著者
藤枝 繁
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産學會誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.23-30, 2011-01 (Released:2012-12-06)

瀬戸内海で大量に使用されているカキ養殖用プラスチック製パイプ類の漂流漂着実態を明らかにすることを目的に,瀬戸内海全域を対象に海岸での回収調査および海面での目視調査を実施した。海岸における平均漂着密度は,採苗連に使用されるまめ管が最も高く7.5個/m2,続いて広島県の垂下連で収穫時に発生する損傷パイプ4.5個/m2,同垂下連で使用されるパイプ2.9個/m2であった。まめ管,パイプおよび損傷パイプの発見率(漂着密度0.1個/m2以上の調査海岸数の割合)は,広島県から西方の海域で高かったが,まめ管は東部海域にも広く漂着していた。
著者
青木 こずえ
出版者
高知県農業技術センター
雑誌
高知県農業技術センター研究報告 = Bulletin of the Kochi Agricultural Research Center (ISSN:09177701)
巻号頁・発行日
no.22, pp.49-57, 2013-03 (Released:2014-01-16)

施設内で前作としてキュウリを栽培し,定植時に7種類と栽培終了直前に21種類の農薬を処理して,後作として栽培した葉菜類のコマツナ,チンゲンサイ,ホウレンソウ,ミズナへの移行を調査した.その結果,ホスチアゼート,ジノテフラン,ボスカリド,チアクロプリド,プロシミドン,チアメトキサム,クロチアニジンが葉菜類に吸収されやすい傾向がみられた.1.ホスチアゼートは,コマツナから農薬処理後142日に残留基準値を超えて検出され,基準値以下にまで低下するためには,処理後経過日数を160日以上要した.2.ボスカリドは,ホウレンソウから一律基準値を超えて検出された.農薬最終処理後の前作キュウリ栽培期間を22日延長して播種した場合でも一律基準値を超えた.3.チアクロプリドは,全葉菜類から一律基準値を超えて検出された.農薬最終処理後の前作キュウリ栽培期間を22日延長して播種した場合,チンゲンサイとミズナは一律基準値以下になった.4.クロチアニジンは,ホウレンソウに特異的に吸収された.
著者
袴田 哲司 山本 茂弘
出版者
静岡県農林技術研究所
巻号頁・発行日
no.2, pp.75-80, 2009 (Released:2011-03-05)

準絶滅危惧種サクラバハンノキと治山用樹種ヤマハンノキの良好な苗木生産をするため、稚苗への根粒を形成させる方法を検討するとともにその生育状況を調査したところ、以下のことが明らかになった。サクラバハンノキ成木から採取した根粒の裂片や根片をサクラバハンノキ稚苗の根元に埋め込み処理したところ、根粒形成稚苗が確認され、根粒と根片を合わせて処理した場合にその個体数が多くなった。根粒形成稚苗は、根粒非形成稚苗と比較して、根長は短かったが、苗高と葉長は同程度であり、葉数が多かった。また葉緑素計の数値も高かった。サクラバハンノキ成木から採取した根粒粉砕物の懸濁液をヤマハンノキ稚苗の根元に処理したところ、根粒形成稚苗が確認された。それに加えてリン酸カリウム水溶液を処理すると、葉数、葉長、葉緑素計数値が大きくなった。サクラバハンノキの根粒を処理したヤマハンノキに根粒が形成されたことから、これらの菌類はフランキアである可能性が示唆された。
著者
大塚 孝一
出版者
長野県自然保護研究所
雑誌
長野県自然保護研究所紀要 = Bulletin of Nagano Nature Conservation Research Institute (ISSN:13440780)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-8, 2002-03 (Released:2011-03-05)

日本産ザゼンソウ属の3種、ザゼンソウ、ヒメザゼンソウ、ナベクラザゼンソウについて、主な植物標本庫の標本に基づいて分布図を表した。ナベクラザゼンソウは長野県産の標本に基づいて記載された新種であるが、今回の調査で、この種は東北地方から北陸地方にかけての日本海側の地域に分布することが明らかになった。
著者
梅沢 一弘 大倉 正 田崎 志郎
出版者
埼玉県水産試験場
巻号頁・発行日
no.45, pp.40-46, 1986 (Released:2011-03-05)
著者
沢村 信一 加藤 一郎 伊藤 恵利
出版者
[出版者不明]
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
no.96, pp.57-62, 2003-12 (Released:2011-03-05)

荒茶の微生物数を低減化させるために、4つの観点に注目して調査を実施したところ、以下の点が明らかとなった。1)生葉の洗浄によって、約50%の一般生菌数の減少が認められたが、効果的な除菌方法とは言えなかった。2)蒸熱時間を長くすることによって、荒茶の一般生菌数は減少したが、茶の品質に与える影響が大きく、適切な処理方法とは言えなかった。3)乾燥機における茶温の積算温度あるいは、最高温度と一般生菌数に比較的良い負の相関が得られたことから、乾燥機の適切な温度管理が重要であることが明らかとなった。4)製造日毎の二次汚染状況の調査において、一番茶・二番茶では、一般生菌数の多い工場があった。これは、製茶機械内部に茶葉が付着・蓄積し、そこで微生物が増殖するためと思われる。よって、日々の清掃を重視することによって、荒茶の一般生菌数が低減化することが明らかとなった。
著者
山本 淳 高橋 一孝
出版者
[山梨県魚苗センター]
巻号頁・発行日
no.21, pp.35-40, 1993 (Released:2015-04-17)
著者
武田 維倫 糟谷 浩一 福冨 則夫 土居 隆秀 室井 克己 加藤 公久 室根 昭弘 佐藤 達朗 花坂 泰治 長尾 桂#北村 章二
出版者
[栃木県水産試験場]
雑誌
栃木県水産試験場研究報告 (ISSN:13408585)
巻号頁・発行日
no.45, pp.3-12, 2002-03 (Released:2013-10-08)

栃木県中禅寺湖では、平成7年に密放流によると思われるコクチバス(Micropterus dolomieu) が県内で初めて確認された。本種は北米原産の肉食魚であり繁殖力が強く、さらには冷水域や河川にも生息可能であることから我が国の内水面漁業や在来種に悪影響を与える事が懸念されている。そこで本種の効果的な駆除方法を確立することを目的として、平成7年から平成12年の間、毎年4月から9月にかけて本種の生態調査と駆除方法の検討を行った。期間中に捕獲したコクチバスは96尾、確認した産卵床は46個であった。捕獲方法の内訳は水中銃で33尾、地曳網で31尾、巻網で22尾、釣りで9尾、刺網で1尾であった。また、実際に産卵が行われた産卵床は10個であった。年度毎にみると、捕獲尾数、産卵床確認数ともに平成8年が最も多かった(42尾、18個)が、平成12年には捕獲尾数1尾、確認された産卵床数1個のみとなり駆除の効果が表れているものと思われた。捕獲魚の胃内容物のうち最も多く確認されたのはヨシノボリ(Rhinogobius sp. )とスジエビ(Palaemon paucidens)であったが、漁業対象種であるヒメマス(Oncorhynchus nerka)及びホンマス(Oncorhynchus sp. )の稚魚も発見された。コクチバス及びその産卵床は水温が12℃以上になる5月下旬から確認され始め、産卵床は水深1.3~4mの範囲で付近に障害物のある遠浅の砂礫地につくられる例が多かった。以上の結果から、中禅寺湖では水温12℃以上になる期間中に地曳網、巻網、水中銃を地形に合わせて使い分けて駆除を行うのが効果的であると考えられた。
著者
森川 進
出版者
岐阜県淡水魚研究所
巻号頁・発行日
no.48, pp.1-234, 2003 (Released:2011-03-05)
著者
佐藤 行人 西田 睦
出版者
日本魚學振興會
雑誌
魚類學雜誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.89-109, 2009-11 (Released:2011-03-28)
著者
山田 康枝 江口 将也 伊豆 英恵 後藤 邦康 須藤 茂俊
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.9, pp.609-614, 2010-09 (Released:2011-12-19)

本研究では、中枢神経系においてリラックス効果に主要な働きをしているGABAA受容体に対する日本酒成分の効果を明らかにするため、アフリカツメガエル卵母細胞に発現したGABAA受容体のチャンネル活性への日本酒成分の影響を検討した。受容体へ効果のある物質を特定しやすくするため、イオン交換クロマトグラフィーで日本酒を分画し、揮発性成分を除き濃縮するために凍結乾燥を行い、塩基性アミノ酸画分、中・酸性アミノ酸画分、有機酸画分、糖画分を得た。これらの日本酒画分存在下で測定を行った結果、得られた全ての画分にGABAA受容体を活性化する成分が存在することが示された。特に、有機酸を主に含む画分において、GABAが含まれないのにも関わらず、GABA活性が存在し、さらに高い活性化率を示すことがわかった。以上のことから、日本酒にエタノールやGABA以外のGABAA受容体活性化成分が存在することが示唆された。
著者
市川 俊英 倉橋 伴知 幾留 秀一
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.43-59, 2011-02 (Released:2012-12-03)

香川県内の自生植物および栽培植物の花とその周辺で活動中のハナバチ類(ミツバチ上科)の成虫を3年間(1996年~1998年)に亘って観察・採集した.その結果、導入種のセイヨウミツバチとセイヨウオオマルハナバチを含む6科22属54種のハナバチ類が採集された.土着種の中で年間6ヶ月以上の長期に亘る活動はニホンミツバチ(9ヶ月間)およびキムネクマバチ(7ヶ月間)で確認された.また、確認された訪花植物種数はキムネクマバチが最も多く、14科18種、次いでコマルハナバチが9科13種、それに続いてニホンミツバチとトラマルハナバチがそれぞれ8科9種であった.訪花中の雌成虫による盗蜜行動がキムネクマバチとクロマルハナバチで、振動授粉がキムネクマバチ雌、コマルハナバチ雌、トラマルハナバチ雌およびクロマルハナバチ雌でそれぞれ観察された.雌雄異株木本植物のアカメガシワ雄株でキムネクマバチ雌が振動授粉すると花粉が空中に飛散することと、同種雌株で訪花昆虫が確認されないことから、アカメガシワではキムネクマバチが飛散させた花粉によって授粉される可能性が高いと推測された.このため、振動空輸授粉(buzz and airborne pollination)と名付けたこの仮説的な授粉様式の可能性を、熱帯に多い雌雄異株木本植物の授粉様式と対比させながら考察し、訪花活動に関連したクマバチ属の進化過程についても若干推論した.
著者
大西 近江
出版者
Genetics Society of Japan
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.303-316, 1993 (Released:2011-12-08)