農本主義と、地域社会構想に専念した農本主義とに分かれていた。「ポラーノの広場」における産業組合は、後者に近接したものだと考えた。
著者
澤口 哲弥
出版者
初等教育カリキュラム学会
雑誌
初等教育カリキュラム研究 (ISSN:21876800)
巻号頁・発行日
no.6, pp.51-62, 2018-03-31

近年の国語科における「クリティカルな読み」の指導理論は,社会的・文化的文脈からテクストを読む視座がなく,読むことが社会的実践となり得ていない実態があった。本研究は,このような問題を乗り越え,読むことを社会的実践とするべく新たに国語科クリティカル・リーディング(以下,国語科CR)の指導理論,カリキュラムを提案し,その具体的な適用事例として現行の小学校国語科教科書の検討,および教材・手引きの改編を提案するものである。改編した教材・手引きは小学校の児童を対象に調査をし,その結果をふまえて再修正を図った。調査の結果,読解プロセスの枠組みに関する基本的な理解は得られたものの,「推論」に関して習熟していないことが示唆された。また,国語科CRのフレームワークからの設問については満足いく解答が得られず,国語科の学びを社会的・文化的文脈に乗せていくための指導法の確立が今後の課題として残った。In Japanese language education, the standard method of teaching critical reading lacks the concept of reading texts within a social and cultural context. As a result, reading cannot be a social practice. Under these circumstances, this research newly introduces a teaching method and a curriculum of critical reading in Japanese language education (hereinafter referred to as "Japanese CR" ), discusses Japanese textbooks currently used in primary schools, and proposes the reform of teaching materials and the teaching guide. The reformed materials and guide were piloted in primary schools to develop recommendations for further revision.The results imply that primary school learners fundamentally understood the reading comprehension process, but were not proficient in deduction. Furthermore, learners did not provide satisfactory answers to questions based on the framework of Japanese CR. Further research is still needed to refine the teaching method, allowing learners to learn Japanese language within a social and cultural context.
著者
漆原 和子 乙幡 康之
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.99-110, 2007-08-31 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10

南西諸島の防風対策は, 屋敷囲いとして石垣のみを用いる場合と, 石垣に防風林のフグギを組み合わせる場合がある。本研究では屋敷囲いとしての石垣とフクギの防風林を同時に用いる例として, 集落が第二次大戦の影響をほとんど受けず, 防風に対する屋敷囲いの原型を残している沖縄県の渡名喜島を取り上げた。渡名喜島はハブが多く, トンボロ上に住居を築かねばならなかった。低平なトンボロ上に立地し, 屋敷を掘り下げて防風をおこなうことが渡名喜島の特色ある景観である。掘り出した砂を母屋のまわりに積む必要があり, 内石垣で砂が崩れないようにした。道路側には外石垣を用い, その間に砂を積んで, フクギを2~5列を植えることにより防風効果を高めている。村落の道路は交差軸を少しずらし, 道路を吹き抜ける強風が弱まるように工夫がされている。しかし, 1973年以降, 失業対策のたに外石垣をブロック塀に変えた。その後, RC工法の母屋も全戸の34%に増え, 強風に対して母屋の強度が増してきた。それにともない, 近年屋敷の掘り下げを埋め戻す例が多くなり, 屋敷囲いが変化しつつある。
著者
冨岡 直 満田 大 中嶋 義文
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.33-40, 2013-01-15 (Released:2016-08-31)
参考文献数
13

一般医療への馴染みの薄い心理職が,精神科リエゾンチームの一員として有機的に機能するために必要な要件を明らかにすることを目的とし,他職種と協働するうえでみられる困難の要因と解決策について考察した。同チームは一般病棟で生じる問題の解決を助けるコンサルタントとして機能することが多いため,その視点をチーム内(コンサルタント間),チーム外(対病棟スタッフらコンサルティ)の二側面に分類して検討した。その結果,リエゾンチーム「内」における協働の困難は,チームは類似職種からなるものの,特に心理職の役割は不明瞭であるという点にあり,この解決には専門性の向上と相互尊重の姿勢が必要と考えた。リエゾンチーム「外」における協働の困難は,コンサルタントとしての機能発揮にあるが,医学・医療知識の乏しさゆえに問題自体を理解できないこともある心理職にとって,その障壁はことさら高い。この解決のためには見立て力の向上と,情報交換・問題解決の両レベルでのコミュニケーション能力の向上が重要と考えた。
著者
杉田 映理
出版者
日本文化人類学会
巻号頁・発行日
pp.A03, 2016 (Released:2016-04-22)

報告者は、博士課程の学生かつ未婚であった時にウガンダの農村部において1年強の長期フィールドワークをおこなった。そして14年ほどの時を経て、今度は子ども2人を連れて家族とともに同じ農村において住み込みの調査を実施した。本発表では、子連れでフィールドワークを行ったときの調査地での自分の立ち位置が14年前とどう変化したのか、またそれがなぜなのか、さらにフィールドで得られるデータに変化はあったのかを考察したい。
著者
得丸 公明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.495, pp.1-6, 2013-03-14

電子計算機はパターン認識が不得手である.これは(1)使用するデジタル信号が電圧ビットの有無にもとづく論理的0,論理的1という二元であるために,冗長性がなく,誤り検出・誤り訂正はパリティービットや誤り訂正符号の付加と別途確かめ算が必要であることと,(2)演算が電圧ビットの斥力にもとづくために,演算結果を知るためにはシフトレジスタの読み取りが必要であることによる.これに対して,DNAからmRNA(メッセンジャーRNA)への核酸の転写や,mRNAがtRNA(トランスファーRNA)のアンチコドン構造と結合する翻訳は,(1)結合という相互作用が誤りを防ぐほか,(2)翻訳では64種類のコドンが20種類のアミノ酸に減数するため冗長性を有し,誤り検出・誤り訂正の確かめ算や読み取りを必要としない.免疫システムは,「体内のタンパク質をすべて合わせた数よりも1000倍も多い1000万以上の異なる抗体タンパク質のレパートリーをもち」,抗原との結合が完全か不完全かといった論理判断の結果も信号伝達できる田.免疫システムは神経システムに酷似しており,非常に多くの種類の刺激に対して満足のいく反応をする.ともに二分法(Aか非Aかのパターン認識を行なう)と二元論の論理をもち,興奮性か抑制性かの信号を受け取るとともに送り出す.免疫細胞と神経細胞の違いは細胞数とネットワークのやり方にある.リンパ球は神経細胞よりも100倍数が多い.神経システムはニューロンのネットワークであり,1細胞の軸索と樹状突起が他の神経細胞群とシナプス結合を築いてできている.リンパ球はネットワークを構成するために繊維による結びつきを必要としない.リンパ球は自由に動き回るので,直接的な接触か,あるいは彼らが放出する抗体分子によって相互に作用するという特徴をもつ[2].
著者
中島 淑恵
出版者
富山シティエフエム

中島淑恵(人文学部教授)出演(ラフカディオ・ハーン=Lafcadio Hearn=小泉八雲の研究について)は第9回放送で月曜から金曜日にかけ,5日間にわたって次の通り放送された。収録は,放送に先立ってヘルン文庫内で行われた。 第9回放送-1/5(2018年6月4日,月曜日:放送)第9回放送-2/5(2018年6月5日,火曜日:放送)第9回放送-3/5(2018年6月6日,水曜日:放送)第9回放送-4/5(2018年6月7日,木曜日:放送)第9回放送-5/5(2018年6月8日,金曜日:放送)
著者
中島 淑恵
出版者
富山シティエフエム

中島淑恵(人文学部教授)出演(ラフカディオ・ハーン=Lafcadio Hearn=小泉八雲の研究について)は第9回放送で月曜から金曜日にかけ,5日間にわたって次の通り放送された。収録は,放送に先立ってヘルン文庫内で行われた。 第9回放送-1/5(2018年6月4日,月曜日:放送)第9回放送-2/5(2018年6月5日,火曜日:放送)第9回放送-3/5(2018年6月6日,水曜日:放送)第9回放送-4/5(2018年6月7日,木曜日:放送)第9回放送-5/5(2018年6月8日,金曜日:放送)
著者
中島 淑恵
出版者
富山シティエフエム

番組名:『ふるさと探求録』,放送:毎週月~金曜 7時13分~,17時40分~中島淑恵(人文学部教授)がラフカディオ・ハーン=Lafcadio Hearn=小泉八雲の研究について語る。(第9回放送)放送局:富山シティエフエム(コミュニティ放送,JOZZ5AF-FM,77.7MHz,20W) 番組概要:歴史や自然など富山について調査している人,科学や物理など富山で研究開発を行う人などを訪ね,富山の魅力を改めて探る。中島淑恵(人文学部教授)出演(ラフカディオ・ハーン=Lafcadio Hearn=小泉八雲の研究について)は第9回放送で月曜から金曜日にかけ,5日間にわたって次の通り放送された。収録は,放送に先立ってヘルン文庫内で行われた。 第9回放送-1/5(2018年6月4日,月曜日:放送)第9回放送-2/5(2018年6月5日,火曜日:放送)第9回放送-3/5(2018年6月6日,水曜日:放送)第9回放送-4/5(2018年6月7日,木曜日:放送)第9回放送-5/5(2018年6月8日,金曜日:放送)
著者
中島 淑恵
出版者
富山シティエフエム

番組名:『ふるさと探求録』,放送:毎週月~金曜 7時13分~,17時40分~中島淑恵(人文学部教授)がラフカディオ・ハーン=Lafcadio Hearn=小泉八雲の研究について語る。(第9回放送)放送局:富山シティエフエム(コミュニティ放送,JOZZ5AF-FM,77.7MHz,20W)番組概要:歴史や自然など富山について調査している人,科学や物理など富山で研究開発を行う人などを訪ね,富山の魅力を改めて探る。中島淑恵(人文学部教授)出演(ラフカディオ・ハーン=Lafcadio Hearn=小泉八雲の研究について)は第9回放送で月曜から金曜日にかけ,5日間にわたって次の通り放送された。収録は,放送に先立ってヘルン文庫内で行われた。第9回放送-1/5(2018年6月4日,月曜日:放送)第9回放送-2/5(2018年6月5日,火曜日:放送)第9回放送-3/5(2018年6月6日,水曜日:放送)第9回放送-4/5(2018年6月7日,木曜日:放送)第9回放送-5/5(2018年6月8日,金曜日:放送)
著者
中島 淑恵
出版者
富山シティエフエム

番組名:『ふるさと探求録』,放送:毎週月~金曜 7時13分~,17時40分~中島淑恵(人文学部教授)がラフカディオ・ハーン=Lafcadio Hearn=小泉八雲の研究について語る。(第9回放送)放送局:富山シティエフエム(コミュニティ放送,JOZZ5AF-FM,77.7MHz,20W)番組概要:歴史や自然など富山について調査している人,科学や物理など富山で研究開発を行う人などを訪ね,富山の魅力を改めて探る。中島淑恵(人文学部教授)出演(ラフカディオ・ハーン=Lafcadio Hearn=小泉八雲の研究について)は第9回放送で月曜から金曜日にかけ,5日間にわたって次の通り放送された。収録は,放送に先立ってヘルン文庫内で行われた。第9回放送-1/5(2018年6月4日,月曜日:放送)第9回放送-2/5(2018年6月5日,火曜日:放送)第9回放送-3/5(2018年6月6日,水曜日:放送)第9回放送-4/5(2018年6月7日,木曜日:放送)第9回放送-5/5(2018年6月8日,金曜日:放送)
著者
柳川 堯
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.153-161, 2018-03-01 (Released:2018-05-18)
参考文献数
5

Many clinical studies are conducted in Japan with sample sizes that are not deter-mined statistically. Application of Neyman-Pearson type statistical tests to data from such studies is not justifiable and should be stopped. Also 5% significance level that is commonly employed in a clinical study without taking into account disease, drug and other factors is not justifiable. Alternatively, the use of p-value is recommended in this paper as a measure of showing the magnitude of difference of two treatments; it is the role of principal investigator to summarize the study results by considering disease, drug and other factors, sample sizes and p-value.

7 7 6 0 OA 手鑑模様節用

著者
梅丸友禅
出版者
巻号頁・発行日
vol.上巻,
著者
井村 隆介
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.373-383, 1998-10-30 (Released:2017-03-20)
参考文献数
27
被引用文献数
5

The eruptive sequence of the An-ei eruption of Sakurajima volcano (1779-1782) is revealed by historical records. From the evening of November 7, 1779 (the 29th day of the 9th month in the 8th year of An-ei), Kagoshima and its environs were shaken frequently. At 11 a.m. of the next day, the water in the wells in the island boiled up, spouting at several points and the color of sea became purple. On the noon of the same day, minor white plumes rose up from the Minamidake summit crater. At about 2 p.m., plinian eruption oecurred at the southern upper slope of Minamidake, and several tens of minutes later, at the northeastern flank of Kitadake. The height of eruption column reached about 12000 meters. It is estimated that a pyroclastic flow was generated at 5 p.m. The plinian eruption climaxed from the evening of November 8, to the morning of next day, and later was followed by emission of lava flows. The activity of the southern craters ceased within a few days, but lava emission from northeastern craters lasted for a long period. On November 11, the lava flow from northeastern craters entered into the sea. Since then, submarine explosions occurred repeatedly off the northeastern coast, and it continued to January 18, 1782. Nine small islands produced by this submarine volcanic activity during a year. Submarine explosions caused small tsunamis on August 6 and 15, September 9, October 3 1, November 9, 1780 and April 11, 1781.
著者
千々岩 武陽 伊藤 隆 須藤 信行 金光 芳郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.1056-1062, 2017 (Released:2017-10-01)
参考文献数
14

心身医学の臨床では, 薬物療法や心理療法を用いても十分な治療効果が得られにくい, 抑うつ状態を呈した症例に遭遇することが少なくない. しかし, これらに対して 「温補」 という漢方医学的アプローチを用いることで, 奏効するケースが存在する. 今回, 抑うつ症状に対して漢方薬による温補療法が奏効した3症例について報告する.症例1は66歳, 女性. ストーマ造設術後から気分が落ち込むようになり, 吐き気, 食欲低下を主訴に外来を受診した. 「全身が冷える」 という訴えを重視して, 真武湯と人参湯エキスの併用を開始した結果, 内服2週間後には全身が温まる感覚とともに, 食欲と気分の著明な改善がみられた. 症例2は33歳, 女性. 微熱, 下痢, 抑うつを主訴に外来を受診した. 電気温鍼の結果を参考に通脈四逆湯 (煎薬) を処方した結果, 手足が温まるとともに, 心理テストのスコアは大きく改善した. 症例3は35歳, 女性. 4年前からうつ病と診断され, 各種抗うつ薬, 漢方薬に効果がみられないため, 筆者の外来を受診した. 通脈四逆湯を処方したところ, 内服2日後から外出が可能となり, 2週後には食欲と冷えが改善, 6週後には睡眠薬を必要とせずに良眠が得られるようになった.現代医学的に治療抵抗性がみられる抑うつや精神不穏を呈するケースの中には, 裏寒すなわち 「臓腑の冷え」 が病態を修飾しているものがある. その場合, 漢方薬による温補療法は心身医学領域においても有効な治療手段であることが示唆された.