著者
末田 達彦 纐纈 伸二
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.402-411, 1984-10-25

前報にひきつづき3種の理論的生長曲線, MITSCHERLICH式, Logistic式, GOMPERTZ式をバンクスマツ(Pinus banksiana LAMB.)349個体の胸高半径生長にあてはめ, 各曲線の理論的妥当性, あてはめの難易, あてはまりの良否を検討した。前報のシロトウヒの場合と同様, いずれの理論式も, あてはめによって得られる係数の値と理論から考えて妥当と思われる値の間に食違いを示したが, この矛盾はMITSCHERLICH式においてもっとも穏やかで, Logistic式においてもっとも顕著であった。あてはめの難易, あてはまりの良否についてもMITSCHERLICH式がもっとも優れており, ついでGOMPERTZ式, Logistic式の順となった。以上の結果は前報のシロトウヒの場合とほぼ同じであるが, これは各曲線の特性を反映しているものとみてよい。一部に曲線間の順位に逆転があるが, これは陽樹バンクスマツと陰樹シロトウヒの差異によるものと考えられる。本報および前報の結果を合わせ, 樹幹半径の生長を表わすには, 理論的にも現実的にもMITSCHERLICH式がもっとも優れているという暫定的結論を得た。
著者
吉田 正平 海野 信也 香川 秀之 篠塚 憲男 上妻 志郎 武谷 雄二
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, 2001-11-01

正期産妊娠における妊娠中の胎児超音波計測による推定体重と出生体重の関係を知る目的で548例の児奇形のない妊娠をretrospectiveに検討した.対象症例は正期産時の出生体重の偏差値によって6群に分類した.推定体重偏差値と出生体重偏差値の関係とその変化を, 推定時期を妊娠20週以降4週間ごとに分けて検討した.推定体重偏差値によって判定した胎児発育パターンは正常発育児とIUGR児では明らかに異なっていた.その差は妊娠20〜23週には既に存在していた.妊娠20〜23週以降満期に至るまで推定体重偏差値は出生体重偏差値と有意に相関していた.本研究によって, 超音波測定によって検出しうる胎児発育の差は既に妊娠20〜23週で存在していることが明らかとなった.
著者
宮本 正一 安永 智秀
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.49, pp.47-52, 1993-07-25

日本産のメクラカメムシ亜科に含まれる近縁な2積を検したところ,いずれも既知の属にあてはまらない未記載種と判明したので,新属Adelphocorisellaを創設し,各種にA.lespedezae,A.insulanaの種小名を与え,後種については終齢幼虫も含め記載,図示した.前種は本州(青森市,つくば市),九州(福岡市)において,マメ科植物(マルバハギ,クズ)から得られている.後種は西表島,与那国島から知られ,クズの1種に寄生する.この両種は互いに酷似するが,分布が異所的であることに加え,頭頂複眼間の幅,触角の長さ,雄交尾器の形状などに相違がある.Adelphocorisella属は,Adelphocoris属と極めて近縁で,一見非常によく似ている.しかし,雄交尾器のvesicaにAdelphocoris各種の共有新形質である櫛状骨片と鈎状骨片を欠く上,体がやや小さく,前胸背につやがないこと,脛節棘が淡色であること,雄の腹部生殖節(把握器基部付近)に突起がないことで区別でき,新属として扱うことに矛盾はない.なお各種の和名であるが,それぞれカスミヒゲナガメクラガメ(lespedezae),リュウキュウヒゲナガメクラガメ(insulana)としておきたい.
著者
小野 康弘 川嶋 稔夫 ピトヨ ハルトノ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.198, pp.241-246, 2008-08-29
被引用文献数
2

摂食パターンはある程度個人の健康状態を反映すると考えられるため、摂食パターンを解析することで健康状態をある程度把握することができ,病気の早期発見につながる。本研究で我々は過去に開発したセンシングトレイとIDウェアを用いて個人の摂食パターンを自動的に記録できる手法とその記録パターンの視覚的及び定量的な提示方法の提案を行った。これらの提示方法では、食事に出る品を状態として扱い、摂食の様子を時系列的な状態遷移と見なすことにより,マルコフモデルを構築することができる。複数人の数回にわたる摂食実験から,健康に異常のない特定の個人は特有の摂食パターンを持ち、個人差も明確であることが分かった。この結果を用いて、今後摂食パターンを基に健康管理システムの提案を行う。
著者
今井 悦子 田丸 理恵 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.243-253, 1998-03-15
被引用文献数
5

口腔内で食品粒子を粒子として認識する際の最小粒度および粒子の大きさの識別の程度について官能的に明らかにし, さらにそれらと食品物性との関係を検討した.細砕した9種類の食品材料を約1.2倍の等比間隔にある標準ふるいを用いて水中でふるい分けし, 試料(水懸濁液)とした.認識最小粒度は, セルロースに34μmが最小で, 最大は1%寒天ゲルの380μmであり, 材料によって著しく異なった.また粒度の識別の程度は, はんぺんとパン以外は, ある粒度以上において平均1.2倍異なる粒度の識別ができること, また, そのある粒度(識別最小粒度とする)は材料によって異なることが明らかになった.以上の認識最小粒度および認識最小粒度は, 材料の物性値のうち水分含量, 変形定数および密度等の物性値と関係が深いと考えられた.そこで認識最小粒度と識別最小粒度を, 材料の物性値を用いて数値化することを重回帰分析を用いて試みたところ, それぞれ変形定数などを用いた重回帰式で表すことができた.
著者
Imura Wendy J.
出版者
神戸女学院大学
雑誌
女性学評論 (ISSN:09136630)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.21-40, 2008-03

西洋の文化は、昔から日本人女性の"謎"に興味を掻き立てられてきた。外国のジャーナリスト・学者・研究者達にとって、伝統的な日本の家庭における女性の役割とこれとは相反する現代のビジネス界におけるキャリア・ウーマンの立場にみられる矛盾は、特に魅力的なテーマである。本論文では、日本語の出典と英語メディアの評論の対比を通して、時に時代遅れで、固定観念に囚われた日本のキャリア・ウーマン像への反論を試みる。具体的には、職場における日本女性の役割定義や女性総合職に関する誤った描写についてである。このような視点は、家庭における日本の男性像や男女の役割分担についても示唆する。こうしたイメージの脱構築後、英語メディアにおける"誤訳"の陰に潜む原因について論文の最後で考察する。これら全体を通して、日本女性が直面している変遷していく社会や家庭や職場における現実といかに西洋のメディアで頻繁に報道されている構図とは異なるかということに光をあてることができればと考える。
著者
北上 始 館野 義男 五條堀 孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.44, pp.17-26, 1994-05-27

三大国際DNAデータバンク(日、米、欧)で利用されている生物分類樹データベースは、全て、コンピュータを用いた生物学の研究に有用な電子化辞書である。しかしながら、それらの生物分類樹データベースは、無矛盾に統合化されていない。もし、それらが統合化されれば、統合化された電子化辞書を用いて、生物研究結果の間の比較や既存の研究結果から将来の研究方向の選択などに利用することができる。また、形態学上のデータから計算された生物分類樹と分子データから推論された分子進化系統樹との間を比較するのにも有効である。ここでは、生物分類樹データベースの無矛盾な統合化のために、既存の生物分類樹データベースを無矛盾にする方法について述べられている。データベースの矛盾は、生物学が、近年、急速に発展していることにより生じている。即ち、この急速な発達により、生物分類樹の再構成が頻繁に行われてるが、現存のデータベースにはそれが十分に行われていないのである。この矛盾解消のために、近傍検索によるエラー診断、統合性制約による矛盾ノード抽出、エラー修正ツールなどについて述べられている。また、分散環境における矛盾抽出方法についても述べられている。以上は、全て、関係データベース管理システムを用いて実現されている。All the taxonomy databases constructed with the DNA databases of the international DNA data banks are powerful electronic dictionaries which aid in biological research by computer. The taxonomy databases are, however not consistently unified with a relational format, If we can achieve consistent unification of the taxonomy databases, it will be useful in comparing many research results, and investigating future research directions from existent research results. In particular, it will be useful in comparing relationships between phylogenetic trees inferred from molecular data and those constructed from morphological data. The goal of the present study is to unify the existent taxonomy databases and eliminate inconsistencies (errors) that are present in them. Inconsistencies occur particularly in the restructuring of the existent taxonomy databases, since classification rules for constructing the taxonomy have rapidly changed with biological advancements. A repair system is needed to remove in consistencies in each data bank and mismatches among data banks. This paper describes a new methodology for removing both inconsistencies and mismatches from the databases on a distributed computer environment. The methodology is implemented in a relational database management system, SYBASE.
著者
岩崎 泰頴
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.77, pp.205-"228-1", 1970-04-10

1966年初頭にルソン島Tayabas地区の地質構造調査を行った木村敏雄・徳山明両氏は, 保存は良くないが種々検討する価値があると思われる貝化石標本を, 2ケ所から採集し持ち帰った。産出層は下部Gumaca層の上部で中新統の由であった。さて標本類は二枚貝20種, 巻貝16種が識別され, 不確定の11種を除いてすべて既知の化石種・現生種に同定されている。特徴的な種として, Vicarya callosa, Anadara multiformis, Joannisiella cumingi, Paphia exarataなどを含み, 且ってMARTIN, SMITH等によって指摘されたフィリッピン及びインドネシア方面に広く分布する中新統下部の夾炭層に伴う浅海棲貝化石群に属すると見做し得る。一方の産出地Pitogo付近の2層から得られた標本類については, 不充分な材料ではあるが露頭における産出状態から自生の種群構成を復元することができる。この結果, 現地生に近いDosinia-Anadara群集と運搬されたと思われるBatillaria群集の両要素の混合したものと推定される。更に, この仮称"Pitogo fauna"は日本の黒瀬谷層などにみられるVicaryaを含む貝化石群と古生態的にも極めてよく類似している。両者を種群構成の上から比較すると, 両地の緯度の違いを反映して個々の群集の構成種の入れ替りは, 門ノ沢型における奥尻島と種子ケ島両地産の差よりも大きいが, まったく同一の生物地理区に属するとみて矛盾はない。従っていわゆる"門ノ沢型動物群"と比較できる, はるか南方延長上に存在する貝化石群として古生物地理の観点から見落せない。少くとも中新統下部の日本の貝化石群の古生物地理学的吟味は, 東南アジア地域をも対象にする必要があろう。本報告では層序はKIMURA et al. (1968)に基いた。また貝化石群としてみた場合は, 終始日本のそれと比較するという立場で取扱っている。