著者
伊藤 正純
出版者
摂南大学
雑誌
摂南経済研究 (ISSN:21857423)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.37-54, 2012-03

なぜスウェーデン人は高い税金を徴収されても不満を言わないのか。負担と受益の関係が"見える化"しているという感覚があるからだ。1991年の税制改正によって導入された二元的所得税論は、税制を勤労課税重課、資本課税軽課の体系に変更した。勤労課税の中心は勤労所得税(地方所得税と国所得税)で、その大半は地方所得税である。地方政府の財源は国からの補助金が少しあるが、それ以外はほぼこの地方所得税だけである。低所得者にも重い地方所得税の課税は広範囲に課税するため安定した税収調達機能をもつ。しかし同時に、この地方所得税は社会的保護と教育(高等教育以外)を担うコミューン(市)と、病院経営を担うランスティング(県)の主要な財源となっている。そのため、"見える化"を進展させた。スウェーデンでは、地方政府が現金給付をおこなうことはほとんどない。それは国と高齢者年金基金の業務だからである。また、現金給付は課税給付金と非課税給付金に分かれている。課税給付金は勤労所得とともに獲得所得として勤労課税の対象となる。地方所得税は定率課税だが、国所得税は高い累進課税である。そのため、税による再分配機能もうまく発揮されている。そして、いかなる家族形態においても生活の安全が保障されている。それも、税における"見える化"を進展させている。
著者
浜田 篤郎 渡辺 直煕 山崎 洋次 吉葉 繁雄 小林 昭夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.279-280, 1990
被引用文献数
3 3

A 57-year-old woman experienced pain from foreign bodies in her oral cavity after eating raw squid. Examination of her oral cavity revealed 20-30 small foreign bodies embedded in the mucous membrane. After all the foreign bodies were pulled out, the pain was allayed and the wounds eventually healed. The foreign bodies, 5mm in length, were white and of elongated conical shape. Under microscopy, a large number of sperms was observed in the bodies. These foreign bodies were determined to be sperm-bags of the squid. It is supposed that this woman ate squid with spermatophores, thereafter sperm-bags were discharged from the spermatophores into her oral cavity. Although only a few similar cases heretofore have been found, it might increase among the Japanese who frequently eat raw squid.
著者
氏家 理恵
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.25-40, 2001-10-15
著者
荻本 真美 鈴木 公美 樺島 順一郎 中里 光男 植松 洋子
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.57-62, 2012
被引用文献数
7

ベーキングパウダーを使用した菓子・パン類,ミョウバンを使用した食品として野菜加工食品,海産物などを中心とした105試料について,食品中のアルミニウム(Al)含有量調査を行った.菓子・パン類は57試料中26試料で0.01~0.37 mg/g,小麦粉調製品は6試料中3試料で0.22~0.57 mg/g,野菜加工食品は3試料すべてで0.01~0.05 mg/g,海産物は6試料中4試料で0.03~0.90 mg/g,即席めんは11試料中3試料で0.01~0.03 mg/g,春雨は4試料中3試料で0.04~0.14 mg/g,大豆は不検出,大豆加工食品は16試料中1試料で0.01 mg/gのAlが検出された(定量限界0.01 mg/g).週一度摂取すると体重16 kgの幼児のPTWIに相当するものが,菓子類2試料,小麦粉調製品2試料,くらげ1試料の5試料あった.以上の結果から,子供,特に幼児では製品や喫食量により,PTWIを超過する可能性があることが示唆された.
著者
上山 輝 山田 奈都美
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.177-187, 2009

本論は,デジタルコンテンツの分析方法を探るための研究の基礎を構成するものである。コンテンツの質的評価を想定した場合,定性的な特徴をどのようにとらえるかについては,ユーザまたは鑑賞者それぞれの個人差が大きく,主観的な見方を総合しただけでは捉えにくい。従ってユーザがコンテンツと接する状況を網羅するような質的評価を目指す前に,まず特定の定性的な特徴に限定してコンテンツの質に影響する諸要因を考える必要があると考える。ただし,映画,音楽,演劇などは,それぞれのジャンルによって定性的な特徴が複合的に出現する(コメディ映画の感動シーンを総合的な評価から分離できるか,など)。これらの複雑さに取り組む前段階として,本論では定性的な特徴を「笑い」に限定し,落語,漫才,コントなどの「笑芸」のうち,「コント」に焦点をあてて,一組のユニットの作品群を題材として,笑いとの関係について考察するものである。
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.665, pp.1-140, 2006-10
著者
加藤 元海 見並 由梨 井上 光也
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.77-85, 2015-07-30

地球上における急激な人口増加に伴う食料問題の対策の1つとして、栄養価や生産コストの面から昆虫を利用することが有益であるとの報告書を2013年に国連食糧農業機関がまとめた。現在食べられているのはほとんどが陸生昆虫で、水生昆虫は少ない。しかし、水生昆虫の一部はザザムシや孫太郎虫として日本では食用とされてきた。本研究では、比較的大型で採集しやすい水生昆虫であるヘビトンボ、ヒゲナガカワトビケラ、大型カワゲラを対象に食用昆虫としての可能性を探るため、水生昆虫の生物量や収穫のしやすさを河川において現地調査し、加えて水生昆虫食に対する意識調査を行なった。底生動物の生物量は0.1から7.5g/m^2の範囲で、うち食用昆虫の割合は平均で63%だった。また、生物量と捕獲努力量との間には正の相関がみられた。大型の水生昆虫を効率的に採集するには、降水や水生昆虫の生活史を考慮すると冬から初春に行なうのが適切であろう。昆虫食に対する意識では、見た目への抵抗感に関する記述が多くみられた。しかし、水生昆虫を食べる前より実際に食べた後の方が肯定的な意見が増えた。水生昆虫食の普及には、見た目の工夫を施し、抵抗感を打ち消す広報や教育によって、今後、水生昆虫が食材として受け入れられる可能性はあると結論付けた。
著者
三村 昌義
出版者
神戸山手大学
雑誌
神戸山手大学紀要 (ISSN:13453556)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.11-34, 2004-12-20