著者
木村 昌弘 斉藤 和巳
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:09172246)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.363-388, 2008-09-25
被引用文献数
1

文書ストリームデータにおける主要潜在トピックの抽出を,文書のBOW表現に基づいて効率よく行う,PMM-PCA法と呼ぶ新たな教師なし学習法を提案する.PMM-PCA法は,PCA法と異なり,単語頻度ベクトル群の時系列として表現された文書ストリームデータに対して,その適切な確率的生成モデルに従うという性質を有している.実際の文書ストリームデータを用いた実験により,提案法の有効性を実証する.
著者
寺島 徹
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学人文学部研究紀要 (ISSN:13495607)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.254-242, 2006-03-31

従来、近世中期から後期の仮名遣い研究において、採り上げられることのなかった俳諧の仮名遣いについて、蕪村・暁台・也有の真蹟資料をもとに調査する。定家仮名遣い、歴史的仮名遣い、および近世通行の仮名遣いの観点から、それぞれの使用度を探ることで、江戸中期の俳人に共通する仮名遣いの規範意識の有無について考察し、その傾向について相対化する。当時は、国学研究が勃興した時代であったにもかかわらず、蕪村においては、歴史的仮名遣いとは異なる近世通行的な仮名遣いが行われていたことがわかる。一方、暁台は、俳諧活動をはじめた宝暦・明和期は、定家仮名遣いを使用する色彩がつよいものの、晩年の句合評や新出の折手本などの自筆資料を参看すると、天明期以降は、国学の気運の高まりの中、歴史的仮名遣いに近づく態度が看取される。作法に拘泥しない磊落な蕪村の志向と、世の趨勢に敏感な暁台の姿勢の一端が仮名遣いの側面からもうかがえる。
著者
小野 由隆
出版者
新領域創成科学研究科 環境学研究系 社会文化環境学専攻
巻号頁・発行日
2007-03-22

報告番号: ; 学位授与年月日: 2007-03-22; 学位の種別: 修士; 学位の種類: 修士(環境学) ; 学位記番号: 修創域第2275号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻
著者
吉田 匠 城 堅誠 南澤 孝太 新居 英明 川上 直樹 舘 [ススム]
出版者
The Institute of Image Information and Television Engineers
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア = The journal of the Institute of Image Information and Television Engineers (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.801-809, 2009-06-01

A wide field of vision is important for driver safety and vehicle operability. However, the window area of vehicles is limited. Therefore, we developed head-tracked retro-reflective projection technology that displays vehicle blind spot information. The system enables the driver to observe the surroundings in the blind spot as if seeing through the inner wall of the vehicle. The system uses a head-mounted projector and multiple cameras. We describe the system design, the implementation of a prototype, and performance evaluation experiments. Early experiments showed that the system effectively displayed the blind spot information corresponding to the operator's looking around motion.
著者
熊谷 有香 吉田 奏子 三輪 譲二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.611, pp.23-30, 1999-02-19
被引用文献数
3

本論文では、日本語音声教育のための日本語アクセント型判定法を提案する。アクセント型の判定では、相対アクセント位置および対数基本周波数の傾きの2つの特徴を用いる。アナウンサーの音声について、97%の割合でアクセント型を正しく判定した。よって本判定アルゴリズムは有効であるといえる。また、留学生のアクセントの正答率は69%であったが、間違った発音に対しては異なるアクセント型に判定された。よって日本語アクセント発音学習に役立てることができるといえる。
著者
藤石 知夏 宮崎 正弘
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.51-52, 1994-09-20

日本語において複合語は数多く出現するため、特に単語数の多い複合語に高い精度で正しいアクセントを付与することは、自然な日本文音声を出力する上で重要な課題となっている。本稿では、アクセント核を複数保有する複合語を適切なアクセント句に分割するため、複合語構造解析の結果得られた複合語の木構造を基に、単語間の意味的、文法的結合力を考慮した、複合語のアクセント句自動抽出法を提案する。
著者
佐々木 啓友 吉田 利信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.603, pp.9-15, 2002-01-17

名詞2語からなる複合名詞がどのような場合にアクセント合成をするかを、新聞記事読み上げ音声コーパスを用いて解析した。複合名詞を構成する単語間の意味的結合関係を、係り受け解析から推定する方法、単語間の類似度から推定する方法、コーパスからの共起情報によって推定する方法を検討した。
著者
近藤 康久
出版者
東京大学
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:02873850)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-82, 2007-03-20

縄文遺跡から出土する石錘・土錘は,多くの場合漁網錘として解釈されるが,他にも釣り用の錘や独木舟の碇,編物用の錘など,さまざまな用途が提案されており,決着をみていない。このような問題をふまえ,本稿では,武蔵野台地・下末吉台地および多摩丘陵において縄文時代錘具および錘具出土遺跡の全数調査を実施した結果に基づいて,地理情報システム(GIS)を用いて報告点数・器種・コンテクスト・重量など錘具の諸属性をマッピングし,錘具の出土した「空間」の特性を人間活動の「場所」として評価することによって,その「場所」で用いられた錘具という考古遺物の性格ならびに用途を再検討する。分析の結果,(1)錘具は古東京湾岸と多摩川下流左岸・野川一帯に集中しつつ,武蔵野台地や多摩丘陵にスポット状に分布する傾向があることと,(2)縄文中期中葉の勝坂II式期より中期後葉の加曽利EIII式期にかけて土器片錘が爆発的に普及すること,(3)海岸ゾーンに近づくほど土器片錘の比率が増し,遠ざかるほど石錘の比率が増すこと,(4)中期中葉には東京湾に近づくほど阿玉台式土器片錘の比率が高まること,(5)後期に切目石錘の比率が高まり,晩期には切目石錘・有溝石錘・有溝土錘を主体とした器種構成になること,(6)石錘の方が土錘よりも重い資料が多いが全体としては両器種ともよく似た重量分布を示すこと,そして(7)土錘・石錘ともに包含層・住居趾からの出土を基本としながら低湿地の水成堆積層からも出土することなどが明らかになった。これらの現象を総合的に考察すると,縄文時代の錘具は,打欠石錘も含めて,一般的には漁網の沈子として用いられ,300gを超える大型石錘も水域での活動に用いられた可能性が高いと結論することができる。
著者
久保 順子 杉本 重雄
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.15-31, 2008 (Released:2008-07-14)
参考文献数
43

本研究は,国内121館の公共図書館のWebサイトから約5,000件の情報資源(リソース)を収集し,そのメタデータを作成し情報資源の特徴を分析した.メタデータはDublin Coreのエレメントを基礎に定義した.はじめにリソース単位でのメタデータを作成し,その分析結果を基に,Webサイトごとに情報資源の集まり(コレクション)を対象とするメタデータを作成した.このコレクションメタデータ194件について情報資源の主題やタイプのばらつきを調査した.主題分野に関しては学問,自然科学,社会科学などの学術的な情報資源が少なかった.また地域の歴史や文化に関係した情報資源が多く,かつ江戸時代以降のものが大半を占めることがわかった.電子化の有無に関しては原資料を完全に電子化した情報資源よりも,原資料の一部を電子化し説明を加えて作ったものが多いということがわかった.
著者
上柳 豊寿 益田 智 江本 博章 奥村 基範 柿 雄介 濱嵜 陽司 片山 仁志
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2000, 2000

本研究では, モータの代わりに人工筋肉の特性を持つワイヤーを脚の駆動用アクチュエータに利用した小型六足歩行ロボットを作製した。このロボットは, 小型でありモータを用いていないことから軽量である。そこでロボットの脚と接地面との摩擦抵抗を大きくし, ロボットの前進, 後退及び旋回を滑らかに行う歩行パターンの開発を行った。
著者
服部 俊宏 高松 利恵子
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.183-190, 2009-04-25

大規模牧場の資源流動とそれに基づく窒素収支を明らかにすることにより,そこでの環境への負荷を軽減させるためのあり方を検討した.調査対象は,周年飼育を実施している青森県内の4公共牧場である.各牧場において,「牧場」「土壌」を集計単位として,年間の資源流動を把握することにより窒素収支を明らかにした.<BR>牧場を単位とした窒素収支は,いずれの牧場でも搬入超過であり,土壌単位の窒素収支でも,いずれの牧場も投入過多である.面積当たりの牧場窒素蓄積量の削減には配合飼料や化学肥料の搬入削減が,面積当たりの土壌窒素蓄積量の削減には,施肥の削減や投入/産出比を精緻に管理することがそれぞれ必要であるということが示唆された.
著者
内山 英昭 斎藤 英雄 セルヴィエル ミリアム モロ ギヨム
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.88, pp.113-118, 2009-06-11
被引用文献数
1

本稿では,交差点マーク付き地図と交差点データベースを用いた地理データマッチングに基づくGISデータのAR提示システムを提案する.本システムでは,交差点マーク付き地図を撮影すると,その地図に関連するGISデータをディスプレイを通してAR提示する.地理データとして交差点を使用し,点検索手法のLLAHによって画像中とデータベース中の交差点の対応付けを行うことで地図の識別を行う.また,任意の方向から撮影した画像に対して交差点の対応付けを可能にするため,LLAHにトラッキングを導入する.実験では,LLAHによる交差点の対応付けによって実時間地理データマッチングが可能であることを示す.また,LLAHにトラッキングを導入することで自由なカメラの動きに応じたAR提示が可能になることを示す.
著者
島 健 岡田 芳和 西田 正博 山根 冠児
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.25-34, 1992-02-20

椎骨脳底動脈循環不全症の大多数の症例は頭蓋外椎骨動脈起始部病変に起因する.本稿では椎骨動脈の露出法と各血行再建術をレビューするとともに,術式の長所,短所につき検討を加えた.薬物療法,星状神経節ブロックでも効果なく,反復する頸性めまいの原因としてのVA起始部のcoiling, kinkingに対し,C_6横突起孔のunroofingとVA走行矯正を行う方法は術式も容易で有効な治療法と思われる.VA起始部の狭窄性病変に対するVA-SA transposition, VA-vein graft-SAバイパスは術式の容易さ,手術侵襲も比較的少なく,VA-CCA transpositionに比して,脳主幹動脈2本の同時遮断という脳虚血の危倶も少なく,優れた術式と考えられた.術中ABR,VAのstump pressure等術中モニターの重要性についても述べた.
著者
藤村 直樹 松本 賢治 小野 滋司 尾原 秀明 北川 雄光
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.523-528, 2009-06-25 (Released:2009-07-15)
参考文献数
20

今回われわれは,椎骨動脈転位術を要した椎骨動脈狭窄症の 2 例を経験した.症例 1 は51歳,女性.主訴は視野障害で,精査にて両側の椎骨動脈起始部および左鎖骨下動脈に狭窄を認めた.症例 2 は66歳,女性.主訴は突発性の回転性めまいで,精査にて左椎骨動脈起始部および左鎖骨下動脈に狭窄を認めた.いずれも椎骨動脈転位術を施行し,良好な結果が得られたが,頸動脈や鎖骨下動脈と異なり,椎骨動脈狭窄症に対する治療の適応や治療法の選択については,いまだに確立されていない.一般的に椎骨動脈狭窄症に対する外科的治療の適応は,有症状の狭窄性病変とされているが,統一的見解は得られていない.また最近では血管内治療の有用性も報告されているが,それぞれを比較した報告は認めず,長期成績も不明である.今後低侵襲な血管内手術が第一選択となるであろうが,さらなる検討が望まれる.