著者
大形 里美 Ohgata Satomi
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学 国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-36, 2020-10

ここ数十年の間にイスラム諸国を中心に「ハラール認証」が普及し、滞日・訪日イスラム教徒(ムスリム)たちは、飲食物の「ハラール性」にますます敏感になってきている。そして今、日本のフードビジネス業界には、ムスリムの食のタブーに対応したサービス「ハラール対応」への取り組みが今まで以上に求められている。ムスリム人口が少ない日本で「ハラール対応」を普及させるためには、本稿で取り上げる福岡のレストラン「極味や」による「ハラール対応」のような取り組みが不可欠である。また福岡マスジドによる「ハラール認証」無料発行の試みは、従来の「ハラール認証」制度が抱える問題点を認識し、新たな「ハラール認証」制度のあり方を模索するものであり注目される。
著者
宮内 貴久
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.207, pp.183-221, 2018-02-28

福岡市は大陸に近い地政学的位置から,海外への玄関口という性格を持った都市である。戦後,空襲による家屋の焼失と約140万人におよぶ引揚者により,深刻な住宅不足問題に直面した。1950年の日本住宅公団の設立,1951年の「公営住宅法」により,公団住宅と公営住宅の建設が進められていった。しかし1960年,全国の世帯数1,957万に対して住宅数は約100万戸不足し,市営住宅募集倍率は数十倍という高倍率だった。福岡市では1973年までに14,020戸の市営住宅が建設され,公団住宅は19,417戸が建設された。南区警弥郷には,高度経済成長期を通じて1960年に市営警弥郷団地,1961年に市営上警固団地,1963年に分譲警弥郷住宅が建設された。こうした一連の住宅開発と1966年度からの第一期住宅建設五カ年計画により弥永団地が計画開発された。弥永団地は福岡市域に市営弥永団地,春日町域に分譲住宅と分譲地が都市施設とともに開発された。間取り2DKで,20~30代の若い夫婦と子供という核家族が多かったが,一種の約4%,二種の約12%が65歳以上の老人世帯だった。三世代同居もみられた。2DKは食寝分離,就寝分離を目的とした間取りだが,DKではなく畳の部屋で卓袱台で食事をしていた例が少なからずあった。統計上も3割が食事をする部屋で寝ており,公営住宅で食寝分離・就寝分離をしていたのは約47%に過ぎなかった。住民の属性は,技能工・生産工程作業員及び労務作業従事者の比率が約28%と高い。学歴は中卒・高卒,大卒の順に多い。共稼ぎ家庭が多く,母子家庭も多く低所得者が多かった。団地住民を見下す噂もある。二区には建設当初から現在まで入居している世帯が53世帯あり,18.3%を占めている。
著者
大澤 枝梨香 加納 徹 竹島 由里子
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.137-138, 2019-02-28

現在、多くの若者がTwitterを趣味とつなげて利用している。特に、Twitterと連携可能なゲームが登場したことから、ゲームをしている合間に簡単にツイートをすることが可能となっている。そこで本研究では、複数のジャンルのゲームを対象に、ゲームに関するツイートを収集し、感情分析を行う。そして、ユーザがゲームをしている際の感情の変化を、ゲームのジャンルごとに可視化する。可視化結果を比較することで、各種ゲームがユーザに与える心理的影響を直感的に理解・分析できるようになる。さらには、分析結果に基づいて、ユーザに適したゲームの提案や開発につながることが期待される。
著者
清野 惇 セイノ アツシ Atsushi SEINO
雑誌
修道法学
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.206-189, 2006-09-30
著者
入江 さやか Sayaka Irie
出版者
同志社大学留学生別科
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 = Bulletin of Center for Japanese Language Doshisha University (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
no.4, pp.31-40, 2004-12-25

現代日本語において,実際に用いられている形容詞を選出し,その語幹の音韻構造について調査した。4冊の国語辞書のうち,3冊以上の辞書に掲載されている形容詞を選出すると,ク活用形容詞452語,シク活用形容詞272語,合計724語である。そのうちの和語650語について,出現位置別に音素分布表を作成し,和語3拍名詞と比較すると,語頭に現れる母音音素,子音音素は,和語3拍名詞,和語形容詞ともにほとんど同じであった。ただし,和語形容詞語幹末の母音音素は,著しく偏った音素分布を見せる。すなわち,和語2拍名詞の場合は,/i/のあと,/a/ /e/ /o/ /u/と続く。和語3拍名詞の場合は,/i/のあと,次に多いのは,/e/であり,続いて/a/ /o/ /u/という順になる。名詞の場合は,/i/ /e/で終わるものが多いと言える。それに対し,形容詞語幹の場合は,/a/が最も多く出現し,/i/ /e/はほとんど出現しない。
著者
三小田 美稲子
出版者
国士舘大学体育学部附属体育研究所
雑誌
国士舘大学体育研究所報 = The annual reports of health physical education and sport science (ISSN:03892247)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.21-26, 2018-03-31

This study examined the effectiveness and forms of activities in which music and sports can intermingle and merge. Various forms of activities were compared, and their characteristics and ways in which music and sports were linked were examined. Findings were as follows: new approaches such as combined events or the concept of "play" are needed as a way to link music and sports. Appropriate facilities need to be provided and leaders who will implement and promote these new approaches need to be trained.
著者
山下 景秋 Kageaki YAMASHITA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.113-121, 2021-03-31

In this paper, I consider the quality of products and agricultural products by setting the cost of producing quality (quality cost) and the number of sales as a result of quality. Since the number of sales is a function of price and quality cost, I consider that the profit of a company (farmer) is a function of price and quality cost. In this paper, in order to achieve maximum profit, there are three adjustment methods: (1) price adjustment, (2) average variable quality cost adjustment, and (3) price and average variable quality cost adjustment. The route by which profits are achieved is shown graphically. Based on this, I considered when and by what adjustment these three maximum profits would be achieved.
著者
近畿大学 法学会
出版者
近畿大学法学会
雑誌
近畿大學法學 = Kinkidaigaku hogaku: Kindai University Law Review (ISSN:09164537)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, 2021-03-31

[注記]近畿大學法學, 第68巻第4号, 近畿大学法学投稿規程, 前号目次[第68巻第1,2号(通巻188号),第68巻第3号(通巻189号)],執筆者紹介
著者
廿日出 里美 Satomi Hatsukade
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.49, pp.125-136, 2021-02-28

本研究の目的は、来るべきAI化時代に備えてAIとは異なる生身の人間の「感覚力」に着目し、人とかかわる職に就く人々に向けた研修プログラムを開発することにある。大量の情報を瞬時に処理することに長けたAIは将来、職場でどのように活用され、人々の関係性にどのような変化をもたらすか、現時点での将来像を予測しておく必要がある。昼寝などの睡眠時の乳幼児の安全・見守りや送り迎え時の保護者対応、絵本の読みかたり等の業務にAIが登用された場合、そこで働く専門職の意味合いや養成、ならびに、研修内容にも大きな影響を及ぼすと考えられる。経済中心の原理や従来の仮説検証型の自然科学的方法とは異なる未来像を描く方途として、本論では人称の身体感覚を手がかりに、パフォーミング・アーツのワークショップにおける長期的フィールドワークを通して、対人関係専門職に就く人々を想定した感覚力の拡張を目指すプログラムの検討を試みる。
著者
松並 知子 西尾 亜希子 Tomoko MATSUNAMI Akiko NISHIO
雑誌
女性学評論 = Women's Studies Forum
巻号頁・発行日
vol.32, pp.25-52, 2018-03-20

貧困化リスク要因が多い女性にとって大学在学中のキャリアプラン選択は重要なため、本研究は女子大学生の将来のキャリアプラン選択の傾向やその要因について検討することを目的とした。研究1では、女子大学生500名を対象にキャリアプラン選択と稼得意識、進路選択に対する自己効力、自尊感情との関連を検討した結果、半数以上がキャリアを中断・退職する予定であり、就業継続には稼得意識のみが関連することが示唆された。研究2では稼得意識の項目数を増やし、309名を対象に稼得意識と職業観との関連および就業継続の要因について検討した。その結果、稼得意識の下位項目である「結婚生活における経済的自立度」と職業観の下位尺度である「人間関係」「やりがい」「男女平等の環境」との間に弱い相関が、稼得意識のもう1つの下位項目である「結婚相手への非依存度」と職業観の「経済的安定」と「プライベート重視」の間に中程度の負の相関が見られた。また、就業継続の促進要因として結婚生活における経済的自立志向と男女平等な環境でのやりがいのある仕事を期待する職業観が、阻害要因としてプライベート優先と仕事を通じた良好な人間関係を期待する職業観があることが示唆された。経済的な自立志向ややりがいを求める職業観が稼得意識に関連する一方、プライベートを優先しすぎたり、職場での人間関係などを重視しすぎることが、稼得意識の喪失につながる可能性もある。したがって、稼得意識を高めるような新たなキャリア教育を開発する必要性が示された。